超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

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Game101:夜の終わり、新たな始まり

各地で繰り広げられていた決闘の末に六魔将は全員が倒された。残るは闇の中で暗躍を続けてきたファントムハートと操られている舞のみ。狂女神化の改竄で生まれた極限女神化状態の行使で限界を迎えている舞を救うための一手をアリアから受け取った女神候補生達は反撃を開始する。

 

「行きます!」

 

ネプギアは金と銀の長剣を上に掲げて交差させる。紫色の炎のようなオーラがネプギアの体にかかると攻撃力と反応速度が上昇した。これがギョウカイ墓場から女神達を救出してから練習を続けていた二刀流の奥義、鬼神化。鬼神化の維持にはネプギアの体力を継続的に消費するという代償があるが、それを補うのが白の女神候補生の魔法。

 

「ライフチャージ…!」

 

「わたしの分も受け取って!」

 

ロムとラムは太陽と月の杖を交差させてネプギアに自動回復魔法をかける。暖かい白の光がネプギアの体内に入った。この魔法は普段はロムが一人で発動する形だが今回は二人で力を合わせての発動なので効果も上昇している。

 

「うあああああっ!」

 

悲痛な叫びを上げる舞。体の至る所から鮮血が噴き出した。舞の体が限界を迎える前に極限女神化状態を解除しなければならない。

 

「舞さん…! 絶対に助けて見せます! 女神剣舞・第一・第二楽章!」

 

二つの長剣の刀身にシェアを纏わせると一気に駆け出して舞との距離を詰める。自分の薄紫色のシェアの輝きとアリアから受け取った銀色のシェアの輝き。二つの輝きを纏った長剣から繰り出される高速の剣舞を舞に届ける。

 

今までは舞の身を守護する漆黒のプロセッサユニットと邪悪な瘴気に阻まれていたが、ネプギアの剣舞は瘴気を打ち払い、プロセッサユニットに傷をつけた。しかし剣舞を受けても舞は怯まない。手に持った大剣でネプギアを薙ぎ払おうとする。

 

ネプギアは二つの長剣を交差させて舞の斬撃を受け止める。舞の大剣から伝わる剣圧が体に傷を付けるがネプギアも怯まない。

 

「負けません!」

 

背中のプロセッサユニットの出力を上げて大剣を押し返した。ここは強引に攻め込まずに一旦距離を取る。

 

「絶風連刃ですっ!」

 

剣を振った軌道に合わせて形成されたシェアの刃が舞の体に直撃する。

 

「邪悪なる物を貫きなさい! ブレイブアロー!」

 

繋げる形で放たれた黒と銀のシェアで形成された矢が舞に当たると、脚甲の部分が漆黒から本来の色である銀色に戻った。まだ極限女神化状態の解除には至らない。舞は反撃と言わぬばかりに闇の波動を体から放つ。ユニとネプギアはそれを回避。ロムとラムは魔法で作り出した障壁でそれを防いだ。

 

「マイトアヴァランチ!」

 

連射特化のアサルトモードに変化した銀の銃から放たれたのは七発の誘導弾。全弾が命中したことで今度はグローブの色が銀色に戻った。極限女神化状態を解除するためには邪悪な漆黒色に染まったプロセッサユニットを全て本来の銀色に戻さなければならない。残るは鎧と翼と王冠の三つだ。

 

「がはっ…!」

 

再び血を吐いた舞。血のような赤色に染まった瞳は依然としてネプギア達を敵と見なしている。動きは徐々に鈍ってきているので手を休めることなく攻撃を繋げる。

 

「今度はわたし達のばん…! セイントバブル!」

 

舞の足元から現れた魔力の泡が次々と弾けて瘴気を打ち払う。セレナの指導と舞の記憶から習得した水属性の上級魔法だ。

 

「ロムちゃんの魔法に続けて! フラッシュティア!」

 

再び舞の足元に魔法陣が現れると十字架の形をした光属性の魔力が炸裂する。こちらは光属性の中級魔法。白の女神候補生の魔法の連撃を受けたことで翼の半分が銀色に戻った。

 

「あああああっ!」

 

舞が声を張り上げると空から濁った銀色の魔力の塊が降り注いだ。何とか直撃は回避するが着弾点から広がる強烈な魔力の衝撃波がネプギア達を吹き飛ばす。武器を戦斧に持ち替えた舞はネプギアに襲い掛かる。今度は受け止めずに確実に回避する。大剣よりも一撃の威力が高いので今度は押し切られてしまうと判断した上での行動。激しい攻撃の合間に生じる僅かな隙に剣舞を入れていく。

