超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

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Game68:女神の亡霊が語るは…

ユニと共にジェネラルドラゴンの討伐に成功し、

さらにタコ焼きパーティで盛り上がって教会に帰った私に

アリアから伝えられたのはアンチクリスタルの採掘依頼だった。

 

イストワールの調査によると、ギョウカイ墓場の地下に鉱脈が存在するらしい。

護衛として結晶の女神クリスタルハートことシエルが同行してくれることになった。

当日に備えていつもより早めに眠りに就いた私はNギアの目覚ましで目を覚ます。

 

まずはいつも通りにアリアとセレナの指導の下でネプギア達と朝練をする。

時間は毎日1時間程度だが十分密度の濃い練習ができていると思う。

 

ネプギアは二刀流、ユニは弓、ロムとラムは新属性の魔法の練習を積み重ねていく。

私は今日から練習に加わってくれることになったネプテューヌと戦うことになった。

やると言った以上はしっかりやるのがネプテューヌのいいところではないかと思う。

 

「実は舞とは一度戦ってみたいと思ってたんだよね~」

 

「それは私も同じかな。最初はお互いに普通の状態で打ち合ってみる?」

 

「時間もあまり無いんだし、最初からお互いに全力で行こうよ! というわけで括目せよ!」

 

ネプテューヌの体が淡い光に包まれる。

象徴とも言える紫のシェアの光を纏い、彼女は大地に降り立つ。

革新する紫の大地が守護女神、パープルハートの降臨である。

 

髪の色は薄い紫色から濃い紫色に変わり、十字キー型の髪飾りは

黒地に薄い緑色の十字模様が入った丸い髪飾りに変化している。

 

さらにネプテューヌの普段の武器である大剣は太刀に変化した。

ギョウカイ墓場でジャッジと戦う際にネプギアが覚醒させた物と同じ、

紫と黒を基調としたプロセッサユニットを纏っている。

 

改めてその姿を見ると変身前とはまるで別人のようである。

身長もかなり伸びているし胸もかなり大きくなっているのだから。

 

「私も負けてられないね…」

 

私も女神の力を解放する。髪の色は黒から銀色に。

五つのパーツから構成される銀のプロセッサユニットが装着される。

ネプテューヌと違って身長や胸の大きさ、武器の形状までは変化しない。

大剣を両手でしっかりと持ってパープルハートと向かい合う。

 

「冷たくも美しい…。私達とはまた違った感じがするわ。それがあなたの輝きなのね」

 

「ありがとう。じゃあ、早速お手わせを願ってもいいかな? 紫の女神様?」

 

「望むところよ。来なさい。銀の女神の継承者」

 

私とパープルハートの武器がぶつかり合い、鍔迫り合い状態になる。

率直に言わせてもらうと凄まじい力だ。これがこの世界を守護する女神の力…。

 

「あら…? これは何かしら?」

 

私とパープルハートを繋ぐ紫の光。それはハード・リンクの発現だった。

 

「ハード・リンクだね。これで私とネプテューヌも繋がった。見たことのない技の動作が頭の中に流れてこない?」

 

「確かに…。これは大きな力になりそうね。早速、使わせてもらおうかしら」

 

パープルハートは雷の魔力を集める。

 

「雷光よ貫け! 紫光雷牙閃!」

 

生成した雷の魔力の塊を太刀で薙ぎ払うと

雷の魔力がレーザーの如く一直線に私に襲いかかってくる。

強力な奥義を即座に自分の物としたパープルハートの凄さに驚きを隠せない。

 

「いきなり奥義を使うなんて流石だね。なら私もあなたの技を借りるよ」

 

私は再びパープルハートと打ち合う。紫の太刀から繰り出される斬撃は

一瞬でも気を抜くと武器ごと吹き飛ばされそうな程、重くて鋭い一撃である。

 

「デュエルエッジ!」

 

銀のシェアを纏わせた大剣を弧を描くような軌道で横に払って攻撃する。

 

「私の技を…。面白くなってきたわね」

 

「これからも私と戦ってくれる?」

 

「勿論よ。あなたが望むのならば私は何度でも相手になるわ」

 

「ありがとう。残り時間はあと少しだけど、全力で打ち合おうか!」

 

「望むところよ!」

 

私とパープルハートは残りの時間を全力で戦い抜いた。

やはり守護女神との戦いから得られるものも大きい。

 

ノワール達にも近い内に軽く手合わせをお願いしようと思う。

今日もいい訓練ができたところでプラネテューヌの教会に帰還した。

 

「あっ、おかえり~!」

 

教会に入るとシエルが私達を迎えてくれた。

シエルが着ているのはラステイション第一高校の制服。

黒を基調としたデザインに胸元にあしらわれたRの校章が特徴。

 

ゲイムギョウ界の四つの国をモデルにした学園が舞台のゲームに登場する衣装で

ラステイションの工房の職人達の力で忠実に再現されているのだ。

再現できる物ならば何でも形にする工房の職人達の力には驚きである。

 

「シエル、今日はよろしくね?」

 

