超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

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Game81:闇を斬り裂く銀陽の輝き

ネプギア達がギャザリング城でトリックを撃破してから時を遡る。

私達は闇に覆われたガペイン草原にてマジックとの決戦に臨んでいた。

 

マジックの指定した条件の通りに私達は五人で決戦に臨む。

人数はこちらが圧倒的に有利だが相手は三年前にゲイムギョウ界を守護する

四女神を単身で打ち破っている死神と言える存在である。

 

ギョウカイ墓場での戦いではネプギア達と私で撃退と形に持っていくことができたが

あの時のマジックは本気ではなかった。その証拠が今のガペイン草原の現状である。

青く澄み渡っていた空はマジックの体から発せられる闇の力で黒く塗りつぶされている。

 

「犯罪神様から賜った闇の力が支配するこの空間ではお前達の力の源であるシェアエナジーは供給されない。お前達が今保有しているシェアエナジーが尽きればこの戦いは終わる」

 

守護女神が強い力を発揮できるのはシェアエナジーが常にその身に供給されているから。

供給ラインが断たれている状況で私達はマジックと戦わなければならない。

故に体内に保有するシェアエナジーが尽きたその時が私達の敗北の時なのだ。

 

「確かに不利な状況だけど、私達はあなたには屈しないよ。セレナ!」

 

「シェア・リンク!」

 

セレナが発動した魔法で私達五人の体が光の線で結ばれる。

その名の通りシェアエナジーを全員で共有する回路を作り出す魔法だ。

これで個人で保有するシェアエナジーが尽きたとしても戦闘不能にはならない。

 

「ほう…。この状況を想定していたというのか?」

 

「戦いでは何が起こるかわからない。そのために用意していた魔法の一つだよ。これを使うのはあの戦い以来だけどね」

 

セレナが言っているのはファントムハートと残る三国を賭けて戦った時の話である。

アリアの力で真の姿を取り戻したセレナがその時に使った魔法がこの魔法なのだ。

 

「流石は歴戦の戦いを潜り抜けてきただけはあるようだな。ならばお前を真っ先に潰せばこの流れは消え去ると言うわけだな?」

 

マジックは闇のエネルギーを鎌に集めるとそれを刃として飛ばしてくる。

セレナに向かって飛んできた刃は銀色の光の刃によって全て相殺された。

 

「セレナには指一本触れさせない!」

 

アリアの手にあるのは巨大ワレチュー戦の時に使っていた銀色の太刀。

 

「私達もいるってこと忘れないでくれるかしら?」

 

「みんなで生きて帰るために、あなたはここで倒す!」

 

特殊女神化状態のシエルと女神化状態のネプテューヌがマジックに斬りかかる。

二人の太刀による斬撃をマジックは鎌を巧みに使うことで涼しい表情で捌いている。

 

「目障りだな。これで引き裂いてくれる!」

 

「させない!」

 

私はマジックの鎌の一撃をハンマーを変形させた戦斧で受け止める。

 

「ぬっ…。さらに力を上げてきたか」

 

「負けるわけには行かないからね。自分にできることはやってきた!」

 

マジックの鎌を湧き上がる力で押し切って隙を作る。

その隙にネプテューヌとシエルの攻撃が入るが闇の障壁がそれを阻む。

 

「くっ!」

 

シェアの輝きを含む全ての光を上書きする闇の障壁の前には並みの攻撃は通らない。

三年前の戦いではネプテューヌとノワールの同時攻撃でも通らなかったのだから。

 

「後退!」

 

アリアの指示が飛ぶ。それに呼応する形で私達はマジックは距離を取った。

マジックは左手を突きだして闇の波動を私達に飛ばしてくる。

 

「させないよ!」

 

アリアから放たれた銀色の波動がマジックから放たれた闇の波動を相殺。

その流れに乗せて私とアリアが今度はマジックに反撃する。

 

「これを受けてみて!」

 

武器を大剣に変えて刀身に銀色の炎を纏わせるとアリアの太刀と同時に突き出す。

 

