超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

129 / 132
Game127:決戦前夜

再検査を無事に済ませた私達が病室にて数十分程待機していると、ネプギア達がやって来た。病衣からネプギアが持ってきたモノクロパーカーワンピに着替えて、銀の太陽の髪飾りをつける。先生にお礼を言い、病院を後にする。お世話になり過ぎて常連になることは避けたいと思った。簡単には死なないとは思うけど、これから先の戦いでも油断して大怪我を負うことが無いように気を付けなければならない。

 

「舞さん…! 本当に無事でよかったです…!」

 

「傷だらけで気を失ったアンタをネプテューヌさんとネプギアが連れて帰って来た時はどうなるかと思ったわ…。あの戦いの一部始終を聞かせてもらったけど、体は本当に大丈夫なの?」

 

「大丈夫だよ。女神喰いに喰われた私達は確かに一度消滅したけど、色々あって再びこの世界で生きることができるようになったから」

 

「舞お姉ちゃんとわたし達は一緒…。ひとりで勝手にいなくなったらだめ…」

 

「ロムちゃんの言う通りよ! わたし達を置いて勝手にいなくなるのは絶対にだめなんだから!」

 

みんなの思いの力がある限りは私達はこの世界に顕現し続けることができるとあの声は言った。仮に別れなければならない時が来たとしても、私達の心は強い絆の力で結ばれている。みんなの力を合わせれば現在の脅威である犯罪神は勿論のこと、この先の未来に現れる脅威もきっと乗り越えられると思う。誰かが犠牲になるだとか、悲しい結末を招かないためにも、私達はさらなる高みを目指さなければならない。みんなで最高の結末(ハッピーエンド)を迎えるのが一番なのだから。私達はプラネテューヌの教会に帰還する。

 

「ただいま」

 

「舞さん、アリアさん、おかえりなさい。お二人が無事で本当によかったです。お戻りになられたばかりのところ申し訳ありませんが、これからの方針についてのお話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」

 

「大丈夫だよ。後に残っている脅威は犯罪神マジェコンヌだけということでいいのかな…?」 

 

「そうですね。犯罪神の力で復活した四天王と、闇の中で暗躍を続けていたファントムハートが討伐された今、最後に残った脅威である犯罪神の討伐を行うにあたって障害となり得る者はいないと言っていいでしょう。全てが解決した暁には纏まった休暇を取っていただきたいと考えています」

 

「やったー! 後はラスボスの犯罪神をやっつければみんなで思いっきり遊べるね!」

 

「ここのところ、戦い続きだから休暇はありがたいわ。ギョウカイ墓場の状況はどうなっているのかしら? まだこっちに攻めて来る気配はないみたいだけど…」

 

「ギョウカイ墓場全体の八割が犯罪神と融合を完了した状態だよ。私達がこうして話をしている間も融合は進んでいるから持って明日までが限界と言ったところかな。復帰したばかりの舞とアリアには本当に申し訳ないけど、明日には攻め込まないとゲイムギョウ界に侵攻を許してしまうことになるかな…」

 

『今のギョウカイ墓場に乗り込むことは彼奴の体内に乗り込むことと同義。お前達が前に突入した時と比較すると危険度は倍増している。だが、このまま放置しておけば彼奴はこのゲイムギョウ界に顕現し、破壊の限りを尽くすことだろう。それを許すわけにはいかぬ』

 

「何が起こるかわからないのが不安要素だね。四天王とファントムハートを倒したことで障害になり得る者が消えたからと言っても、安心はできないよ。犯罪神を完全に消滅させる最後の時まで気は抜けない」

 

復帰早々の最終決戦とハードな状況だが、これを乗り越えなければ未来は無い。

 

「ギョウカイ墓場に攻め込むのは明日ということでいいのかな?」

 

「予定通りに進めば最終作戦の開始時刻は明日の早朝になります。今日一日は体を休めていただければ」

 

「わかった。休む前にいつもの場所で少しだけ練習させてもらってもいいかな? 目覚めるまでの間に色々とあったから、女神の力に何か変わっているところがないか確認したい」

 

「では、舞さんとアリアさんが無理な練習を行わないようにこちらのお二人に同行していただきましょうか。ネプテューヌさん、ネプギアさん、お願いします」

 

