超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

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Chapter 6
Game54:大切にしたい日常


ゲイムギョウ界の空の上に捕らわれていた銀の女神シルバーハートこと

アリアを救出してプラネテューヌの教会に戻ってきた私とアリアは

イストワールとセレナに今回の報告を済ませて眠りに就いた。

そのまま次の日の朝を迎え、寝る前に仕掛けておいた目覚ましで私達は起きる。

 

「もう朝か…」

 

「舞、かなり早起きなんだね? 何かするの?」

 

「まぁ、武器の練習を少しね…。アリアはどうする?」

 

「私も一緒に行くよ。捕まってからずっと練習できてないからね」

 

私とアリアは顔を洗って、服を着替えると部屋の外に出る。

 

「流石にまだ誰もいないのかな?」

 

「そうだね。私もこんなに早く起きたことはないからね」

 

リーンボックスの教会で早起きした時も教会の中は静まり返っていた。

みんなが寝てると言うわけでもなく誰か一人くらいは起きてる人もいるだろうが

やはり朝早い時間ということもあって教会の中は静まり返っていた。

 

そのまま街に出て私達が向かうのはバーチャフォレストの秘密の場所。

私に語りかけてきたアリアの指導を受けながらネプギアと一緒に特殊な女神化を習得したり、

アイエフに魔法を学んだりした。今では思い出がある場所である。

 

私は短剣を取り出して技の練習を開始する。初めに短剣を数回振って感覚を確かめる。

続いてある技の練習を行う。突き、横斬り、縦斬りの順番で繋げる定点攻撃。

ルウィーでデータニウムを取りに行った時に使った血煙乱舞の方が速度と手数は大きいが

あちらは速い速度で短剣を振り続けなければならないので後の疲れが大きい。

 

ちなみに今練習している技も私が攻撃を受けるかスタミナが切れない限り、

ゲーム内ではボタンを連打し続ける限り続く事実上の無限コンボ。

無限連斬と名付けられたそれは相手の動きを拘束した時に弱点部位に当たる位置で使うと

それなりのダメージを叩きだすことができる。敵の弱点を狙うのも重要な戦術である。

 

「なかなか様になってるね。舞にいい物をあげるよ」

 

アリアから受け取ったのは小型サイズのクリスタル。赤、青、黄、緑の四つがある。

 

「これは…?」

 

「私が作った属性クリスタル。それを使えば武器に属性を付与することができる。短剣みたいに威力が低い武器の場合はこれを使って属性を付与させれば威力の低さをカバーすることもできる。これを使う時は相手の苦手とする属性を見抜くことも必要になるけどね。短剣だけじゃなくて他の武器にも使えるから試してみるといいよ」

 

「わかった。アリアは何の武器の練習をするの?」

 

「舞が短剣なら私はこっちかな」

 

アリアの両手に光が集まるとその手には金と銀の双剣が握られていた。

 

「片方はセレナからの借り物だけどね。さて、久しぶりだけど上手くいくかな…」

 

アリアは目を閉じて集中力を高める。再び目を開くと凄まじい速さでの連撃を繰り出す。

ダンスのようにも見えるアリアの連撃は美しいと言ってもいい。

 

「ふぅ…。本当はまだまだ続けられる物なんだけど、やっぱり落ちてるね…」

 

「それも無限コンボになるの?」

 

「それは繋げ方次第だよ。後、プロセッサユニットを使えば空中からも繰り出すこともできる。相手の弱点に届きそうにない時はそれを使えばいいと思うよ」

 

「なるほどね。参考になるよ。もう少しだけ練習したら帰ろうか」

 

朝の練習に使える時間は目安としては小一時間。無理に引き延ばすと逆に疲れるだけである。

ゲームと同じくやる時間とやめる時間の兼ね合いは重要だと私は考えている。

 

「よし、朝はこんなものかな?」

 

「朝に練習するのも悪くないね。これからは私も一緒にさせてもらうよ」

 

「ありがとう。それじゃ、帰ろうか」

 

武器をしまって帰ろうとすると私のNギアに通信が入る。

 

「ん…? ネプギアからだね。はい、もしもし?」

 

『あっ、舞さん。昨日のお話、いーすんさんから聞きましたよ!』

 

「あぁ、ごめんね? ちょっと無茶しちゃって会いに行く余裕がなかった…」

 

『いえ、気にしないでください。今、どこにいるんですか?』

 

「今はバーチャフォレストでアリアと一緒に朝練してたところだよ。これから教会に帰ろうと思ってたんだけど、何かあったの?」

 

