超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

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Game39:決着と空の名を持つ少女

ゲイムキャラのディスクの力を使いパワーアップしたリンダとワレチューだが

ネプギア達のピンチに駆け付けたリーンボックスの歌姫である5pb.と

新たな姿を得て再臨した舞によってその秘策は打ち砕かれた。

 

「舞さん…! 元に戻ったんですか?」

 

「いや、まだ元には戻ってないよ。5pb.の歌の力のおかげで一時的にこの姿を取れているだけみたいだからね。この変身が解ければ私はまたスライヌに戻ってしまうかな。だから、この姿を維持できるうちに決着を着けるよ」

 

「クソっ…! なんなんだよこれは! せっかく手に入れた力が消えちまったじゃねーか!」

 

「どういうことなの? あの子の歌にはそんな力があるの?」

 

「ええ。5pb.の歌には善きを助け、悪しきを苦しめる不思議な力があるの。これがリーンボックスが誇る歌姫の力よ。おかげで戦況を元に戻すことができたわね」

 

5pb.の効果に乗せる形で私が使った魔法はイレイザー。

敵にかかった補助効果を全て打ち消す効果を持つ魔法である。

ゲームの中には最初から何かしらの補助効果がかかっている敵がたまにいる。

そのような敵や後付けで補助効果を乗せる敵に対してはかなり有効である。

 

「さて、この姿もいつまで維持できるかわからない。リンダは私が懲らしめる。ネプギア達はネズミをお願い」

 

「わかりました!」

 

私は銀の槍をしっかりと握ってリンダと向かい合う。

 

「さて、私をスライヌにしてくれたお礼はたっぷりさせてもらわないといけないね」

 

「こんなふざけた歌なんかにやられてたまるか! アタイはまだ終わっちゃいねぇ! 勝負だ! 暴力女神!」

 

私のランスとリンダの鉄パイプがぶつかり合い鍔迫り合い状態になる。

リンダの力がルウィーで戦った時より増していることを直にぶつかって感じ取った。

対等に渡り合えるのはこの力のおかげかもしれないが本当の意味でリンダを倒すには

銀の女神の力に頼らず私自身の力だけで打ち破らなければならないと思った。

 

「強くなってるね。私も負けてられないよ」

 

「言っただろう! 強くなってるのはテメェや女神候補生達だけじゃねぇってな!」

 

「なら、私はそれに応えるだけだよ。これはどうかな? 穿風槍撃!」

 

リーンボックスの大地に宿る風の魔力をランスに纏わせて突く。

大地に宿る魔力を使っての攻撃はこれが初めてだが今の状態ならできる気がしたので使う。

これからは鍛練で実戦投入前には自分の物にしておかないといけない。

 

「うわっ! やりやがったな!」

 

リンダは怒って反撃を繰り出してくるが私はそれを受け流してカウンター突きをお見舞いする。

 

「ん…。タイムリミットが近いかな…?」

 

5pb.の歌の力でこの姿を維持できているが時間は無限ではない。

スライヌの体に戻ってしまう前に決着を着ける必要がある。

 

「へっ! その変身が解けてスライヌの姿に戻ったらアタイの勝ちは確定だな!」

 

「ううん。これで終わりにするから。これが今の私に出せる一番の槍技だよ。受けてみて!」

 

風の魔力と銀色のシェアをランスに纏わせた状態でリンダに突撃する。

 

「ガトリングスパイク!」

 

素早く三回突きを繰り出して四度目の刺突にさらに力を込めて貫く。

遅れる形で風の魔力で構成された刃が追撃としてリンダに襲い掛かる。

 

「まだだ…! まだ負けるわけには行かねぇ…んだ…」

 

「これで終わりだね」

 

リンダはその場に膝をつく。私はまだリンダに本当の意味で勝つことはできていないと思った。

これまでの戦いでも銀の女神のプロセッサユニットがうまい具合に発現していたし

ネプギア達と一緒に戦ったこともあったので特に苦戦することも無く勝利できたと言える。

 

