超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

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Final Chapter
Game128:真・犯罪神マジェコンヌ


夜が明け、最終決戦当日の朝を迎えた私達は教会の大広間に集まる。イストワールの情報によると前に犯罪神マジェコンヌと戦った黒い塔の真下に邪悪な負の力が集結しているようだ。既にギョウカイ墓場全体の九割が犯罪神と融合を完了しているとのことで、私達に残された時間は少ない。犯罪神を討伐すれば、守護女神の幽閉から始まった三年以上に渡る長き戦いに終止符を打つことができる。

 

「流石に緊張するね…。犯罪神は前に戦った時よりは強化されているのかな?」

 

「そうですね。ギョウカイ墓場を器とした犯罪神に戦いを挑むことはギョウカイ墓場という土地その物を相手にするということです。犯罪神を倒せばギョウカイ墓場はそれに合わせる形で崩壊すると思われますので、討伐後は崩壊に巻き込まれないように注意してください」

 

「わかった。イストワール、転送をお願い」

 

「はい。それではゲートを開きます。必ず、全員で生きて帰ってきてくださいね。誰かが欠けると言うのはわたしも嫌ですから…」

 

「任せて。何が起きようと絶対に生きて帰ってきてみせる。みんな、準備はいい?」

 

「はい! 大丈夫です!」

 

「わたし達の方もだいじょーぶ!」

 

「こっちは問題ないよ。いつでも行ける」

 

「よし、行こうか。みんなで終わらせよう。この戦いを」

 

私達はイストワールが開いたゲート。光の中に飛び込む。眩い光が晴れると私達の視界には以前と変わらないギョウカイ墓場の景色が映る。景色自体は変わらないのだが、前に来た時とは比較にならないほどの邪気が空間を満たしていた。さらに地面からは微かではあるが鼓動のような物が感じ取れる。問題の黒い塔の真下を目指して歩を進めていると見覚えのある人影を捕捉した。

 

「来やがったな…。暴力女神…」

 

灰色の肌と緑の髪。ネズミ型のフード付きの灰色のコート。右手に持っているのは得物である鉄パイプ。犯罪組織マジェコンヌが誇るマジパネェ構成員にして私の因縁の相手のリンダが私達の目の前に立っていた。

 

「まさかここで来るとは思わなかった」

 

「こんなところにいると危ないわよ。ここは時期に崩壊するわ。さっさとどこかに逃げなさい。まさか、戦うつもり?」

 

「逃げる気はねぇ! 暴力女神! アタイと勝負だ! マジック様の仇、討たせてもらうぜ!」

 

「無意味な戦いは避けたいところだけど、私達の道を阻むと言うならやるしかないかな。ここは私が一対一で戦うよ。手出しは無用だから」

 

「わかった。ここは舞に任せる」

 

アリアを始め、全員が少し離れた場所に移動して私達の戦いを見守ることになった。

 

「始めようか。初めて出会ったあの時から始まった因縁をここで終わらせる」

 

「上等だ! 暴力女神! 今まで負けっぱなしだが、この戦いはアタイの勝ちで締めてやるぜ!」

 

私達は駆け出したのは同時。私は女神化は使わない。今までは女神化を使っていたが、この戦いは銀の女神の力は使わないで、私の自力で勝ちに行きたいと思った。リンダの鉄パイプの一撃が私に襲い掛かるが、私は体を反らして回避。空振りの隙に腹にパンチを叩き込む。シェアの力を使わないただのパンチ。私のパンチを受けたリンダは後退した。

 

「がはっ…!」

 

「効いたかな? まだまだ行かせてもらうよ」

 

「やられてばかりと思うなよ…! 単純な喧嘩の腕前ならアタイの方が上だ!」

 

体勢を立て直したリンダの鋭い蹴りが私に襲い掛かる。単純な喧嘩の腕前が私より上と言うのは事実だ。武器を用いない格闘戦は実戦となると最初にリンダと戦った時以来となる。ゲームの格闘技を使うことはできるが、それを使うと女神化と同じで意味が無い。この戦いは私の技だけで終わらせなければならない。

