アイデアは浮かぶのですが今のところは終盤辺りにしか使えそうにないです…。
私とアリアは四女神オンラインを終了してゲーム部屋から出てきたベールと
ゲームの話やこれまでの旅の話を通して楽しい時間を過ごしていた。
チカは席を外している。何かあったら呼んで欲しいと言って部屋を出ていった。
私の予想ではあるが三人でゆっくり話ができるように気遣ってくれたのだと思う。
自分が捕まっていた間に発売された三年分のゲームソフトをこの前に購入したらしく
俗にいう積みゲーと呼ばれる物が大量にできあがってしまっているらしい。
せっかく買ったのにプレイしないことほどもったいないと言えることはない。
だがベールはリーンボックスを守護する女神である。
本人がその気になれば四六時中をゲームに充てることも不可能ではないようだが
溜まった仕事がそれを許してくれない。今はある程度処理をしつつ攻略に励んでいる。
「仕事はある程度チカに任せることはできるので、やる時間が全く無いと言うわけではないのですがそれでも時間がまるで足りないと言ったところですわね…」
「私も新しいゲームを買った日は時間が足りないって嘆くことが多いよ。やり始めて次に気が付いたら日付が変わってることだってよくある話だし」
「楽しい時間はあっという間に過ぎるからね? ゲームではそれが顕著に表れてると思うよ。だからこそ、できるときには全力でやらないと」
同じゲーム好きだからこそわかることは多いと思う。
時間は無限にあるのではなく限られているのでそれをいかに活用するかが重要である。
「舞さんは徹夜でゲームはしないのですか?」
「意識的にやるんじゃなくて、無意識にやってしまうことが多い。新しいゲームを買った日は特にね。操作を覚えたりだとか、やることが多いから。感覚を掴むことに夢中になって時間を忘れると日が変わるだけに留まらず朝になってることも過去に何度かあったから」
「その次の日が嫌なんだよね。私もクエスト行きたくないって思うことが何度かあった。でもそれを繰り返すのはよくない。それをすると本当のダメ人間になるから」
「うん。私の場合は学校が嫌になる。ベールの場合は仕事が嫌になるって形だね。最悪の場合は何もしたくないって気持ちになるかもしれない。だからある程度落ち着いてきたらやる時間を決めるのがいいと思う。毎日無理して頑張っても体によくないし、落ち着いて楽しめないよ。だからベールも無理しないほうがいいよ。積みゲーが溜まってて大変なのはわかるけど」
「そうですか…。私は一刻も早く積みゲーを処理しないといけないと思っていたのですが、気を張り過ぎていたのも事実ですわ…。ここ最近はチカにもあまり構ってあげられませんでしたから」
「ゲームをすることも大切だけど、人との繋がりはもっと大切だよ。私は友達からの誘いは断らずに全部受けてたから。気持ちのコントロールが重要だね。抑えるときはきちんと抑えないと。これはゲームに限ることなく言えることだと思うよ」
「舞さんの言う通りですわね…。この前はギルド戦の最中にお茶を持ってきてくれたチカに厳しく当たってしまいましたし…。買い物に誘われた時もネットで予約していたゲームの受け取りを理由に断りましたから…」
「チカはベールがどれだけゲームが好きなのかわかってるとは思うけど、三年間も会えなくて寂しかったとは思うからなるべく構ってあげた方がいいんじゃないかな?」
「わかりましたわ。それにしてもやはり女神候補生達をこれまで導いてきただけはありますわね。何というか大人だなと思えるところがありますわ」
「ゲームの話から説教みたいな感じになってごめんね? ユニに初めて会った時も何だか大人っぽいねって言われたよ。体の見た目はネプテューヌとそこまで変わらないんだけどね。身長や胸とかの意味だけど。ベールみたいなスタイルにはなれそうにないよ」
「身体的特徴ではなくて心という意味ですわ。それに胸が大きいと大変なこともあるんですわよ? ネプテューヌとブランはよく突っかかってきますけど」
「あれだよね? 重いから肩が凝るだとか、大きくなったから下着をまた買い換えないといけないとか…。昔に読んだ漫画に出てくるベールくらいの大きさの人が言ってたよ。まぁ、私にも一生わからない気持ちだろうね」
アリアは色々なところで私と似ている。
最初に上げる点としては髪の色とゲームが好きなところ。
身長や胸の大きさも私とそう変わらないのだ。
「そんなところですわ。これでネプテューヌとブランをからかうのは面白いからいいんですけど。大きい物を持つが故の悩みもあると言うことだけは知っておいてほしいですわね」
