超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神   作:ミオン

89 / 132
Game87:業火と烈風の舞

紫電と月光の舞の一回戦に続く二回戦の業火と烈風の舞が始まりを告げた。

ゲイムキャラの力を借りて新たな姿を獲得したノワールとベール。

豪炎と烈風を身に纏った二人の剣と槍が凄まじい速度でぶつかり合う。

 

「さて、第二回戦が始まったところではありますが、解説席には先程素晴らしい戦いを見せてくれたネプテューヌ様とセレナ様にお越しいただいています! ノワール様とベール様は炎と風を纏っているようですが、これは新しい技なのでしょうか?」

 

「その通りだよ。あれは私がこの公開模擬戦を開始する前に二人に教えた魔法。正確には私の友達がプレイしていたゲームに登場するモンスターの能力を魔法を使って二人に再現してもらっている形になるかな。実を言うとこの技はついさっき習得したばかりだからまだ未完成の状態。ネプテューヌが私との戦いで見せた紫電も同じ」

 

「あ、あれで未完成だというのですか!? 私は既に完成された技なのかと思っていましたが…」

 

「その理由についてはネプテューヌに解説してもらおうかな。できるよね?」

 

「任せてー! 今のノワールとベールが纏っている炎と風はプロセッサユニットの防御力を上げる効果があるんだよね。あれが完成したらその効果だけじゃないよ。ノワールに近づけば火の耐性が無いと近づいた瞬間に消し炭にされちゃうかなー。ベールには近づこうとするだけでも大変だと思うよ。風に煽られて隙を見せたら最後、あの槍の餌食になるのは避けられないかな~」

 

「ネプテューヌさんが真面目にお二人の能力の解説をしている…。別の意味で驚きました…」

 

「ふっふ~ん。私だってこれくらいのことはできるんだよ! まぁ、これも私の大切な友達のおかげなんだけどね。今はこの場にいないけど、ゲイムギョウ界が平和になったらこの闘技場でいつか全力で戦いたいな~」

 

仕事から逃げていた自分のことを頼りになる妹と共に支えてくれた一人の少女。

妹達を導いてギョウカイ墓場から助け出してくれたことには感謝しきれない。

今度は自分が彼女を助ける番なのだ。心の中には静かな闘志が宿っていた。

 

「女神様のご友人ともなると、その方も相当な強さを持っているということですよね? セレナ様との決着も含めて大いに期待が持てます! お話を戻させていただきますが、ネプテューヌ様のおっしゃるとおりなら、それは事実上無敵と言うことになるのではないでしょうか…」

 

「どんな能力にも必ず弱点はあるよ。どうすればそれを攻略できるのかを自分や仲間と一緒に考えるのも戦いの醍醐味だからね。あの魔法は二人の比較的弱い部分をカバーする役割も担っている。イストワール、ノワールとベールの二人に共通する強い部分は何だと思う?」

 

「そうですね…。お二人の場合は攻撃力と素早さと言ったところでしょうか? 守護女神の戦いを見ることは過去に何度かありましたので、そこからの推測に過ぎませんが」

 

プラネテューヌの教祖であるイストワールはネプテューヌ達が

今代の守護女神となる前の先代守護女神の時代から女神達を見守り続けてきた。

彼女が見てきた戦いの中には今のような模擬戦、シェアを巡っての戦いもあるのだ。

 

「その通り。ノワールとベールの強い部分は攻撃力と素早さの高さにある。付け加えて言うならネプテューヌは能力的に見るとバランスが取れていて、ブランは防御力が高い代わりに素早さが低いという特徴があるの。今戦っている二人の共通する弱点は防御力が比較的低いこと。決して弱いわけじゃないけど、四女神で比較すると低い。それを補うための技術が二人が行使している業火と烈風の鎧」

 

完全な形の業火と烈風の鎧を纏った二人には近づくことすら困難になると言える。

ネプテューヌ達もまた成長している途中なのだ。舞とネプギア達と同じように

その適応力の高さには目を見張る物がある。その強さに終わりはないのだ。

 

諦めない限りはどこまでも成長を続ける。

長い時間をかけて積み重ねてきた力は自分を裏切ることはない。

 

「中々やるわね。正確な槍の一撃は衰えることを知らないと言ったところかしら? 一瞬でも気を抜けば致命傷になりそうで怖いくらいよ」

 

