超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

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Game62:激動の三日間の始まり

スーパーニテールランドでの鬼ごっこを終了した私達は再び教会に戻ってきた。

次はラムとロムの部屋でゲームをして遊ぶことになった。

 

今回使うゲーム機は前回と同じくW11-Uだが、使うのは普通のコントローラではない。

代わりに用意されたのは白い板。この上に乗って操作するタイプのようだ。

 

この白い板はミナが買ってきた物。ブランが捕まっている間に発売されたらしい。

無線式の通信を利用してW11-Uに接続することで使えるようになる。

実際に体を動かしながらゲームをするのだが、付属されているソフトを使えば

体重測定などができるようでこれを使って健康管理も行えるとのこと。

 

「これも面白いわよ。この白い板に順番に乗ってバランス年齢を測定できるの」

 

「年齢か…。失敗すると高い数値が出るの?」

 

「そうね。下手な人ほど高い数値が出るわ。ちなみにわたしの記録は13歳よ」

 

「うわぁ…。40歳くらいとか出たらどうしよう…。恥はかきたくないわね…」

 

「まぁ、そうならないように頑張ってやってみようか」

 

ジャンケンで決めた順番に板に乗ってバランス感覚を競って行く。

その結果、バランス年齢は次のようになった。

 

ユニが20歳、セレナが15歳、ロムが28歳、アリアが12歳、私が13歳。

最も高い数値を叩きだしたのはブランだった。なんと40歳という結果に終わる。

 

「私が最下位…? ロムにも負けるなんて…」

 

「まあこういうこともあるよ。気持ちは分かるけど落ち込まないで」

 

「くっ…。今のはゲームが悪いんだ! 舞、別のゲームで勝負しやがれ!」

 

「!?」

 

突然豹変したブランに私は驚きを隠せなかった。

目が赤い点になっている上に口調も先ほどとは打って変わって荒々しい。

どうやら下手に励ましたのが起爆剤となってしまったようだ。

 

「あ~。お姉ちゃんが怒った! ほら、前にわたしとロムちゃんが言った通りでしょ?」

 

ラムとロムのいたずらによって怒りが限界に達したブランはこのような状態になる。

ネプテューヌはこのブランをキレる若者と呼称しているようだ。

 

「あらら…。舞、これは逃げるわけには行かないね?」

 

「勝負しろって言われたら相手になるよ。ブラン、私に勝てるかな?」

 

「上等だ! テメェに勝つまでやってやるからな!」

 

ブランと戦うのはボクシングゲーム。リモコンのコントローラを振って

パンチを繰り出す簡単なゲームなのだが、怒ったブランはコントローラを乱暴に振り回す。

 

「うりゃ! うりゃ!」

 

「そんな適当な一撃が私に効くわけない。反撃行くよ!」

 

ブランの操作するキャラの連続パンチを捌き切り、強烈なアッパーを叩きこむ。

コントローラを乱暴に振り回すと破損に繋がるのでよい子は真似しないように。

 

「わわ! お姉ちゃん、壊さないでよ!?」

 

「乱暴に振り回したら危ない…」

 

「うるせー! 本気を見せてやる! 覚悟しやがれ、舞!」

 

「何度でも相手になってあげるよ」

 

私とブランの戦いはそれから一時間以上続いた。結果は私の全戦全勝である。

冷静さを欠いたらそこまでだ。私はゲームで敗北した時に自分の操作に置いて悪い点が無いか、

そして勝利するためには何をすればいいのかを改めて考えるようにしている。

 

「う、ぐぐぐ…。悔しい…」

 

「帰ってきたら部屋が騒がしいので来てみたらこれは一体…」

 

「あっ、ミナちゃんだ! おかえり~! お姉ちゃんが舞にゲームでコテンパンにされた」

 

「舞お姉ちゃん、やっぱり強い…。前にラムちゃんに勝ってるから…」

 

「まあ、今回ばかりはドンマイとしか言えないわね。舞にゲームで勝てるのってラムかアリアかネプテューヌさんくらいじゃないの?」

 