「うん! アリアから聞いたけど舞ちゃんはいつも朝練してるんだってね? 今度から私も混ぜてもらってもいいかな?」

 

「それは大歓迎だよ。昨日も接触禁忌種を狩ってたの?」

 

「まあね。でも、かなり弱めの禁忌種だよ。昨日はナスパラディンだったから」

 

接触禁忌種はダンジョンのモンスターが変化している時に観測されることが多い。

場所によっては常時観測できることもあるがそれらは比較的弱い傾向にある。

ちなみにナスパラディンはプラネテューヌのレツゴウアイランドに生息している。

 

余談ではあるがレツゴウアイランドのモンスターが変化すると

超接触禁忌種の一体であるケルベロスというモンスターが姿を現す。

攻撃力と防御力が桁違いのため並みのレベルでは歯が立たないと言える。

 

禁忌種狩りを趣味にしているシエルも今の状態だと一人で勝つのは不可能。

アリアとセレナが加わってくれればなんとか勝てるレベルらしい。

 

「それで、今日はギョウカイ墓場に行くんだよね?」

 

「うん。アンチクリスタルを採掘しに行くことになってるよ」

 

アリアから依頼されたアンチクリスタルの採掘が今日の仕事になる。

午後からはラムとのクエスト。ブラッドフェンリルの討伐に向かう予定だ。

 

「舞、これを受けとってくれる?」

 

アリアから渡されたのは銀色に輝く刃を持ったピッケル。

なんとピッケルの刃の部分にはシェアクリスタルが使われている。

アンチクリスタルの鉱脈にこれを打ちつけて欠片を採掘するのだ。

 

「それと私からはこれ!」

 

シエルから手渡されたのはスーパーイジェクトボタンと呼ばれるアイテム。

イジェクトボタンというダンジョンから脱出する際のアイテムをシエルが改良した物。

ダンジョン内で使うことであらかじめ設定した座標に転移することができるようだ。

転移先はプラネテューヌの教会に設定されているので緊急時にはこれを使えばいい。

 

「二人ともありがとう。鉱脈の場所ってどの辺りなのかな…」

 

「舞さん、これを見ていただけますか?」

 

大きな画面に映し出されたのはギョウカイ墓場の地図。

地図には紫と赤の星のマークがそれぞれ映し出されている。

二つの星のマークは離れた場所に位置しているようだが…

 

「赤の星がアンチクリスタルの鉱脈があるポイントですね。地下に降りる道もここにあるようです。紫の星が昨日お話しをした負のエネルギーが集まっているポイントです。この場所には絶対に近づかないでください。舞さん、Nギアを貸してもらえますか?」

 

イストワールにNギアを手渡し、ギョウカイ墓場のマップデータを入れてもらう。

モンスターに注意しつつ、これで現在地を確認しながら目的のポイントに向かえばいい。

 

「ありがとう。じゃあ早速向かおうか。イストワール、お願いしてもいい?」

 

「はい。それでは舞さんとシエルさんをギョウカイ墓場に転送します。アンチクリスタルを採掘したらすぐにプラネテューヌに帰還してください」

 

イストワールは転送装置のコアとなる。

私とシエルは転送装置の光の中に入ってギョウカイ墓場に向かった。

 

「無事に到着っと…」

 

進行を開始する前に銀の大剣を具現化させて特殊女神化状態になる。

シエルの場合は通常の女神化をすると何故かドラゴンになってしまう。

それ故に普段はこちらを多用するようだ。

 

「ギョウカイ墓場はゲイムギョウ界で壊れた物達が集まる場所だけど、それと同時に信仰を失って消滅した古の女神達の魂が眠る場所でもあるんだよ。セレナが守護女神をしていた頃の女神達の魂もここで眠ってる。今では犯罪組織の本拠地と化してるけどね…。これでも昔は綺麗な場所だったんだよ?」

 

「そして今この瞬間も女神達が守護してきた世界を滅ぼそうとする犯罪神が甦ろうとしてるんだよね…。犯罪神を倒したらこの場所も元の綺麗な場所に戻るのかな?」

 

「ここまで荒れてしまっている以上、時間の経過だけでは元に戻らないかな。全てが無事に解決したらこの場所をアリアやセレナと一緒に元の綺麗な場所に戻したいって思ってるよ」

 

「その時は私もお手伝いしてもいい?」

 

「勿論だよ。むしろこちらからお願いしたいくらいだから。昔話はこの辺りで切り上げて先に進もうか?」

 

「そうだね。また一つこの世界のことが知ることができたからよかったよ」

 

私達はアンチクリスタルの鉱脈があるポイントを目指す。

襲いかかってくるモンスターをシエルと共に確実に倒しながら歩を進める。

シエルもアリアと同じく様々な武器を使用する前衛型だ。

 

シエルが使っている蒼白の大剣は振る度に美しい光の軌跡を作り出す。

重量も普通にあると思うがそれを片手で軽々と扱い敵を斬り捨てる。

 