「「覇道滅封!」」

 

大剣と太刀から勢いよく放出された銀色の炎がマジックを喰らおうと向かって行く。

銀の炎の扱いをアリアから教わった時に二人で練習した技の一つ。

 

アリアとのハード・リンクは救出した時から既に発現しているが

肝心のアリアの技は銀の炎の扱いを初めとして難しい術技が揃っているので

まだまだ自分の物にできていないのが現状と言ったところなのだ。

 

「素晴らしい一撃だ…」

 

私達の一撃を受けたマジックの体には僅かながらに傷がついていた。

私とアリアの同時攻撃で何とかダメージを入れることができたようだが…。

 

「これで少し通るだけか…。思った以上にあの障壁の強度は凄まじいね…」

 

「それでも私に傷を付けたのだ…。やはりお前達の強さは目を見張る物がある。故にここで始末しなければならない。犯罪神様復活の妨げとなる以上は排除させてもらう」

 

マジックは鎌から氷の魔力を空に向けて放出する。

大気中の水分が凝固して生成された氷の槍が私達に降り注ぐ。

 

「うあっ…!」

 

次々と降り注ぐ氷の槍は私達の体に傷を刻み込む。

可能な限り被弾は避けているつもりだがそれでも回避しきれない。

 

「冥土への土産だ。これを受けてみるがいい…!」

 

マジックは鎌に闇の力を集めるとそのまま勢いよく振り抜いた。

 

「アポカリプス・ノヴァ」

 

振り抜かれた鎌から放出される闇の力が巨大な爆発を引き起こした。

 

「ぁ…」

 

まともに声すら上げることすらできないほどの激痛が私達の体を駆け巡る。

意識が飛びそうになるがこのまま力尽きるわけにはいかない。

 

「まだ、立ち上がるか…?」

 

「まだ降参する、わけには、いかないからね…!」

 

この体が消えて無くならない限りは抗い続ける。それが私があの時に誓ったことだ。

その気持ちを持っているのはこの場にいる私達だけではない。

ギャザリング城でトリックと戦っているネプギア達も同じ気持ちを持っている。

そして私達が帰る場所を守ってくれているみんなの心の中にも宿っているのだ。

 

私達の体はまだ消えていない。痛みに耐えて思いを一つにして立ち上がる。

 

「まだ輝きを失わないというのか…。お前は本当に一人の人間なのか?」

 

「どうかな…? 私はただ女神の力を借りているだけに過ぎない。これが無ければ今まで生き延びることはできなかったと思う。だから私はこの力を大切にしたい。その結果、人という存在から逸脱することになっても」

 

「ならばその力をもう一度見せてみるがいい…!」

 

「見せてあげる…! 私達の絆の力を…! はああああっ!」

 

声を張り上げて内に秘めたシェアの力を放出すると銀色の光の柱が立ち上る。

それは闇に覆われたガペイン草原の空を斬り裂き、太陽の光を呼び寄せた。

 

「万物に宿りし生命の息吹をここに! リザレクション!」

 

私を中心として銀色の太陽を模した巨大な魔法陣が展開されると暖かい光が放出された。

遍く命を照らし続ける太陽の輝きは私とネプテューヌ達の傷を完全に回復する。

 

「さあ、今度は私達の番だよ。ネプテューヌ、来て!」

 

「わかったわ!」

 

ネプテューヌが紫色の光の玉にその姿を変えると私の体の中に入る。

私の髪は象徴とも言える濃い紫色に変わり、プロセッサユニットもネプテューヌの物に。

 

「私達も負けてられない。セレナ、久しぶりにいいかな?」

 

「うん!」

 

今度はセレナが金色の光の玉になってアリアの体の中に入る。

アリアが纏うプロセッサユニットは美しい金色にその姿を変えた。

銀の太陽と金の月が一つになったことでかつての輝きを取り戻した。

 

「シエル、行くよ!」

 