だがルウィーで戦った時にはネプギア達と分断されて対女神用のウイルスで苦戦を強いられた。

今回も勝利することができたがリンダとはまたぶつかり合うことは間違いない。

 

私も銀の女神の力に甘んじることなく自分自身を鍛えなければならないと改めて思った。

 

「クソっ…! やっぱり駄目なのか…。アタイじゃテメェに勝てねぇってのか…」

 

「私はまだ本当の意味でリンダに勝ったとは思ってない。今日はこれで見逃してあげる。まだ悪事を働くようなら何度でも相手になってあげるからね」

 

「ちくしょう…。覚えてやがれ!」

 

リンダは持ち前の逃げ足でアンダーインヴァースから逃走した。

 

「ちゅーぅぅぅ…」

 

ネズミもネプギア達に懲らしめられたようでリンダの後に続くように逃げていった。

 

「あっ。変身が解ける…。またスライヌに逆戻りか…」

 

再び銀色のシェアの光が舞の体を包み込む。

シェアの光が収まると体は舞スライヌに戻っていた。

 

「ぬら…」

 

「舞さん、大丈夫ですか!?」

 

「いつの間にかまたスライヌに戻ってるわね」

 

「あの時の舞お姉ちゃん、かっこよかった…」

 

「元の姿には戻れないの? さっきまで戻ってたじゃない」

 

「ぬらぁ…」

 

「無理みたいですね。でも5pb.さんと舞さんのおかげで勝つことが出来ました!」

 

ネプギアは舞スライヌを抱えて5pb.にお礼を言おうと近づくが…

 

「ひっ!?」

 

5pb.はネプギアを避けるように後ろに下がる。

 

「ぬら?」

 

「えっ! 私何か悪いことしちゃいましたか!? もしそうならごめんなさい!」

 

「あなたが謝る必要は無いわ。5pb.は極度の人見知りなのよ。ライブの時以外に人に近づかれるとこうなってしまうのよ。許してあげて」

 

「あっ、そうなんですか…」

 

「ぬら~」

 

「ご、ごめんなさい! ライブの時はスイッチが入ってるから大勢の人を前にしても平気なんだけど、それ以外の時はダメなんだ…」

 

「でも、5pb.さんのおかげでゲイムキャラさんを助け出せたです。下っ端さんとネズミさんも逃げていきましたからこれでリーンボックスも平和になるですね?」

 

「本当にありがとうございました。ネプギアさん、これを受け取ってください!」

 

グリーンディスクから放たれた緑色の光がネプギアの中に入っていく。

これで四国のゲイムキャラの力が全て集まった。

 

「ありがとうございます! 悪いのは全部犯罪組織なんです。ゲイムギョウ界を壊そうとする犯罪組織は私達が許しません!」

 

「頼もしいお言葉ですね。ゲイムギョウ界が真の平和を取り戻す時もそう遠くないかもしれませんね」

 

リンダとワレチューを撃退し、グリーンディスクを救出したネプギア達は

アンダーインヴァースを後にしてリーンボックスの教会に戻る。

 

「無事にゲイムキャラを保護できたようね」

 

「はい。私達と一緒に来てもらうことはできますかね?」

 

「アタクシの許可を取る必要はなくてよ。大事なのは本人の意志。まぁ、答えは出ているみたいだけどね」

 

「私はネプギアさん達について行きたいです。ゲイムキャラの力を悪用する人たちを放っておくわけにはいきませんから」

 

「そういうことよ。一緒に連れていってあげなさい。ゲイムキャラがいない間はアタクシがこの国を守るわ。ベールお姉様を助け出してこのリーンボックスにまた戻ってきて。それがアタクシの願いよ」

 

「わかりました! 必ず助け出してまたリーンボックスに帰ってきます!」

 

「その言葉、信じているわ。それと、5pb.はどこに行ったのかしら? 姿が見えないみたいだけど…」

 

