超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

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Game29:立ち向かう心

ホワイトディスクを修復した私達は突如現れた女神の瞳を持った

白いドラゴンの助けを借り再び世界中の迷宮の最奥部に辿りついた。

 

そこで待ち構えていたのはリンダとハードブレイカー。

私はリンダと、ネプギア達はハードブレイカーと戦闘を開始する。

 

女神化したネプギアが先陣を切ってハードブレイカーに斬りかかるが

 

「無駄だ…」

 

まるで先を読まれているかの如く剣の形をした両腕で防がれてしまう。

ハードブレイカーの反撃が入るがネプギアは距離を取って回避する。

 

入れ替わるように続けて攻めるのはコンパとREDとブロッコリー。

コンパは離れた位置から注射器から出る魔力弾を飛ばして当てていく。

REDは手に持ったフリスビーに魔力を込めて連撃を加えていき

ブロッコリーが自身の乗り物である謎の生物「ゲマ」を叩きつける。

 

「今度はアタシの番よ! くらいなさい!」

 

三人に続く形でユニが銃にシェアを込めて放つが大きなダメージが与えられない。

ネプギア達の攻撃が全く効いていないわけではないようだが…。

 

「この程度では私に届かぬぞ」

 

ハードブレイカーは目を赤く光らせるとユニに向かってレーザーを放つ。

ユニは自身のプロセッサユニットに力を込め、横に移動して回避するが

レーザーが直撃したブロックの壁は綺麗に消し飛んでいた。

 

「危なかったわね…」

 

レーザーが直撃していたらただでは済まなかっただろう。

ユニは再度シェアを銃に込めて反撃の機会を窺う。

 

「魔界粧・轟炎!」

 

「エアロトルネード…」

 

「エクスプロージョン!」

 

今度はアイエフとロムとラムが同時に魔法をハードブレイカーに放つ。

炎の柱がハードブレイカーを飲み込みさらに風の旋風と

火の魔力の爆発がハードブレイカーに襲いかかるが

三人の魔法を受けてもその身には大きなダメージが入っていないようだ。

 

「そんな…」

 

「嘘でしょ?」

 

ロムとラムは自分達の魔法を受けてなお平然としているハードブレイカーに驚きを隠せない。

 

「どれも悪くない一撃だ…。だが、私に傷をつけるにはまだ足りない。ここで一つお前達に問おう。私に与えられた名の意味はわかるか?」

 

今は呼ぶことはなくなったが古の時代では女神の事をハードと呼称したらしい。

つまりハードブレイカーを別の形に読み替えるとこうなる…。

 

「女神を砕く者…」

 

「そういうことだ。私は女神を倒すためだけに作られた。お前達に私を倒すことができるか?」

 

「倒してみせます!」

 

「ならば、これを受けても同じことが言えるか?」

 

ハードブレイカーはその体から赤い霧をネプギア達に向けて放出する。

特にダメージはないようだがその霧を浴びた途端に女神化が強制的に解除される。

 

「えっ…? 女神化が解けちゃった?」

 

「なによこれ… 力が出ない…」

 

「対女神用に開発された特殊なウイルスを含ませた霧だ。体内に入ると女神のシェアの力を捕食する効果がある。お前達は女神化封じの対策を持っているとリンダから聞いたがそれも使えぬようになる。つまり、お前達の切り札は完全に断たれたということだな」

 

「どうしろっていうのよ…」

 

女神化という行動そのものを封じられたことによりネプギア達がさらに不利な状況となった。

 

「まだです…! まだ終わってないっ!」

 

だがそれでもネプギアは諦めない。

体内に侵入したウイルスにシェアの力を捕食され、苦しい表情を浮かべている。

 

「威勢がいいのは認めてやろう。だが今のお前達に何ができるというのだ…?」

 

「あなたに立ち向かうことです。私の体はまだ動きます。だから、まだ諦めません!」

 

ネプギアは銀の長剣を構えてハードブレイカーと向かい合う。

 

