リンダに壊されてしまったホワイトディスクを
何とかして修復できないかと方法を探るネプギア達に声をかけた少女。
「もう一度言うにゅ。直せるにゅ。大事なことだから二回言ったにゅ」
ネプギア達がその声に振り向くと
明るい黄色をした猫耳を模したかのような帽子を被った少女がいた。
その少女は帽子と同じ色をした丸型の奇妙な生物の上に乗っている。
「名乗り出てくれてるのはわかるんだけど、誰?」
「ブロッコリーにゅ」
「あっ、初めまして。えっと、本当にゲイムキャラのディスクを直すことができるんですか?」
「同じことを何度も言わせるなにゅ。これを見るにゅ」
ブロッコリーはネプギアに一冊の本を渡す。
「これは何の本ですか?」
「昔、ゲーマーズで買った攻略本にゅ。その本の64ページを見るにゅ」
「64ページですね…? あっ、本当に書いてありますよ!」
「ちょっとアタシにも見せなさい。本当に書いてあるわね…。何で攻略本にこんなことが書いてあるのよ…」
「そういうところに突っ込んだら負けにゅ。そこに書いてある材料を調達して書いてある手順通りにやれば直せるはずにゅ」
「直すには何が必要です?」
「えっと、レアメタルとデータニウムって書いてありますね。どこで取れるんでしょう?」
「レアメタルはルウィー国際展示場、データニウムは世界中の迷宮のモンスターから取れると思うにゅ。ブロッコリーの直感が告げてるから間違いないにゅ。時間もあまり残されてないと思うにゅ。さっさと取ってくるにゅ」
「わかりました。どっちから行きますか?」
「ルウィー国際展示場から行きましょう。世界中の迷宮はキラーマシンと鉢合わせしなければいいんだけど…。下っ端がどれだけのキラーマシンを復活させているのか…」
「でもやらないとルウィーがめちゃくちゃにされちゃう。わたしはルウィーの女神だもん。がんばらなくっちゃ…」
「その意気にゅ。ブロッコリーはここで待ってるにゅ。素材を無事に集めれるように祈っておいてやるにゅ」
ネプギア達は素材を入手するためルウィー国際展示場へと向かう。
時はネプギア達が街を出てから少し遡る。銀の女神と会話をしていた舞は…。
「私に伝えたいことって…?」
『今回の戦いのことだよ。あの時、自分が怒りに飲まれていたって自覚はある?』
その言葉にキラーマシンとの戦闘を振り返る。
リンダがホワイトディスクを壊したことが引き金となり
自分が行使できる魔法の範囲を大幅に超えた魔法を行使した結果が今の状況だ。
「リンダがホワイトディスクを壊したことが私のある記憶と重なったんだ…。長い昔話にはなるんだけど、私が初めて本気で怒ったあの時とね。聞いてもらってもいいかな?」
『それが舞があの時に怒った理由に繋がるんだね? 聞かせて。舞の事もっと知りたい』
私は銀の女神にそのことを話す。私が小学4年生の時だ。それが起きたのは。
私は小さい頃からゲームが好きだった。私を生んで育ててくれたお父さんと
お母さんもゲームが好きな人だった。二人が小さい頃の友達を家に呼んで
楽しくゲームをしているのを見て私はゲームの世界への一歩を踏み出したと言える。
私が小学4年生に上がった時に両親からあるゲーム機をもらった。
携帯機タイプで私がゲイムギョウ界に来る前に使っていた物と比べると古いものだが
二人の思い出が詰まった大切な物だった。学校に持って行って授業の合間の休憩時間に
取り出してゲームをすると当然の如く怒られてゲーム機を没収される。
最終的にはその日のうちに私に返してくれたので特に問題は無かったのだが…。
私はどうして怒られるのかわからなかった。
授業中に取り出してしようものなら怒られるのは当然と言えるが、
合間に存在する休憩時間に取り出して怒られる理由が当時の私は理解ができなかった。
担任の教師に理由を聞いたらそれは学校生活に必要ないだろうと言われた。
必要ない…? なぜそれを他人に決められなければならない?
