超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

7 / 132
Game5:姉が考えたアイテム

コンパにネプギアを任せて私とアイエフはビッグスライヌに立ち向かう。スライヌが集まって大きくなっただけとは言っても油断はできない。

 

「ぬ~ら~!」

 

ビッグスライヌは力を込めると体当たりを繰り出してきた。体の大きさも手伝って攻撃範囲が普通のスライヌの倍以上になっている。ネプギアを守った時は運よく発動した力もあって盾で防ぎきれたけどこういう大きい敵の攻撃は防ぐよりも敵の攻撃範囲から逃れることでしっかり回避することが重要だ。何でも盾で防げばいいという物ではなく防ぐべき攻撃と回避すべき攻撃の見極めが必要になってくる。

 

「危ないね…! 動きが遅いのが救いだよ」

 

体当たりを回避した私は呟く。合体して大きくなった分素早さが落ちている。攻撃範囲が広いうえに素早い相手もこの先出てくるだろうけど。

 

「舞、あいつの気を引いて少しだけ時間を稼いでくれる?」

 

「やってみるけど、何か策があるの?」

 

「それは見ていればわかるわ」

 

アイエフは目を閉じて集中する。足元には赤い魔法陣が浮かび上がっている。

 

「なるほどね。その役目引き受けたよ。術者を守るのは前衛の役目だからね。」

 

アイエフの策を理解した私はビッグスライヌに攻撃を加える。通常のスライヌよりもぶよぶよした感覚が増していて手ごたえが微妙ではあるが全く効いていないわけではないようだ。ビッグスライヌは再び私のほうを向いた。

 

私の足に装着されている銀色の装甲。まるで自分の体の一部のように不思議と体に馴染む。スライヌと戦った時よりは激しく動いているのに足に疲れを感じない。私は動きを止めないようにして体当たりを避け続けその隙に剣撃を叩きこむ行動を繰り返す。大したダメージにはなっていないだろうが、私の目的は時間稼ぎなのだから気にしない。

 

「舞、離れて!」

 

準備ができたようなので、ビッグスライヌから距離を取る。

 

「行くわよ。魔界粧・轟炎!」

 

ビッグスライヌの足元から炎の柱が次々と立ち上りその体を焼く。ぶよぶよした体は物理攻撃に耐性はあるだろうが、魔法攻撃なら別だ。このようにぶよぶよした敵や防御が固い敵は魔法攻撃に弱い傾向がある。イレギュラーとして魔法攻撃を吸収したり、無効にする敵もいるだろうがビッグスライヌに対しては効果は抜群のようだ。

 

「一気にたたみかけるわ。舞、私に続いて!」

 

アイエフはカタールでビッグスライヌに斬りかかる。魔法攻撃で体勢を崩せば物理攻撃の効果も増すようだ。

 

「とどめ、もらうよ」

 

効果抜群の魔法攻撃とカタールの連撃を受け、満身創痍のビッグスライヌにとどめの一撃を与える。ジャンプして自分の全体重を乗せてその体に剣を深く突き刺す。シンプルだが過去にしていたあるゲームでは8つある剣術の奥義の内の1つである。

 

とどめの一撃を受けたビッグスライヌは光となって消滅した。予想外のボス戦は私達の勝利で幕を閉じる。足についていた銀色の装甲もいつの間にか消えていた。

 

「やったわね」

 

「うん。アイエフは魔法も使えたんだね」

 

「少しだけどね。ゲーム好きのあんたには馴染みがあったかしら。私が集中し始めた時もすぐに動いてくれたから安心して発動出来た。ありがとう」

 

「お見通しか…。私にも使えるかな?」

 

「どうかしら。時間が空いた時にでも教えてあげるわ。魔法が使えるかどうか試してみる価値はあるだろうし」

 

「その時はお願いするよ」

 

