ノワールとユニ、重厚なる黒の大地ラステイションを守護する
黒の女神姉妹と様々な話で盛り上がることで楽しい時間を過ごす私とアリア。
今は何の話をしているかというと、普段は何をして一日を過ごしているのかという話題。
ノワールとユニは国を守護する女神と候補生という立場もあって忙しい毎日を送っているようだ。
書類整理だけではなく、クエストに行ってモンスターを退治したりと女神の使命を全うしている。
ノワールが戻ってきてからは二人で戦闘訓練を行うことが増えてきている。
体術と剣術を主にして行うようだが、ノワールの話によるとユニは本当に三年前とは
比較にならないほどの強さを身に着けていると感じることが多いとのこと。
「ユニったら、私が見たことのない技を使うようになったからそれでよく一本を取られるのよ…。昔は取らせない自信があったんだけどね」
「アタシがここまで来れたのは舞のおかげなのよ。あの時、舞と出会うことが出来なければアタシはきっと今も一人ぼっちになってたと思うわ…」
「そうかな? 私は最後のユニの質問に答えただけだよ? あの時に一番頑張ったのはネプギアだよ。ネプギアはあの時のユニの気持ちに正面から全力でぶつかった。私は二人が和解できるように自分にできることをしただけだよ」
「舞はよく自分にできることをしただけって簡単に言うけどそれってすごく難しいことだと思うよ? 舞には人の上に立つ…というか導いて行く素質があるんじゃないかな?」
「どうだろう…。私は学校では率先して行動するタイプではなかったけどね。あまり目立ちたくなかったし。私はこのゲイムギョウ界に来た時は何をすればいいのか全然わからなかったけど、自分で動かないと何も始まらないからとりあえず動いてみたって感じだよ。そうすれば自分にできることも何か見えてくるかなって思ったから。何だかんだでここまで来ることができたからよかったと思ってるよ」
「何と言うか…。今まで私が会ってきた人達とはまた一味違った考え方を持っているようね。あなたは女神候補生であるユニ達を繋いでいると言ったところかしら。ユニから教えてもらったのだけれど、ハード・リンクって言ったわね? ユニだけじゃなくてネプギアやラムとロムも見たことのない技を使うって聞いたわ」
「そうだね。ネプギアと発現したのが始まりだった。それからはトリックやブレイブとの戦いをきっかけにラムとロム、ユニとも繋がることができた。次はハード・ユニゾンを目指す形になるね。今はまだネプギアとしかできないんだけど」
「多分セレナがまたクエストを出してくると思うよ。というかもう出てるんじゃないかな? 後でギルドの特定人物指定クエストの掲示板を見に行ってみればいいと思う」
リーンボックスでネプギアと一緒に戦ったランドクイーンとの戦いでは
ハード・ユニゾンからのネプギアの最大の技を再現することで勝利を掴むことができた。
次に私達を試す相手は一体誰になるのだろう。強敵が控えているのは間違いないと言えるが…。
「例えばの話だけど、私が舞とハード・リンクを発現させればユニと同じような形で新しい技が使えるようになったりするのかしら?」
「ハード・リンクの効果はお互いの記憶の共有みたいだからね。私はユニの記憶からユニの技を、ユニは私のゲームの記憶から技を習得する。ノワールの場合だと剣術と格闘術が中心になると思うよ。魔法が使えるならそれも習得できると思う。ノワールは今のままでも十分強いとは思うけど、発現したらお互いにさらなる高みを目指すことができるはずだよ」
「そうは言ってもハード・リンクは狙って発現させるような物じゃないわよね? ユニは確かブレイブ・ザ・ハードって奴との戦いで発現したって聞いたけど」
「何かしらの条件はあるね。私がセレナとハード・リンクを発現させたのは、私を捕らえていたファントムハート…。当時、他の女神の国を奪おうとした女神をセレナや他の女神達と倒した時だったから。セレナがゴールドハートとして再臨した時には私達は既に繋がってた。戦いの中で発現したのは間違いないと思う。ユニちゃんの場合はそれがブレイブ・ザ・ハードとの戦いだった…ということだね」
「そういうことになるんでしょうね。アタシはあの時、ブレイブの質問に答えることができなくてアイツの重圧に押しつぶされそうになった。でも、舞のおかげで自分の答えを示すことができたの。それと同時に強く思ったわ。舞と一緒にどこまでも行きたい。そして、困ってる子供達を助けたいって。そうしたら暖かくて優しい光がアタシと舞を繋いでくれた。それからアタシは戦いの度に頭の中に流れてくる技を可能な限り自分の物にする努力を始めた。でも、まだまだ足りないわ。ブレイブに勝つためにはまだ足りないのよ…」