「ユニの言う通り私がゲームで敗北してるのはラムとネプテューヌとアリアくらいかな。でも世界にはまだまだたくさんの猛者達がいるよ。上には上がいるってことだね」

 

ブランは部屋のベッドに寝転がっている。コントローラを乱暴に振り回した結果がこれである。

ちなみに私はブランのように激しい動きはしていないのでそこまで疲れていない。

 

「それで熱くなり過ぎた結果がこれですか…。普段から運動しない人がいきなり激しい運動をしたらこうなるのは目に見えてますよ。舞さんに勝つには最低でもロムのように少しでも体を動かすなりして生活習慣を改めるべきですね」

 

「ううう…。ちくしょー!」

 

ゲイムギョウ界に来てからは随分とアウトドア派になった気がする。

普段は本当に家から出ないのだが、旅を通して積極的に外に出るようになったので

自然と運動できるようになってきたと思う。事実上の引きこもり脱却である。

 

「私はいつでも相手になるから。ゲームで勝負したい時は呼んでくれたらいいよ」

 

相手が望むのであれば私は何度でも相手になる。望まないのならば相手にはならない。

これは私のゲームにおける信条と呼べる物であり、我が神奈家の教訓の一つである。

相手に再戦を挑まれたら何度でも自分の全力を以て戦え。という物があるのだ。

このようにゲームに関わる奇妙な教訓が我が神奈家には複数存在しているので

ゲームを通じて話す機会があれば紹介したいところではある。

 

ブランが筋肉痛でリタイアとなったので残りの時間は自由に過ごすことになった。

ラムとアリアとユニは引き続きゲーム対戦を行っている。

今回は参加せずにセレナとロムと一緒に読書をすることにした。

ロムに絵本を読んであげたりしたのだがふと本棚に目を通すと気になる本を見つけた。

 

「クリスティン漂流記…?」

 

試しに1巻を取って読み進めると思った以上にハマってしまった。

赤髪の冒険家がゲイムギョウ界のダンジョンに隠された謎を解き明かすために冒険する。

険しい山を越えて、どこまでも広がる海を渡り、時には手強いモンスターとも戦う。

そんな冒険家のお話。著者はアロル・クリスティンと言う人物である。

 

「この本、私も全巻持ってた。この物語はクリスティン先生が実際の冒険の最中に体験した出来事を元に作られてるんだよ」

 

「どうして知ってるの?」

 

「実際に会ったことがあるからね。その時に聞かせてもらったんだよ。あの人は本物の冒険家だからね。今もこの世界を旅してるのかな…」

 

セレナの言葉にある人物の姿が私の脳裏に浮かんだのだが

彼女とはプラネテューヌで最後に分かれて以来は会っていない。

いつかまた会える日が来ると私は信じている。

 

旅の思い出に浸りながら読み進めているといつの間にか時刻は夕方になっていた。

ゲームに限らず何かに集中していると時間という物はあっという間に過ぎていく。

 

「もうこんな時間か…。帰らないといけないね」

 

「舞お姉ちゃん、帰っちゃうの…?」

 

「うん。プラネテューヌに帰ってもやらないといけないことがあるから」

 

プラネテューヌに帰ったらショップに行って必要な物を揃えないといけない。

それが終わったら夜はまたいつものようにゲーム三昧である。

 

「明日の仕事が終わったらロムに連絡を入れるからよろしくね?」

 

「わかった…。舞お姉ちゃんと一緒にクエスト…。頑張る…!」

 

「気合十分だね。一緒に頑張ろうか。ブラン、私達は帰るね?」

 

「ええ…。ごめんなさい…。いきなり怒鳴っちゃって…」

 

「気にしないで。負けたら悔しいのは私だって同じだから。さっきも言ったけどブランが望むならゲームの勝負はいつでも、何度でも受けるから。仕事も大変だとは思うけど、ラムとロムともなるべく一緒に遊んであげてね。クリスティン漂流記、読ませてもらったけど面白かったよ」