ボス戦をきっかけにアイエフに魔法を教わることになった。様々なゲームに登場する魔法使いには憧れを持っていたので期待に胸を膨らむ。

 

「あいちゃん、舞さん。大丈夫でしたか?」

 

「うん。突然のボス戦で驚いたけど、なんとかなったからよかったよ」

 

「そうね。にしてもネプギア、あんた女神化できなくなったの?」

 

「ご、ごめんなさい。私、その…。また、何もできなくて…」

 

「ま、何か理由があるんでしょうけど聞かないでおくわ。クエストの目的は達成できたからギルドに戻って報告しましょう。」

 

「わかったよ」

 

「はい…」

 

私達はバーチャフォレストから出てプラネテューヌのギルドに戻る。アイエフが受付にクエスト達成の報告を終えて戻ってきた。

 

「最後に報告をしてクエストはおしまい。どう? 流れは掴めたかしら」

 

「理解できたよ。報告を忘れたらどうなるの?」

 

「未達成扱いのままよ。条件をクリアしていても、報告しないとクエストを達成したとはみなされないわ。だから条件をクリアしてもそのままにしないこと。いい?」

 

「わかった」

 

最後に報告か。苦労して条件をクリアしたのに未達成扱いのままは流石に堪える。

 

「あの、舞さん、アイエフさん。さっきは本当にごめんなさい…」

 

「次に頑張ればいいよ。誰だって全力を出せない時くらいあるって」

 

「舞さんの言う通りです。あまり自分を責めたら駄目ですよ」

 

「でも…。私、また何もできなくて」

 

「そこまで落ち込むとはね。じゃあ、私から1つ依頼を出させてもらうわ。この依頼を舞と一緒に達成して少しでもいいから自信を取り戻して。いつまでもそんな調子じゃ、ネプ子達を助けるなんて無理よ」

 

「あいちゃん、ちょっと言い過ぎじゃないですか?」

 

アイエフは敢えて厳しく言っている。アイエフなりの優しさだ。

 

「それで、ネプギアと何をすればいいのかな?」

 

「まずはこれを見てくれるかしら」

 

アイエフが私達に見せてくれたのは何かの企画書のようだが何が書かれているのか読めない。こんなことは言いたくないが字が汚い。

 

「これって、アイテムの企画書ですか?」

 

「そう。3年前にネプ子が作って私のところに持ってきたんだけど字が汚くて何が書いてあるのかさっぱりなのよ。読めるのは開発するのに必要な素材のところだけ。ネプギアならネプ子の字が読めるでしょう?これに書かれているアイテムを作って私のところに持ってきて。それがあんた達に出す依頼よ」

 

「ネプビタンの企画書。必要な物は…ハーブとスライヌゼリーと黄色い花びらですね」

 

ネプビタン? それってまさかあのファイト~!一発!のドリンクの親戚か何かだろうか。そして、その字を解読できるネプギアを素直にすごいと思った。流石は姉妹である。ネプギアが言うには、解読できるのは自分とイストワールくらいだそうだ。

 

「ハーブならバーチャフォレストで採取できるですよ」

 

「スライヌゼリーはわかると思うけど、黄色い花びらは同じバーチャフォレストに現れるチューリップってモンスターから取れるわ。チューリップも雑魚モンスターだから、そこまで難しい内容じゃないはずよ」

 

「素材を集めて、新しいアイテムを作り出す…か。いいね。私こういうの大好きなんだよね。その依頼受けるよ」

 

「わかりました。お姉ちゃんが考えたアイテム、必ず完成させてみせます!」

 

ネプギアも気合い十分のようだ。ネプビタンの開発に必要な素材を集めるため、準備をして再びバーチャフォレストへと向かう。

 

「まずはハーブからだね。どこにあるのかな」

 

「あの辺りとか、どうでしょう?」

 

ネプギアは水辺の植物が多く生えているところを指さした。その場所に近づいてみると、いい香りを放つ薬草が生えていた。これがハーブかな。

 

