超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

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Chapter 11
Game115:銀の女神の審判


私と四人の女神候補生で力を合わせて、七つのシェアクリスタルを刃とした犯罪神マジェコンヌを滅ぼすための聖剣プリズムハートが完成した。イストワールが私達のために用意してくれた温泉で決戦前の最後の休息とも言える時間を過ごした私達。夜が明け、決戦に出る九日目の朝を迎える。

 

「みなさん、体調の方は万全ですか?」

 

「大丈夫だよ。今度は誰一人欠けることがないように。みんなと一緒に帰ってきてみせるから」

 

前回はファントムハートの介入によって私とアリアが脱落するという結果に終わってしまったけど、今度は絶対に脱落者を出すわけにはいかないから心を落ち着かせて気合いを入れ直した。あの時から強くなったのは私とネプギア達だけじゃない。それは決戦に参戦する全員に言えることだ。

 

「本当に頼もしい限りですね。では、ただいまの時刻を以て犯罪組織マジェコンヌ四天王討伐作戦を開始します。舞さんとアリアさん。女神候補生のみなさんは前の方にお願いします」

 

小さいアリアが銀色の光の玉となって私の体の中に入ると体の底から暖かいシェアの力が湧き上がる。私達五人は前に出て手を繋いだ。目を閉じて集中力を高めると、内に秘めたシェアの力を同時に解き放つ。私達の体を暖かいシェアの光が包み込み、光の中で私達が一つになる。

 

光の中から現れたのはモノクロパーカーワンピを着た舞。身長はネプギアと同じ高さまで伸び、胸もそれなりに大きい。長い黒髪は銀色のリボンでユニと同じ髪型に。銀の女神の印が浮かぶ瞳の色はロムとラムが舞の姿に変身した時と同じ左目が桃色で、右目が水色に変化。これが最強の五人の力で実現するハード・ユニゾンを行使した姿。

 

「おお…! まるで舞を大人にしたような感じの姿だね。わたしも普通の人間に生まれて成長していたらこんな感じになってたのかな?」

 

「可能性はあると思うよ。使うのは今回が初めてなんだけどね。私達はこの状態で最後の戦いまで行かせてもらうから。みんなも自分に出せる全力を出してほしい。早速で悪いけど最初の決戦の舞台に向かおうか。各国の守りの方は昨日の会議で話し合った通りにお願いするよ」

 

犯罪組織マジェコンヌ四天王討伐作戦は四つのフェイズで構成されている。私は各国に割り振られたメンバーと共に四天王が待ち受けるダンジョンに突入して、四天王の討伐に当たる。突入組以外のメンバーは各国のギルド及び軍と連携して都市の防衛を行う。第四フェイズのマジック・ザ・ハードを倒せば本作戦は全て終了となる。

 

第一フェイズの相手はプラネテューヌのジュンクボックスで待ち受けるジャッジ・ザ・ハード。四天王は前に倒した時よりも強化されている可能性が高いが、敗北は許されない。四天王を倒して最後に控える犯罪神マジェコンヌを倒せば私達の勝利だ。第一フェイズの同行者はネプテューヌ・アイエフ・コンパ・RED・ファルコム。

 

私達はプラネテューヌの教会を出て、最初の決戦の舞台であるジュンクボックスに向かう。ジュンクボックスの内部は強烈な殺気が満ちていた。今の姿だと殺気など目に見えない物に対する感覚も強化されているけど、内部に満ちている殺気は女神化を行使せずとも感じ取れると思う。モンスターを討伐しながら奥に向かって歩を進める。

 

「約束の時間まで、あと一日…! まだ一日もあるうううっ! ああああっ! いつまで俺様を待たせるつもりだよ! あのクソ女あああ!」 

 

ダンジョン全体に響き渡る程の怒号を上げる怒り狂った審判者。ジャッジ・ザ・ハードの我慢はとうの昔に限界を突破していた。

 

「絶対に殺してやる…! 普通にぶっ殺すだけじゃ終わらせねぇ! 塵の一つも残さねえ! あのクソ女をぶっ殺したら、残った奴らも皆殺しだあああ!」

 

「相変わらず狂ってるわね。ネプ子を助けに行った時よりもひどいことになってるわ。何をどうしたらこうなるのかしら…。ここは言い返してやったほうがいいんじゃない?」

 

「あいちゃんの言う通りです。舞さんからガツンと言ってやるといいと思うです! それからみんなで墓場に送り返してあげるです!」

 