イストワールの言葉と共にネプテューヌとネプギアの体から放出された紫と薄紫のシェアの光が私の前に収束。光の中から二人の少女が姿を現した。それはプロセッサユニットの代わりにモノクロセーラーワンピを着たパープルシスターとモノクロパーカーワンピを着たパープルハート。ファントムハートとの戦いの際に見たあの二人だった。

 

「あなた達は…!」

 

「目の前にいるお二人はネプテューヌさんとネプギアさんのシェアの力が姿形と意志を持って現実世界に顕現した存在と言ったところでしょうか。守護女神の力の源であるシェアの力は一般的な理論では説明ができない不可思議な事象を引き起こすと言われています」

 

『初めまして…と言うのも変ですけど、改めて自己紹介しておきますね。紫の女神の妹、パープルシスターです。よろしくお願いしますね』

 

『紫の女神、パープルハートよ。これからは女神化前のわたし達と一緒に舞とアリアに協力させてもらうわ』

 

私は女神化した紫の女神姉妹と握手を交わした。同じ空間に女神化前の二人がいるので何だか不思議な気分になる。あの戦いの時にこの二人の助けがあったから私達はこの場に立つことができている。言わば命の恩人と言っていい。嫌な予感を感じ取ったネプギアが動けない自分達の代わりに私を助けに行ってほしいとお願いしたようで、戦場に着いた時が私が女神喰いに喰われかけていたあの時だったようだ。

 

自己紹介が終わったところで紫の女神姉妹と共に練習場所に赴き、女神の力の再確認に入る。普段と同じようにアリアとユニゾンを行い、シェアの力を解き放ち女神化を発動。銀色の光の柱が私達を包み込み、パーカーワンピが光となって弾け飛ぶと新たなプロセッサユニットが顕現した。

 

手始めに鎧の代わりに体のサイズに丁度あった銀色を基調としたボディスーツが装着され、素肌の露出を完全にカット。腰と腕と足を守護するスカート・籠手・ブーツは装甲が厚みを増した物に。さらに銀の大翼からは銀色の光の粒子が溢れ出すように放出されていたので試しに飛んでみると飛行性能と速度が上昇していた。最後に銀色の小さな王冠は王女が頭につけるティアラのような形状に変化し、色々と盛った感じのあるプロセッサユニットを纏った姿となる。目立つ変更点を確認したら近接武器の素振りを軽めに行い、練習を止めると教会に帰還。

 

ネプギア達と一緒に何かしようと思ったが、無性にゲームがしたくなってきたので自室に戻るとNギアを起動。これからゲームをやる時はアリアと定期的に意識を入れ替えながらプレイすることにした。ノワールがパッケージの狩りゲーの続きを進める。Aランク解放クエストはシュヴァルツの撃退。動きの観察と部位破壊箇所の発見を意識しながら無事にクリア。部位破壊に成功したことで素材の一部が手に入ったので、加工屋を覗いてみると生産リストに防具が並んでいた。防具の属性耐性を確認。次に戦う時は有利な状態で挑めるように準備を進めなければならない。

 

現在掛け持ちしているゲームはこれと四女神オンライン。情勢が落ち着いたら、色々なゲームに手を伸ばしたい。狩りゲーが落ち着いたらパソコンを起動。四女神オンラインにログイン。銀翼騎士団の猛者達の力を借りながら、着実に力をつける。三、四時間ほど熱中した結果、剣士の上位職のロイヤルナイトにクラスが上がった。

 

「時間が経つのは本当に早いよね…」

 

「それは仕方ないよ」

 

団員達にお礼を言い、四女神オンラインからログアウトしたら時刻は既に日没を迎えていた。私が病院から教会に帰って来たのは昼頃だったかな。ゲームに熱中すると時間が経つのは本当に早いと感じる。夕食とお風呂を済ませて部屋に戻る。ちなみに今は四人の女神候補生と一緒にゲームをしながら雑談中。隣の部屋からは言い争う声がする。それが私達がネプテューヌ達とは別にこの部屋に集まっている理由だ。セレナとシエルはイストワールと一緒にプラネタワーの屋上に夜景を見に行っている。

 

事の発端は今から一時間程前に遡る。夕飯の際にイストワールからは明日の決戦もあるので夜更かしはしないようにと言われたが、世界の命運を賭けた決戦を前に気持ちが昂っていることで眠れないという意見が複数人から出た。では、眠気が襲って来るまで何をするのか?ということでネプテューヌが提示したのがゲームで遊ぼうという意見だった。実際、ネプテューヌとネプギアの部屋には多人数で遊ぶゲームソフトが揃っているので早速遊ぼうとしたが、何故か四女神達による自国のゲーム機を巡る論争に発展してしまったのだ。完璧なゲームハード・ソフトと言う物は存在しないと思う。突き詰めれば、登場人物の台詞の誤字・脱字とかゲームが動かないようになるバグ、操作性など細かい物を挙げればキリがない。