「そうだね。ギョウカイ墓場で再会した時、ブレイブも次に戦う時は全力で応えてやるって言ってたから。頑張らないといけないよね。私達の正義を示すためにも…」
悲しいことに私達の掲げる正義とブレイブの掲げる正義は明確に違ってきている。
互いに相容れない以上は戦って自分の正義を示す以外の方法は無いと言える。
「私もユニに抜かされないようにしないといけないわね…。あなた達は一体どこまで強くなるつもりなのかしら?」
「どこまでも…だよ。強さには終わりが無い。さらなる高みを目指したいって気持ちがあればどこまでも飛んで行けるって私は信じてる。だからこれからも私はみんなと一緒に強くなってみせる」
「なるほどね。私も可能な限りあなた達の助けになれるように努めるわ。これでも剣の腕には自信があるから、舞やユニ達が望むなら何度でも相手になってあげるわ。最もそう簡単には勝たせないけどね? 私はラステイションを守護する女神なんだから」
「あはは…。これは大きな目標ができたね? その時はお世話になるよ」
マジェコンヌ四天王の筆頭であるマジックは三年前にノワール達を打ち破っている。
今まで何度か口にすることもあったが残る四天王と最後に控える犯罪神に立ち向かうためには
ノワール達守護女神の強さを上回るつもりでやらなければならないのも事実である。
「まぁ、気を入れ過ぎないようにすることも重要よ。私から言えるのは一つ一つ結果を積み上げていくこと。頑張って積み上げてきた結果は自分を裏切らない。これは私自身が身を持って体験したから言えることよ。焦っても強い力は手にできないわ」
ノワールの言葉はかなり説得力のある物だった。
守護女神としてラステイションという国を背負ってきたからこそ言えることだろう。
経験者の言葉は重みが違うというのは世界が変わっても同じなのだろうか。
「なんだか固い話になってしまったわね。私だけじゃなくてベールやブラン、ネプテューヌにも頼るといいわ。ネプテューヌは普段はあれだけど、戦闘においては私と互角に張り合う力を持っているから。よかったら気分転換にこれから外にでも出てみる? 行きたいところがあるなら案内するわよ」
「私はネプテューヌに行きつけの店でプリン買ってきてって言われてるから場所を教えてもらってもいいかな? 帰りに買って帰るから。ついでにギルドで依頼が来てないか確認しようと思う」
「舞にパシリをさせるなんて…。あの子をあまり甘やかさないほうがいいわよ?」
「大丈夫だよ。その分ちゃんと仕事させてるから」
「それ本当なの? あの子が真面目に仕事をしてるところなんて見たことないけど…」
「プリンで釣ってるのは事実だけどね。それでも毎日、真面目に頑張るようになってるよ。スペックは高いから紫の女神様にどうやってやる気を出させるかが重要になってくる」
「あの子の扱いまで手馴れてるなんて、恐れ入るわ…。じゃあその店まで行ったらギルドでいいかしら? アリアはどこか行きたいところはないの?」
「私はセレナに会いに行こうかな。セプテントリゾートにいるって舞から聞いてるから行ってみたいと思ってるよ」
「確か相方の金の女神だったわね。わかったわ。とりあえずいきつけのお店の場所から案内するからついて来てくれる?」
私達は気分転換という名目でラステイションの街に出る。
ネプテューヌの行きつけの店までたどり着いたがノワール他の場所も案内してくれた。
特に興味を持ったのがラステイションの街の中央に位置する大きな工場。
最高の物を作りたいという熱き魂を持った職人達が集い毎日汗を流して頑張っている。
武器や防具を始め、電化製品や服などもここを中心とする工場で作られて市場に並ぶのだ。
ゲイムギョウ界で最も技術が進んでいるのはプラネテューヌになるのだが
そのプラネテューヌとはまた一味違った趣がある。
帰りに寄る店の場所をノートに簡単に纏めて忘れないようにすると次にギルドに向かう。
見に行くのは特定人物指定クエストの掲示板。
「あっ、私宛てのクエストが何件か上がってる…。またやっておかないと行けないね」
掲示板を見てみるとアリア個人に対するクエストが何件か上がっていた。
先日のギルドカードの更新によってアリアが戻ってきたという情報が知れ渡ったのだろう。
「舞宛てのクエストはこれだね。三件上がってるよ。全部セレナからだね」
アリアが取ってくれた依頼書を確認する。
