超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

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Game70:多忙な守護女神達

結晶の女神クリスタルハートことシエルが女神化するとドラゴンになる理由。

その理由は既に滅亡した別次元のゲイムギョウ界の物語に隠されていた。

 

守護女神戦争の果てに滅亡した別次元のゲイムギョウ界…。

ドラゴンと女神が一つになり誕生した女神龍、初代クリスタルハート。

滅びを迎える世界に最後まで残った結晶の女神の子孫。それがシエルなのだ。

空の名を持つ少女は銀の女神の継承者と共に精一杯生きることを決意する。

 

この美しい世界を犯罪神なんかに破壊させるわけには行かない。

迫る戦いの時に備えて私達はさらなる高みを目指して進まなければならないのだ。

 

ただ、私の脳裏から離れない単語が一つある。女神を喰らう魔剣、ゲハバーン。

ルウィーの歴史書に綴られていた物語は実際に過去に起きた出来事なのだという事実。

どこに眠っているのかわからない上に女神を殺さなければその力を発揮しない魔剣など

使うという選択肢は最初から無いと言い切りたいのだが、それができない私がいるのだ。

 

力を合わせて犯罪神を倒すことができればそれで全ては平和に解決すると言える。

だが、ゲハバーンを使わなければならない状況に追い込まれたら?

悪いことにファントムハートは私に魔剣を使わせようと暗躍していると思われる。

 

自分の意思で魔剣を手にしたその時、私と言う存在はどうなってしまうのだろうか。

私自身がどうなるにしても最悪の結末だけは避けなければならない。

そのような状況を作り出さないように今自分にできることをやっていくのだ。

プラネテューヌの教会に無事に帰還した私は一旦思考を停止して頭の中をクリアにする。

 

「二人とも、おかえり。無事に戻ってきたみたいだけど、何かあったの…?」

 

「ファントムハートに会ったの。あいつは私と舞ちゃんに魔剣ゲハバーンの話と既に滅亡した次元のゲイムギョウ界のとある守護女神の物語を語ってまたどこかに消えていったよ。あいつが話してくれたおかげって言うのは癪だけど、私が生まれた理由を知れたのは良かったと思ってる。私は今を精一杯生きるって舞ちゃんと約束したんだ。だから私も一緒に戦うよ。この素晴らしい世界を破壊させるわけにはいかないから」

 

「何だか吹っ切れたって感じだね。改めて考えると私もセレナもシエルのことをわかってなかったのは事実なんだよね。後で聞かせてくれるかな?」

 

「うん。明日からは私も舞ちゃんとネプギアちゃん達の鍛錬に付き合うことになったから。私も一緒に強くならないと…。適応化能力を奪われたからって言い訳はしたくないからね」

 

「シエルが入ってくれたら鍛錬もさらに密度が濃くなるね。舞とネプギアちゃん達は磨けば磨くほど光る原石だからね。教えがいがあるよ。もしよかったら合間に光属性の魔法の練習でもしてみる? ロムちゃんとラムちゃんにも教えてるところなんだけど、一緒に教えるよ?」

 

「流石は私の魔法の先生だね。そういえば女神化した私が持ってる属性のことでセレナに聞いてほしいことがあったんだよね。後で時間を作ってくれると嬉しいな」

 

「あの属性のことだね? わかった、後で必ず時間を作るよ」

 

女神化したシエルが持っている属性。

私の脳裏にある属性が浮かぶのだがシエルはそれを持っているのだろうか。

 

「魔法や属性のお話で盛り上がってるところで本題に入らせてもらおうかな」

 

「前に言ってた女神を喰らう力に抗うって話だよね?」

 

「その通り。シェアクリスタルがシェアを放出する性質を持つならば、アンチクリスタルはシェアを吸収する性質を持っている。明日からの鍛錬で私達が習得を目指すのはシェアを吸収する忌まわしい力に抗う力だよ」

 

「具体的に何をすればいいのかな?」

 

「やることは舞が私を助けに来てくれた時にしたことと同じだよ。アンチクリスタルに直接触れてその力を真正面から打ち破る。女神を喰らおうとする赤の光を私達の色で塗りつぶすんだ。それができれば対女神用の兵器や罠がこれから先に出てきても乗り越えられるよ。それに加えて放出するシェアもより強力な物になると思う」

 

「なるほど。あの時は私とアリアの二人で立ち向かった訳だけど、今度は一人の力で打ち破らないといけないんだね?」

 

「あのアンチクリスタルはファントムハートが特殊な細工を施してたからね。外側と内側から同時に攻めたことで破壊にできたと言ってもいいかな。いまここにあるのは純粋なアンチクリスタル。これを自分の力だけで無力化する。私とセレナとシエルも同じことをする。ネプギアちゃん達には舞とシエルが採掘に行ってる間に伝えてるし、ネプテューヌ達にも話は通してあるから。明日の鍛錬は密度が濃くなるとだけ言っておくよ」

 

