激ノワの時は無理だったので嬉しい限りです。
バーチャフォレスト最奥部に異常発生したモンスターの群れを
ネプテューヌ達と駆逐した私はアリアとセレナと一緒に
プラネタワーの屋上からルウィーに向けて飛び立つ。
訪れるのはこれで三度目なのだがやはり雪国ということもあって
ルウィーに近づくにつれて寒さが増してきた。
だが空から見てみると降り積もった雪が大地を白く染めていて美しいと感じる。
雪国ならではの美しさがそこには確かに存在しているのだ。他の三国にもそれぞれの
魅力があるがルウィーの魅力と言えば雪が作り出す美しい景観ではないかと私は思う。
「到着…っと。やっぱり寒いね…。行動する上では全く問題はないけど」
「この寒さもなんだか懐かしく感じる。ルウィーでクエストをしてた頃はこれに耐えながらモンスター狩りを続けてたから」
「寒さに慣れるまでが大変だったよね。あの頃の経験があって今はもう全然平気だけど」
街周辺の雪原やルウィー国際展示場付近は街と比較すると気温がさらに低いので
この寒さに慣れない内や長時間のダンジョン探索を行う際には対策が重要になってくる。
気が付いた時には自分の体力が寒さに奪われて危険な状態になることも少なくは無いのだ。
一般的な寒さ対策としては店で売られている防寒具を購入して装備するか
暖房ドリンクと呼ばれるアイテムを購入して探索の際に使うことが挙げられる。
元から寒いのが平気だったり、寒さに慣れてしまったと言うのであれば
無理に対策を講じる必要は無い。その辺りは自分で判断して行動することだ。
私達はルウィーの教会に向かう。教会の入り口の前にある広場に着くと…。
「いえーい! これで完成ね!」
「やった…! 舞お姉ちゃん、これを見たら喜んでくれるかな…?」
「二人が一生懸命作った物なんだから、きっと喜んでくれるわ。噂をしていれば来たみたいね」
ラムとロムが作っていたのはなんと私の雪像。
「舞お姉ちゃん…!」
ロムが走って私に抱き着いてきた。頭を撫でると嬉しそうな表情を浮かべてくれる。
「あーっ! ロムちゃんばっかりずるい! わたしにもしてよ!」
続いて近づいてきたラムの頭を撫でる。
「やっぱり舞ってお姉ちゃんみたいよね。見てるこっちが癒されてくるわ」
「ユニ。待たせちゃったかな?」
「気にしないで。アタシが教会に着いたらラムとロムが雪で舞の像を作るんだって張り切ってたからアタシもそれを手伝ってたのよ。とは言っても直接作業をしたわけじゃないけどね」
ユニはラムとロムの作業を見ながら簡単にアドバイスをしていたとのこと。
舞の特徴を再現するために的確な指示を二人に飛ばしながら製作を進めた結果、
完成したのが舞の雪像。命名するならば雪舞である。
「舞お姉ちゃん、どう?」
「驚いた? ロムちゃんとユニで頑張って作ったのよ?」
「驚いたって言うのも当然あるけどそれよりも嬉しい。ありがとう!」
本当に嬉しかった。それと余談にはなるが全員分の雪像を作って並べたら
素晴らしい絵になりそうな気がする。それはまたの機会にすることに。
ちなみに雪舞にはセレナが魔法をかけて崩れないようにしてくれた。
「ブランは仕事中なのかな?」
「うん…。お姉ちゃん、ルウィーに帰ってきてからずっと忙しそうにしてる…」
「ミナちゃんもお姉ちゃんが帰ってきてからは大忙しだから遊び相手がいないのよ…」
ラムとロムは女神候補生ではあるがまだ幼いこの二人には女神の仕事は厳しい。
やり方を教えればネプギアやユニのように直接手伝うことも不可能ではないと思うが。
「そっか。とりあえず挨拶だけしておこうかな」
キラーマシンとの戦いの際に最上級魔法を無理やり行使して倒れた時に
休ませてもらった部屋なので場所は覚えている。ドアの前に立つとノックを三回する。
「どうぞ…」
「お邪魔するよ」
「舞…! それにアリアとセレナも…! いらっしゃい…」
「ブラン、忙しいのにごめんね? 挨拶だけでもしておこうと思って」
「気にしなくていいわ。来てくれたのは本当に嬉しいけど、見ての通り仕事がまだ片付いていないのよ。なるべく早く片付けるようにするからそれまではラムとロムと遊んでてくれるかしら?」
ブランが座っている椅子の前にある机には書類の束が積み上げられている。
この部屋で休ませてもらった時に見た物とあまり変わらない量の書類が積まれていた。
あの時に積まれていたのをブランが既に処理しているとしても相当な量である。
国の頂点に立つ守護女神がいかに大変なのかが誰が見てもわかる状態だった。
手伝おうかと思ったがノワールの時と同じように断られると思った。
余計な手出しはしないという結論に辿りついたのでそのまま仕事部屋を後にする。
今度はラムとロムの部屋に向かい、次に控えるクエストの件を話し合うことになった。
