今代のゲイムギョウ界を守護する四人の女神の前に現れたのは煌黒龍アルバトリオン。数々の難局を越え、屈強なる龍達を捩じ伏せた
戦いの指揮を執るのはネプテューヌ。現状、舞とのハード・リンクを発現させているのはネプテューヌのみ。舞から引き継いだ記憶の中には様々な強敵達が登場するが、自分達の目の前にいる龍は別格だ。
ネプテューヌ達は各々の固有能力を解放。武器を構えて戦闘体勢に入ると、ネプテューヌの体から紫色の光が伸びてノワール達と繋がる。繋がった瞬間にノワール達の中にネプテューヌが舞から引き継いでいる記憶が流れ込む。一時的なハード・リンクに過ぎないので、この戦いが終わると効果は消滅してしまうが、目の前の強敵に立ち向かうに当たってこれほど強力な物はない。
「来るわよ…! 散開っ!」
手始めに口から火球を吐き出してきた。軌道は直線なので回避は容易にできたが、着弾点に巨大な火の竜巻が発生。強烈な火と風の力が吹き荒れる。シェアの力を使って障壁を展開することで余波を防いだが、それでも体に凄まじい衝撃が走る。
「桁違いの火力ね…」
守護女神として数多の強敵達と戦ってはきたが、これほどの強敵は見たことが無い。耐久値も桁違いと思われる。こちらは四人いるが、それでも対等に渡り合えるのか怪しい。だが、勝たなければ現実世界に解き放たれてしまう。今代のゲイムギョウ界を守護する女神として絶対にこの異空間の外に出すわけにはいかない。
今度は何と体にアンチエナジーを纏いながら突進してきた。本来であれば赤黒い龍属性の雷だが、守護女神戦に特化した形で再現された結果、アンチエナジーを纏っているのだ。アンチクリスタルの無効化には既に成功しているが、被弾したらただでは済まない。回避に専念して反撃の機会を伺う。突進後には頭を大きく振り上げるため、隙が生じる。それを見逃さずにネプテューヌとブランが接近して二刀と戦斧の連撃を叩き込む。
「メディステーション・S!」
ノワールが発動したのは業火の力で新たに発現した対象の攻撃力と火属性耐性を強化する補助技。攻撃が出来ない分は補助技で前衛の支援に専念。守護女神は攻撃ばかりがメインではない。
「アッサムリンク!」
続けてベールが烈風の加護を味方に与えることで対象の素早さと風属性耐性を強化する補助技を重ねた。補助魔法の効果に乗って追撃をかけようとしたが、アンチエナジーを纏った凶爪の一撃がそれを許さない。その爪は凶悪としか表現出来ないほどの武器が作られると言われるほど。アンチエナジーによって攻撃範囲はオリジナルより広がっていた。
何とか防御には成功したが、かなり後退させられてしまった。アンチエナジーが自分達の存在を喰らおうと体に纏わりついてきたが、それを上回るさらに強力なシェアエナジーを体から放出して打ち消す。
「今度はこっちの番だ…! 絶氷の弾幕、受けてみろ! ゲフェーアリヒシュテルンッ!」
氷結晶の大きさは力の加減で自由自在に変えることができる。今回は通常より一回り大きい結晶を三個生成して煌黒龍に叩き込む。
「紫電の連撃、受けてみなさい! ライトニング・スラッシュ!」
紫電の力を刀身に纏わせて飛ぶ斬撃を六連続で放つ。強力な雷の魔力とシェアエナジーで作られた斬撃は煌黒龍の体を切り裂き、ダメージを与えた。接近戦時に注意しなければならないのは全身を覆っている逆鱗。逆向きに生えている鱗は全てが鋭い刃と同じ。間合いを少し空けて特殊技を中心に攻め立てる。
戦闘を開始してから数十分。煌黒龍の重なり合った歪な角にエネルギーが集中していた。臨界に到達したところで煌黒龍の体に変化が表れる。赤黒い体に電撃が走ると蒼白い体に。先ほどまで放出されていた火と風の魔力はなりを潜め、代わりに雷と氷の魔力を纏った。空を覆っている暗雲に雷が走り始め、背の双翼を使って滞空状態になった。空中戦に特化した形態でもある。
「ノワール、ベール。お願い」
「任せなさい」
「わかりましたわ」