「まぁ、からかうのは程ほどにね? さて、これからどうしようか?」
壁にかかった時計を見ると時刻は夕方。私の世界ではこの時間になると
外で遊んでいるお友達は早くお家に帰りましょうと言う放送がかかる時間。
流石にこのゲイムギョウ界ではそのような物は無いのだが。
「いつお帰りになる予定ですの?」
「夜にネプテューヌと遊ぶ予定になってるけど、帰る時間は決めてないね」
「そうですか。舞さんとアリアさんに差し上げたい物があるんですが、少し待っていただいてもよろしいですか?」
「私とアリアに…?」
「ええ。お話をしてる最中に思いつきましたの。今からそれを取ってきますわ」
ベールはゲーム部屋に向かう。数分経つと大きな箱を二つ抱えて部屋から出てきた。
「これって?」
「中にはノートパソコンが入っていますわ。今使っているPCが万が一壊れた時のために買い置きをしていた物ですけど、こちらを舞さんとアリアさんに差し上げますわ。これで四女神オンラインや他のゲームをするのは勿論、ネットで調べ物をする際にも有効に使えると思います。何かわからないことがあれば私に聞いてください」
「すごく嬉しいプレゼントだけど、これって高いんじゃないの?」
「まぁ、それなりに値段は張りますが、気にしないでください。私達女神をギョウカイ墓場から助けてくれたこと、今日はこのリーンボックスに遊びに来てくれたお礼ということで持って帰ってくださいな」
「これはいい物をもらったね。四女神オンラインをする時はパソコンが無くてネカフェでプレイするしかなかったけど、これで舞と一緒の部屋でネトゲができるから嬉しいよ」
「そうだね。ありがとう、ベール。大切に使わせてもらうね」
「ええ。それと気になっていたのですが、アリアさんは銀翼騎士団の団長なのですか?」
「そうだよ。さっきはチカのパソコンで久しぶりにログインしたけど、誰一人欠けることなく私を待っててくれた。舞にも入ってもらう予定だけどね」
「やはりそうでしたか。銀翼騎士団が明日からの女神フェスに参戦すると言う話題が既に上がっていましたわ。明日からの女神フェスは荒れそうですわね?」
「そうだね。団員の皆には好き勝手に暴れることを許可してきたから。私と舞は夜に参戦する予定だよ。期間中は私と何人かで舞のサポートに回る形になるけど、久々の女神フェスの参戦で士気が異常に上がってるから今までのように行かないと思うよ」
「そうでしょうね。銀翼騎士団の団員は歴戦の強者と言える高レベルプレイヤーが揃っていることで有名ですから。私達も負けないようにいつも以上に頑張る必要がありそうですわ」
「ゲームの中ではお互いに競い合う敵同士になるけど、参加するからには全力で楽しみたい。お互いに頑張ろうね?」
「勿論ですわ。これは明日からの女神フェスが楽しみで仕方がありませんわね」
私はまだ始めたばかりなのでまだ役には立てそうにないができることを頑張ろうと思った。
現実でもゲーム内のイベントでも自分にできることを頑張ることは大切だと考えている。
ノートパソコンが入った箱を持ってプラネテューヌに帰ろうとすると…。
「ベールお姉様。入ってもいいですか?」
「チカ? 何かあったのかしら?」
ベールがドアを開けてチカを部屋の中に入れる。
「あら? あなた達、もう帰るの?」
「うん。何かあったの?」
「今日は5pb.のライブがあるのよ。ベールお姉様にそれを伝えるのを忘れていて…」
「まあ…。それは見に行かないといけませんわね? 舞さんとアリアさんはどうします?」
「ライブか…。見に行ってもいいかな?」
「私も行くよ。ライブを生で見るの初めてだから。街のスクリーンとかに中継で映ってたのは見たことあるけどね」
「じゃあ、これからみんなで見に行こうか?」
パソコンが入った箱をベールの部屋に置いてライブ会場に向かった。
今回のライブは前回リーンボックスに訪れた時の大型ライブの会場で行われる。
「相変わらずと言っていいのか人がいっぱいだね?」
「こんなにも人が集まるところに来たのは初めてだよ。ここって特別席なのかな?」
私達は前回のライブの際に5pb.が用意してくれた特別席に座らせてもらっている。
今回はベールとチカの計らいでこの場を貸してもらう形になった。
「そうだね。前のライブの時はこの席を5pb.が用意してくれてたんだ。一応この席ってVIP専用みたいだけど、アリアも女神なんだからVIP扱いになるんじゃないかな? 私は違うかもしれないけど…」
「そんなことはありませんわ。女神候補生達を導いて私達をギョウカイ墓場から助けてくれた舞さん。その舞さんをここまで導いてくれていたアリアさん。お二人は私達と同じゲイムギョウ界を守護する女神と言っても過言ではないですわ」