朝の短い時間とは言え普段から十分に密度の濃い内容の鍛錬をこなしているが

マジック達と復活を遂げた犯罪神に加えてファントムハートに勝利するためには

まだ足りないと言っていい。全てはゲイムギョウ界の真の平和を取り戻すためだ。

 

「あっ、そういえばネプギアちゃんが帰ってきたら部屋に来てほしいって言ってたよ? 何だか舞にお願いしたいことがあるみたいだったけど…」

 

「ネプギアが? じゃあ早速部屋に行って話を聞いてみるよ」 

 

場所は変わってネプテューヌとネプギアの部屋。

ユニとロムとラムが一緒にいる。ネプテューヌは今はいないようだ。

 

「あっ、舞さん! おかえりなさい!」

 

「ただいま。さっきアリアから聞いたんだけど、何かあったの?」

 

「実は舞さんにお願いしたいことがあるんです。聞いてくれますか?」

 

「いいよ。何をすればいいのかな?」

 

事の発端は私とシエルがギョウカイ墓場に向かっている時間まで遡る。

朝の鍛錬が終了した後に女神候補生四人で集まって話をしていたようだ。

 

「この案件はこれでお終い…。次はこれか…。あっ、先にあっちの書類にも目を通しておかないといけない。やっぱりこの間の失敗がかなり効いたわね…」

 

「ねえ、お姉ちゃん。少し休んだ方がいいんじゃない? 舞が帰ってからずっと働き詰めになってるよ?」

 

「ユニの言う通りだね。あまり根を詰めすぎるのはよくないと思うよ。たまには一日何もしないで休んだらどうだい? 休まないと逆に効率が落ちるよ?」

 

「それはわかってるわ。でも、国を三年間空けてしまった分はこれくらいしないと取り戻せないのよ。それに舞だってネプテューヌのところで毎日仕事してるって聞いたわ。私も一日でも早く、ラステイションを元の平和な国に戻さないといけないしね。だから今できることはきちんとやっておきたいのよ」

 

「アタシにも手伝えればいいんだけど…」

 

「ユニは毎日自分にできることを頑張ってるじゃない。それに明日は舞とのクエストに行くんでしょ? 自分にできることを少しづつ確実にこなして一つずつ、結果を積み上げていけばいいのよ。だから私のことは気にしないでいつも通り自分にできることを頑張りなさい」

 

「お姉ちゃん…」

 

「舞の迷惑にならないように準備はしっかりとしておくのよ? さて、次の案件はこれね…」

 

これがユニがプラネテューヌに来る前の日の一幕である。

 

「こんな感じでお姉ちゃんはずっと働き詰めなの…」

 

「ノワールさんって本当に仕事熱心な人だよね?」

 

「ネプテューヌさんは舞と一緒に仕事をしてるって聞いたけど…」

 

「舞さんがお姉ちゃんをプリンで釣って仕事をさせてるんだ。勿論私も手伝うし、アリアさんとセレナさんも手伝ってくれるから働き詰めにはなってないかな。今日の分はもう終わったからお姉ちゃんはコンパさんとアイエフさんと一緒に遊びに行ってるよ」

 

「プリンで釣られる守護女神って…。まあ、きちんと仕事をした上で遊んだりだとか、自由な時間を過ごしてるってことよね?」

 

「うん。やっぱり根を詰めるのはよくないんじゃないかなぁ? 舞さんもこの前に言ってたよ? ある程度のノルマを決めてやったほうがいいって。それでいーすんさんが毎日仕事の量を調整してくれてるから。いーすんさんが出した仕事を全部こなしたらその日は自由に過ごしていいってことでお姉ちゃんも文句を言わずに毎日頑張ってるよ?」

 

「舞の影響がかなり大きいわね。三ヶ月くらいラステイションに来てくれないかしら…? お姉ちゃんの働き詰め生活を変えてくれるかもしれない…。ブランさんはどんな感じなのかしら?」

 

「ずーっと部屋にこもりっぱなしよ! 舞が来てくれた時は一緒に遊んでくれたけど舞が帰ってからはまた仕事詰めの毎日…。全然遊んでくれないのよ!」

 

「ミナちゃんと一緒にお仕事してるよ…? イタズラして仕事の邪魔はしないようにって舞お姉ちゃんに言われてるから私とラムちゃんはちゃんと約束守ってる…」

 

「二人とも偉いね? 私達のお姉ちゃんは真面目ってことはわかったけど、ベールさんはどうしてるのかな? 舞さんは自分以上のゲーマーだったって言ってたけど本当なのかな?」

 

「わたし達がこうしてお話してる間もゲームしてたり…?」

 

「舞以上のゲーマーと言っても一国の女神よ? 流石にそこは我慢して仕事してるんじゃないの?」

 

「きっとゲームをしながら仕事をしてるのよ。舞以上のゲーマーならそれくらい朝飯前なんじゃない?」

 

「う~ん。舞さんはきちんとゲームと仕事を分けてるけど、その気になれば不可能じゃないって言ってたし…。アリアさんは普通にできるってこの前言ってたから否定できないかなぁ」