ターゲットはジェネラルドラゴン・ブラッドフェンリル・ツインサーペント。
ランドクイーンと同じように私が過去にプレイしたゲームで戦った相手なのは間違いない。
「またどれも聞いたことのないモンスターね。舞はどんな奴かわかるの?」
「うん。大体の予想はついてるよ。三つ用意されてるってことは今度はユニとラムとロムの番ってことになるね。私と一緒にどのモンスターを倒しに行くか話し合って決めないと行けないね。決めたら事前にできる対策は私から説明するよ」
「どうして舞はこのモンスターのことを知ってるのよ。私もこれまでたくさんのモンスターと戦ってきたけど、聞いたことないわよ?」
「ここに書かれてるモンスター達は私が過去にプレイしたゲームに登場するモンスターを再現した物だから。前にネプギアと一緒に倒したランドクイーンっていうモンスターがいたけど、そいつは私がゲームの世界で過去に倒したモンスターだったからね。倒したって言っても体力が尽きない限り死ぬことが無い分身を操作しての話だけど。でも、強敵を打ち破った先には新しい力がある。それがハード・ユニゾンだよ」
「その力を得るために舞とユニはそいつらに立ち向かうってわけ?」
「うん。セレナからもらった宝玉を使えばターゲットのモンスターがいる場所に乗り込める。そこに行けるのは私と私が選んだもう一人だけなんだ。前回はネプギアと一緒に行ったから今回はユニとラムとロムにお願いしようと考えてる。ノワールと一緒に行くこともこれから先にあると思うからその時はよろしくね?」
「わかったわ。その時が来たら遠慮なく言ってちょうだい」
順番的に考えるならば次に控えているセレナからのクエストはそれぞれ
ネプテューヌ・ノワール・ブラン・ベールと一緒に立ち向かうことになるだろう。
また、一度だけでは終わるとは限らない。強いモンスターはいくらでもいるのだから。
私達はクエストを受注してからセレナに会うためにセプテントリゾートに向かった。
パープルディスク達は女神帰還の際にそれぞれの守護する場所に帰っているので
代わりにラステイションを守護していたセレナを連れてくることはできると思う。
ファントムハートが言っていたようにアリアが武術の達人でセレナは魔術の達人である。
現在は魔法の原典を奪われた状態だが、彼女に教えてもらいたいことだってあるのだ。
そんなことを考えているとセレナとブラックディスクがいる最奥部に辿りついた。
女神化状態を解除したセレナの姿は黒色の布地に金色の月の模様が入った着物姿である。
白を基調としたドレスのアリアとは対照的なイメージが強い。
「来てくれたんだね…。改めて言わせてくれるかな? おかえり、アリア」
「ただいま、セレナ。心配かけてごめんね? もう離れないから」
アリアはセレナを優しく抱きしめる。
銀の太陽と金の月が長き時を経て再び交わった瞬間であった。
「ふむ…。相方が戻ってきたのだ。私の代わりにこの土地を守護してくれたこと、感謝する。これ以上、お前をこの場に留めておくわけにはいくまい。お前もこれからは舞達と共に行くがよい。私は十分に楽しませてもらった。今度はお前が楽しむ番ではないのか?」
「あなたがそう言ってくれるなら行かせてもらおうかな。またみんなで集まる時は私に言ってよ。留守中は私がここを守るから。この土地は私にとって特に思い出のある場所だからね」
「それって…」
セレナの言葉に私は一つの予想を立てる。
「舞の思ってることで正解だよ。このラステイションの大地はかつてセレナが守護していた国があった場所でもあるんだ。だいぶ昔の話にはなるけど確かにこの場所には煌めく金の大地があった。だからセレナにとっては思い出が詰まった場所なんだよ。戦いが終わってからの旅の最中に何度か足を運んだことがあったから」
「煌めく金の大地か…。ラステイションの前にはそんな国があったのね…」
「失った物はもう取り戻せないけど、それでも私はアリアと出会うことができてよかった。そして今度は舞やネプギアちゃん達と出会うことができた。私もこれから協力させてもらうよ。ゲイムギョウ界の真の平和を取り戻すために」
「ありがとう。これからよろしくね?」
「うん。こちらこそよろしく」
私とセレナは握手を交わす。
銀の太陽と金の月が再び揃った時、世界は新たな夜明けを迎える。
私達はまだ誰も知らない明日を迎えるためにも今を精一杯生きなければならない。
刻一刻と迫るマジェコンヌの兇刃もみんなで力を合わせればきっと乗り超えることができる。
私はこれからもみんなと一緒に強くなってこの楽しい日常を守りたいと思った。