「そうなのかな? 私のこの力はアリアから借りてるだけに過ぎないよ。この力は最終的には返さないといけないよね?」
「それは舞が考えて選ぶことだよ。返さないといけないなんて決まりはないから。ただ、銀の女神の力を舞が完全に継承することを選んだその時は舞自身が私に次ぐシルバーハートになる。これがどういうことかわかる?」
「私がネプテューヌ達と同じ女神になるってこと…?」
「そういうこと。私の力を完全に継承したら舞は本物の女神になる。それは同時に舞の人間としての人生の終わりを意味するの。向こうの世界の友達と同じ時間を生きることはできなくなる」
「それは、不老不死みたいになるってことでいいのかな?」
「その考え方で間違っていません。私達女神は普通の人間と違って寿命で死ぬということはないですから。戦いで命を散らすかシェアが枯渇するか…。女神が死ぬ、言い換えれば消滅する要因は私が知る限りではこの二つだけですわね。それに身体的な特徴も変わることはありません。私もそうですがネプテューヌやノワール、ブランにも同じことが言えますわ」
「そうなんだ…。ベールとアリアはこれまで女神としてずっと生きてきたんだよね?」
「ええ。今までのことを振り返ると楽しいことばかりではありませんでした。私は先代の女神が作ったこのリーンボックスという国を受け継ぐ形になりましたが、これまでに多くの素晴らしい人達と出会うことができました。ネプテューヌ達と舞さんとアリアさんもその中に入っています。今まで頑張って生きてきてよかったと思っていますわ」
「私は女神として生まれた理由はわからないけど、セレナやシエルと出会ってこのゲイムギョウ界を旅する中で色々な人達と出会うことができたよ。今までの時間で積み上げてきた物はかけがえのない宝物だって思ってるよ。舞には考えて選択をする時間がある。最終的にどっちの世界を選ぶのかもそうだけど、これも余裕があれば考えてみてほしい」
「わかった…。きちんと考えて自分の答えを出すよ。自分の選択に後悔はしたくないからね」
「なんだか難しいお話になってしまいましたわね。私も相談に乗ることくらいはできますから、困った時は頼ってくださいな。どうやらライブが始まるようですわよ?」
ゲイムギョウ界と自分が元いた世界、どちらを選ぶのか。
アリアの力を完全に継承するのか、しないのか。
どちらも私の人生を大きく左右する重要な選択であることは間違いないので
時間をかけてしっかり考えることで自分で納得の行く答えを出さなければならない。
今はまだいいかもしれないがその答えを示さなればならない時は必ずやってくる。
ベールの言葉にステージの方へ視線を移すとカラフルなライトに照らされて
リーンボックスの歌姫である5pb.がその姿を現した。
5pb.がステージに上がった瞬間に観客のテンションが最高潮まで高まる。
その流れに乗せて歌を披露する5pb.は初めて見た時よりも大きな輝きを放っていた。
チカの話によると今回のライブは女神救出後の初ライブと言うことである。
二曲目が終了すると5pb.は観客に向かって笑顔で手を振る。
特別席に座っている私達に気が付いたようでこちらを向いて手を振る時もあった。
三曲目に入る前にステージの準備などのために休憩が入る。
5pbとケイブが私達のいる特等席にやってきた。
「舞さん、アリアさん! ライブを見に来てくれていたんですね? 観客の皆さんに手を振ってる時に気が付いて驚きましたよ!」
「うん。今日はリーンボックスにアリアと遊びに来てたんだ。5pb.のライブがあるって話を聞いてね? ベールとチカの計らいでこの席を貸してもらったの。やっぱり5pb.はすごいと思ったよ。ステージの上であれだけ輝くことができるんだから」
「舞さんだって同じですよ。よかったらステージに一緒に出てみませんか? 観客の皆さんもきっと喜ぶと思いますよ!」
「あはは…。それもいいかもしれないね。5pb.のファンの皆さんには約束を果たして帰ってきたことを報告しないといけないし」
「それはそれで面白いことになりそうね。今日はリーンボックスに来ていたと言っていたけどあなた達は最近どう過ごしているの?」
「今は一緒にネプテューヌの仕事を手伝いながら、ゲイムギョウ界の国を回ってるよ。回る順番を決めた結果、一番最初がリーンボックスになったから今日は来たんだ。まぁ、束の間の平和を謳歌させてもらってると言ったところだよ」
「そう。楽しんでいるようで何よりだわ」
「うん。明日はラステイションだね。その次の日にルウィーに行く予定だよ」