決めるのは私だ。明確な反抗心が芽生えた瞬間だった。
私はお父さんとお母さんに相談した。どうすればいいのかと。
その結果私が得た答えが自分の実力を直に示すと言うことだった。
ゲーム機を没収しようとした先生に私は1つの賭けを持ちかけた。
その内容がこれから実施される学校のテストの点数で満点をキープし続ければ
休憩時間にゲームをすることを見逃すという物だった。
普通に考えれば無理がある…。そう思うかもしれないが私にはある特技があった。
それがノートに書き留めたことは絶対に忘れないという特技であり
この世界に来てイストワールからゲイムギョウ界の現状を理解するために用いた物だ。
ちなみに私のお母さんは目を通した物は絶対に忘れないという上位互換の特技を持っていた。
それが変化して私に継承されたのではないかという説があったりもする。
それを最大限に活かして満点をキープし続けた。学校から出される課題は勿論、
お父さんが買ってきてくれた問題集。それらを全てノートを使って解いていき
解法についてもしっかりと纏める。私の友達も家に来て教えてくれたりと協力してくれた。
頭の中に蓄えた知識を最大限に用いて全てのテストを満点でクリアする。
賭けに勝利したことで私の邪魔をする者はいなくなった。
休憩時間にゲームをやると、それが気になるのか
私の周りにいつしかクラスのみんなが集まるようになった。
ボス戦などの重要な局面になると周りで見ているみんなも併せて盛り上がる。
授業開始を告げるチャイムが鳴ると私は即座にしまうのでそれに合わせてみんなも席に着く。
勝ち取った楽しい日々に当時の私は酔いしれていたのだがそれはある日を境に壊される。
それはいつも通りのある日のこと。先生はその時席を外していた。
休憩時間にゲーム機を取り出す。それを合図にクラスのみんなが集まってくる。
その光景が気に入らなかったのか、前の方に座っていた一人の少女が私の席にやってきた。
名前は忘れたがどこかの大企業の社長の令嬢だった。所謂お嬢様と言うやつである。
彼女は言った。自分よりクラスの注目を集めている私が気に入らないと。
学業の順位で1位を取り続ける私が気に入らないと。一方的な因縁をつけられるが
私はそれを無視してゲームを続ける。それが癇に障ったのか彼女はある行動に出た。
私のゲーム機を取り上げて床に叩きつける。それに加えて足で何度も踏みつける。
叩きつけられたことにより画面にはヒビが入り、中の機械部品がぶちまけられる。
クラス中が沈黙に包まれるが彼女は勝ち誇った表情をしていた。
お前の大事な物を壊してやったぞと言わんばかりに。
私は状況が飲み込めず、数分間立ち尽くしたままだったが
状況の把握が完了すると同時にどす黒い感情が私の心を埋め尽くす。
その感情の赴くままに私は彼女の頬を全力で叩いた。
彼女も反撃をして、喧嘩に発展するのだが周りのクラスのみんなと
騒ぎを聞いて駆け付けた先生が止めたことにより事態は収束した。
大企業の令嬢と言う身分が味方をしたのか彼女はほぼお咎めが無しということになった。
対する私はどうなったのかと言うと不登校になった。お手洗いに行く時など
必要な時以外は自分の部屋から出ない。大切な物が壊されるという恐怖に支配されていた。
友人や先生の励ましもあって最終的には学校に通えるようになり無事に卒業もできた。
それから先、中学生、高校生に上がってからも必要な時以外は外出を控えるようにした。
ただ友人の誘いは無下にするわけにはいかないのでそれは断ることなく受けた。
そして現在の私、ゲイムギョウ界にやってくる前の私に続いて行く。
長い昔話になってしまったが、結論として言えるのは私の大切な物を壊した彼女と
ホワイトディスクを壊したリンダの姿が重なったということである。
「随分と長い話になったけど、そういうことが昔にあったの…。初めて本気で怒ったあの日のことは忘れたくても忘れられない」
『舞のことがまた一つ知れてよかった。話してくれてありがとう。じゃあ、その過去を踏まえて話の続きをしようか。あの時に舞が本気で怒った理由はわかったけど怒りのままに振るう力は誰も救えない。それは人を悲しませるたけってことはわかるよね。事実、舞は倒れてネプギアちゃん達を悲しませた』
「そうだね…。あなたの言う通りだよ。私は怒りを抑えきれなかった。そう言う点はやっぱり未熟と言ったところなのかな? ある人の言葉を思い出すくらいだよ」
『奇遇だね。私もある言葉が頭に浮かんだよ。同じ言葉かもしれないね? 同時に言ってみる?』
「面白いね。いいよ」
『ふふっ。それじゃあ言ってみようか。せ~のっ』
私と銀の女神はタイミングを合わせてその言葉を口にする。
『「怒りの気持ちをコントロールできて、初めて人間はもっと強くなれる」』
この言葉は特撮好きの友人が私に勧めてきた作品に出てくる言葉だ。