「ブラン、かなり忙しそうだったね…。ブランの仕事が終わるまでの間に例のクエストの件を話し合っておこうか?」
「例のクエストって何の話よ?」
「舞お姉ちゃん、何かやっつけに行くの?」
「うん。実は今日ルウィーに来た目的は遊びに来ただけじゃないんだ。私がネプギアと一緒にランドクイーンってモンスターを倒した話は覚えてる?」
「舞がしてたゲームの敵をネプギアと倒したって話だったわね? ってことは…」
「今度はわたし達が舞お姉ちゃんと一緒に行くの…?」
「二人が考えてることで正解。次はユニとラムとロムの番だよ。クエストは三つあるから誰がどのクエストに私と一緒に行くかを決めたいんだ」
「アタシは誰が相手でもいいけど、ラムとロムはどうかなって思ったの」
「こいつらってどんなモンスターなの?」
「気になる…。舞お姉ちゃんがゲームで倒したってことはきっと強い…」
「そうだね。今回のターゲットについては特徴だけ簡単に説明していこうかと言いたいところだけど、その前にセレナに一つ聞いてもいい?」
「何かな?」
「例えばの話だけど、この水晶が再現する相手が通常の武器じゃない特殊な武器でないと倒せない敵だったりした場合はどうなるの?」
「舞が言ったようなモンスターだった場合でも倒せないってことにはならない。この水晶はゲイムギョウ界のモンスターって扱いで再現するから、普段通りに戦ってくれれば問題ないよ」
「それならよかった…」
「それをセレナに聞いたってことは今度の相手はそういう奴らなのかな?」
「うん。ジェネラルドラゴンとブラッドフェンリルがそれに該当してくるね。ゲーム内の設定では通常兵器が効かないってことになってるから。その性質まで再現される場合は正直言って勝ち目が無くなる。セレナの答えを聞いてそれは無いとわかったからいいけど」
「なら、アタシ達は普段通りの武器で戦えばいいのね?」
「それで大丈夫だよ。次にそれぞれのモンスターの対策だね。ジェネラルドラゴンとブラッドフェンリルは両方とも氷属性が弱点だよ。ツインサーペントは特に弱点とする属性は無い」
「氷属性なら用意できるわ。ラムとロムも氷属性の魔法が得意だからやり易い相手じゃないの?」
「属性の相性的にはそうなるね。ジェネラルドラゴンは動きが素早いのが特徴だよ。それに加えて人間を模倣したかのような動きをしてくるから強い。ブラッドフェンリルはモンスターを自分の元に集結させる能力がある上に呼び寄せたモンスターの能力を強化することができる。ツインサーペントは潜行能力と毒が厄介かな。モンスターの特徴を簡単に纏めてみたけど」
「どのモンスターも強そう…。あの変態に勝つためにはこいつらを倒せるくらいの力が無いと無理ってことよね?」
「まぁ、トリックに限らずにこの先に控えてる強敵に勝つためには越えなければならないとは思うよ。ネプギアと同じようにハード・ユニゾンを発現させれば大きな力になるはずだよ」
「舞お姉ちゃんと一緒に頑張って強くなる…。でも、どれを選べばいいの…?」
「問題はそこなのよね。舞の説明を聞けばある程度の対策は立てることができるけど…」
「舞が決めればいいじゃない。最初にユニが言ったようにわたしとロムちゃんもどのモンスターと当たっても全然平気よ。あまり難しいことは分からないからわたしは舞に任せることにするわ」
「わたしも何が来ても舞お姉ちゃんと一緒に頑張る…。だから舞お姉ちゃんが選んで?」
「アタシもどのモンスターと当たっても全力を出すだけね。舞、ここはアンタが決めるべきよ」
「わかった。それじゃ、私が振り分けるね?」
私が振り分けた結果は以下の通り。
ジェネラルドラゴンはユニ。ブラッドフェンリルはラム。
ツインサーペントはロムと一緒にそれぞれ戦うことになった。
「順番はどうしようか?」
私がした質問にゆっくりとではあるが手を上げる人物が一人いた。
「行ってみたい…」
「まさかロムが一番最初に立候補するとは思わなかった。なら、一番最初はロムだね。ユニとラムはどうする?」
「じゃあ、アタシが二番目に行くわ。ラムが先に行きたいって言うなら譲るけど」
「別にいいわよ。お楽しみは最後に取っておけってことよね。それで、いつ行くのよ?」
「私は午後からならいつでも大丈夫だよ。朝は練習とネプテューヌの仕事を手伝わないと行けないから無理だけどね。みんなはどうかな? もしよかったら明日から順番に行こうと思ってる」
「アタシはそれでいいわ。その時になったら呼んでくれたらプラネテューヌまで行くから」
「わたしもオッケーよ。前と違って外出はできるようになってるから、わたしとロムちゃんも呼んでくれたらプラネテューヌに行くわ」
「わたしも大丈夫…。舞お姉ちゃんのお仕事が終わったら呼んで…?」
「二人は携帯とか持ってるの?」