「あなた達も忙しい身なのね。それで、5pb.の提案はどうするのかしら?」
「出てみようかな。せっかくのお誘いを無下にしたくはないし。私が出ることでライブが台無しにならないか心配だけど…」
「5pb.が言ったようにあなたなら問題ないと思うわ。あのライブで5pb.と一緒にステージに帰ってくると宣言したあなたを待っている人達もいるはずよ」
「じゃあ次の曲から出ればいいのかな?」
「そうですね。ボクと一緒にステージに上がってもらえれば」
「歌った方がいいよね? 一応サビの部分だけなら歌えるけど…」
「舞さんの好きなようにしてください。一緒に歌ってくれたらすごく嬉しいですけど」
「わかった。頑張るよ」
私と5pb.はステージに向かう。
最初に5pb.が出て合図をもらったら私がステージに出る形だ。
「みんな、お待たせ! 早速、次の曲へ行くよ! と言いたいところだけど今日はボクに勇気をくれた大切な人が来てくれてるんだ! 次の曲はその人と一緒に行かせてもらうよ!」
5pb.が右手を上げる。それが私がステージに上がる時の合図だ。
「改めて紹介するよ! 彼女が神奈 舞さん! 覚えてる人はいるかな?」
「うおおおお! 舞ちゃんキター!」
「まさかのサプライズ!? 俺、このライブに来れてよかった…!」
「覚えていてくれて嬉しい。今日はリーンボックスにたまたま遊びに来てたんだけど、5pb.のライブがあるって聞いてね。あの時に交わした約束の通り、ステージに帰ってきたよ」
「ってことは…」
「その通り。もうみんなも知ってるとは思うけど、女神は救出できたよ。この会場にはみんなが信仰するリーンボックスの女神のベールが来てくれている。私達の役目はこのライブを最高のライブにすることだよ。そのためにみんなの力を貸してくれるかな?」
「わあああああ!」
観客のテンションが上昇する。
この流れに乗せて5pb.と歌う曲はこれだ。
「それじゃあ、三曲目行くよ~! きりひらけ! ロープレ☆スターガール!」
私はサビの部分を一緒に歌わせてもらった。
何度か聞かせてもらったことはあるのだが完全には覚えきれていないのだ。
それにしても歌うということ自体がかなり久しぶりと言える。
ゲイムギョウ界に来る前に友達に誘われたカラオケが最後だったはず。
上手く歌えるか不安はあったが、声は普通に出るから大丈夫だった。
「うおおおおお! 5pbちゃんと舞ちゃん、最高ぉぉぉ!」
「アンコール! アンコール!」
「ということみたいですけど、どうしましょうか?」
「アンコールには応えてあげたいんだけど…」
『なら、いい方法があるよ?』
私の頭の中にアリアの声が響いてくる。
『舞のゲームの記憶にはある歌姫が登場するゲームがあったよね? それをイメージしながら女神の力を解き放ってみてよ。面白いことになるから』
私はアリアの言葉通りにイメージしながら女神の力を解き放ってみる。
銀色の光が私の体を包む。プロセッサユニットが装着されるかと思ったが
変わったのは私の服装と髪型だけだった。
「これは…!」
「舞さん、すごく綺麗です…!」
今の私の服装は星の輝きを連想させるような純白色のドレス。
さらに後ろから髪を持ってきて確認すると髪型はツインテールに変わっていた。
「まさか、この衣装を着れるとは思わなかった…! 5pb.ここは私に任せてもらってもいいかな?」
「はい…! 舞さんの歌、ボクにも聞かせてください!」
『そのまま強いイメージを抱き続けて。音楽が始まるよ…!』
アリアの言葉の数秒後にとある曲の音楽が勝手に流れ始める。
どのような仕組みなのかはわからないが、この流れを逃すわけにはいかない。
私が歌うのはこの世界に来る前に付箋を貼ったリズムゲームに登場する曲。
これは最初から最後まで歌詞をしっかり覚えているので歌う上での問題は無い。
ゲーム内の動作を可能な限り再現して最後まで笑顔を絶やさずに歌いきる。
「うおおおおお!」
私は笑顔で観客に手を振ると、銀色の大きなシェアの光を背後に作り出す。
「ありがとー!」
私は歌を聞いてくれた観客の皆さんにお礼を言い
銀色のシェアの光の中に向けて歩いて行きそのままステージを後にする。
その後は5pb.が流れを引き継いでくれてライブは大盛況の下に終了した。
元の服装に戻った私は憧れの衣装を着てあの曲を歌えたことに喜びを隠せない。
ゲーマー同士のトークから始まったリーンボックスの一日はこれにて終了となった。
というわけで何とか更新することができました。
木曜と金曜の時間を使って作った舞さんのキャラ設定を
活動報告に上げているので興味がある方は一度見てみてください。