「わかった! ドラグーン・フォルム!」

 

シエルの体が光に包まれ女神龍クリスタルハートが降臨する。

その姿は普段のエンシェントドラゴンの骨格ではない。飛竜の姿をしていた。

手に当たる部分が完全な翼になっている、ワイバーンタイプの姿である。

セレナとハード・ユニゾンしたアリアは太刀を手にその背に降り立った。

 

「忌々しい輝きよ…!」

 

マジックは私達に向けて強力な氷と闇の魔力を飛ばしてくる。

 

『その攻撃は通さぬ!』

 

女神龍となったシエルの口から蒼炎が放たれるとそれを完全に打ち消した。

 

(アリア、この力を受け取って!)

 

セレナからシェアの力を受け取ったことで太刀に金色の炎が纏わりついた。

それは悪しき者を浄化する聖なる炎。シエルの背に乗ったアリアはそれを構える。

そしてシエルはその翼を羽ばたかせ飛翔すると高速でマジックに向かって行く。

 

「邪なる物を斬り裂け! 蒼龍月華刃!」

 

すれ違い様に一閃をお見舞いする。アリアが狙ったのはマジックを守護する闇の障壁。

アリアの一撃に闇の障壁がガラスが割れるような音を立てて消滅した。

 

「なんだと…!」

 

「舞、ネプテューヌ!」

 

アリアの声を合図にネプテューヌとハード・ユニゾンした私は一気に駆け出した。

その手に握ったネプテューヌの武器である太刀で斬りかかる。

私達の太刀とマジックの鎌の一撃がぶつかり合う。

 

「一体どこからこれほどの力を…!」

 

「私は一人じゃない。ここにいるみんなの力だけじゃない。離れた場所で戦ってるネプギア達や帰る場所を守ってくれてる仲間達の力が私に味方してくれている!」

 

「それが絆の力だと言うのか…! そのような物、打ち砕いてくれる!」

 

「どれだけ強くても一人のあなたにこの絆を砕くことはできないよ! これで押し切るっ!」

 

マジックの鎌の刃にヒビが入り始めるとそれが一気に全体に広がる。

遂に鎌の刃が音を立てて砕け散った。そのまま柄の部分も両断すると決め技を入れる。

 

(舞、これを使って!)

 

「紫の女神と銀の女神の継承者が剣技、その身に刻んであげる!」

 

太刀に銀のシェアとネプテューヌのシェアを纏わせると剣の舞が始まる。

最初に太刀で一撃を加えるとさらに速度を上げて最速の十連撃を叩きこんでいく。

それに続く十二連撃目はすれ違い様に一閃を加える。まだ終わりではない。

 

十三連撃目の斬撃でマジックの体を宙に打ち上げると同時に飛び上がるとさらに一閃。

最後に上空から急降下してマジックの体に太刀を突き刺して地面に叩きつける。

紫と銀が混ざった巨大な光の柱が上がると合計十五連撃に及ぶ怒涛の剣舞は終了した。

 

「ネプテューンブレイク…!」

 

これが革新する紫の大地が守護女神、パープルハートのエクセドライブである。

 

「この私が敗れるとは…! これがお前達の、輝き…!」

 

「私達の勝ちでいいかな?」

 

「見事だ…! 神奈 舞よ…! だが、私を倒したところで破滅の未来は変えられない…! 犯罪神様の復活は止まらないのだ…!」

 

「どういうこと?」

 

「私達マジェコンヌ四天王は犯罪神様から生み出された存在だ。この肉体の死を持って我々の目的は達成される…! 最初にお前と会った時に言っただろう? お前達がジャッジを倒した時点で流れはこちらに傾いていると…!」

 

「マジェコンヌの四天王を倒すことが犯罪神復活の鍵だったって言うの?」

 