「そうよね…。こんなところで諦めたらお姉ちゃんに笑われちゃうわ」

 

ネプギアに続く形でユニが立ち上がる。手持ちの弾丸を装填して銀の銃を構える。

 

「わたしもあきらめるのはいや…」

 

「わたしだっていやよ! それにあいつと約束したんだから!」

 

ロムとラムも立ち上がる。女神候補生達の心に諦めるという選択肢はない。

 

「面白い。その体で何ができるのか見せてもらおう!」

 

ネプギア達は再びハードブレイカーに立ち向かう。

 

一方、ネプギア達と離れた位置で戦闘を繰り広げる舞とリンダ。

お互いに全力でぶつかり合う二人だが戦闘は舞の方が劣勢となっていた。

 

「はぁ…。はぁ…」

 

私は息を切らしていた。あれからリンダの攻撃を太陽の杖で受け止めつつ

杖から魔力弾を放って攻撃を加えていくがそこまで激しい動きはしていない。

ここまで疲れるには恐らく何か理由がある。リンダの武器に何か仕込まれているのだろうか。

 

「はっ! だいぶ弱ってきたみたいだな! せっかくだからテメェに種明かしをしてやるよ!」

 

「なにか仕掛けがあるって言うの?」

 

「その通り! この鉄パイプにはなぁ、対女神用のウイルスを仕込んであるんだよ! テメェとアタイがぶつかり合うたびに僅かだがウイルスがテメェの体の中に入っていくってわけだ! 同じ奴がハードブレイカーにも搭載されてるぜ? どうやら向こうもそろそろ終わりそうだな!」

 

リンダの言葉にネプギア達の方を見ると女神化が解けていた。

だがそれでもネプギア達はハードブレイカーに立ち向かっている。

 

「あいつらも諦めが悪いなぁ。テメェのそういうところが移ったんじゃねぇのか?」

 

「どうかな? 私もまだ終わってないよ」

 

「いい加減諦めろ! テメェの快進撃はここで終わりなんだよ。くたばりやがれ!」

 

リンダが鉄パイプを構えて突っ込んでくる。

私は背中のプロセッサユニットに力を込めて回避しようとするが…

 

「力が入らない…!」

 

「おら、吹き飛びやがれ!」

 

リンダの鉄パイプの一撃が私の体に直撃する。

鈍い痛みが全身に走り私は吹き飛ばされる。

 

「あああああっ…!」

 

直に攻撃を受けたことで体内に一気にウイルスが流れ込んだようで

銀の女神のプロセッサユニットが全て消失してしまった。

 

「いいザマだぜぇ! 暴力女神!」

 

私の体内にある銀の女神のシェアエナジーが喰らいつくされていく。

立ち上がろうとするが体に激痛が走り力が入らない。ここで終わることだけは絶対に嫌だ。

ネプギア達だって立ち向かっているのに私だけが諦めるわけにはいかない。

 

「まだ…だよ」

 

「テメェも本当に諦めが悪いな! まだ立ち上がれるっていうのなら立ってみろよ!」

 

勝ち誇った表情のリンダに立ち向かうべく私は痛みに耐えて残った力を振り絞る。

 

ハードブレイカーと再度戦うネプギア達は諦めず攻撃を加えていくが

女神化した状態で大きなダメージを与えることができなかったこともあって

その体はほぼ無傷と言った状態だがそれでも諦めずに攻撃を加えていく。

 

「ぬっ…。馬鹿な。女神化はもうできないはず…。一体どこからこんな力が…」

 

大きなダメージは受けていないが不思議なことに力を増していく

ネプギア達にハードブレイカーは疑問を持っていた。

 

「えええええいっ!」

 

ネプギアの斬撃がハードブレイカーに直撃する。

その斬撃は遂にハードブレイカーの体に食い込みその装甲に傷を付けた。

 

「馬鹿な…」

 

ネプギアの体からは彼女の象徴である薄紫の光が立ち上っていた。

その光に包まれてパープルシスターが再臨する。

 

