駄文ばかり投稿することになると思いますが、どうか温かい目で見てやってください。
朝だ。
屋敷の一室に太陽の光が差し込む。それを受けて、部屋で眠っていた少年がむくりと起き上がる。
「朝…ですか」
彼は何の感慨も無くそう呟き、グーッと少し体を伸ばす。今日はいつもと眠る際の状況が少し違ったので眠れるか不安だったのだが、無事に眠る事が出来た様で少し安心した。尤も、心細いのでもう二度と御免だが。そのまま彼は手探りで床を触り、手で己の体を支えて起き上がろうとする。
しかし上手く行かないのか、そのまま再び布団に倒れることになってしまう。
彼はもう一度挑戦しようとするが丁度その時、彼の部屋の襖が開き、背に九本の尾を携えた女性が姿を現す。
「おはようございます。よくお眠りになられましたか?」
「えぇ、おはようございます。藍」
名前を呼ばれた彼女、八雲藍は深く頭を下げる。その声を聞くだけで、彼の心細さはいくらか軽減される。彼女には世話になりっぱなしだ。感謝を述べるといつも、「それが私の役目ですので。紫様はありがとうの一言すら仰ってくださりませんよ」と若干の愚痴をこぼす。
「それでは、向かいましょう。紫様もお待ちしております」
そう言って彼女は彼に手を差し伸べる。彼はその手を、そこにある筈の手を取る。
「ありがとうございます、藍」
「いえ、お気になさらず。
一言述べた後、彼女はしゅるしゅると青と呼ばれた少年の寝間着を脱がせていく。そしてそれを綺麗に折りたたみ、彼に別の服を着せていく。それが終るとまたテキパキと慣れた動作で彼の使用していた布団を畳み、押し入れにしまう。
布団を仕舞い整えた後、彼女は青の手を取り歩を進める。自身の手を取ったまま歩き出す藍に、彼、青は少し笑みを零した後、遅れないように彼女について行く。
藍は歩き出してから自分と手を繋いでいた青の手が真っ直ぐ伸びていることに気づき慌てた様子ですぐに速度を落とし、青と呼ばれた少年に歩幅を合わせる。
「藍、幻想郷は今日も美しいですか」
「えぇ、紫様が作られた世界は、今日も美しいですよ」
藍の言葉に、青は嬉しそうに頬を緩ませる。この世界を褒められることは、彼にとっては自分が褒められる事のように嬉しいのだ。
「おはよう、青」
すると先程まで廊下にいた筈なのに、いつの間にか彼らは食卓の前に立っていた。
彼らの前には椅子に座ってお茶を嗜む彼の姉、八雲紫と、朝食を右手に左手に、そして頭に乗せて危なっかしく運ぶ藍の式神、橙の姿があった。
「おはようございます姉様。橙もそこにいるのですか?」
「はい!おはようございます青様!」
「はい、おはようございます」
「橙、そんなに沢山料理を運ぶんじゃない。危ないだろう」
「ごめんなさい藍様…」
藍に注意を受け、肩を落とす橙。反省するのは良いことだが、せめて料理を置いてからにしてほしい。頭上の皿がグラグラ揺れて危ないのなんの。
「別に落としていないのだからいいじゃない。それに、貴女がいない間、一人で頑張ってくれたのよ?」
「そうだったんですね…ありがとうございます、橙」
「えへへ…」
紫と青に褒められ、橙は照れくさそうにはにかむ。
「それじゃ、冷めないうちにいただきましょうか」
紫の言葉に、三人はそれぞれ席に着く。そのまま彼女達は手を合わせ、いつもの様に四人で食卓を取り囲んで朝食を取り始めるのだった。
いつものように四人で食卓を囲み、いつものように姉と過ごし、また眠りにつく。何十、何百、何千年と体験した、いつも通りの一日。
しかし今日という日を境に彼の日常は少しずつ、時に劇的に変わっていくことになる。