 

「今までやられた分を倍にして返してやる! 覚悟しな! 暴力女神!」

 

リンダは得物である鉄パイプを捨てると拳による連撃を繰り出してきた。

 

「はあああっ!」

 

「おらああっ!」

 

私とリンダの拳が激しくぶつかり合う。続けて再びリンダの鋭い蹴りが私に襲い掛かるが、合わせて蹴りを繰り出すことでそれを防いだ。ここでお互いに距離を取る。

 

「私のことが憎い?」

 

「当たり前だ…! お前はマジック様を殺した…! 絶対に許さねえ!」

 

「そっか…。仮にここで私を倒してもマジックは帰ってこないよ。それはわかっているのかな?」

 

「…っ!」

 

「敵討ちと言って私に挑むのは全然構わない。それは何度でも相手になってあげるから。だけど、敵討ちだの復讐だの言ってる奴に私は負けるつもりはないよ」

 

リンダとの距離を詰めて最大限の力を込めた拳の一撃を叩き込むが、リンダは腕を交差させて防御。リンダの瞳からは涙が溢れているのに気がついた。

 

「わかってるさ…! テメェをブッ潰したところでマジック様が帰ってこないことは…! だけど、今のアタイにできることはこれしかねぇんだ!」

 

反撃で繰り出されたリンダの拳の一撃を腕を交差させて防御する。

 

「なら、私が新しい道を示してあげる。迷っている人を導いてあげることは守護女神の役割だと思うから」

 

私は左、リンダは右の拳を突き出した。この激突は引き分け。次に私は右の拳を、リンダは左の拳をほぼ同時に突き出す。お互いの思いを乗せた一撃が交差した瞬間、場を静寂が支配した。リンダの拳は私の頬に当たる一歩手前で止まっている。私の拳はリンダの頬に届いていた。

 

「ちく…しょう…!」

 

私の一撃を受けたリンダは地面に倒れる。この世界に来て通算六度目となる因縁の戦いは私の勝利で終幕となった。

 

「やっぱり駄目なのか…! 最後の最後まで負けっぱなしとはな…! 一回はテメェに勝ちたかったぜ…」

 

「今のリンダにできることはまだあるよ」

 

「何ができるって言うんだよ…。今のアタイにできることなんか…」

 

「それはマジックの分も精一杯生きることだよ。リンダが忘れない限り、マジックはリンダの心の中に生き続けると思うから。だから、最後の時まで生きて。復讐の為に自分の人生を捨てる必要はない」

 

「生きること…」

 

「私が言いたいのはこれだけ。後はリンダが自分で考えてどうするのかを選ぶことだね。私達はこれから犯罪神との戦いに臨む。このギョウカイ墓場は時期に崩壊すると思うから、今の内に逃げた方がいいよ」

 

私はリンダに背を向けて歩き出す。最奥部に向かい歩を進めた。奥に進むほど、空間に満ちる邪気と大地から伝わる鼓動は強まる。モンスターの姿は見られない。リンダと別れてからは特に妨害も無く、目標地点の黒い塔の真下に辿り着いた。前回マジェコンヌの討伐に来た時と変わらない異様な重圧感が空間を支配している。

 

一際大きい雷を合図に大地から邪悪な黒い瘴気が立ち上ると中から新たな姿を得た犯罪神マジェコンヌが姿を現した。現れたのは前回のような異形の存在では無い。白い肌の獣人のような姿。紫色を基調とした腕と足を守護する装甲と腰を守護するスカート状の防具を身に纏った存在は大地に降り立つ。特に印象的なのが背中の黒き翼。機械的な意匠のそれはプロセッサユニットなのか。体から放たれる邪気と威圧感は前回戦った異形の時とは比較にならない程強力な物になっている。まさに満を持して真の姿を現したと言っていいかもしれない。

 

「また貴様達か…。今代のゲイムギョウ界の守護女神達に国を持たぬ銀と金と結晶の三女神よ…」

 

「あの時とは随分と姿が変わったみたいだね」

 

