ダンまちの二次創作 作:pさん
男は単純な男だった。
権力に弱く、意外に悪知恵が効き、そしてそれなりに幸運だった。
生まれはどこにでもあるような名前すら持たない小さな集落であり、こんなとこで朽ち果ててなるものか!
と10の頃に飛び出して以来戻っていない。もう場所すら思い出せないそんな故郷であった。
飽きっぽく熱されやすく冷めやすい。
そんな男は、持ち前の幸運で仕事を辞めるたびに各地を転々とし、最近ではオラリオなぞというよく分からない町の近くの村で仕事をしていた。
仕事の内容は、時々運ばれてくる。
ズタ袋に入っているナニカを村の裏手にある山に埋めるという仕事だった。
袋は大体が汚く赤黒い色をしており、何か奇妙な物音を立てることさえあった。
しかし、金払いもよかったため男はあまり気にしていなかった。
男は単純で楽観的だった。
その日も、同じようにオラリオの中から運ばれてきた荷物を仲間とともに荷馬車に引き上げ、仲間に行者を任せると自分は荷馬車の中に引きこもった。
男は馬を操ることすらできない無能だった。
覚える気すらなかったし、仲間から文句を言われると痰を吐きながら思いつく限りの悪態をついた。
ガタガタと揺れる荷馬車の中で、さぁなんだか眠くなってきたぞとズタ袋を枕にひと眠り付こうとすると、
たまなのか神のいたずらか、いつもなら固く縛られている袋の口が開いてしまった。
めんどくさいなと思いながら袋に手を伸ばすと、これまた、ガタンと石か何かに乗り上げて、袋の中身が出てきてしまった。
男はハッと息をのんだ、
男が運んでいる荷物はエルフだったのだ。
それも見眼麗しい黒髪のロリエルフだ。
男はロリエルフに目がなかった。
というより美少女に目がなかった。
男は惚れっぽかった。
そうこうしているうちに、馬車が目的地につき、仲間たちが荷物を下ろすためにやって来た。
仲間たちは愕然とした。
男が荷物である少女に膝枕をしていたのだ。
少女のしなやかな黒髪を撫でながら気障っぽい表情で眠る少女に流し目を送っていた。
どうなっていやがると仲間の一人がつぶやくと男は怒りに燃える目で仲間たちを糾弾した。
仲間との付き合いはそれなりに長かったが、まるで赤の他人のような様子で、
薄汚い悪党めお嬢さんを解放したまえなどとののたまわった。
しかし、実際仲間たちも慣れた様子であった。
男はいつもこんな感じで行き当たりばったりだったので、慣れていた。
エルフの少女を担ぎあげると荷馬車を降りる仲間に対し、正義の鉄槌だとばかりにこぶしを振り上げる男だったが、
低身長なのが災いし、子供がじゃれているようにしか見えなかった。
今度もまたまた、たまたま股間にヒットしたために仲間が呻き、
少女を落とした。
男はさっと救い上げると荷馬車の奥に逃げた。
さすがにイラっとした仲間にこの野郎とすごまれると男の血の気がサーと引いた。
この前、報酬のお金で買った焼き菓子をすごまれて渡してしまったことをおもいだしていた。
男は小さい男だった。
何とか粘ったが駄目だったよと少女に心の中で謝り。
とぼとぼと、担がれる少女の後を追い、山の中に入ってしばらく進んだ頃だろうか
嗅ぎ慣れた腐ったような隠しきれない匂いの中、いつもの場所の丁度中央にフードを被った長身マントの人物が立っていた。
仲間は何もんだとが鳴り声をあげて脅すように各自が獲物を取る中、
男は好物のために売ってしまったナイフのことを考え手をブラッブラッさせて
一旦、地面に座り、無造作に置かれた少女の手を握ることにした。
一応、フードの人物に俺らに逆らってどうなるかわかってんのか?ああんとばかりに睨んでおいた。
十数対一。
しかし戦いは一瞬だった。
フードの人物は風のように舞い、屍を気づき上げていく。
あっけに取られているうちに、その場には、男とエルフの少女とフードの不審者の三人だけになっていた。
まだ焼き菓子のお金をもらっていないのにという悔しさが頭をめぐり、
周りを見回して何とか武器を探す男だったが、
最後尾を歩いていたこともあり武器になりそうな遺品は不審者の後ろだ。
しかも片手は恐怖のあまりロリエルフの手から離れないし
足も腰が抜けてしまって動けない。
ぶるぶる震えながらも不審者を見上げる男。
ゆっくりと近づいてくる不審者。
もう手が届く距離だ。
しかし何も起こらない。
しかも不審者は何を思ったのか地に塗れた元は青草色であったことがうかがえるマントを翻してギュッと抱きしめてきた。
もう闇派閥はいない。安心して。などと言っているようだったが、
とりあえず血が尽くし離れてくれないかなぁと男は思った。
うぇえべちゃべたじゃんと思わず身を固くしてうぅフードマントがとつぶやいてしまう。
ハッとした感じで体を離す不審者はすまないと言い、フードを上げた。
耐えきれない不愉快さに目を閉じていた男は、目を開けた。
衝撃が走る。
男は惚れっぽかった。
リュー・リオンと名乗るその女性は超絶美人だった。
失敗してしまったとどことなく恥ずかしがる彼女はクールさの中にかわいさがあり、どストライクだった。
つまり男は妙齢のエルフに目がなかった。
フッとヤル気スイッチが入った男は現状について考える。
つまりこれはロリエルフと一緒にさらわれたって体で行けばイケルんじゃね?と
ある意味闇派閥の仕事に入ってこれで三年目、ようやく周りにも顔を覚えられ始め危険なカケである。
しかし、男は単純で楽観的だった。
色んな意味で突き抜けたいた。
だから
「エルフのお姉しゃん。一目惚れしまちた。付き合ってくだしゃい」
幼児言葉でワンチャン狙いに行ってしまった。
男はバカだった。