 

「あの本の面白さがわかるなんて、中々やるわね…。クリスティン漂流記は全巻あるから読みたければ借りていっても構わないわよ?」

 

「ありがとう。またルウィーに来た時に読ませてもらうことにするよ。プラネテューヌに帰ったら何だかんだでやることが多くて忙しいからね。それを言い訳にして結局、読まないで終わるのは嫌だから。また来た時に読ませてもらうよ」

 

「そう…。今日はあまり話すことができなかったけど、次に来た時はゆっくり紅茶でも飲みながらお話をしましょう」

 

「ふふっ。それもいいね。楽しみにしてるよ。今日は楽しかった。また来るからね」

 

私達はそのままルウィーの教会を後にしてプラネテューヌに帰還する。

教会に帰る前にショップに寄って明日からのクエスト攻略に必要な物を買う。

 

購入したのはデトキシンを10個と獄炎の指輪を3個。

ダメージを受けた際の回復アイテムとしてヒールポッドを20個。

 

獄炎の指輪は火属性の攻撃の威力を軽減する効果がある。

ジェネラルドラゴンとブラッドフェンリルは強力な火属性の技を使うので

これを使って被弾した際のダメージを抑える必要がある。

 

より強力な効果を持つ物として煉獄の指輪、炎神の指輪という物があるのだが

煉獄の指輪は値段が張るので必要な分を揃えるだけのお金が厳しい。

さらに炎神の指輪については自分で開発しなければならない。

こちらは素材さえあれば何個でも作ることはできるが、その際に煉獄の指輪と

炎系モンスターの素材を消費するので今の私には正直厳しいところがあるのだ。

 

必要な物を揃えることはできたのでプラネテューヌの教会に帰還する。

ちなみにお金の問題だが、旅の最中に稼いだお金が残っている上にイストワールも

仕事の報酬として出してくれているので割と懐には余裕があったりする。

無計画に使うとあっという間に無くなるのはもはやお約束と言ってもよい。

いつの時代もお金のご利用は計画的にしなければならない。

 

帰ってからはいつも通りにネプテューヌとのゲーム対戦と

自分が掛け持ちしているゲームの攻略を進めて次の日の朝を迎える。

朝は朝練と仕事、昼は自由に、夜はゲーム三昧。これが今の私の一日の流れだ。

 

朝練を終えたら特殊女神化状態のネプテューヌを筆頭に全員で仕事に取り掛かる。

今日は書類整理だが昨日からセレナが加わったことによって作業効率は非常に良いと言える。

セレナはネプテューヌの隣につきながらネプギアと共にサポートをしている。

かつて国を守護していたこともあってこの手の業務は得意のようだ。

仕事を進めていると、ある人物が教会にやってきた。

 

「お邪魔しますわ」

 

教会にやってきたのはリーンボックスを守護する女神であるベール。

 

「ベール? 来てくれたところ悪いけどもう少しだけ待ってもらえる?」

 

「ネプテューヌが真面目に仕事をしてる…。私は幻覚を見ているのでしょうか…」

 

「幻覚じゃないよ。そう見えるのも仕方ないと思うけどね」

 

「終わったわ。それで何の用かしら?」

 

「その瞳は…。口調も普段と違いますわね…。どういうことなのでしょうか…」

 

混乱しているベールに特殊女神化のことを説明する。

 

「そのような女神化があるのですね…。つまりネプテューヌの瞳と口調が女神化した時の物に変わっているのはその特殊な女神化を行使しているからということですか…」

 

「これをするとネプテューヌの集中力が上がって仕事が早く片付くから。プリンを報酬に毎回お願いしてるんだよ」

 

「舞さんも大変ですわね…。少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか? 実はネプギアと舞さんにお願いしたいことがありまして」

 

「お姉ちゃんじゃなくて、私と舞さんにですか…?」

 

「ええ。実は私の代わりにこのイベントに出て頂けないかと思いまして…。それで今日はこちらに来させてもらったというわけですわ。まずはこのチラシを見てくださいな」

 