「本当ね。いい男になったとでも言わせてもらうわ。性別の概念があるのかどうか怪しいけど…」

 

「わざわざこの場に来たと言うことは余程死に急ぎたいと見受ける…。我が再び顕現した以上は滅びの運命を変えることはできぬというのに…。滅びの運命を受け入れぬと言うのであれば残された僅かな時間、気が済むまで抗うがいい。無駄な足掻きにはなるとは思うがな…」

 

「随分と余裕な態度ね。アタシ達には滅びを受け入れると言う選択肢は初めから無いわ。あるのはアンタを倒して全員でゲイムギョウ界に帰る。それだけよ!」

 

「その余裕が命取りになるわ…。あの時から強くなったのはあなただけじゃない。わたし達も同じよ。大切なものを守るため、二度と失わないために自分達にできることはやってきた」

 

六魔将と彼女に操られた私との戦いがあった悪夢の夜。消去された私の記憶を復活させるための四国を巡る旅。復活した四天王との対決。緋色の大地の強敵達と女神喰い(ハード・イーター)との激闘。ギョウカイ墓場を器にされてからは厳しい戦いの連続だったが、それらを無事に乗り越えてこの場に立っている。それはみんなと一緒に強くなるための努力を積み重ねてきたからだ。

 

「ふむ…。力を上げて来たというのは事実のようだな。貴様達には滅びの前に、絶望を与えてやろう。お前達の努力と思いは全て無駄に終わる…。我が存在意義は全ての滅亡。ギョウカイ墓場という強靭なる器を得た我が顕現した以上、運命は既に決まっている」

 

「絶望なんていらないよ! わたし達の希望の力でどんな絶望も吹き飛ばしてあげるもんねー!」

 

「残っているのはあなた一人だけです。あなたを倒してゲイムギョウ界の平和を取り戻してみせます!」

 

「滅びの運命は絶対に受け入れない! みんな、行くよ!」

 

私達は女神化を行使する。私はネプギア達とのハード・ユニゾン。四天王との再戦で披露した大人の姿で女神化を行使した状態。新たな姿を獲得した銀のプロセッサユニットが装着される。右手にはプリズムハート。四人の女神候補生とのハード・ユニゾンを行使した最強の状態の名前を偶然にも思いついたので、名乗らせてもらうとしよう。

 

「ビクトリィーハート、ここに見参。マジェコンヌ、あなたは絶対にここで倒す!」

 

私達に続けてネプテューヌ達が四人でハード・ユニゾン。純白のドレスのようなプロセッサユニットを纏ったパープルハートが降臨。髪型は普段の深紫の三つ編みから黒髪のストレートに。幸せの四つ葉のクローバーの髪飾りが私の太陽の髪飾りと同じ位置についた。

 

「フォーチューンハート、変身完了。あなたのような存在はこのゲイムギョウ界にはいらない」

 

最後に私の体から分離したアリアがセレナとシエルとハード・ユニゾン。光の中から現れたのは何と元の大きさに戻ったアリア。髪と瞳は彼女の象徴の銀色に。胴体と腰を守護するのは冷たさと美しさが調和した白銀色の鎧とスカート状のプロセッサユニット。背中に顕現するのはシエルの蒼翼。翼の表面には太陽と三日月が交わった紋様が浮かぶ。腕と足を守護するプロセッサユニットはセレナの金色。銀と金と結晶が一つに交わった輝きはギョウカイ墓場の闇の中で煌いている。

 

「ルミナスハート、参上。私達はあなたには絶対に屈しないよ!」

 

変身を完了した私達はマジェコンヌと向き合う。

 

「面白い…。お前達の思いの力とやらが、どこまで持つのか見せてみるがいい。長き時に渡る我と守護女神との因縁を今日この日を持って終わりとしようではないか…」

 

マジェコンヌは自身の獲物である両刃槍を構える。ここから先はお互いの思いのぶつかり合い。それは滅びの意志と希望の意志。世界の未来を賭けた最後の戦いが幕を開けた。

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