「さっきから私の背中にぴったりくっついています」

 

「こ、ここにいますぅ…」

 

「なんだ、そんなところにいたの。極度の人見知りは相変わらずのようね。そのままで構わないからアタクシの話を聞いてくれるかしら?」

 

「はい…。何でしょうか…?」

 

「アタクシが捕まってる間にこのリーンボックスの犯罪神崇拝はアタクシの予想を遥かに超える勢いで加速してしまったわ。この状況を覆すには大きな一手が必要よ」

 

「ボクは何をすればいいんでしょう…?」

 

「今夜、あなたを中心とした大型ライブを開催したいと考えているわ。会場の準備は前々から進めていたから、後はあなたの都合だけよ。どうかしら?」

 

「大型ライブですか…。緊張するけど、やります。 やらせてください!」

 

「期待通りの返事ね。もしよかったらあなた達も見にきてちょうだい」

 

大型ライブの開催が決定したところで解決しなければならない問題が一つ残っている。

スライヌ化した舞を元に戻さなければならない。

 

「あっ、そうだ! 舞さんのNギアはありますか?」

 

「わたしの鞄に入れてあるわ。それでどうするのよ?」

 

「クロさんなら、何か知ってるかもしれません。舞さん、Nギアを使ってもいいですか?」

 

「ぬら」

 

舞のNギアにはクロのNギアの番号が入ってある。

ネプギアは連絡帳にあったその番号に連絡を入れる。

 

数回の呼び出し音がなるとNギアの画面にクロが映る。

 

『ネプギアちゃん? どうしたのかな?』

 

「クロさん。突然すみません。聞きたいことがあるんですけどいいですか?」

 

『いいよ。どんなことかな?』

 

「実は舞さんがスライヌになっちゃったんです。元に戻す方法が全く見当がつかなくて…。クロさんは何か知らないですか?」

 

『舞がスライヌに…? なんだかすごいことになってるみたいだね。詳しいお話を聞かせてくれるかな?』

 

ネプギアは舞がスライヌになった経緯を説明する。

 

『なるほどね。ちょっと待ってくれるかな? いったん切るね』

 

ネプギアとの通信を切ったクロはある人物のことを思い浮かべていた。

 

「この番号にかけるのいつ以来だろう…。あの子ならきっと何とかしてくれると思うんだけど…。それ以前に出てくれるのかな?」

 

クロは自身のNギアに登録されたある人物に連絡を入れる。

 

『懐かしい番号から連絡が入ってきたから驚いたよ。私に連絡してくるなんて何かあったのかな?』

 

「うん。私の友達が困ってるみたいなんだけど、ここを動くことができないんだよね…。今、どこにいるの?」

 

『リーンボックスにいるよ。接触禁忌種を相手に軽くひと暴れしてきてお腹が空いたからこれからどこかでおいしいご飯を食べようかなって考えてた』

 

「それはちょうどよかった。実はその困ってる友達がリーンボックスにいるんだけど、助けてほしいんだ」

 

「それは構わないけど。その友達はどんな子なのかな?」

 

「神奈 舞だよ。知らないかな? 銀の女神の瞳を持つ女の子なんだけど…」

 

『あっ、知ってる! この前ルウィーのダンジョンで会ったから! その子がどうしたの?』

 

「色々あってスライヌになっちゃったみたいでね…。今、ネプギアちゃんから連絡をもらって何か知らないかって聞かれたの。何とかできそうかな?」

 

『それはまた面白いことになってるみたいだね。流石はあのシルバーハートが選んだ継承者と言ったところなのかな。確かあれで治せたはず…。でも今持ってたかなぁ…。ちょっと探してみるね』

 

「うん」

 

『ないなぁ…。でも素材は余ってるからすぐに作れるよ』

 

「お願いしてもいいかな? 舞と一緒にいた薄紫の髪の子。ネプギアちゃんにそれを渡してあげて」

 