 

「女神剣舞・第三・第四楽章です!」

 

さらに速度と手数と威力を増した女神剣舞。これを受けても舞は怯まないが効いているのは間違いない。戦斧の一撃を間合いに注意しながら確実に回避する。

 

「降り注げ光の矢! レイディアント・スコール!」

 

ユニが上空に放った光属性の矢が雨となって舞に降り注いだ。身を守護するプロセッサユニットにさらに傷が入ると同時に王冠が元の色に戻る。

 

「あと少し…! ラムちゃん…!」

 

「わかったわ!」

 

再び太陽と月の杖を交差させた二人の足元に大きな白色の魔法陣が現れる。

 

「「アカシックリライター!」」

 

二人が繰り出したのは無属性の合体魔法。強力な魔力の爆発が舞に炸裂した。鎧が元の色に戻る。残るはこのゲイムギョウ界を舞うための翼の半分だけ。

 

「…あああああっ!」

 

「ネプギア、今よっ!」

 

「女神剣舞・第五・第六楽章! そして、最終楽章です!」

 

二人の合体魔法で生じた隙を活かしてネプギアが突撃する。繰り出される剣舞は最高速の神速の領域に到達していた。ありったけのシェアを纏わせた神速の剣舞を叩きこむと最後の翼が元の色に戻る。全てのプロセッサユニットが元の銀色に戻ったことで舞の体を蝕んでいた極限女神化が解除された。

 

(今だよ! 四人の力を一つに合わせて!)

 

「わかりました!」

 

「先にアタシとネプギアで仕掛けるわ!」

 

最後を飾るのは四人の心が一つとなったことで初めて使えるようになるエクセドライブ。最初に鬼神化状態を維持した状態でネプギアが最高速度で舞の下に駆け出した。すれ違い様に一閃を加えると背中のプロセッサユニットに力を込めて飛び上がるとシェアの刃を連続で舞に飛ばしてダメージを与える。

 

「うあああっ!」

 

続けて銃身を威力特化のブラストモードに変化させたユニが銃の内部で圧縮した特大のシェアの弾を三発連続で放つ。

 

「がはっ!」

 

「ラムちゃん…!」

 

「うん…! わたし達の思いを舞に届けるわよ!」

 

二人の前に現れた水色の魔法陣から伸びた氷の鎖が伸びて舞の体を拘束する。舞は残された力でそれを強引に破壊しようと抗うが、二人の強い意志を具現化した氷の鎖は壊れることはなかった。

 

「ネプギア、最後はアンタに任せるわ!」

 

「ネプギアちゃん…! お願い…!」

 

「しっかり決めなさいよ! ネプギア!」

 

ユニとロムとラムは残された自分のシェアの力を上空のネプギアに送る。三人から預かったシェアの力を自分のシェアの力を結合させたら後は最後の一撃を舞に届けるだけだ。ネプギアは両手を突きだしてそれを解き放つ。

 

「そん…な…っ!」

 

「これが私達の力です! スペリオルアンジェラス!」

 

四人の女神候補生のシェアの力は巨大な光の奔流となって舞の体を飲み込んだ。

 

「ぁ…!」

 

舞は地面に倒れ伏した。女神化が解除されて服装は元のモノクロパーカーワンピに戻る。四人の女神候補生の最大の一撃は山の頂を覆っていた邪悪な瘴気も完全に消し去り、空が見えるようになっていた。さらに決着と同時に夜明けを迎えたようで太陽の光が場を照らしていた。ネプギア達は倒れた舞の下に駆け寄る。

 

「まさかあの状態の舞を相手に勝つとはね。この祭りは私の完敗だよ。守護女神の相手をするために甦らせた六魔将(オモチャ)も全員倒されたみたいだし…。この場は退かせてもらおうかな。君達が望むのならば別にこの場で相手をしてあげてもいいけど、まさか今の状態で私に勝つなんて馬鹿げたことは言わないよね?」

 

ファントムハートの体から発せられる強烈な殺気と邪気を前にネプギア達は言葉を発することができなかった。今のファントムハートから感じ取れる殺気と邪気は犯罪神マジェコンヌに匹敵するほどだ。今の状態で立ち向かったところで殺されて終わるのが目に見えている。武器を構えることもしない。ただ、視線を逸らさずにファントムハートを見据える。

 

「賢明な判断だね。どうやら私は君達の力を完全に侮っていたみたいだ。シルバーハート、聞こえているんだろう?」

 

(何か言いたいことでもあるの? 私としては一秒でも早くこの場から消えてほしいんだけど…)

 

「私は緋色の大地で君と舞を待っている。舞の記憶を取り戻したら来るといい。このゲームの本当の勝者をあの場所で決めようじゃないか」

 

(望むところっ…! あなたは絶対に許さないから…! このゲイムギョウ界から完全に消し去ってやるから覚悟してなさい…!)