ベールから貰ったチラシに目を通していく。

第5回四女神オンラインファン感謝祭コスプレイベントと書かれている。

今日の夜にリーンボックスで開催される大型イベントのようだ。

 

「へえ、コスプレですか…。って、ええええ!?」

 

「これに参加したら何か貰えたりするの?」

 

「ええ。参加者には記念品として四女神オンラインで使うことのできる限定アイテムのダウンロードコードがもらえますわ。実は今日の夜は女神同士の重要な会議が入っておりまして。それがなければ自分で参加するのですが…」

 

「会議…? そんな話あったかしら?」

 

「この前に話したでしょう? まさか忘れていたのですか?」

 

「そのまさかよ。あなたに言われるまで完全に忘れていたわ。思い出させてくれてありがとう。ということは今日の舞とのゲーム対戦はお預けになるわね」

 

「いつもの姿でその口調はやはり違和感がありますわね…」

 

女神化状態でもどこか抜けているのは変わらない。それがネプテューヌである。

 

「ま、待ってください! 私、コスプレなんてしたことないですよ?」

 

「それは私も同じだけどね。どんな服を着るのかな? 流石に恥ずかしい衣装は嫌だけど」

 

「舞さんの言う通りですよ。こういうのって露出が多い服を着たりするんですよね?」

 

「その点は問題ありませんわ。私達がギョウカイ墓場に捕らわれている間にゲイムギョウ界青少年育成健全条例なる物が制定されてしまいまして、露出が多いコスプレも規制の対象になってしまったのですわ」

 

「それって条例が無かったら恥ずかしい恰好だったってことですよね…?」

 

「そういうことになるね。実際、私は四女神オンラインをしてるから限定コードが貰えるなら恥ずかしい思いをしても参加する価値はあるんだけど…」

 

「まぁ、来年にはそんな条例なんて女神権限で廃止にする予定ですけどね」

 

「職権乱用ってやつだね。セレナも昔そんなことしてなかったっけ?」

 

「流石にそれはしてないよ…。確かに女神ならできるけど、それは国民の反感を買う危険が高いからね。みんなが望んでるなら別だけど」

 

「というわけで参加をお願いしますわ。衣装は私の方で用意しておきますから夕方にリーンボックスまで来てください。他に誘いたい人がいるならその人達と一緒に来てくれても構いませんわ」

 

「断れる雰囲気じゃないね? イベント限定の報酬があるから参加するよ」

 

「私も舞さんと一緒に参加します。ユニちゃん達に声をかけたら来てくれますかね?」

 

「どうかな? ネプギアが誘いたいのなら声をかけて見たらいいと思うよ。こういうイベントもみんなで参加すれば楽しいかもしれないね」

 

「わかりました。後で連絡を取って見ます」

 

「感謝しますわ。それではよろしくお願いしますね」

 

四女神オンラインファン感謝祭コスプレイベントに参加することが決定した。

 

「舞さんは今日は午後からどこかに出かけるんですか?」

 

「まあ。予定は入ってるよ。ロムと一緒にクエストに行くから、それが終わってからだね」

 

「ロムちゃんとですか? それってもしかして…」

 

「ネプギアの考えていることで正解だよ。ロムだけじゃない。明日はユニと、その次の日はラムと一緒に行く予定になってる」

 

「ユニちゃんとラムちゃんも…。今回はどんなモンスターと戦うんですか?」

 

「まぁ、詳しい話はロムが来た時にするよ。その時にイベントの件もロムにお願いしてみたらいいと思う」

 

「わかりました!」

 

「さて、ロムに連絡を入れておこう。出れるように準備しとかないと…」

 

私はNギアを取り出してロムに連絡を入れる。

ラムと一緒に今からプラネテューヌに向かうとの返事をもらったので

私は準備をして二人の到着を待つだけだ。

 

午後からのロムとのクエストが終わったらコスプレイベントが控えている。

今日も今日とていい意味で忙しい一日になりそうだった。

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