『はい。お姉ちゃん達もひとまず元気になったので今日は国に帰るみたいなんです。皆さんやることがいっぱい残ってるみたいで…』

 

「なるほどね…」

 

ネプテューヌ達は国を率いる女神である。

ギョウカイ墓場に捕まっていた間の仕事が残っているということだろう。

 

『今から戻ってきてもらってもいいですか? お姉ちゃん達が舞さんに伝えたいことがあるみたいですよ』

 

「わかった。今からそっちに戻るよ。もう少し待っててくれる?」

 

『わかりました!』

 

ネプギアとの通信を終了する。

 

「さて、呼ばれてるみたいだから帰ろうか? 一緒に来てくれてありがとう」

 

「気にしないで。練習する時はいつでも言ってくれたらいいから」

 

私とアリアはプラネテューヌの教会に戻る。

教会の扉を開けるとそこにはネプテューヌ達を筆頭に

これまで協力してくれたみんなが集まっていた。

 

「舞さん、おかえりなさい!」

 

「ごめん。また遅れちゃったね?」

 

女神化前のネプテューヌ達を見るのは初めてではない。

私のNギアにはネプテューヌと遊ぶアプリが入っているし

女神パーティでラムと対決した際にもゲーム内とは言え四女神が揃っていた。

現実で揃うのを見るのは初めてではある。改めて自分の目で見るとみんな綺麗だ。

 

「もう、大丈夫なの?」

 

「もっちろーん! 一晩寝たらばっちり回復! むしろ元気が有り余ってるくらいだもん! 戦うことだってできるもんねー!」

 

明るい笑顔で言うのはネプテューヌ。

確かに女神化前と後では話し方が随分と違う。

 

「それはよかった。後、パーカーワンピを借してもらってたんだけど、返したほうがいいかな?」

 

「ん~? 別に返さなくてもいいよ? それ同じタイプの色違いを見つけて買ったのはいいけど全然着てなかったからね。すごく似合ってるからそのまま舞が使ってあげてよ!」

 

「ありがとう。私もこれ気に入ってるからありがたく使わせてもらうね」

 

「はぁ…。一晩寝ただけで元気になるとか…。羨ましい体質だわ…」

 

「私達はネプテューヌと違ってまだ戦うだけの力が戻っていませんからね…。舞さんがシェアを分けてくれたおかげで随分と楽にはなりましたが…」

 

「どうして私がシェアを分けたことを知ってるの?」

 

「体の中に私達が知らないシェアの力を感じたのよ。あの状況でネプギア達以外にシェアの力を行使していたのはあなただけだったから…。ベールが言ったように舞のおかげで動く上では問題ないくらいに回復はしたけど、戦う上で十分に動けるだけのシェアがまだ足りていない状態ね…」

 

「そっか…。一緒に戦えるのはもう少し先になりそうだね?」

 

「ええ。私達もマジェコンヌに奪われたシェアを取り戻して舞達の力になれるように頑張るわ」

 

「情けない話だけど、今の状態じゃ舞達の足を引っ張るだけでしょうからね…」

 

「私にできることがあったら言ってね? 手伝うから」

 

「本当に頼もしいお言葉ですわね。その時はお願いしますわ」

 

「任せて。私だけじゃない、アリアが、みんながいるから大丈夫だよ。これから国に帰るんだよね? また近い内にアリアと一緒にお邪魔させてもらうから」

 

「アリアって…。あなたの隣にいる…」

 

「そう。やっと出会うことができた。私に力をくれた銀の女神だよ?」

 

「初めまして。今代のゲイムギョウ界を守護する四女神の皆さん。私の名前はアリア。女神としての名前はシルバーハートだよ。呼び方は好きにしてくれていいよ。私に力になれることは協力するから、遠慮なく言ってね?」

 

「私達以外の女神には初めて会った…。舞だけじゃなくあなたとも色々お話がしたい。ルウィーに来てくれた時は歓迎させてもらうわ」

 

「ルウィーだけじゃなくてラステイションにも来てよね。あなたの相方がラステイションにいるってユニから聞いたけど?」

 

「セレナだね。金の女神、ゴールドハートだよ。よかったら会いにいってあげてほしい。勿論、私と舞も近い内には会いに行く予定だけどね」

 

「とりあえず向こうが行動を起こす前に一度四つの国を回らせてもらう予定だから。順番とかはまだ決めてないけど」

 

マジェコンヌ側はまだ行動を起こしていない。

本拠地であるギョウカイ墓場はイストワールがその情勢を監視している。

近い内に何かが起こるのは間違いないが、今は取り戻した日常を楽しみながら

鍛練をして自分の力を上げていきたいと言うのが私の考えだ。

 

