異世界で悪魔の実を食べたら   作:高山

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第二話動き出す日常

 

京介は森のなかを歩いていた。先程倒したトカゲでは、悪魔の実の力や魔力操作で修得した技をほとんど試せなかったので、次の獲物を探していたのである。

 

(悪魔の実の力も試したいけど、『身体強化』とかも試したほうがいいのかなぁー)

 

『身体強化』とは、魔力操作の一種で体内の魔力を活性化させ、筋力や動体視力、反射神経を極限まで高める技である。

他にも、魔力を弾丸として撃ち出す『魔力弾』や、魔力で壁を作り身を守る『魔力障壁』などがある。

 

(つっても、『魔力弾』よりもレーザーのほうが強力だし、『魔力障壁』なんかなくてもノーダメージだし、使えるのはやっぱり『身体強化』で得られる腕力や動体視力だけだよなぁ)

 

悪魔の実の力が強力すぎるため、あまり使えそうもないと思っている京介だが、自分の力の限界を知るべきだと思い直し次なる獲物を求めて歩いていいると、いつの間にか、山のふもとまで来ていた。

京介が山を見上げていると、地鳴りのような咆哮が聞こえてきた。

 

(今の声…。さっきのトカゲよりも断然強そうだな。まあ、死ぬことはないし、いってみるか)

 

そう決めた京介は山の中を駆け出した。

 

京介が聞こえてきた声を追って駆け出し、行き着いたのは比較的に傾斜がなだらかな、開けた場所だった。京介は目の前の光景に一瞬、息を詰まらせた。そこにいたのは巨大な狼だった。全長20メートルはありそうな体躯に黒い体毛、そして頭部には大きな一本の角が生えていた。狼の周りには先程京介が倒したものと同種のトカゲが、無惨に引き裂かれ事切れていた。

狼は食事中だったらしく、いきなり現れた京介を睨み付けた。そしてそんな狼に京介は圧倒されていた。

 

(これが『魔獣』か…。神様には聞いてたが、さっきのトカゲといいこの狼といい、本当に化け物だらけだな…)

 

『魔獣』とは、体内に大量の魔力を持ち、魔法を使える生物である。その特徴としては、魔力の影響で体が肥大化し、狂暴性が高いことである。

「とりあえず、『身体強化』で何処までやれるか、実験といくか」

 

そう言いつつ京介は全身に『身体強化』を施した。

全身に白銀の魔力を纏わせながら、狼に向かって駆け出した。この時点で、京介には動物を殺すことに躊躇いはなかった。事前にレイクに、「魔獣や盗賊なんかは世界にとって害悪でしかないから躊躇わずに殺してしまわないといけない」と、言われていたので、京介はこの世界に来たときからそうなる覚悟はしていたのである。

駆け出した京介は一瞬で狼に肉薄し、その胸元に全力で拳を叩きつけた。

 

「な!?」

 

拳を叩きつけられた狼は一瞬苦しそうに呻いたが、すぐに体勢を整えb前足を思いっきり振り、京介の体を吹き飛ばした。

 

「ウオォーー!?」

 

京介は勢いよく吹き飛ばされ、木々を何本もへし折りようやく静止した。

 

「あぁー、効いた……。こりゃ体じゃなくて精神にくるな」

 

そう言いつつ立ち上がった京介は自分の体を見て息をはいた。

『身体強化』を施していたにもかかわらず、脇腹はえぐられ着ていたワイシャツもビリビリに破けていた。受けた傷や破けたシャツも光とともに一瞬で修復されたが、もし生身で受けていたらと思うと背筋に寒気が走った。

 

「こりゃ出し惜しみはなしだな…。わりーなワンちゃん、マジで殺らせてもらうぜ」

 

そう言いつつ頭の中で能力で出来ることを考えつつ、狼の前方約10メートル先に立った。

京介が狼が次にどう出るかと考えていると、狼が大きく口を開いて連続して火の玉を吐き出した。

 

「うわ!?…。いきなり魔法かよ!!」

そう愚痴りながらも京介はとっさに左手を前にかざした。手のひらからレーザーがいくつも飛び出し火の玉を迎撃した。

火の玉とレーザーが衝突した瞬間、両者が音を立てて爆発した。

火の玉を迎撃し、土煙がおさまった瞬間、狼がギラリと爪が光る腕を振り上げながら飛び上がり京介に肉薄していた。おそらく、一撃で仕留めようとしているのだろう。

が、次の瞬間京介の左足が輝き出したのを見て、狼は一瞬狼狽した。

京介は迫り来る狼の腕に向かって足を持ち上げ、次の瞬間光速の一撃を繰り出し、巨大な狼の腕と光速の蹴りが衝突した。

ブシュ!! という肉の裂ける音とともに、巨大な狼の体躯が宙を舞った。

 

「ははは…。なかなか盛大に吹っ飛んだな」

 

京介が見ると、狼の右足から血が流れ出していた。

「次は…これでいくか!!」

そう言うと、京介の左手に光の剣が顕現した。

それだけでは終わらず、今度は両足の膝から下が光に変わり、京介を宙に浮かせた。

そしてそのまま光になった足をブースターにして、狼に斬りかかった。

狼は迫り来る凶刃をなんとか避けようと右に大きく跳んだが、間に合わず左足を切り飛ばされてしまった。

 

「さて……。これで終わりにするか」

 

京介がそう言って笑うと、光のブースターで一気に空中に飛び上がり、両の手のひらを狼に向けた。

そして手のひらが一際強く輝くと数十発のレーザーが狼に向かって殺到した。

飛来したレーザーは着弾とともに爆発し、狼を飲み込んだ。

爆発が止んだ跡には狼の姿形はなく、ただたんぱく質の焼ける匂いだけが充満していた。

地面に着地した京介は腰に手をあて息をはいた。

 

「やっぱりちょっと大変だったな…。どっかで休みたいんだけど……。お?」

 

そう言って辺りを見回していた京介が見つけたのは、木々の向こうに見えた川だった。どうやらさっきの爆発で木が吹き飛び、道が拓けたらしい。

京介はそこで水を飲んだ後、水辺の岩の上で寝ることにした。精神的に疲労していたため、すぐ近くを飛んでいた、魔法式カメラに気がつくことなく眠りに就くのだった。




ヒロインは、もう少し先になりそうです
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