煌黒龍の属性が変わったことに対抗して前衛と後衛を入れ替える。ノワールとベールが前に出て、ブランとネプテューヌは後に下がる。二人の手に握られているのは黒の機械剣と白の撃槍。あの夜に激闘を演じた機械姫と槍騎士との誓いの証でもある。煌黒龍は氷の魔力を収束させて作り出した氷の槍を吐き出してきた。
ノワールは業火の出力を上げて障壁を作る。体から放たれる熱波が氷の槍を溶かしたが、続けて蒼雷が飛んできた。ベールが間に割り込み、烈風を纏わせた撃槍を振ると強烈な風の魔力が吹き荒れ、蒼雷を打ち消す。
「気合いを入れ直していきましょう」
「こういうのはどうだ」
ネプテューヌとブランの補助魔法が発動。各種能力の上昇に加えて雷属性耐性と氷属性耐性が強化される。煌黒龍は凶爪に蒼雷を纏わせて襲いかかってきた。滑空状態から勢いをつけて地面に叩きつける。硬い地面が容易に抉れ、雷の魔力が吹き荒れた。攻撃の度に発生している属性エネルギーの余波が凄まじい。
「反撃、行かせてもらうわ! トルネードソード!」
カートリッジロードを行い、機械剣の威力を高めた状態から放つ強烈な一閃。信仰の力による一閃は逆鱗が集まって形成された逆殻を突き破り、体を切り裂いた。ダメージが入っている証でもある蒼い光が傷口から漏れ出す。だが、煌黒龍はまだ怯まない。後どれだけ体力が残っているのかもわからない状況。
「まだ終わりませんわ。シレットスピアー!」
目の前に緑色の魔法陣を作り出して撃槍を投げる。魔法陣を通過した撃槍は烈風を纏い、巨大化。煌黒龍に一直線に向かう。ノワールの攻撃が当たった箇所を狙った攻撃は見事に命中。ここまで当てて、やっと一回目の怯みを奪うことに成功した。
「効いているのよね…?」
補助技をかけた四人の技を繋げてこの現状だ。まだ余裕があるようにも見える。煌黒龍は上空に飛び上がり、 冷気を大気中に撒き散らす。大気中の水分が瞬時に凍り付き、生成された大量の氷の槍がネプテューヌ達を狙って戦場に降り注いだ。さらに蒼雷を落として逃げ場所を与えない。五分間に渡って降り注いだ氷の槍と蒼雷が止み、煌黒龍は降りてきた。
「みんな、大丈夫…?」
「大丈夫よ…。これがこいつの本気ってことかしら…」
「今のは流石に回避しきれないぞ…」
「中々に強烈な攻撃ですわね…」
ネプテューヌ達の体には無数の傷が刻まれていた。大量の氷の槍と蒼雷の猛攻の前に何とか立っている状態。さらに追い打ちをかけるかのように角に再び膨大な属性エネルギーが蓄積。煌黒龍の形態が変わる。再び最初の状態に戻るかと思われたが、その予想は見事に外れる形になった。
「形態変化は二種類だけじゃないというの…?」
実際の煌黒龍の形態変化はネプテューヌの言ったように二種類。最初に見せた赤黒い体の状態の時は火属性と風属性の力、蒼白い体の時は氷属性と雷属性の力を纏う。ネプテューヌが舞から引き継いでいる記憶の中に出て来たのはこの二種類だけ。第三の形態変化は完全に自分達の予想の範疇を越えていた。
頭部にある重なり合った角。天角から放たれた強大な属性エネルギーは煌黒龍の体を包み込み、新たな姿を発現させる。各部位の体色が変化し始める。顔と胴体は黒。左翼は緑。右翼は紫。前爪は赤。尻尾は蒼。天角は白になった。先程までとは比較にならないほどの威圧感にさらに禍々しさが加わった。煌黒龍が咆哮を上げると四属性のエネルギーが吹き荒れ、戦場の環境を塗り替える。気温が異常に上昇。暗雲から響き渡る凄まじい雷鳴。天から大地に降る氷の粒が混ざった豪雨。それはまさに天災の顕現。急激な環境の変化に女神達の体力は急速に奪われ、女神化が強制的に解除されてしまう。
「無茶苦茶よ…。このままじゃ…!」
「畜生…! 何か他に手はないのかよ…!」
「この状況を逆転できるほどの何かが…」
このままでは煌黒龍は現実世界に顕現してしまう。数多の守護女神達が、自分達が守ってきた世界が壊される時は目の前に迫っている。究極の姿を現した煌黒龍の進撃を止めるためにはどうすればいいのか?