「リーンボックスでも歓迎させていただきますわ。是非いらしてくださいまし」

 

「楽しみにしてるよ。本当にこの世界にこれてよかった…」

 

私は改めてそう思った。ただ、アリアにされた質問の答えはまだ用意できるものではない。

仮に帰る方法が見つかったとしても選んだ選択に後悔だけはしたくない。

作れる時に楽しい思い出は作っておくのだ。それが一番の宝物になるのだから…。

 

ノワール達とゲイムキャラ達は自分の国へと帰っていく。ユニ達とも一時の別れだ。

また近い内に四国を訪れる予定なので会えるのもすぐだろう。

 

「さて、これからどうしようかな?」

 

「じゃあ、これから遊びに行こうよ!」

 

「ん? それはいいけど、ネプテューヌは仕事とかないの?」

 

「ねぷっ!?」

 

何気なく聞いただけなのだがネプテューヌの驚きが凄まじい。

 

「ネプテューヌさん、遊びに行くだけの元気があるのなら少しだけでもいいので仕事をしてくれると嬉しいです。舞さんと遊びに行くのはそれからでも遅くはないでしょう?」

 

「い、いーすん。なんでそんなに笑顔なの…?」

 

「他の女神の皆さんはこれから捕まっていた間に溜まった仕事を消化すると思うのですが、ネプテューヌさんにも女神として当然の義務を果たしてもらおうと思っただけですよ。まさか何もせずに舞さんと遊びに行こうなどとは考えてはいないですよね?」

 

「ネプギア、まさかネプテューヌって…」

 

「はい…。舞さんの思っていることで正解です…。お姉ちゃんは仕事が大の苦手なんです。今のようにいーすんさんに怒られるのは日常茶飯事なんですよ」

 

私はネプギアが昔に言っていたことを思い出した。

 

私が朝練で使っていたバーチャフォレストの秘密の場所は

ネプテューヌが教会から抜け出して隠れる場所だったということを。

 

「イストワール、その仕事って私にもできるの?」

 

「できないことはないですが、舞さんのお力を借りるのは…」

 

「私のことは気にしないでいいよ。仕事のやり方を教えて? 流石に全部は無理だろうから、ある程度のノルマを示してくれると嬉しいかな」

 

「え~? 舞までそんなこと言うの!?」

 

「私はやることはやってから遊ぶ派だからね。ネプテューヌも頑張ろう? みんなでやれば遊ぶくらいの時間は確保できるはずだよ」

 

学校から出された課題は全てクリアしてからゲームに取り掛かるのが私のスタイルだ。

そうしないと心の底から楽しめない。後でまたやらないといけないと思う気持ちが邪魔をする。

出された際は放課後に可能な限り消化してから帰る。私の両親も学生時代にしていたらしい。

 

ゲームをするなら、自分に課せられたことを全てこなしてから全力で取り組め。

これが我が神奈家の家訓である。よって現時点でこなせる課題は消化する必要があるのだ。

 

「お姉ちゃん、舞さんもこう言ってくれてることだし、頑張ろう?」

 

「う~。わかったよぉ…」

 

ネプテューヌは渋々了承してくれた。

やることをきちんとやればイストワールも何も言わないだろう。

怒られたりして遊ぶ時間を削られるくらいならやったほうがマシだ。

 

「ネプ子に仕事をやらせるなんて…。あんたやっぱりすごいわね…」

 

「流石は舞さんです」

 

それから私達はこの三年間で溜まったネプテューヌの仕事を消化することになった。

アリアも普通に協力してくれたのだがアリアは国を持たないため女神の仕事はわからない。

そのため私と一緒にイストワールから簡単な物だけ教わる形となった。

 

女神の仕事は色々ある。国民から依頼されたクエストの処理を初めとして

各機関から教会に回ってきた要望書類のチェックなどが挙げられる。

 

ネプテューヌ自身がクエストをこなすことでプラネテューヌのシェアはさらに上昇する。

信仰心が上がればそれに比例してネプテューヌやネプギアの基礎的な強さが上がるという物だ。

 

各機関から回ってくる要望などについては内容をきちんと確認する必要がある。

不備がないかは勿論のこと本当に実行する必要がある物なのか。再度協議が必要な物なのか。

 

実行する上ではお金が必要になるのだがこの辺りはイストワールが見てくれているので

私達が見るのは不備が無いのか、必要なのかそうでないかの確認くらいである。

その上でネプテューヌがサインをすればその案件は通る形となる。

 