 

「おぉ、怖い怖い。では、私はこれにて失礼するよ。君達の言う絆の力とやらで精々頑張って生き延びるといいさ…。全ての守護女神は私が喰らってやる…」

 

最後に不気味な一言を残してファントムハートは空間に溶け込むように消えていった。

 

(みんな、お疲れ様…! 本当によく頑張ったね…!)

 

「アリアさん、体は大丈夫なんですか?」

 

(みんなの前に姿を見せることはできないけど、大丈夫。さあ、帰ろうか。みんなが待つ場所に。詳しい話は騒ぎが落ち着いてからさせてもらうよ)

 

「はいっ…!」

 

ネプギア達は気絶した舞を抱えて山の頂を後にする。あの時に果たせなかった全員揃っての帰還が長い夜を越えて実現した瞬間だった。プラネテューヌの教会に無事に帰還して中に入るとイストワールがネプギア達を出迎える。

 

「みなさん、おかえりなさい…!」

 

「ただいまです、いーすんさん。舞さんを取り戻して無事にこの場所に帰ってくることができました。アリアさんも一緒です」

 

(イストワール、泣いちゃってる…。本当にごめんね…。もう大丈夫だから)

 

「はいっ…! 本当によかったですっ…!」

 

激しい戦いで消耗したネプギア達も病院で治療を受ける。舞は集中治療室に入ることになった。夜を越えた守護女神達は一時の休息に入る。守護女神は普通の人間と違って体も丈夫で傷の治りが早いため、完全復帰するまでにそれほど時間はかからなかった。

 

「舞さん…」

 

完全復帰したネプギア達は舞の病室を訪れていた。ネプテューヌ達は教会で四国の教祖と共に今後の対策についての会議を行っている。

 

あの夜を越えてから三日経ったのだが舞はまだ目を覚ましていない。集中治療の際に体を検査した結果、舞はネプテューヌ達と同じ完全な守護女神になっているということが明らかになった。目を覚まさないのは銀の女神の力を強引に転写されたこと、ファントムハートに記憶を消されて感情を操作されていたこと、極限女神化の行使。これらによって体に尋常ならざる負担がかかっていたことが理由である。医師の話によると、いつ目を覚ますのかはわからない状況とのこと。

 

(舞…。本当にごめんなさい…。あなたの運命を狂わせてしまった…)

 

「アリアさん…」

 

ネプギアも存在は感じているのだがアリアの姿は依然として見えないままなのだ。ファントムハートにシェアを搾取されて消滅したかと思われていたアリアが生きていた理由だが、その理由は舞とお揃いで持っていた銀色のクリスタルに隠されていた。

 

アリアは自分の存在を構成しているシェアの一部をクリスタルに移したのだと言う。それはシェアの大半と共に舞がシルバーハートになった際に体内に取り込まれた。一時的に失っていた意識が覚醒したのが舞が繭から解き放たれた時。精神世界で舞の心をも侵蝕しようとしていた異形とネプギア達の幻影を葬ったアリアは消滅を覚悟した上で表で戦っているネプギア達に力を貸したのだ。

 

「アタシ達と過ごした記憶、絶対に思い出させてやるんだから…」

 

「舞お姉ちゃん、わたし達だけじゃないよ…。みんなが待ってる…」

 

「わたし達は五人一緒じゃないとダメなんだから…!」

 

現在の舞の記憶だが、ファントムハートによって消去されてしまっている状態。それを取り戻すためには断ち切られたハード・リンクをもう一度発現させる必要があるのだ。舞が目を覚まさないことには進めることができない。ネプギア達が一旦病室を後にしようとするとNギアに着信が入った。

 

「いーすんさんからですね。何かあったんでしょうか?」

 

通話ボタンをタッチするとNギアの画面にイストワールの姿が映る。

 