 

「あの、舞さんとユニちゃんがやってるゲームは同じ狩りゲーなんですよね?」

 

「そうだよ。巨大なモンスターをみんなで力を合わせて狩るのが最大の魅力だね。私達が持っているのはノワールがパッケージの物だけど、プラネテューヌにはネプテューヌがパッケージになってる物があるから、近々買いに行こうと思ってるよ」

 

「アンタの国にある宇宙を舞台にしたオンラインゲームは同じ狩りゲーに分類されるわね。流石にこっちの狩りの舞台は宇宙にとは行かないけど…。アンタがこれから始めるなら協力してあげてもいいわよ。ネプテューヌさんがパッケージの物でも協力プレイはできるから」

 

「舞さんとユニちゃんの協力があれば百人力だよ! そうだ! ロムちゃんとラムちゃんも一緒に買ってやらない? ノワールさんがパッケージに写っているのは舞さんとユニちゃんが持ってるから、後はお姉ちゃんとブランさんとベールさんがパッケージの物をわたし達で揃えれば、四女神勢揃いだね!」

 

パッケージに写っている女神によって登場モンスターとフィールドに多少の違いがあるが、四国のゲーム会社の共同開発作品の狩りゲーなので持ち寄るソフトが違った場合でも根本的な部分が同じと言うこともあり協力プレイができるようになっている。四国の狩りゲーを持った四人が集結すると四女神で協力して巨大なモンスターの狩りに挑むと言う夢のような体験をすることも可能なのだ。

 

「みんなで一緒にやると楽しい…。今度ラムちゃんと一緒にゲーム屋さんに見に行ってみる」

 

「しょーがないわね。みんなで一緒にやるなら付き合ってあげるわ。わたし達は現実世界だけじゃない、ゲームの世界でもさいきょーを目指せばいいのよ。舞とアリアがいれば夢じゃないわ!」

 

「平和が戻ったらみんなで買いに行こうか。ラステイションは狩りゲーとRPG、ルウィーはポシェモンとパーティゲームが主流と言ったところかな?」

 

「そうね…。狩りゲーならアンタと一緒にやってる物以外だと、紅蓮の王様を目指すゲームとか鬼を狩るゲームがあるわ。よかったら一緒にやらない? 勿論、協力させてもらうわよ」

 

「舞お姉ちゃん、ポシェモン一緒にやらない…? 舞お姉ちゃんが本気を出せば本編は簡単にクリアできると思うから、本格的なお手伝いはクリア後になると思うけど…」

 

「まあ、本編はレベルと相手の相性さえ見てれば普通にクリアできるわ。ポシェモンは本編をクリアしてからが本番よ! わたし達の目標はルウィーで一番になることだから、よかったら舞も力を貸してよね!」

 

「頑張って一番になる…。あっ、ラムちゃん。さっき5Vの子が生まれたから、その子の両親あげるね…? ポシェモンをやるなら舞お姉ちゃんにも前に生まれた5Vの子の両親あげる。みんなでさいきょーになれば敵はない」

 

「プラネテューヌは何が人気なのかしら? やっぱりあの宇宙を舞台にしたオンラインゲームが主流なの?」

 

「その辺りはお姉ちゃんの方が詳しいかな。最新のゲーム機とソフトは部屋に常に揃ってるから。わたしが一番好きなのはプラネテューヌの港湾都市を舞台にした製作費六十億の超大作ゲームだよ。毎日、おばあちゃんから貰えるおこずかいでガチャガチャするのが楽しみで…」

 

「また随分とマニアックな物を出してきたわね…。人の趣味は色々だからこれ以上は突っ込まないけど」

 

「平和になったら、みんなでゲーム三昧か…。私にとっては最高の日常だね。ゲームばかりに限らずみんなで色々なことをして楽しい思い出を作りたい。それが私の夢かな。それにしても、まだあの四人は揉めてるみたいだね?」

 

隣の部屋からは未だに言い争う声がする。

 

「ゲームの順番取りならジャンケンで決めるとか方法は色々あるけど、あの言い争いはわたし達にはどうしようもないかな。自然に収まるのを待つしかないと思う…」

 

