超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

5 / 132
Game3:これからの目的

女神達がたった一人の人物に敗北した。ネプギアの口から語られた三年前の出来事は衝撃的な物だった。数的に見れば五対一なので女神達が圧倒的に有利な状況だったと思われるが、それを単独で打ち破った人物が敵側にいる。ネプギアの話によると問題の人物は赤い髪の女性で大きな鎌を武器にしていると言う。

 

私が最初に戦ったあの黒い人物とはまた別の人物のようだ。相当な強さを誇るのは間違いない。ネプギアの話の中に出てきた赤い髪の女性と私が戦った黒い人物を除き、他にそれだけの強さを持つ人物が敵側にいるかもしれないと思うと戦慄を覚える。

 

「敗北した原因は何かあるの?」

 

単純に相手の強さが女神達を上回っていたと言うのも考えられるけど、敗北した原因は強さの差だけではないと思った。

 

「そうですね…。敵の本拠地のギョウカイ墓場は名前の通りにゲイムギョウ界で壊れた物達が集まる場所なのです。負のエネルギーが満ちている場所なので女神の力の源であるシェアエナジーが弱まっていたのではないかと考えられます。それに加えてマジェコンの普及による各国のシェアの減少が私の予想を遥かに上回っていた…。これらの条件が重なることで敵の強さはさらに増大してしまい、有利な点は数だけという状況になってしまった…。これが今回の敗因でしょう…。全ては私の責任です」

 

犯罪組織に対する信仰心が強まれば女神の力は連動する形で落ちる。強大な敵に不利な状況で挑まなければならないのはかなり厳しい。

 

あの時にネプギアが使った綺麗な結晶。シェアクリスタルと呼ばれるシェアを人為的に結合させた物質らしいが一番小さいサイズの物を作るだけでもかなりの時間を要したと言う。それはシェアの大半が犯罪組織に奪われているということを示していた。このままではゲイムギョウ界が犯罪組織に支配されるのも時間の問題だ。

 

「もう、どうしようもないんですか…?」

 

「いいえ、まだ希望は消えていません。私達に残された希望は三つあります。一つ目はネプギアさんを初めとした女神の妹…。女神候補生達の存在です」

 

「わたし以外にも女神候補生がいるんですか?」

 

「はい。ラステイションとルウィーにはネプギアさんと同じ女神候補生がいます。彼女達と協力して犯罪組織に奪われた各国のシェアを取り戻せば、犯罪組織の力を弱体化させることができるでしょう。二つ目は各国にいるゲイムキャラの存在」

 

「ゲイムキャラ?」

 

「古の女神達が作り出した世界の秩序と循環を司る存在です。彼女達はこのゲイムギョウ界を構成する四国にそれぞれ一人ずついます。その土地に繁栄をもたらし、有事の際には女神を助け、悪を滅ぼすほどの強力な力を秘めていると言われています。犯罪組織を打倒するには女神候補生の協力とゲイムキャラの協力。この二つの条件を満たす必要があります」

 

つまり、イストワールが提示した条件をクリアするためにはこのゲイムギョウ界を構成する四国を全て回る必要があるということになる。

 

「そして三つ目…。それは神奈 舞さん。あなたの存在です」

 

「えっ、私?」

 

「はい。あなたのその眼。それは幽閉されている四女神やネプギアさん達女神候補生が女神化と言う力を行使した際に現れる物と同じなんです。その瞳が別の世界から来た舞さんにどうして発現しているのかはわかりませんが、アイエフさんから聞いた話ではギョウカイ墓場で戦った黒い人物に傷をつけたと…」

 

「あの時は急に湧き上がってきた力のままに攻撃したに過ぎないよ。私は元の世界では引きこもりを自称しているただのゲーム好きの人間。話に出てきた女神みたいに強い力は持って無い。今は自分に何ができるのかわからない状態だけど、ネプギア達に協力させてもらう。世界を混乱させている奴らがいるなら何とかしないと。本音を言うなら元の世界に帰る方法とか探したいけど今の状況だと落ち着いて探すことも難しいと思うし…」

 

「本当にありがとうございます。元の世界に帰る方法については私の方でも合間を縫って探してみますので…」

 