「なかなかにいい香りだね。よし、採取しようか」

 

ゲームのキャラクターを動かしてアイテムを採取する時と同じ動作をする。何故普通に採取しないのかと突っ込みを受けそうだがそこは気にしない。ただ、やってみたかっただけなのだから。ちなみにネプギアは普通に採取をしていた。

 

「次はスライヌゼリーと黄色い花びらですね」

 

「そうだね。噂をしていれば来たみたいだよ」

 

二体のモンスターが姿を現す。一体は先ほど戦ったスライヌ。もう一体は黄色いつぼみのような頭部が特徴的な植物型のモンスター。

 

「こいつがチューリップかな。ネプギア、スライヌをお願いしてもいい?」

 

「わかりました」

 

私はチューリップに盾を構えながら接近する。最初は動きの観察。攻撃は頭部に当たるつぼみの部分を振りかざしての頭突きのようだ。アイエフの言った通りこいつも雑魚モンスターだからなのか、特に強力な攻撃はしてこない。

 

「今度は私の番だね」

 

私はチューリップに斬撃を繰り出す。何度か当てるうちに気が付いたのだが、頭部に当たるつぼみと体に当たる茎の付け根の部分が弱点のようだ。その部分に突きをお見舞いする。私の剣がチューリップの体を貫き、チューリップは光となって消滅した。

 

チューリップが消えた後には黄色い花びらが残されていたのでそれを回収する。ネプギアの方も片が付いたようでその手には青色のゼリーが入った瓶があった。

 

「よし、これで揃ったね。で、これをどうすればネプビタンができるの?」

 

「えっと、3つの素材を企画書の近くに置いてくれますか?」

 

ネプギアが広げた企画書の近くに集めた素材を置く。すると企画書と素材が光を放つ。ボンッと言う音が鳴り、企画書の近くに置いた素材が紫色の煙に包まれる。煙が晴れるとそこには素材は無く、代わりにNと書かれたラベルが貼られた小さな茶色の瓶が置かれていた。中には液体が入っている。どうやらこれがネプビタンのようだ。飲むとパワーがみなぎってくるのだろうか。

 

「これで完成? てっきり混ぜ合わせるのかと思ってたけど」

 

「このゲイムギョウ界では企画書と言う形でアイデアを出せば、誰でも好きな物を作れるんです。こういう物が作りたいっていう思いを企画書に書けば、必要な素材が自動的に企画書に追加されます。逆に素材が出てこない場合はゲイムギョウ界で作ることはできないってことです。企画書と素材が揃えば今のような形で新しいアイテムが作り出せます。それと、開発に成功した企画書をお店に持っていくと開発したアイテムがお店に並ぶことがあるんですよ?」

 

「なるほどね。私も何か企画書を作ってみようかな」

 

「いいと思いますよ。素材集めなら私も手伝いますから。舞さんもいい企画書が出来たら見せてくださいね」

 

一緒に素材集めをしてお姉さんが考えたアイテムを作り出すことができたからかその表情に先ほどのような曇りは完全に消えていた。これがネプギアの本来の表情なのだろう。その笑顔は眩しいくらいに輝いていた。

 

「自信は取り戻せた?」

 

「まだ怖いですけど少し自信がついた気がします。舞さん、街に戻る前にお話を聞いてもらってもいいですか?」

 

「いいけど、急にどうしたの?」

 

「街に帰ったらアイエフさんとコンパさんにも話すつもりですけど、舞さんに先に聞いてほしいんです。私があの時、女神化を使えなかった理由を」

 

「何か理由があるんだろうって思ってたけど、あの時は聞ける雰囲気じゃなかったからね。聞かせてもらってもいいかな?」

 

「はい」

 

ネプギアが女神化を行使できない理由。それには四女神が幽閉される発端となった三年前のギョウカイ墓場での戦いが関わっていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。