と言ってもどの様に書けば正しいのかはいまいちわかっていないので、自分のペースで、書きたいなと思ったことを書いて行こうかと思います。
一話完結か数話程続くことになるかは書こうと思ったものによって変わります。
今回の話は数話続きますが、思いっきり独自解釈が含まれます。どうかご了承下さい。
青、姉に頼まれ異変を起こす(壱)
「異変を起こして欲しい…ですか?」
ある日、いつもの様に姉に膝枕をされてのんびりとした時間を過ごしていた青は、姉の口から唐突に放たれたその言葉に普段開ける事の無い目を僅かに開いた。
「えぇ、そうよ。頼めるかしら?」
「・・・私に幻想郷の敵になれと?その考えに至った理由をご説明願えますか?」
「そ、そうですよ紫様!何故突然そんなことを…」
青の言葉に部屋の隅にて待機していた藍も同意なのか、何度も首を縦に振る。どうやら彼女ですら何も聞かされていなかったらしい。
「そうね、流石にいきなりこんなことを言われても分からないでしょうし、説明をしましょうか。・・・貴方、以前異変を解決している人間に会ったことがあるでしょう?ほら、霊夢と魔理沙の二人組」
「えぇ、そうですね。それが何か…?」
「あの子たちに少し、現実を見せて欲しいと思って」
「現実を?」
私の能力で見せられるのは幻想なのですが…なんてことを考えながら、青は姉の次の言葉を待つ。
「あの子たちは最近、よく言えば自信を持っているけれど、悪く言えば調子に乗り過ぎている。自分の力を信じるのは悪い事では無いのだけれど…過信して修行を怠るのは良く無いわ」
「それで現実を見せろと…」
「そもそもあの子たちは、霊夢は博麗の巫女の役割を履き違えている。博麗の巫女の役割は本来、人間を妖怪から命がけで護るもの。決して妖怪と対等に戦うものではない。彼女達が強いのはあくまでごっこ遊びでの話。実際の殺し合いでは、私達大妖怪の足元にも及ばない。それを教訓をもって教えて欲しいの。万が一こちらのルールが通用しない相手が現れた時、どうしようもないんじゃ困るわ」
「・・・成程、事情は理解しました」
「し、しかし紫様。霊夢達は今の幻想郷のルールにおいては己の力を過信するだけの実力はあります。青様がお怪我をなされてしまうという可能性も…!」
まさか紫が自分の最愛の弟を戦わせるとは思ってもいなかった藍は僅かな焦りと不安を滲ませた声音で己の主に問いかける。
「大丈夫よ。青の実力なら万が一――いえ、億が一の確率でも傷を負う事なんで無いでしょうし。あぁそれと、態々彼女達のルール、弾幕ごっこに合わせる必要は無いわ。かといって殺しても駄目。あくまでも程々によ。わかった?」
「そこまで評価していただいているのは嬉しいですが…それも過信と言うものに分類されてしまうのでは?」
「いいえ違うわ。これは私から見た客観的かつ正当な評価だもの。貴方もそんなことを言っておいて、負けるつもりなんて毛頭無いのでしょう?」
「直接戦っていないのではっきりとは言えませんが…少なくとも人間相手に後れを取るつもりはありません」
「そう、それを聞けて安心したわ。異変の内容も、貴方が好きに決めてくれて構わないわ。幻想郷を壊さない程度なら、多少の無茶も許容範囲内よ」
壊さない程度なら何しても良いって…相変わらずの行き過ぎた甘やかしに藍は心の中で溜め息を吐く。口には出さない。言った所で己の主がそれを直す筈が無いのだから。
「わかりました…では、藍、少し出掛けることにしましょう」
青は少し名残惜しそうに姉の膝枕から体を起こし、藍に声をかける。
「承知しました。して、どちらへ?」
自力で立ち上がろうとして失敗する青に手を貸し、彼の体を支えながら藍は問いかける。
「少し、協力を頼みに行こうかと。藍にも協力してもらいますよ。流石に彼女達二人だけで私に勝利しろというのは無茶にも程がありますから、多少のハンデは差し上げるつもりです」
「畏まりました」
彼が完全に立ち上がったことを確認してから、藍は返事をして頭を下げた後足早に玄関に向かう。恐らくは靴を取りに行ったのだろう。いくらスキマがあろうと、流石に裸足で外に出る訳には行かない。
「あ、あんまり大規模にしなくても良いのよ?彼女達の実力を確かめて、驕りを止めさせて鍛錬を促すだけで良いんだし」
「わかってますよ。私の下に来るのに手こずってしまってはつまらない。首謀者を明かすこと自体は簡単にするつもりです。あとは戦いの中で如何に頭を使えるか…ですね」
協力者を募ろうとする程張り切っている弟に、紫は少し不安になりながらもスキマを開くのであった。
「ふぁぁ…ねむ…」
日が昇って間もない時間帯、幻想郷の東端に存在する博麗神社の一室で、霊夢はいつもの様に鏡の前で身だしなみを整えていた。
布団を畳んで押し入れにしまい、寝間着から巫女服に着替え、使い古した櫛で髪を梳き、リボンをつけ、手元に会ったお祓い棒を手に取り数回程軽く振る。
「面倒くさいけど、これくらいちゃんとしないと華扇に怒られるのよね…」
一仕事終えたと言わんばかりに、霊夢はグーッと軽く伸びをして立ち上がる。
朝のひんやりとした空気を感じながら廊下を歩き、外へと出る。眠いことを除けば、霊夢はこの朝のひとときを割と気に入っている。魔理沙もおらず、針妙丸も起きていないこの時間。騒がしいのが嫌いなわけでは無いが、それでも一日のほんの数十分くらいは静かな時間を過ごさせて欲しい。
「お賽銭箱は…いつも通り空ね」
我ながら言っていて悲しくなるわと、霊夢は日常であるその光景に肩を落とす。
二回程見間違いかと見返してみるがやはり結果は変わらない。一分程往生際悪く賽銭箱の中を隅々まで目を凝らしてから、漸く何もないと確信し顔を上げ、目の前の非日常的な光景を視界に入れる。
「今日は何時にもまして、霧が濃いわね…」
境内をゆっくりと歩き、霊夢は鳥居の間から階段の下を見下ろす。そこから見えるのはいつも通りの木々が生い茂った森…では無く、唯々濃い霧が広がっていた。
「異常気象…と判断するのはまだ早いわね。にしてもこんなに濃いと、何も見えないじゃない。昼までに晴れてくれないと飛ぶことも出来ないし、今日は大人しく家で過ごしましょうかね…」
今日一日の大まか過ぎる予定を決め、霊夢が朝食を用意しようと神社へと戻ろうとした丁度その時、急激な速度で霧が晴れて行き、階段下の景色が見えるようになる。
そこから見えたのはいつも通りの木々が生い茂った森――では無く、
「・・・はぁ?」
木どころか草一つ生えていない、一面砂だらけの世界であった。