「ケータイ? これのこと?」
ラムが鞄から取り出したのは桃色の小さい通信端末。
外出先で万が一何かあった時の連絡用としてブランから渡されたらしい。
「わたしも持ってるよ…? これで舞お姉ちゃんと連絡を取ることができるの…?」
「初めて見るタイプだね。Nギアなら問題無いとは思うけど…。貸してもらってもいい?」
ラムとロムから端末を受け取って操作していく。
すると電話番号が現れたのでそれを私のNギアに登録する。
連絡を取るための簡易的な端末のようで他に目立った機能はついていないようだ。
「これで大丈夫かな。また明日の午後に連絡を入れるよ。必要な物は私の方で準備しておくから」
今回のターゲットとの戦闘で必要になるのは回復アイテムは勿論のこと
ジェネラルドラゴンとブラッドフェンリル対策に火の耐性を高める装飾品と
ツインサーペント対策にデトキシンが必要になるところだ。
今日はプラネテューヌに帰ったらショップを覗いてみることにする。
「さて、ブランの仕事はまだ終わらないのかな?」
私が呟いたその時、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「ラム、ロム。入ってもいいかしら?」
「お姉ちゃんだ! 入ってもいいよ!」
「随分と待たせてしまったわね。とりあえず仕事が落ち着いたから様子を見に来たのだけど、今は何をしているのかしら?」
「明日から行く予定のクエストの話をしていたところだよ。少し特別なクエストなんだ。 ブランにもお願いすると思うからその時はよろしくね?」
「…? よくわからないけど、呼んでくれたらその時は手伝うわ」
「ありがとう。これから何をしようか?」
「はい! 鬼ごっこか缶けりがしたい!」
「体を動かすのはあまり得意じゃないんだけど…。やるなら参加してもいいわ」
「わたしも運動は苦手だけど、最近は朝にラムちゃんと体を動かしてるから大丈夫だよ?」
「なら、外で遊ぼうか。その後はゲームでもする?」
「それでいいんじゃない? 寒いけど外で遊ぶのも悪くは無いと思うわ」
「割とみんなアウトドア派だね? 私もそれでいいよ」
「私も異議無しかな。外で遊びまわるのっていつ以来になるのかわからないけど」
外で遊ぶことが決定したので全員で教会の外に出る。
たまたま空き缶が辺りに無かったので鬼ごっこをすることになった。
舞台はルウィーに最近できたテーマパークのスーパーニテールランドである。
鬼ごっこを始める前に逃げることのできる範囲を限定しておく。
ランド内は広い上に土管など別の場所に移動することができるギミックもあるので
ある程度範囲を絞らないと流石に厳しいところがある。
十人以上の大人数でやる時は全域にしてもいいかもしれないと思った。
鬼はじゃんけんで敗北した二人が担当して残りの五人が逃げる形。
結果として私とアリアが鬼になったので三分間待ってから追跡を開始する。
体を動かすのは苦手というのは本当だったようでブランを一番最初に確保した。
その次にアリアがロムを確保して戻ってきた。ここまでの流れでは首尾は順調だが
本当に大変なのはここからだった。ユニとセレナは気配を消すのが巧いようで見つからない。
建物の影などを重点的に探すと見つけることはできるのだが
二人とも運動能力が高いので見つけたとしてもすぐに逃げられてしまう。
アリアと挟み撃ちする形でセレナとユニを確保したところで最後の強敵であるラムが残る。
素早い動きに加えてこの遊園地の構造を把握しているらしく、見失ってしまうと
次にラムを見つけた時には前の場所から距離的にも離れた場所にいることが多いのだ。
だが、それで諦める私達ではない。ラムは意識していないと思うが
ラムのこれまでの逃走経路を振り返ってみると多少の違いはあれども
似たようなコースを描いていることに気が付いたのでそれを先読みすることで
アリアに待ち伏せてもらい私がひたすら追いかけてアリアがいる場所に誘導する。
流石に一回で成功とはいかなかったが、最終的にはアリアがラムを確保してくれた。
やはりラムのように小さくてアウトドア派の子はかなり手強いと実感した。
ラムを捕まえるのに思った以上に時間がかかってしまったので
残りの時間は教会に戻ってゲームをすることに。
今度はネプテューヌ達も入れてランド全域を範囲にした鬼ごっこを開催したいと思った。
ブランに提案したらゲイムギョウ界が真の平和を取り戻した時にするという結論に纏まる。
楽しい時間はあっという間に過ぎる。私が暮らしていた世界でもこのゲイムギョウ界でも
それは変わらないことなのだと改めて実感させられたルウィーの一日だった。
私情の影響で更新ペースが落ちてきました。
連日の暑さに負けずに何とか挽回していきたいです。