「なら、お言葉に甘えて一発言い返させてもらうよ。耳を塞いでおいてほしい」

 

尚も暴言を吐き続けるジャッジ・ザ・ハードに向かって私は思いっきり吠える。

 

「その汚い口を閉じろっ! 四天王最弱の戦闘狂っ!」

 

「ああ…!? 誰が最弱だとおおお!?」

 

「もしかして耳まで悪いのかな? お望みならもう一度言ってあげてもいいけど」

 

「テメェは…! やっと来やがったか…! テメェのツラは一日たりとも忘れることはなかったぞ! なんせ二度もブチ殺し損ねたからなああ! 今日がテメェの命日だあああ!」

 

「口だけは本当に達者だね。四天王最弱は。私の命日は今日じゃない。今日はあなたの命日だよ? もう二度と甦れないように完全に消し去ってあげるから覚悟してよね」

 

「ぬかせ! テメェ等はここで死ぬんだよ! それが俺様が下した審判だからなああ! テメェ等が何人で、どれだけあがいたとしてもそれは覆らねえ!」 

 

「なら見せてあげるよ。その審判は所詮は仮初の物に過ぎないってことをね。時間も惜しいからさっさと始めようか。ここは押し通らせてもらうよ!」

 

お互いに得物を構えた瞬間に戦いの火蓋が切って落とされた。ジャッジは怒号を上げながら私に斧を振りかざして攻撃してきた。銀の大剣を具現化させて受け止める。プリズムハートはマジェコンヌ戦とファントムハート戦の時に使いたいのでこの作戦では出すつもりは無い。私にはこれまで一緒に戦ってきた思い出の武器達とみんながついているのだから。

 

「はああああっ!」

 

声を張り上げて大剣で受け止めたジャッジの斧を強引に押し返して隙を作る。確かにギョウカイ墓場で戦った時よりも力が上がっていた。六魔将のように特殊な能力を持って復活している可能性も否定はできないので、ここは攻撃の手を休めずに一気に押し切りたいところ。作った隙を見逃さずに大剣で連撃を叩き込み、確実にダメージを与える。

 

「このクソ女があああっ!」

 

体に傷を付けられたジャッジはさらに激昂する。力任せに振るわれる巨大な斧の一撃が私を引き裂こうとするが、間に入ってきたネプテューヌがその一撃を白と黒の長剣を重ねて作った大剣で受け止める。

 

「わたしの親友にこれ以上汚い暴言を吐かないでほしいわね」

 

舞が距離を取ったのを確認したネプテューヌは体から紫色の電撃を放つ。紫電の魔力を解き放ち周囲を攻撃する放電技。放出された電撃を受けた相手はダメージと併せて麻痺状態に陥る。直撃を受けたジャッジは麻痺して身動きが取れない状態になった。

 

「アイエフ、ファルコム! お願い!」

 

「任せなさい。ソウルズコンビネーション!

 

「この隙は有効に使わせてもらうよ。竜凰烈破!」

 

麻痺状態で隙だらけのジャッジにアイエフのカタールによる五連撃とファルコムの両手剣による六連撃が襲い掛かる。この作戦に参加する女神以外の同行者達の武器はアリアとセレナとシエルが過去に集め、倉庫に保管していた接触禁止種の素材で強化されているのでジャッジの体にダメージを与えるには十分過ぎるほどの威力がある。

 

「アタシ達も忘れてもらっちゃこまるよ!」

 

「みんなには手出しさせないですっ!」

 

麻痺状態から復活したジャッジにREDが投げたフリスビーがジャッジの頭部に直撃。続けてコンパが注射器でハートの形を描いて作り出した魔力の塊をジャッジに飛ばす。直撃と同時にフリスビーが単に直撃したとは思えない程の鈍い音が響き、コンパが飛ばしたハートの形をした魔力の塊はジャッジの目の前に到達すると強烈な光を放ち、視界を封じる。

 

「ああああっ! 目が! 目があああああ!」

 

「ネプテューヌ、一気に攻め込むよ!」

 

「わかったわ!」

 

私が背中に手を当てるとネプテューヌの体が淡い光に包まれる。光の中から現れたのは黒と紫色のカラーリングの戦闘機。私は跳躍してその上に飛び乗ると大剣をしまって代わりにある一つの武器を取りだした。

 

(これを使うのは久しぶりですね。私と舞さんの改良の成果を見せる時です!)