 

ネプギア達が話をしている頃、リーンボックスの教会では…

 

「くしゅん!」

 

「お姉様、お体の調子が悪いようでしたらお休みになられたほうが…」

 

「きっと誰かが私の噂をしているに違いありませんわ。さあ、そんなことより作業に戻らないと…。今日も絶好のゲーム&仕事日和ですわ」

 

大きな机の上には仕事の書類とゲーム用のパソコンが置かれている。

 

「仕事もゲームも疎かにはできない…。ならば同時にやるしかないですわ。やらなければならないことがまだまだ山積み。寝る時間すら惜しい状況ですわ」

 

「お姉様、舞が帰ってからもずっと徹夜続きじゃないですか。せめて少しくらいはお休みになってください」

 

「そう言われましても…。寝たらその分仕事とゲームをする時間が無くなってしまいますわ。舞さんとアリアさんがいてくれれば仕事に集中している間や寝ている間のレベル上げ辺りはお任せしたいのですけど…」

 

「あの二人も忙しいから流石にそれは無理だと思いますよ…。せめて目が覚めるようにコーヒーでも淹れてきます。(この様子だとしばらくお休みにはなってくれないでしょうね…。舞とアリアに一度お願いしてみようかしら?)」

 

以上がネプギア達が噂をしていた頃に

リーンボックスの教会で行われていた教祖と守護女神のやり取りである。

 

「まあ、ベールさんが仮にゲームと仕事を両立していたとしてもよ? お姉ちゃん達は働きすぎだと思うの。アタシ達でお姉ちゃん達にしてあげられることってないのかしら?」

 

「でも、お仕事は手伝わせてくれないよ…?」

 

「休めないって言うのならせめて息抜きは必要よね? 何があるのかな?」

 

「あっ! こういうのはどうかな?」

 

「何か思いついたって顔ね。それで、何をするつもり?」

 

「うん。えっとね…」

 

ネプギアがユニ達に自分の提案を話したところで

時間は私が部屋に来たところまで戻る。

 

「それでネプギアが出した提案がケーキ作りと言うわけか…」

 

「はい。舞さん、もしよかったら手伝ってもらえませんか?」

 

「いいよ。今日作るのかな?」

 

「そうね。材料はアタシ達で揃えてきたから後は作るだけよ」

 

「なるほどね。それは喜んで手伝わせてもらうよ。ただ、先に私の用事を終わらせてからでもいいかな? 疲れた後にこそ甘い物は効くんだよ」

 

「今日はラムちゃんとのクエストでしたよね? それが終わってからお願いしてもいいですか?」

 

「うん。早速だけどラム、これを受け取ってくれる?」

 

私がラムに渡したのはヒールポッド五個と獄炎の指輪。

ジェネラルドラゴンとの戦闘前にユニに渡した物と同じ。

 

「ブラッドフェンリルってどんなモンスターなの?」

 

「強力な炎を操る狼だね。炎攻撃も厄介だけど、それ以外にブラッドフェンリルは固有能力を持ってる。それがモンスターを自分の下に呼び寄せる力。さらに呼び出されたモンスターはブラッドフェンリルが怒り状態になると同時に活性化してパワーアップする。氷属性が弱点だけど呼び出されるモンスターはそうとは限らないから他の属性も使う必要があるよ」

 

「ふ~ん。四属性の魔法は元々使えるし、それ以外の属性の魔法もこの間からセレナが教えてくれてるからある程度は使えるわ」

 

「流石だね。呼び出されたモンスターの弱点は私が見抜くからラムはそれに応じて攻撃を加えていってほしい。氷属性の魔法を使う時はなるべくブラッドフェンリルを狙って。大元を叩かない限りは終わらないから」

 

「わかったわ。わたしと舞でさっさと倒してお姉ちゃんに最高のケーキをプレゼントするんだから!」

 

「そうだね。じゃあ私達は行ってくるよ。ラムと一緒に帰ってくるから待っててね」

 

「わかりました! 舞さん、ラムちゃん。頑張って!」

 

私はラムと手を繋ぎ、黒い宝玉の力で戦場に向かった。

 

「四つ目の戦場はここか…」

 

「なによこれ…。建物が壊されてる…」

 

黎明の亡都と呼ばれる私がプレイしたゲームに登場する戦場の一つ。

広大な庭園を中心として植物園や図書館の跡地が立ち並ぶ廃墟。

近くにある水辺には横倒しとなったビル等の建造物が埋もれてしまっている。

 

私達が今いるのはスタート地点ともいえる高台。

付近の様子を観察していると狼の咆哮が聞こえてきた。

 

「今の声って…」

 

「ブラッドフェンリルだね。この高台から降りたら最後、勝つまで帰れないよ」

 

「なら、やっつけて帰るだけね!」

 

「それじゃあ、早速生きて帰るために全力で立ち向かおうか」

 

私とラムは特殊女神化状態になって戦場に降り立つ。

魔狼の咆哮はまるで私達を誘っているかの如く空に響き渡っていた。

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