「その通りだ。このまま時間をかけても犯罪神様は復活していたが、お前達が我々四天王を撃破したことによってそれは加速される…。四天王は肉体を持たない犯罪神様がこの世界に触れるために生み出した微小の器に過ぎないのだ。それ故に死は消滅を意味しない。ただ、犯罪神様の元に還るだけ…! どうやらトリックも女神候補生共に敗れたようだな…。そして私もお前達に敗北した…。これが何を意味するかわかるか…?」

 

「犯罪神の元に四つの器が還る…。器を得た犯罪神がゲイムギョウ界に顕現する…!」

 

「ふふふ…! 完全には至らなくとも復活を果たされるには十分と言うわけだ。願わくば、この体のまま犯罪神様にお仕えしたかったのだが、それも叶わぬ願いとなった。舞よ、破滅の未来を回避できると言うならばそれを実現してみせるがいい…!」

 

マジックは光となって消滅した。

四天王を倒しても倒さなくても犯罪神の復活は確定していたのである。

ただ、時間をかけた場合は完全な復活を遂げていたことは間違いない。

不完全な状態なら私達にも勝機は十分にあるはずだが、油断はできない。

 

「マジック…!」

 

「今の話が本当ならネプギアちゃん達も無事にトリックを倒したみたいだね。でも…」

 

アリアが次の言葉を遮る形で巨大な地震が発生した。

この前の地震より遥かに大きい。ギョウカイ墓場が震源地になっているのだろう。

その頃ギョウカイ墓場では女性の呻き声のような不気味な声が木霊していた。

 

このままここにいても意味が無いのでプラネテューヌに帰還することになった。

プラネタワーの屋上で同時刻に帰還したネプギア達と合流して教会に向かう。

 

「迂闊でした。そこまでの周到な手を用意していたとは…」

 

「ギョウカイ墓場の様子は?」

 

「黒い塔の真下に巨大な生命反応を捉えました。恐らくそれが犯罪神でしょう」

 

「やっと犯罪組織を倒したと思ったのにー! 私達がやってきたことって無駄だったの!?」

 

「無駄じゃないよ。マジックの言葉を信じるなら今ギョウカイ墓場に顕現している犯罪神は不完全な状態。急ごしらえの器を得たことで何とか活動しているに過ぎない。それなら私達の力を合わせれば勝機はある。ここで犯罪神を倒さないと私達に明日は無いよ」

 

「現在はギョウカイ墓場に留まっているようですが、動き出すのも時間の問題です。ゲイムギョウ界に踏み込まれる前に犯罪神を倒さなければなりません。これが最後の戦いになります。無茶な頼みごとばかりして、申し訳ないのですが…」

 

「大丈夫。犯罪神は私達の力で倒すから。この世界を破壊させるわけにはいかない」

 

「舞さんの言う通りです! 必ず勝ってみんなでゲイムギョウ界に帰ってきます!」

 

「お願いします。みなさんの手で犯罪神を倒し、どうかゲイムギョウ界の未来を守ってください!」

 

「任せて。連戦続きだけど、イストワールの言った通り、これが最後の戦いになると思う。みんなで犯罪神を倒してゲイムギョウ界に帰ってこよう!」

 

「はい! みんなの力を合わせればできないことはありません!」

 

「そうよね。アタシ達はそれでここまで頑張ってきたんだから」

 

「これを乗り越えれば平和になって、みんなでまた一緒に遊べるようになる…!」

 

「さっさと倒してきましょ! さらに強くなったわたし達なら大丈夫よ!」

 

「なら、早速乗り込もうか。イストワール、お願いしてもいいかな?」

 

「はい。誰一人欠けることなく生きて帰ってきてください…!」

 

イストワールは転送装置のコアとなって私達を最後の決戦の舞台に導く光となる。

私達はその光の中に飛び込み犯罪神が待つギョウカイ墓場に向かった。

 

 

「ふふふ…。ようやく準備が完了したよ。後は迎えにいくだけ…。待っててね、舞」

 

暗い闇の中でファントムハートは不敵な笑みを浮かべながら呟く。

その傍らには邪悪な濁った紫色の光を帯びる一本の長剣があった。

 

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