余談ではあるがネプテューヌはよく見ないでサインを書いたりする時があるようだ。

それを繰り返すことによって赤字をたびたび出してしまうようでその度にイストワールが

立て直しているらしい。ただイストワール曰くやる時はやる人というのがネプテューヌである。

 

その証拠にネプテューヌは集中して仕事をしている。隣にいるネプギアがそれを支えている。

いつもこの調子でやってくれれば嬉しいというのがイストワールの切なる願いであった。

 

「これでいいのかな?」

 

「デスクワークもなかなか面白いよね。私はクエストでしかシェアを得られないから」

 

「舞さんとアリアさんの仕事は丁寧ですね。このままプラネテューヌに欲しいくらいです」

 

私とアリアがしているのは積まれた書類を分類することである。

分類したらネプギアの方に回して必要書類の不備がないかの確認をしてもらう。

 

最終的に隣にいるネプテューヌに回して目を通してもらう形になる。

ネプテューヌもわからないところはイストワールやネプギアに聞きながらしている。

流石に全てをこなすのは不可能なのでイストワールが決めたノルマの分を処理して終了となる。

 

「終わったのかな?」

 

「はい。舞さん、アリアさん。本当にありがとうございました」

 

「気にしないで。クエストとまた違った感じで何だか楽しかったから」

 

「また手伝うから。遠慮せずに言ってね。ネプテューヌはこれから私やネプギアと遊ぶ前に仕事をやろうね。そうしたら遊ぶ楽しさも二倍だよ」

 

「舞がそう言うなら頑張るよ…」

 

「あのネプテューヌさんが頑張ると言いましたか…! 私の聞き間違いではないですよね?」

 

「聞き間違いじゃないよ。ネプテューヌも先にやることをやって全力で遊ぶことの楽しさを知ればいいと思うよ。怒られることを考えながらゲームするなんて嫌でしょ? ネプギアもいるし、私とアリアもいるんだから。何だったら一緒に頑張った報酬としてプリンも毎日つけてあげるよ?」

 

「プ、プリン…!? やったー! これは頑張るしかないよね!」

 

プリンという単語を耳にした瞬間にネプテューヌの表情が一気に明るくなる。

親友のアイエフとコンパが言っていたくらいなのだからそれだけ好きなのだろう。

 

「アンタ…。いつの間にネプ子の扱いまで心得てるのよ…」

 

「もうお姉ちゃんになってあげたらどうですか?」

 

「それもいいかもね。まぁ、人間はご褒美があれば頑張れる物だから。ネプテューヌはプリン。私はゲームをするための時間ということで」

 

「アンタらしいわね…。プリンなら私とコンパで買ってきてあげるから、アンタ達はネプ子の部屋でゲームでもしてきたら?」

 

イストワールから提示された仕事を終わらせたのでイストワールも何も言わない。

 

「お願いしてもいいかな?」

 

「任せるです。何だったら私が作ってもいいですよ? 売り切れてる時もたまにあるです」

 

「コンパってプリン作れるんだね…。よかったら今度教えてよ」

 

「はいです! 今日はとりあえず買いに行ってくるです。舞さんも時間ができた時に言ってくれれば教えるですよ?」

 

「その時はお世話になるね」

 

アイエフとコンパは教会の近くの店にプリンを買いに行く。

私とネプギアとネプテューヌは先に部屋でゲームをすることになった。

 

ネプテューヌと対戦するのはパズルゲーム。

紫、黒、白、緑の四つのブロックを上手く積み上げてそれを消去していくゲームだ。

 

同じブロックを四つ固めることでブロックを消去することができる。

この際に相手の方に邪魔になる灰色のブロックを落とすことができるので

相手がブロックを消せない状況を作り出して追い詰めていく。

 

このゲームで最も重要なテクニックが連鎖という物だ。

単純に消すのではなく連続で消えるように計算して積み上げることで

相手側に落とせる灰色のブロックも連鎖の数に比例して多くなるのだ。

 

負けたら交代という形で進めていった結果、

私とネプテューヌの勝敗は二勝二敗と引き分けになった。

やはりネプテューヌは手強い。戦っているとゲーム好きの血が滾ってくる。

引き分けなど生ぬるい物ではない、私の勝利で飾らなければならないと…。

 

ある程度したらゲームをやめてガールズトークを開始する。

ゲイムギョウ界に来てネプギアと出会ってからの話から始まり楽しい時間だった。

話を続けていると夜の帳も降りてきたのでいい頃合いで切り上げると部屋に戻る。

本当にこの日常を大切にしていきたいと私は心の底から思って眠りに就いた。

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