『わかった。今度美味しいご飯を食べに行こうね? 久しぶりに一緒にお話とかしたいなぁ』

 

「それはまたの機会だね。舞達のこと頼んだよ」

 

『うん。それじゃまた! 久しぶりに話せて嬉しかったよ!』

 

「私もあなたの声が聴けてよかったよ。また会おうね」

 

通信が切れる。クロは再びネプギアに連絡を入れる。

 

「クロさんからですね」

 

『ごめん。待たせちゃったね。実は私の友達が今リーンボックスにいるみたいでね? 舞のスライヌ化を治すことができる薬を持ってるみたいだから渡すように伝えたよ。ネプギアちゃん達にあったことがあるみたいでその子は知ってるみたい。一度街中に出てみてくれるかな?』

 

「わかりました! ちなみにその人ってどんな人なんですか?」

 

『黒い制服を着た白い髪の女の子だよ。確かその制服の胸元にRの文字の校章が入ってたかな…。これからご飯を食べに行こうとしてたって言ってたから街に必ずいるはずだよ』

 

「ありがとうございます! 早速探しに行ってきます!」

 

『その子にネプギアちゃんの特徴は伝えてあるから見かけたら向こうから声をかけてくるよ。それじゃあ、頑張ってね』

 

クロとの通信が終了した。ネプギア達は早速その人物を探すために教会を出る。

舞スライヌは教会の部屋でネプギア達を待つことになった。

 

「見つけた。お~い、ネプギアちゃん!」

 

「えっ?」

 

街の広場に着いたところでネプギアを呼ぶ声に振り向くとそこには一人の少女がいた。

クロの言った通り白い髪で胸元にRの文字の校章が入った黒い制服を着ている。

 

「スライヌ化を直す薬をネプギアちゃんに渡してほしいって連絡をさっきもらったんだ。すぐに見つかってよかったよ。これを受け取ってくれるかな?」

 

少女が渡してきたのは水色の錠剤。

 

「これで舞さんは元に戻るんですか?」

 

「うん。実は随分昔の話なんだけど、私の友達も何でだったか忘れたけどスライヌになったことがあってね。それを治すためだけに企画書を書いて作ったんだよね。必要な素材が余ってたからまた作ったんだ。これを飲ませてあげれば元に戻るはずだよ」

 

「ありがとうございます! あの、お名前は何と言うんですか?」

 

「名前? 私の名前はシエルだよ。また会えると嬉しいな」

 

「シエルさんですか。これからどこかに行くんですか?」

 

「お腹空いたからご飯食べに行こうとしてたところだよ。私の役割はこれで終わりかな。その薬を早く舞ちゃんに届けてあげるといいよ。それじゃあ、またね」

 

シエルは飲食店が多く集まっているエリアに向かって走って行った。

教会に戻って舞スライヌにシエルから貰った錠剤を飲ませることにした。

 

「舞さん、口をあけてもらっていいですか?」

 

「ぬら~」

 

舞スライヌは大きく口を開ける。舞スライヌに水色の錠剤を飲ませるとその体が光に包まれる。

光が晴れるとそこには元の姿に戻った舞がいた。

 

「下着とパーカーワンピ、貸してくれるかな?」

 

元の姿に戻ったのはよかったが舞は一糸纏わぬ姿となっていた。

その割にはかなり落ち着いているようだが…。

ロムとラムからパーカーワンピと下着を受け取って着る。

 

「ふぅ…。やっぱりこっちの体じゃないとね…。スライヌの体だとできないことが多すぎるよ」

 

モノクロのパーカーワンピを着た舞はそう呟いた。

 

スライヌ化という予想外のハプニングが発生したが

ゲイムキャラの協力を得ることができたのでこれですべての条件がクリアされた。

夜に大型ライブが開催されると聞いたので楽しみだ。スライヌの体のままだと

お留守番は確定と言えるので元に戻れて本当によかったと私は心の底から思った。

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