朝練の際にアリアから教わったのだが大剣を使用する際は刃の中心を

相手の体にしっかりと当てるようにして斬るのが重要らしい。

それを意識しながらモンスターに斬撃を当てていく。

 

戦うついでにギョウカイ墓場に生息しているモンスターを纏めておくことにした。

ブタのドット絵のような姿をしたモンスターにディスク型のモンスターがいる。

 

さらに毒々しい紫色をした幽霊型モンスターに加えて

ルウィーのアタリー湿原で確認した危険種ドリームドルフィンがいた。

危険種はこちらから手を出さない限りは襲ってこないので無視して進んでいく。

 

「この奥かな?」

 

Nギアのマップデータを頼りに目標地点に到達すると地下洞窟への入口を発見した。

早速洞窟内に侵入するが内部は暗闇に覆われていて思うように先に進めない。

 

「ここは私に任せて。光よ、闇を照らしだせ! ルミナス!」

 

シエルが作り出した蒼の光の玉が闇を打ち払い、洞窟内を明るく照らし出す。

どうやら光属性の魔法が得意のようだ。セレナの指導の元で習得したらしい。

 

シエルの魔法のおかげで洞窟内を難なく進み、無事に最奥部に辿り着いた。

私達の視界に映ったのは巨大な赤の水晶。アンチクリスタルの鉱脈である。

 

「周囲の警戒は私がやるから、舞ちゃんは採掘に集中してくれる?」

 

「わかった」

 

私はアリアから貰ったピッケルを取り出すと精一杯の力を込めて水晶に打ちつける。

シェアクリスタルで作られた刃が赤の水晶に食い込み、欠片が落ちてきた。

欠片と言えども触れるとシェアを吸収されるので拾ったら即座にポーチに入れる。

 

「これくらいでいいかな?」

 

「十分だと思うよ。これで目的は達成だね。プラネテューヌに帰ろうかと言いたいところだけど…。舞ちゃん、気づいてる?」

 

「うん。いつまでも隠れてないで出てきてよ。そこにいるんでしょ?」

 

「あははっ! 流石にバレちゃったか…」

 

水晶の影から姿を現したのはなんとファントムハートだった。

 

「私達をここで始末するつもり?」

 

「まさか! そんな無粋な真似はしないよ。たまたま君達の姿を見かけたから後をつけてみただけ。せっかく会えたんだ。咄嗟の思い付きではあるけど少し面白い話をしてあげるよ。魔剣っていう言葉を聞いたことはあるかな?」

 

「その話を舞ちゃんと私にしてどうするつもり? まさか、舞ちゃんにあれを使わせる気なの…?」

 

「ふふっ…。あれは私が手に入れるのを諦めたオモチャだからね。あの剣を手にした舞を私のオモチャにできればさぞかし面白いことになりそうだとは思ってるよ」

 

「魔剣ってルウィーの歴史書にあった…。本当に今もこのゲイムギョウ界にあるの?」

 

「あらら…。そこまで知ってたんだ。舞の言う通りだよ。女神を喰らう魔剣、ゲハバーンは確かに今代のゲイムギョウ界に存在している。犯罪神を滅ぼす剣と言ってもその真価はその刃を以って女神を喰らう、つまり殺すことで発揮される」

 

「なっ…!」

 

「実際にあった話だからね。それを手にしたかつての守護女神は自分以外の女神と候補生を手にかけて犯罪神を滅ぼした後にゲイムギョウ界の支配者となった。でもね? オモチャにされていたのは彼女の方だったんだよ。最後には魔剣に喰われて消滅した。なぜ私がこんなことを知っているのかと言うとその女神こそ私がかつて守護していた国の先代守護女神だったから。誰が残したのか知らないけど当時の映像記録はそれはもう酷いの一言だね」

 

「その話を私にして、あなたは何がしたいの?」

 

「私は舞をオモチャにしたい。ただオモチャになってもらうだけでも十分だけど、魔剣ゲハバーンが加わればもっと面白いことになると思ったからこの話をしてみただけ。近い内に復活を遂げる犯罪神を倒せなければ、女神の亡霊である私も滅びるしか道は無くなる。どうせ滅びるなら舞に魔剣を取ってもらうのも一興かと思ってね」

 

「相変わらず歪んだ考えだね。とても守護女神だった存在だとは思えないよ」

 

「きゃはははっ! それは今の私にとっては褒め言葉でしかない! これだけではつまらないなぁ…。せっかくだしもう一つ面白い話をしてあげるよ。君はどうして女神化するとドラゴンになっちゃうのか気にならない?」

 

ファントムハートはシエルに問いかける。

 

「あなたは私の何を知ってるって言うの?」

 

「全部だよ? 君の力を奪った時から頭に流れ込んでくる光景があってね。最初はそれぞれが独立した記憶の断片だったけど、それらを繋ぎ合わせることである物語が出来上がった。それを今から話してあげる。それはドラゴンと一つになった守護女神のお話…」

 

私達の前に姿を現した女神の亡霊が語るのはある守護女神の物語。

シエルが女神化するとドラゴンになる理由が明かされようとしていた。

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