神域遺物の蒐集者   作:東條九音

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色付く世界、越えられない苦しみ#04

「…?わからないわ」

 

「私は姉さんの隣を、胸を張って並べるようになりたい。姉さんの様に、皆から認められる様になりたい、と」

 

「…わからないわ。サクラは何を謝りたいの?」

 

サクラは、己の劣等感が今回の騒動の原因だと話す。しかしクロエには、サクラの抱えていた想いが伝わらない。その事にサクラはイラつきを募らせていく。

 

「そうですよね。だって姉さんは絵を描くことにしか興味がありませんもんね!」

 

「心外だわ。サクラの絵も好きよ」

 

「それはありがとうございます。でも姉さん、周りがどう評価しようと気にしないじゃないですか!結局、絵にしか興味がないからでしょ!」

 

「わたしには絵しかないの。絵以外は無能で、サクラに劣るわ」

 

「じゃあ何で、描いて欲しいと頼まれた時に描かないんですか!?私が頼むと素直に描くのはどうしてですか!」

 

「とうさまたちは描くものを指定してくるじゃない。無理やり描いたものにわたしの想い、魂は宿らないわ」

 

「私が頼む事と他の人が頼む事、どちらも同じ事でしょ!」

 

「違うわ」

 

「それじゃ私はどうなるんですか!?もとめられる物を描いて、評価されない私の作品は!周りから、私がどう呼ばれているのか、知ってます?姉さんの仲介役で、私の絵は姉さんの劣化品って言われているですよ!」

 

「……サクラの世界の中心はわたし?」

 

「そうですよ!だから私は、貰った魔導書に言われた通り願ったんです。姉さんの様になりたいと」

 

これまで胸の内に溜め込んでいたモノを一挙に吐き出すサクラ。

クロエとサクラが激しく言い争いを始めた為、若干蚊帳の外になっていたツムギだが、サクラの一言に反応する。

 

(貰った魔導書に願った…ね。依頼の解決はどうにかなるが問題は)

「渡したヤツの目的、やねぇ」

(ピンポイントに狙ってなのか無差別だったのか)

「まぁどっちでもいいか。私は私の目的を達成するだけ」

 

ツムギは独り言を言いつつ行動を開始した。メガネに触れてから小さく『検索』と呟く。

 

(願いの内容は『姉の様になりたい』、発現した効果は『姉妹での入れ替わり』……んー、タイトル候補は『天才と変人は紙一重』『不可思議な日常』『魔法少女の成長録』辺りか?もう少し絞りたいところだな)

「そう?天変3巻か不可思議4巻な気がするな~」

(どちらも精神系統の魔導が記されているヤツだったな?天変3巻では同一項の認識の違い、不可思議4巻は劣等感による自信喪失。成る程)

 

「ね♪このどちらかが願いを汲み取ったのなら、姉妹の入れ替わりは起こり得る」

 

ツムギは少しばかり楽しげに独り言を呟く。その異様な光景をみた姉妹は言い争いを止め、2人して奇妙なモノを観るようにツムギの事を無言で見つめていた。

 

「ん?どうしたの2人とも、私の事なんか見つめて?」

 

2人の視線に気付いたツムギは、分かりきった事を訊ねる。

 

「え、いやあのツムギさん」

 

「誰と話しているの?」

 

「姉さん!?」

 

サクラがどう訊ね返すのが正解か言葉に迷っていたところ、クロエが何の遠慮も配慮も無しにハッキリ訊ねる。

先程まで言い争いしていたはずなのに、その様子を微塵も感じさせない空気感がそこにはあった。

 

「ツムギは痛い人だったの?」

 

「ね、姉さん…それはちょっと」

 

「構わないよ~。そう見えるのは当たり前だし、何より私自身俯瞰してみた時、ヤバいヒトだなぁ、って思ってるから」

 

ツムギの言葉にサクラは呆気にとられた様子になる。ツムギは構うこと無く、それから……と言葉を続けた。

 

「キミたちは特に、言葉に表すと言う事をする方がいい。思った事、感じた事をもっと伝え合うべきだね。そうすれば入れ替わりについては解決するでしょう」

 

 

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