木下京介はいつもどうりの道のりを歩いていた。高校での授業を終え、友達と遊んだあとに別れて、一人で信号を待っていた。
その時、信号の前を、トラックが通りすぎようとしていた。しかし、そのトラックは京介の前を、通りすぎることなく、いきなり京介に突っ込んできた。
「な!?」
と、京介は驚いたが、トラックは既に眼前に迫っていて、避けることもできずトラックに吹き飛ばされてしまった。
そのまま京介の意識は遠退いていくのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
京介はいつに間にか白い空間に、立っていた。そして目の前には、一人の青年が立っていた。そしてその青年が。
「やあ、はじめまして」
そう言って、青年は微笑んだ。
京介もそれにならって「どうも」と、返事をした。
「君は、ここに来る前に何が起こったか覚えているかい?」
と、青年が聞いて来たので、京介が考え込むと、ひとつの出来事を思い出した。
「あ!!…そう言えば俺、トラックに跳ねられて…」
「そう。…君は、あの時に死んだんだ」
その事実を聞いて京介は愕然とした。まさか、自分があんなところで死ぬとは思っていなかった。
京介が愕然としていると、青年が。
「ああ、心配しなくても大丈夫だよ。君は今から転生して、新しい世界に生まれ変わらせてあげるから」
そのセリフを聞いて京介はガバッ!!っと顔を上げた。
[え!?俺、生き返れるんですか!?]
京介がそう聞くと、
「可能だよ。まあ、厳密に言えば生き返るのは地球ではなく異世界だけどね」
「それって、どういうことですか?」
「まあ順を追って話そうか。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「まずは、自己紹介からしようか。…僕はレイク。君たちが言うところの神だ」
「え!?…神様なの!?」
京介が驚いていると、レイクは、クスクスと笑っていた。
「まあ、無理もないね。普通なら誰も会うことは出来ないからね。でも君は、少々特別でね」
「俺が?」
と京介が聞き返すと。
「ああ。君はあと60年は生きる予定だったんだけど、ちょっとした手違いで死んでしまったんだ」
「なにその理不尽!?」
まあ、そのお詫びとして新しく生き返るようにしてあげるんだ。…特別な力と一緒にね」
[特別な力?なにそれ]
「君が今から行く世界は魔法なんかがある世界でね、そこに行くお土産として僕からプレゼントをあげようと思ってね♪」
京介はまたしても唖然としていた。自分が死んだこと。目の前には神様がいること。これから異世界に転生すること。そして、微かに高揚していた。これから行く世界には魔法があることに。
「プレゼントってなにが貰えるんですか?」
「ああ。それはね。ちょっと腕を出してごらん」
「?こうですか?」
京介がそう言って左腕を差し出すと、レイクは京介の腕にちょんっとさわった。次の瞬間京介の腕に幾何学模様が浮かび上がった。京介が腕を見ながら驚いていると、レイクは。
「それがプレゼントのひとつ目だよ。君が念じたほしいものを出してくれるものさ。地球のものと異世界に無いものや、生き物は出せないけど、未来にあるであろうものなら出すことができるよ」
[未来のもの…ですか?]
「そうだよ。異世界の100年先のものまで君は作り出すことができる。まあ、使えるのは10回限定だけどね。それと…もうひとつがこれだよ」
京介が自分の手にした力に驚いていると、レイクがなにかを京介に投げた。京介が驚いて受け止めると、それは辞書のように分厚い本だった。
「これは?」
と、京介が聞くと、レイクは。
「開いてごらん」
といったのでパラパラとページをめくると、そこにはいくつもの不思議な形をした実が写っていた。
「え…これってもしかして…」
「そう。それは、悪魔の実の図鑑だよ」
京介が聞くとレイクはにんまりと笑って言った。
「これをどうしろと…」
京介が困ったといった顔を作ると。
「これはね、こうやって使うんだ」
レイクが京介の持っている本に手をかざすと、そのページに写っていた実がページから飛び出した。それを見て京介はなるほどねといった顔を作った。
「これ、本当に貰えるんですか?こんなものもらったら、俺限りなく無敵じゃないですか…」
「もちろんさ。あ、でも君はひとつしか食えないから、他のは向こう側に行ったあとに君があげたい人たちにあげていいよ~。それと実の中にはいくつか変更したものがあるからね」
「変更したものって?」
「うん。例えば、ドクドクの実がパラミシア系からロギア系になってたり、ロギア系に追加の実が載ってたりするから、そこのところは気を付けてね♪」