「ゲームのことの言い争いは激化したら手の着けようがないからね。だけど、戦いの前にこうやって騒げるのはゲームがあってこそ…じゃないかな?」

 

「そうね…。みんなで集まって遊んだり、好きなゲームのことでケンカというか…意見を交わしたりだとか楽しい時間であることは変わらないわね」

 

「だから、明日の戦いは絶対に生きて帰るよ。この平和な日常をいつまでも守りたいからね」

 

私は一旦ゲームを止めて立ち上がる。

 

「舞お姉ちゃん、これからどこかに行くの…?」

 

「夜遅い時間に外に出ちゃ駄目だってミナちゃんとお姉ちゃんが言ってたわよ?」

 

「イストワール達のところに行ってくるだけだよ。少し話したらまた戻ってくるから」

 

私は部屋を出てプラネタワーの屋上にある展望台に向かった。

 

「四女神達はまだハード戦争中かい?」

 

『今代のゲイムギョウ界を守護する若き女神達は元気が取り柄と言ったところだな』

 

「元気があることはいいことだよ。当時の私達には出来なかったことを今の女神達には存分に楽しんでもらいたいかな。過去の守護女神である私達が今を楽しむ女神達の邪魔をするわけにもいかないと思う」

 

「セレナさん達を含め、先代の守護女神のみなさんの活躍があって今のゲイムギョウ界があるのです。そのような気遣いは無用かと思いますよ?」

 

「イストワールの言う通りだよ。楽しむならみんなで楽しまないと。お隣、いいかな?」

 

ここから眺める夜景は本当に綺麗だ。見ているだけで心が癒される。

 

「舞、アリア。体は本当に大丈夫なの? 女神喰いに喰われたと聞いたけど…」

 

「確かにあの時私達は一度消滅した。超次元ゲイムギョウ界を背負うと言う条件付きで再びこの世界で生きることを許されたの。あの時に私達に語りかけてきたのは世界の意志だと思う…。本当かどうかはわからないけど」

 

「今の私達に死は許されない。世界が終末を迎える時まで生き続け、超次元ゲイムギョウ界を守護する女神として世界を脅かす脅威と戦い続けなければならない。犯罪神を越えた先にも更なる脅威が現れるとあの声は言ってた。それはこの超次元に留まる物では無い、多次元にも影響を及ぼす可能性があるみたい」

 

「永遠の戦いの連鎖と言うわけか…。私はいつまで存在できるのかはわからないけど、舞ちゃんとアリアだけには背負わせないよ。この命がある限り、私の力の全てを持って二人を支えるから」

 

『うむ。我も微力ではあるがシエルと共に協力させてもらおう。今の世界を守ることが自らの世界を滅ぼした原因の一端でもある我にできる唯一の償いだ。世界の滅亡を一度この目で見たことはあるが、あのようなことは二度とあってはならぬ』

 

「私もこの命が尽きるまで一緒。最後の時まであなたとこの世界を照らし続けてみせる」

 

「わたしは女神のみなさんのようなお力は持っていませんが、一つだけできることがあります。それはあなたと今代の守護女神と共に生き、みなさんが作り出す新たなゲイムギョウ界と思い出を記録することです。元々はプラネテューヌの歴史を記録するという目的で初代プラネテューヌの女神に生み出されたわたしですが、これからはプラネテューヌだけではない、銀の女神であるあなたとその仲間達、世界の歴史の記録者になりたいと思います」

 

シエルとシオン。セレナとイストワールだけではない。今代のゲイムギョウ界を守護する四女神のネプテューヌ達。未来を担う若き四人の女神候補生のネプギア達。冒険の中で出会った仲間達がいる。私達は本当に恵まれていることを改めて実感した。

 

「いい時間になってきたね。どうしようか? もう少しだけお話してから帰る?」

 

『明日に支障が無い程度の範囲ならばいいだろう』

 

「思い出話に花が咲いたら数時間程度では済まないからね…。程々に切り上げて寝るとしようか」

 

「わたし達が寝不足になってはみなさんに会わせる顔がありませんからね」

 

「そうだよね。許容範囲までならご一緒させてもらうよ」

 

私達はこれまでの思い出話を語り合う。語り合っているとあっという間に時間は過ぎ、流石に寝ないと危ない時間になってきたので話を切り上げると部屋に戻って眠りに就いた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。