神域遺物の蒐集者   作:東條九音

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白銀の神滅器、奪われる魔導書#04

「……」

 

ケイオスがツムギを伴ってテイカーといのりがいる地点までやってくる。

 

「おい、早く助けろ!」

 

「……」

 

ケイオスが金色の手刀を作り出す。

 

「はぁーい、そこまーで」

 

その手刀でケイオスが何をするのか見守っていると何者かの声が響き渡る。

パチッ、と指を鳴らす音がすると拘束されたテイカーが消える。

 

「なっ!」

 

「ッ!」

 

ツムギといのりは警戒しつつ、消えたテイカーと声の主を探す。

 

「油断しすぎよ、テイカー。ケイオスの首、よく見てみなよ」

 

「あぁん!?……ッチ。そう言うことか。助かったぜ、イースロッテ」

 

「イース、でいーよ。長いから」

 

テイカーはケイオスの荊の首輪が外れている事に気付いたようだった。

ツムギといのりは、ケイオスの視線の先にテイカーと声の主を見つける。

 

「じゃあイース。手を貸せ、神域遺物(レリック)を奪う」

 

テイカーは懲りずに神域遺物を奪うつもりのようだが、イースと呼ばれた人物はそれを却下した。

 

「だーめ。緊急招集が掛かったわ」

 

「ケイオスはどうする?」

 

「操れないなーら、放置でよくない?」

 

「ッチ。てめぇら!次は必ず頂くからな!」

 

テイカーはツムギたちに捨て台詞を残す。

 

「逃がすと思いますか!」

 

「動くな、いのり!」

 

いのりがテイカーを逃すまいと動こうとするがツムギはそれを止めた。その声を聞きいのりは動く寸前で止まる。

 

「ありゃー、勘がいいのね。罠にー、気付いたのね。ざーんねん」

 

その言葉を最後にテイカーとイースロッテは転移を行い、この場から逃げ去った。

 

「えぇっと?」

(そことそこ。あとそこの3つだ)

「ん、今解除するから、ちとまってね」

 

ツムギは無効化のクナイで罠を破壊する。辺りを警戒し他の脅威が無いことを確認してから武装を解除して魔導書を全てしまった。

いのりは駆け寄るとツムギに訊ねた。

 

「先生、逃がして良かったんですか?」

 

(空間転移系統を使う魔術師相手に、逃がすなは難しいな。こっちも転移妨害を使用しないと)

「ん~相手が悪いね」

 

「イースロッテと呼ばれた人物。そんなに強いんですか?」

 

「イースロッテ=シャルロットは空間魔法の使い手です」

 

いのりの疑問に答えたのは、ツムギではなくケイオスであった。

 

「その空間魔法はアースソウル随一、との話です」

 

「なるほど……強いかは分かりませんが、とても厄介な相手なんですね」

 

「肯定します」

 

「ま、終わった事だし……。あ、いのり。魔導書は?」

 

ツムギは回収を頼んでいた魔導書(ラノベ)について訊ねる。

 

「はい、ここに」

 

差し出された魔導書を見て受け取らずに何やら考えるツムギ。

 

(どうした?受け取らないのか)

「……いや、いのりにあげよう」

(ふーん……まぁいいんじゃないか?いのりとの相性も悪くないだろう)

 

「先生?」

 

受け取らないの事を不思議に思ったのだろう。いのりは不思議そうにツムギを見つめていた。

 

「その魔導書はいのりにあげよう」

 

「いいんですか?あんなに取り返すって、言ってたじゃないですか」

 

「大切、だけど……魔導書がキミを選んでる気がするんだよ。それにまぁ、死蔵するにはもったいないし」

 

「後者が本音じゃないですか……」

 

「ふふっ、まぁそうとも言うかもね。でもね、神域遺物の中には意思を持つ物もあるんだよ」

 

「へぇ~」

 

「興味ない、感じかな」

 

「先生ほど、神域遺物オタク?いや、コレクターですか。じゃないもので」

 

「じゃあ返して貰うよ」

 

ようやくいのりから魔導書を受け取るとツムギは、話題を神域遺物の事から少女の事に切り替えた。

 

「さて……それじゃあケイオス。これからの話をしようか?」

 

「これから……」

 

「そう。それでだが、いくつか確認したい。まずキミはホムンクルス、でいいのかな?」

 

「……はい。フェイカーシリーズのT。それが私です」

 

「Tの偽者、という事ですかね?」

 

「だろうね。ケイオス、Tについては何か知ってるかい?」

 

ケイオスは首を横に振り答える。

 

「T氏は分からない、と」

 

「似てますしツムギでTですし、やはり先生なのでは?」

 

「私もそう感じてます」

 

「フィーリングで?」

 

今度は首を縦に振るケイオス。

 

(魔力の保有量だけが桁違いで違うんだよなぁ。けど魔力波長は近い……)

「……ん」

(黙認、としておくのか)

「……作り手の狙いが分からんから」

 

「先生?」

 

ぶつぶつと独り言を言っているツムギにいのりが呼び掛ける。ツムギは大丈夫と一言言うと次の質問を述べた。

 

「ケイオス。キミはこれからどうする?」

 

「私は……旅をしてみようと思います」

 

「旅ですか。なら冒険者ギルドに登録をしておくといいですよ!身分証にもなりますし」

 

「冒険者ギルド?」

「冒険者ギルド?」

 

「えっ、先生も知らないんですか!?」

 

ツムギとケイオスが声を揃えて聞き返した。ケイオスはともかくツムギまで知らないとは思ってもみなかったいのりは簡単に説明をする。

 

「冒険者ギルドは大きな街にある何でも屋みたいな所です。成人なら誰でもなる事が可能で、登録した人たちはギルドが身元を保証するんです」

 

(その制度覚えがあるな)

「ん、確か依頼がこなして階級を上げる。最上位の階級になれるのは一握り」

 

「あれ?先生。やっぱり知ってるんですか」

 

「昔、そんなに制度を作るって話したこと……いや今はいいか。で、ケイオス。どうする?」

 

「私は……あなたみたいに、気ままにやってみようと思います」

 

ツムギをまっすぐ見つめ伝えるケイオス。ツムギは少し考えて答える。

 

「ん、まぁ自由にやるといい。私も久しぶりに旅をするよ」

 

「旅ですか?」

 

(久しぶりに、新たな神域遺物に出会いに行くのか)

「そ、最近は何かと、呼ばれたり巻き込まれたり。気ままに旅してないなぁって。まぁ、今日は終わり。帰ろうか」

 

そう言うとツムギはいのりの家へ向かって歩き始める。

 

「ケイオスも家に来ます?」

 

「いえ、私はここから旅を始めます」

 

「そっか……何かあれば、私のところへ来てね!きっと力になるから!」

 

いのりの言葉にケイオスは頷き返す。そしてケイオスは金色の翼を広げ飛び立って行った。いのりはケイオスが見えなくなるまで見送ってからツムギの後を追いかけた。




第三章完結までお読み頂きありがとうございました。

次章更新は完全未定になります。
……と言うか正直悩んでいます。どんな展開のお話がよいかを。
想定では、ダンジョンとかに神域遺物求めて探索する的な感じですかね……
アイデア有ればコメント頂けると参考にさせて貰うかもしれません。

ともあれ、ここまでお付き合いありがとうございました。
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