ネプギア達に協力するという結論を出したが、今の私には課題が山積みだ。今の私はゲームで言うところのレベルが1の状態。本物の体での戦闘経験が無いので当然ではある。戦闘狂との戦いを振り返ってみる。ダメージを与えられたということはステータスは高めに設定されているのかもしれない。だが、持っている力に体が追い付いていない。事実、戦闘狂に傷をつけてからは動けなかったのだから。

 

つまり、鍛える必要があるのだ。ゲームで自分の分身であるキャラクターを動かして行っていたレベルアップを本物の体で実践しなければならない。武器の扱いを初め、道具の使い方など。勉強しなければならないこともたくさんある。この辺りはゲームで得た知識が少しでも役に立つことを祈るしかない。

 

「イストワール。私達はこれから何をすればいいのかな?」

 

「そうですね。ネプギアさん達とプラネテューヌのシェアの回復をお願いします。プラネテューヌのゲイムキャラの所在は残念ながらまだ掴めていません。所在が判明すれば連絡を入れます。ネプギアさんのリハビリと舞さんの訓練にもなると思いますし、まずはシェアの回復をお願いします」

 

ネプギアは三年間幽閉されていたから体は動かせていない。私も引きこもりのため体はほとんど動かしていない。友人に遊びに誘ってもらった時を除いて自主的に体を動かしているのはゲームとマンガを買いに外に出る時だ。

 

「シェアの回復は具体的に何をすればいいのかな?」

 

「それについてはこれから案内する場所で説明させてもらうわ」

 

これからの方針が決まったところではあるが、ネプギアは未だに暗い表情をしていた。これから先の不安で心が満たされてしまっているのだと思う。私も似たような物だ。何が起きるのか予想できない状況だから不安な気持ちは必然的に出る物。

 

「不安はあるとは思うけど一緒に頑張ろう? 頼りないかもしれないけどネプギアが困っている時は助けるから。少しだけでいいから元気を出して一緒に新しい一歩を踏み出してみよう。自分にできることを頑張っていけば、希望が見えるようになるかもしれない」

 

「舞さんは強いですね…?」

 

「そんなことはないよ。私が威張れるのは好きなゲームの中だけだから」

 

「舞はゲームが好きなの?」

 

「うん。三度の飯よりゲームが好きだからね。一日中ゲームをして過ごすなんて向こうの世界じゃ日常茶飯事だし」

 

「ネプ子と気が合いそうね…。ネプ子がいれば部屋でだらけて二人でゲームしている様が容易に想像できるわ」

 

「そうですね。ねぷねぷもゲームが好きですから」

 

どうやらネプギアのお姉さんは私と同じくゲーム好きみたい。これは何としてでも助け出して一緒にゲームをしたいところかな。私の目的が一つ増えた瞬間だった。

 

「それでは、よろしくお願いしますね。ネプギアさん、舞さん、これを受け取ってください」

 

私とネプギアはイストワールから受け取ったのはNの文字が入った携帯ゲーム機のような端末。ネプギアが紫色で私のは赤色。

 

「これは?」

 

「Nギアです。様々な機能が詰まった万能デバイスと言ったところでしょうか。舞さんはゲームが好きなようですが、ゲームソフトがあればこれでゲームをすることができますよ。残念ながら正規のゲームソフトはマジェコンの影響もあって市場に出回っていないので入手は難しいですが…。ゲーム以外にも通信・ナビ・検索機能などの便利な機能も入っているのでこれから先の旅の役に立つと思います」

 

例えるなら私の世界のスマートフォンと呼ばれる携帯型端末が挙げられる。機能的にはこちらのほうが数世代先というか、かなり進んでいるみたい。私の世界の技術も進めばこのような物が開発されるのかな。

 

「さて、話が纏まったところでこれからあんた達をギルドまで案内するわ。シェアの回復についての詳しい話はそこで説明するから私とコンパについて来て」

 

「は、はい」

 

「わかった」

 

私達はアイエフとコンパの案内に従ってギルドに向かうことに。ギルドという単語を聞くと私がこの世界に来る前にしていたゲームを思い出してしまう。私はこの日、ゲイムギョウ界での確かな一歩を踏み出した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。