『お見舞いに行っているところ申し訳ありません。緊急事態が発生しました。至急教会まで戻ってきていただけませんか? 詳しいことは教会でお話します』

 

「わかりました!」

 

舞の病室を後にしてプラネテューヌの教会に帰還する。

 

「いーすんさん! 緊急事態って、何があったんですか?」

 

「はい。先程、プラネテューヌの諜報部。アイエフさんから連絡が入りまして…。犯罪神マジェコンヌの四天王を名乗る人物が現れたそうです」

 

「そんなっ! 四天王は全員倒したのに…!」

 

「僕達教祖にも教会から同じ連絡が入ったよ。彼らは僕達に二つの条件を提示してきている。十日間以内に二つの条件がクリアされない場合は四国の国民を一人残らずに皆殺しにするとね」

 

「何よそれ…。ふざけてるわ。その条件って言うのは?」

 

「一つ目の条件はゲイムギョウ界の全国民が犯罪神マジェコンヌを崇拝することです。当然、呑める条件ではありませんが…」

 

「もう一つの条件は何なの…?」

 

「他にも何かしろって言ってるの?」

 

「アタクシもそれを直接聞いたわけじゃないけど、報告によると彼らは確かにこう言っていたそうよ。銀の女神シルバーハートの身柄を差し出せってね。これが提示された二つ目の条件。今のところは直接攻撃を受けたって報告は上がっていないわ」

 

(ふざけてるにも程があるね…!)

 

「アリアさんの言う通りです。もう一度私達で倒してみせます! 舞さんとアリアさん、国民のみなさんに手出しはさせません! 四天王はどこにいるんですか?」

 

「その気持ちは私達も同じよ…。でも、焦って攻め込めば何をされるかわかった物じゃないわ…。四天王の言葉を信じるのなら、まだ十日間は猶予があるということよ…。四天王をもう一度倒しても大元である犯罪神を完全に倒さないとまた同じことの繰り返しになる」

 

「でも、どうすればいいんですか?」

 

実体を持たない犯罪神の本体にはいかなる攻撃も通用しない。

 

「さっきミナが思い出してくれたのよ…。かつて犯罪神と戦ったことのある守護女神のことが書かれた本の事をね」

 

「ミナちゃん、すごーい! その女神ってどこかにいるの?」

 

「どこにいるのかまでは…。記述によるとその女神の名前はウラヌス様と…」

 

「遥か昔にこのプラネテューヌを守護していたという女神ですね。そして…」

 

「私が最後まで魔術戦で勝つことができなかった人だよ。ウラヌスは犯罪神との戦いで肉体を失ってしまったから、直接的に力を借りることはできないけどね」

 

「セレナが闘技場で言ってたあの人って、ウラヌスのことだったんだー。気になって本を読んでみたら名前が出てきたからこの人なのかなーとは思ってたんだけど」

 

「本当に調べているとは思わなかった…。ネプテューヌの言う通りだよ」

 

「そのウラヌス様に聞けば、犯罪神を倒す方法がわかるんですか?」

 

「わかるとは思う。ウラヌスがどこにいるかは私が知ってるから案内するよ」

 

「おぉ! じゃあ、早速その場所に行ってみようよ! じっとしてるのは性に合わないし!」

 

「セレナさん、ウラヌス様はどこにいるんですか?」

 

「ネプギアちゃん達は一度行ってる場所だよ。トリック・ザ・ハードと戦ったギャザリング城は覚えているかな?。ウラヌスはギャザリング城の地下にいる。と言っても意識だけの状態だけどね。それでも話はできるから大丈夫」

 

「どうやら方針が決まったようですね。セレナさん、みなさんをその場所までご案内していただけますか?」

 

「了解だよ。じゃあ時間も惜しいから早速向かおうか」

 

セレナの案内で守護女神達はギャザリング城の地下に向かう。甦った犯罪組織の四天王を倒して、最後に控える犯罪神マジェコンヌを倒すための一手を掴むことができるのだろうか。四天王から与えられた猶予は十日間。眠りに就いている舞が目を覚まして再びゲイムギョウ界の空を翔ける時、終末に至る歯車が動き始める。




次回からゲーム内の第7章に入っていきます。また活動報告にも上げていますが、後20~30話でRe;Birth2編を完結させる予定ですのでここまで見ていただいた皆様には最後までお付き合いしていただければと思います。
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