「解りました。あ、じゃあ魔法はどうやって使うんですか?」
「それは向こう側で学べばいいよ。それと、その図鑑の取り扱いについて説明するよ。まずは……」
そう言って京介は図鑑の取り扱いや異世界についての知識をある程度教えてもらったあと、ひとつの扉のまえに立っていた。横にいるレイクが。
「準備は出来たかい?」
と、聞いて来たので、京介がうなずくと。
「よし、じゃあ存分に楽しんでくるといいよ」
そう言って笑いながら、京介の背中を押した。
「よし!!行くか!!」
京介も自分に気合いを入れ、扉を開けて異世界えの第一歩を踏み出したのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
京介が扉を抜けてまず目にしたのは、大量の木々だった。どうやら京介は森のなかに出たのだと考えた。
「よし、じゃあまずは悪魔の実からだな」
そう言って京介は手をかざすと図鑑よでろ、と、心の中で念じた。すると次の瞬間かざした手に図鑑がいきなり出現した。そして、パラパラとページをめくりお目当ての実を見つけると、そのページに手をかざして出現せよ、と、心の中で念じると、ページから実が飛び出した。これは、ここに来る前にレイクに教えてもらったもので、図鑑の出し入れを自由にするためのものだった。そして京介はその実を手に取るとそのままかぶりついた。
「おえっぷ…げろまず……。でもこれで俺は光人間になったわけだな」
そう。京介が食べたのはピカピカの実で、京介は光人間になったのだった。
「ははっ。覇気も海楼石もない世界で光人間とか俺無敵じゃん。とんだチートだなぁ」
京介が感慨に浸っていると、
「おっと、忘れてたぜ。…じゃあ次は魔力操作だな」
突然思い出したように、目の前にある木に近寄った。
ここに来る前にレイクに教えてもらったもうひとつのものが、この魔力操作である。魔法はこちらの世界で学べばいいと、言われたが、この魔力操作だけは、直々に教えてもらっていた。
魔力操作とは、体内の魔力を自在に操作する技能で、実際は長期間の修行が必要だが、京介は特別に使えるようにしてもらったのだ。魔力操作を修得した者は、魔力量に比例して筋力や動体視力が向上するので、京介はその力を試そうとしているのだ。
京介が気合いを入れて「らぁ!!」という掛け声とともに木を殴ると、まるでプリンのように分厚い木の幹がえぐりとられた。
「ははは!!。こりゃスゲー!!」
と、京介がはしゃいでいると、茂みの向こう側からなにかが来たのを感じ取った。京介が茂みの方向に向くとそこから巨大なトカゲが姿を現した。見たところ全長5~6メートルはありそうな地球ではまずいないような化け物だった。
「あれ?俺もしかしてピンチ?…てっおわ!!?」
京介が驚いていると、巨大トカゲがいきなり尻尾を振り回して襲ってきた。京介は一歩後ずさったが、右腕に直撃し、肘から先が吹き飛んだ。京介が驚いて右腕を見ると、肘から先がないにも関わらず、そこには痛みはまったくなく、傷口であろうところからは、光が漏れだしているだけだった。それを見て京介はニヤリと笑った。
「そうだよ。…俺は光だったな。怖がって損したぜ」
そういっている間に、傷口であろうところからは光が流れ出し、新たな腕を作り出していた。それを見て京介が、左手をピストルの形にしてトカゲに向きながら、
「やってくれたなトカゲちゃん。…これはお礼だ、受けとれ!!」
そう言うと、左手の人差し指から閃光が飛び出し、トカゲの足元に着弾した。そして着弾すると同時に大きな音を立てて爆発した。京介もその近くにいたので、爆風で少しよろめいた。巨大トカゲは爆発をもろに受け、片足を失っていた。
「へえー。スゲー威力だなぁ。ただ撃つと爆発するのか。…じゃあ次は…。」
京介は次に、もう片方の足に狙いを定め、閃光を撃ち出した。その閃光は爆発することなく、ただ足に突き刺さり、貫いた。グォォォォ!!と吠えながらのたうち回る巨大トカゲをよそに、京介は、
「なるほど。意識すれば、爆発させなくもできるのか。まあ、コントロールは出来てきたな」
と、既にトカゲのことは眼中になく、自分の能力について独り言をもらしていた。そしてふと、思い出したように顔を上げると、
「もう苦しいだろう。楽になれ」
そう言って、閃光を放った。閃光はトカゲの頭を貫き、そしてそのまま絶命した。
「よし、魔力と能力はこんなものか。創造の力は10回限定だから、またの機会だな…。じゃ、新しい人生でも始めますか♪」
そうして、木下京介の新たな異世界での人生が始まったのだった。
次回からはヒロインを少しずつ出していく予定です。