『まだ手は残されているわよ』
聞いたことのある声。ノワール達はネプテューヌの方を見るが彼女も困惑した表情をしている。ならば、この声の主はどこにいるのか。ネプテューヌのパーカーワンピのポケットに入っていた紫の結晶が現れ、強烈な光を放つ。光の中から現れたのはプロセッサユニットの代わりにモノクロパーカーワンピを纏った
「女神化したネプテューヌ…? 何が起きているの…?」
『残念だけどそれを説明している時間は無いわ。ハード・ユニゾン・フォースならあの状態の煌黒龍を討伐できる』
「女神化した時のわたしが言うなら間違いないよ! やってみよう!」
「それしかないみたいね。今の私に残っている力の全部をあなたにあげるわ」
「もう一人のあなたの提案に乗るわ…。全員で生きて帰る為に…!」
「可能性が少しでも残っているなら、それに賭けるだけですわ。わたくしの力も全部使ってくださいまし」
ネプテューヌ達は手を繋ぎ、残ったシェアの力を全開放。四人の女神がひとつになる。光の中から現れたのはパープルハート。髪型は三つ編みを解き、黒髪のストレートに。紫・黒・白・緑の四葉のクローバーの髪飾りが舞の太陽の髪飾りと同じ位置に。眩い輝きを放つ純白のプロセッサユニットを纏い彼女は降臨した。
「フォーチューンハート! ここに見参! この力、ゲイムギョウ界のために!」
四人の守護女神が融合して誕生した新たなる守護女神。フォーチューンハートは黒と白の長剣を握るとシェアの力を放出。煌黒龍から放出される暴走した属性エネルギーによって狂った戦場の環境が元に戻った。今度はネプテューヌ達の
「わたし達の全てをぶつけてあげるわ。ネプテューンブレイクッ…!」
始めを飾るのは紫の女神の剣舞。黒と白の二刀流で繰り出す二十連撃。全てをぶつけると言った以上、これで終わりではない。
「ラステイションの女神の神速剣舞! インフィニットスラッシュ!」
武器を機械剣に。カートリッジロードを発動後に黒の女神の神速の剣舞をお見舞いする。肉体を操作する意識は基本的にネプテューヌだが、意識は自在に入れ替えることができるので、このように繋げることができるのだ。
「ルウィーの女神が誇る超ド級の戦斧の一撃…! ハードブレイク!」
武器を戦斧に持ち替える。背中の光の翼で飛び上がり、急降下から戦斧の一撃を叩き込む。
「リーンボックスの女神の絶槍撃。スパイラルブレイク!」
最後に撃槍による連撃を叩き込む。四人分の
「これで最後よ。フォーチューン・セイバー!」
四人の女神の力強いシェアの輝きを宿した大剣の一閃が煌黒龍の体を切り裂いた。煌黒龍は地面に倒れ、消滅。空間が歪み始め、元の中央広場に戻ってきた。既にネプギア達が帰還している。セレナとシエルはまだ帰還していないようだ。遠目に見える教会からは戦塵が視認できる。それは彼女がまだ戦っていることを示している
「お姉ちゃん! 無事でよかった! その姿は…?」
「わたし達四人でハード・ユニゾン・フォースを行使した姿よ。この姿の時はフォーチューンハート。流石に消耗が大きいから解除させてもらうわ…」
フォーチューンハートの体が光に包まれる。光の中からネプテューヌ達が現れたが、身に纏っている衣服はいたるところが破れ、身体には無数の傷が刻まれていた。戦いの凄まじさを物語っている。後はセレナとシエルの二人。ファントムハートと極限の死闘を繰り広げる舞とアリアが無事に帰還を果たせば、残るは犯罪神マジェコンヌのみとなる。金の女神と深淵の使徒。結晶の女神と空虚なる騎士。銀の女神と
ネプテューヌVⅡ、本当によかった…! このゲームに出会うことができて本当によかったの一言に尽きます…! 真エンドを見終えたところではありますが、味方の強化・お金稼ぎ・トロフィー取得などやらないといけないことが盛り沢山。ねぷねぷ達と頑張っていきたいと思います。そして、この小説も完結目指して走り抜けたいです。