 

私の右手に握られているのはマルチプルビームランチャー。ネプギアが女神化した際に普段から使っている長剣が変化すると現れる武器なのだが、女神化時の戦い方を二刀流にしたことで使う機会が減っていた。いつか使う時のために私とネプギアの二人で空いた時間に改良を加え続けたことでこれまでの物を遥かに凌駕する性能を獲得している。

 

戦闘機となったネプテューヌは私が頭の中で描いた軌道の通りに飛ぶ。ジャッジの背後に回り込むと、ミサイルを発射して追撃を与える。私はマルチプルビームランチャーからジャッジの右肩を狙ってビームを放つ。貫通力に特化したビームはジャッジの右肩に風穴を穿った。

 

「がああああっ!」

 

悲痛な叫びを上げるがそれでも自らの得物である斧は落とさない。それを力任せに振り回して抵抗を続ける。一旦距離を取ってネプテューヌの上から降りると次の反撃の機会を窺う。

 

「俺様の体にここまで傷をつけやがって…! 許さねぇぞおおお!」

 

空気を震わせる程の怒りを宿した斧の一撃。それは私に対する怒りなのか、それとも自分以外の全ての者に対する怒りなのか。私はマルチプルビームランチャーで受け止める。最初にギョウカイ墓場でジャッジと戦った時の一撃を受け止めた時の感覚が私の体を駆け巡る。あの時と違って私は一人じゃない。押しつぶされる道理は無い。

 

「はあああああっ!」

 

声を張り上げてジャッジの一撃を押し返すと斧は右手を離れて地面に落ちた。怒り狂った審判者との因縁を終わらせる時だ。マルチプルビームランチャーにシェアの力を込めるとトリガーを引き、一気に解き放つ。

 

「全力全開っ! シルバーソル・ブレイカー!」

 

マルチプルビームランチャーの砲口から放たれた銀色の極太のレーザーがジャッジの体を一気に貫通。大きな風穴を穿つ。排熱口が開き、内部に溜まった熱が白い煙になって一気に排出される。私の全力の砲撃を受けたジャッジは地面に倒れる。

 

「認め…ねぇ…! 認めて…なる…もの…かあああ!」

 

「敗者が吠えたところで現実は変わらない。あなたは私達に二度負けた。これが現実」

 

「ああ…! ああああ! また、またダメなのか…!」

 

「私達に二度負けたあなたはここで消え去る運命。このゲイムギョウ界を守護する銀の女神シルバーハートとして審判を下してあげる」

 

「いやだああ! 消えたくねええ…! まだ殺したりねえよおお!」

 

「さようなら…。ジャッジ・ザ・ハード…」

 

私は喚き続けるジャッジの体を躊躇わずに銀の大剣で斬り裂いた。声が止まるとジャッジは光となって消滅。ダンジョン内に満ちていた強烈な殺気も併せて消滅した。

 

「これで完全に私達の勝ちね。目立った被害も無いから上出来と言ったところかしら」

 

「最初は全然歯が立たなかったですけど、みんなの力で勝てたです!」

 

頼りになる仲間達がいることはこれほどまでに素晴らしいということを改めて実感する。ジュンクボックスを後にしてプラネテューヌの教会に帰還した私はネプテューヌ達と一旦別れてプラネタワーの屋上に向かう。次に向かうのはラステイション。第二フェイズの相手は無限回廊で待つブレイブ・ザ・ハード。ジャッジは私達のことを覚えていたようだが、ブレイブはどうなのだろうか。

 

(戦友の姿をした相手と戦うのは何だか複雑だわ…)

 

「ユニの気持ちはわかるよ。でも、私達の戦友はあの時に戦って約束を交わしたブレイブだけ。あれはブレイブの姿をした別の存在。だから、私達でもう一度眠らせてあげよう? 戦友と交わした約束を守るためにも」

 

(ありがとう。舞。アンタのおかげでまた一つ前に進めた気がするわ)

 

「どういたしまして。さあ、次の戦いの舞台に行こうか。戦友の姿をしてゲイムギョウ界を壊そうとする悪者を懲らしめに」

 

私はラステイションに向けて飛び立つ。ユニと同じ気持ちは私も抱いていた。だが迷いを見せれば終わりだ。偽物とは言え力はあの時のブレイブよりも上回っている可能性があるのだから。甦ったブレイブを倒して未来への道を切り開く。それが戦友との約束を果たすことであり、私達の正義なのだから。

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