「何だと…。どういうことだ。ウイルスを克服したというのか…!」

 

「そうかもしれませんね。乗り越えたのは私だけじゃないですよ」

 

ユニとロムとラムも自身の象徴である黒と白の光を立ち上らせていた。

それによってブラックシスターとホワイトシスターズが再臨する。

 

「ありえない…! このようなことが起きるなど!」

 

「世の中に絶対は無いのよ。ここからはアタシ達の番よ!」

 

「うん…! わたしたちはさいきょう…!」

 

「ルウィーをめちゃくちゃにしようとした罪をつぐないなさい!」

 

ウイルスを克服して女神としての姿を再度取り戻した候補生達の姿は輝いていた。

この輝きに乗じる形で新たな変化が訪れる。ネプギアから紫の光が現れて

四人の女神候補生を繋ぐ形になった。ハード・リンクに似ているようだが。

 

「これは…」

 

「この動きは何…?」

 

「この動きをしているのは…舞お姉ちゃん?」

 

「なんなのよこれ…」

 

女神候補生達の頭の中にある動作が再生される。

それは舞が過去にプレイしたとあるゲームに出てくるテクニックの一つ。

強大なる敵に最後の止めを刺す時の連携の流れだ。

 

「これを使えば…! ユニちゃん、ロムちゃん、ラムちゃん!」

 

「いいわ。やってやろうじゃない!」

 

「頑張る…!」

 

「まかせなさい!」

 

ネプギア達はハードブレイカーに止めを刺すために駆け出す。

 

最初に攻撃を加えるのはラム。ハードブレイカーの放つレーザーを

背中のプロセッサユニットを巧みに使うことで舞うように飛んで避ける。

その体に無属性の魔力弾を次々と叩き込み怯ませる。

 

ラムに続く形でロムが攻撃を加える。

魔法でX字型に風の刃を作り出してハードブレイカーに飛ばす。

強力な魔力で作り出された風の刃はその装甲を容易く切り裂いた。

 

三番目に動くのはユニ。ハードブレイカーの剣状の手から繰り出される斬撃を避けて

その手に銃弾を浴びせる。さらにあまり使わない物だが持っていた剣を取り出して

ハードブレイカーの頭部に突きを入れて飛び上がるとそのまま下方向に向かって斬り裂く。

 

最後を飾るのはネプギア。ハードブレイカーが繰り出すレーザーと斬撃の猛攻を凌いで

その懐に潜り込むと下から上に向かって斬り上げる。そして飛び上がると頭部に一閃を加える。

赤く光っていた突起物はネプギアの一撃に破壊されそこから青い光が大量に漏れ出した。

 

「馬鹿な…。この私が女神候補生に敗れるなど…」

 

ハードブレイカーはそう言うと力なくその場に倒れる。

その体は光となって消滅した。女神候補生達の勝利が確定した瞬間であった。

 

「倒せた…。舞さんは…?」

 

ネプギアが舞の方を見ると舞は必死に立ち上がろうとしていた。

 

「なっ!? ハードブレイカーを倒しただと!?」

 

その言葉に私はネプギア達が勝利したと言う事実を認識した。

私と同じ対女神用のウイルスを打ちこまれ女神化を封じ込められた

あの状況から勝利したのだ。ネプギア達の諦めない心がもたらした結果である。

 

私だけがこんなところで倒れているわけにはいかない。

立ち上がるんだ…! 私の体はまだ動くのだから。

 

「はあああああっ!」

 

声を張り上げて私は立ちあがる。

 

「暴力女神…! まだ立ち上がるのかよ…!」

 

「私はまだ負けるわけにはいかない! 私にこの世界を救う力が本当にあるというのなら私は最後まで戦い抜いてみせる! お願い…! シルバーハート!」

 

私の体に銀色のシェアの光が集まる。銀の女神のプロセッサユニットが再構築されていく。

脚甲、グローブ、翼。これまで展開されていた三つのプロセッサユニットに加えて

私の目の前に現れたのは銀の王冠のようなプロセッサユニットと銀の太陽の髪飾りだった。

 