他の作品でも誰かが言ってるかもしれないけど私はあの作品に出てきた部隊の
隊長が言っていたのを聞いた。是非見て欲しいとDVD全巻を持ってこられたので
私はそれを最終話まで見たのだが、奥深いものだと思った。
「本当に一緒になるとはね。あなたもどこかで聞いたの?」
『うん。私の尊敬する人が同じことを言ってたよ』
銀の女神が尊敬している人物って誰なんだろうか。
きっと色々な意味ですごい人なのだろう。私は勝手に妄想していた。
『難しいことだとは思うけど、今回みたいなことがもう起こらないように、頑張ってできるようにならないといけないね』
「そうだね。私はまだまだ弱いから。あなたの力を借りているとは言え、使いこなせていないのも事実だよね。プロセッサユニットが部分的にしか発現しないことも…。怒りの気持ちのコントロールを含めてその全てを解放できるようになった時、私は本当の意味で強くなったと胸を張って言えると思う」
『舞がこの場所に自分の力でたどり着いた時にはきっと胸を張って言えるようになってるよ。そろそろ時間みたい…。舞もお目覚めの時間じゃないかな? 今の私には応援することしかできないけどね…。舞、頑張って! この場所に来てくれる日を待ってるから…!』
「うん。ありがとう。いつになるかはわからないけど、必ずあなたの下にたどり着いて見せるから…!」
私の視界が白く染まる。次に私の視界に映し出されたのは見覚えのある光景。
ロムを寝かせたあの部屋のベッドで私は眠りに就いていたようだ。
意識を手放してからどれくらいの時間が経ったのだろうか。
あれからどうなったのか。ネプギア達は今どうしているのか。状況の把握が必要だ。
私はベッドから抜けると部屋を出て教会の入口に向かう。
「あ…」
その途中に部屋から出てきたラムと目があった。
「何してるのよ? こんなところで」
「無茶した結果、倒れちゃってね。ついさっき目が覚めたところだよ」
「なさけないわね」
「返す言葉もないよ。遅れた分は取り返すけどね」
きっとネプギア達はなにか行動を起こしているだろう。
出遅れた分は何とかして取り返したいところだ。
「あっ、舞さん。もう大丈夫なのですか?」
「うん。心配かけてごめん。…ってそれはまずネプギア達に言った方がいいよね…」
「そうですね。舞さんの事をとても心配していましたよ?」
私はミナにルウィーの現状を教えてもらう。事態は私が思った以上に深刻なようだ。
「ミナ、ネプギア達がどこにいるかわかる?」
「ネプギアさん達には街の方の警戒と情報収集をお願いしています。もしかしたら街の外に出ているかもしれませんが…。」
「わかった。私も街に出て探してみるよ」
「無茶はしないでくださいね。特に魔法の行使については…」
「うん。もう二度とあんな真似はしないから。それじゃあ行ってくるね」
私は教会を出てルウィーの街中を探す。ネプギア達はどこにいるのだろうか…。
「お前、あいつらの仲間かにゅ?」
「ん? あなたは…?」
「ブロッコリーにゅ」
「ネプギア達がどこにいるか知ってるの?」
「知ってるにゅ。ゲイムキャラを直す方法を教えたにゅ。必要な材料を集めに行ったにゅ」
「ゲイムキャラを直せるってことには驚いたけど、必要な材料って他に何かあったりするの?」
「あいつらはレアメタルを取りにルウィー国際展示場に向かったにゅ。それに加えて世界中の迷宮のモンスターが落とすデータニウムが必要になるにゅ」
「世界中の迷宮か…」
ネプギア達がルウィー国際展示場に向かっているのならば私が世界中の迷宮に向かって
その素材を取ってくれば時間を短縮することができるかもしれない。
一人で向かうのは危険な気がするが残された時間はあまり多いとは言えない。
「世界中の迷宮に行く気かにゅ?」
「うん。危ないのはわかってるけど、行かなきゃいけないからね」
私は街の入口に向かって駆け出す。
「確か、この道だったよね…」
ロムに案内してもらった時の記憶を思い出す。
「時間がない。早くデータニウムを取りに行かないと…」
「待ちなさいよ!」
「ラム…? どうしたの?」
私を呼び止める声に振り向くとラムが立っていた。追いかけてきたのだろうか。
「わたしも一緒にいってあげるわ。あっ、勘違いしないでよね! わたしはまだあんたのこと認めたわけじゃないから!」
「どうしてついてきてくれるの? 私はラムの敵なんだよね?」
「ルウィーが危ないから仕方なくあんたに協力してあげるのよ。それにわたしはあんたより強いからね。わたしだってルウィーの女神候補生なんだから!」
「じゃあそのお言葉に甘えさせてもらうよ。ラムより弱いのは事実だし…」
私とラムはデータニウムを求めて世界中の迷宮へと向かう。
二つの材料を揃えてホワイトディスクを修復し
奪われたルウィーの平和を取り戻すことはできるのだろうか。
どう展開しようか考えた結果こうなりました。
反省はしてませんが、したほうがいいのだろうか…。