銀の王冠のプロセッサユニットは私の頭の上に移動する。

銀の太陽の髪飾りを髪に当てると私の髪に馴染むように自動的に装着された。

 

「テメェ…!」

 

「今度は私の番だよ」

 

私は太陽の杖を構えて魔法を使う。新しいプロセッサユニットが現れたからか

これまでと違ってスムーズに使えるような気がした。

 

「エアスクリーン!」

 

私から放たれた銀色の魔力が周囲の空気と私の体内を浄化する。

さらに私の体を守るように銀色の魔力で構成された薄い膜が展開される。

またつけられる可能性はゼロとは言えないのでこれを使っておく。

ウイルスを含む霧や息などの攻撃を遮断する効果と回避能力を上昇させる効果がある魔法だ。

 

「行くよ…。」

 

私は銀色のシェアの力を上空へ集めるように操作する。

シェアの力が集まりそれは一振りの巨大な剣を形成する。

 

シェアと言う信仰の力で作り出した一振りの剣を対象に向けて落下させて

突き刺すと同時にシェアエナジーを放出して相手を浄化する。その技の名は…。

 

「32式エクスブレイド!」

 

私が太陽の杖を突きだすと剣はリンダの方に向かって飛んでいく。

リンダはそれを察知して逃げ出そうとするが逃がさない。

 

飛んで行った剣は地面に突き刺さった瞬間に膨大な量のシェアエナジーを放出する。

銀色の光がリンダを飲み込む。光が晴れると満身創痍の状態ではあるがリンダが立っていた。

その手に握られている鉄パイプは真ん中から折れてしまっている。

 

「ちくしょう…。何で勝てねぇんだよ…! 一対一にまで持ち込んで、女神対策のウイルスまで用意してきたってのに…」

 

リンダは悔しい表情を浮かべて言う。

私が逆にリンダの立場だったら同じようなことを言うと思った。

自分に対して有利な状況を作り出したところで勝てない相手はどこにでもいるとは思う。

私の場合はゲーム内で出会うことが多いが、ゲームの世界に限らず現実の世界でも

同じことが言えるのではないだろうか。私はそう考えている。

 

「リンダ…」

 

「そんな哀れんだ目で見るんじゃねぇよ! この暴力女神! アタイはテメェの敵だ! テメェは絶対にアタイがぶっ潰す! 何度でもテメェの前に立ちふさがってやる! 覚えてやがれ!」

 

リンダはそのまま持ち前の逃げ足で世界中の迷宮から出ていった。

またそう遠くない未来で何度もぶつかり合うことだろう。

その時は今よりも確実に強くなっているはずだ。

私も自分自身をより一層鍛えて備えておかなければならない。

 

「ホワイトディスク、封印をお願いしてもいいかな?」

 

「わかりました」

 

ホワイトディスクは自身が元いた場所に戻ると白い光を放つ。

最奥部手前でキラーマシンの大群と戦っていた白いドラゴンは…。

 

『鉄屑共が消えていく…。どうやらやったようだな』

 

次々と消えていくキラーマシンを見てドラゴンは言う。

その体には傷一つついていない。彼女の強さは相当な物と窺える。

 

『久しぶりに楽しむことができた。だが…』

 

ドラゴンの体が光に包まれる。光が晴れるとそこには一人の少女がいた。

舞と同じくらいの長さの白い髪に紅い瞳を持ちどこかの学校の制服を着ている。

黒を基調とした制服でRの文字の校章が胸ポケットの辺りについている。

 

「お腹空いた。街に戻ってご飯でも食べに行こう。やっぱり暴れた後はいっぱい食べないとね!」

 

先ほどの口調と比較して随分変わった口調で呟くと少女は世界中の迷宮を後にする。

 

新たなるプロセッサユニットの発現。女神候補生達を繋いだ紫の光。

舞達を助けたドラゴンに変身する少女。色々な出来事が起きた

ルウィーを巡る戦いはこれにて終焉を迎えたのであった。

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