「貴女の剣技にも同じことが言えますわ。鈍ることのない素早い剣技は受け流すことで精一杯と言ったところですもの。この鎧が完成した暁にはさらに面白い戦いができるのではなくて?」

 

「その頃にはプロセッサユニットも新調できそうな気がするわ。今のこれも十分に強い力を発揮できるけど、職人達の話ではまだ改良の余地があるみたいだし」

 

ノワールが纏っているプロセッサユニットは彼女が守護する

ラステイションの職人達の最高技術の結晶とも言えるプロセッサユニット。

職人達とブラックディスクの力が合わさって新たな姿を獲得している。

 

配色は象徴である黒を基調に水色のラインが各部にあしらわれているので

ブレイブとの戦いで新たな姿を獲得したユニのプロセッサユニットに近い。

 

『オービタル』と名付けられたそれは現時点の最高技術の結晶なのだが

ラステイションの職人達は新しい物を作るために日々技術を進化させていく。

ノワールが纏っているプロセッサユニットはまだ見ぬ可能性を秘めているのだ。

 

「あら、リーンボックスも負けてはいませんよ? 私が纏っているプロセッサユニットは開発の際に強い力を求めた過ぎた故に、ゲイムキャラの力を借りないと長時間の装着ができないという欠点がありますが、それを無くすための研究は既に始まっています。今回の模擬戦も開発部の方がデータを取ってくれていますので」

 

ベールが纏っているプロセッサユニットはこれまで彼女が纏っていた

白を基調とする物から一転して黒を基調としたデザインになっている。

 

各部にあしらわれている赤色のラインが明滅を繰り返している様子は

危険シグナルを常時発していると形容されることもある強力なプロセッサユニット。

『ラウンドエックス』と名付けられたそれは先程ベールが言ったように

強い力だけを求め過ぎたが故に長時間の装着は危険を伴うという欠点がある。

 

グリーンディスクの力を借りて漸く安定した装着ができるという状態ではあるが

それが完全に無くなる日もそう遠くは無いと言ってもいいだろう。

その時には出力もさらに上がった状態での運用ができることが期待されている。

 

「今回の戦いでみんなの力があって強くなれたということを改めて実感したわ。争っていた頃の私達は自分だけの力で強くなれていたって思うことがあった。でもそれは違うのよね。私達を信仰してくれるみんながいてくれるから、女神は強い力を振るうことができる…。そして私達は妹達と一緒に更なる高みを目指すことができる。それをあの子に教えてもらった」

 

「彼女は私達とはまた違った輝きを持っています。国を訪ねてきた彼女達と短い時間ではありますがお話をして直に感じとることができましたわ。あの二人には自分だけではなく、他の人達も輝かせる力がある。それが私達と彼女の輝きの違いなのですわ。だから、もっと彼女と言葉を交わして多くの時間を過ごしたい。それが私の願い…。私達守護女神の願いと言ったところでしょうか?」

 

「上手い言い方をするわね。なら、私達の願いを現実にするために今私達がやるべきことは一つしかないわね」

 

「この戦いを全力で戦い抜くのみですわ。この力もまだまだ未完成。あの子達を支えるためには今の私達の状態では力不足ですもの」

 

二人の意志の力が強まり、それに呼応するように力が増す。

突如として雨が降り始め、闘技場内の気温が上昇するという事態が起きた。

観客席にはバリアが展開されてその影響が観客に及ばないようになった。

 

「ヴォルケーノダイブ!」

 

「キネストラダンス!」

 

元々は火属性と風属性が付加されている強力な技だが、

その威力と範囲は桁違いと言ってもいいほどに強化されている。

 

その成長速度は銀の女神が継承者と女神候補生達に引けを取らない。

 

彼女達の原動力となってるのは自分達を昏い闇の中から助け出してくれた

少女を助けたいという思いと女神候補生達を支えたいという純粋な思いである。

 

「凄まじい炎と風のぶつかり合いに一瞬たりとも目が離せないっ! 突然の降雨と気温の上昇に伴い、観客の皆様に影響が出ないようにバリアを展開させていただきました! ちょっとやそっとの攻撃は勿論、大威力の必殺技を用いても破壊される可能性は極めて低いと言えます! だからといって壊さないようやり過ぎには注意してくださいね~!」

 

「それにしても、突如として降り出した雨と上昇した闘技場内の気温…。これもお二人が纏っている力の一端に過ぎないというのでしょうか?」

 

「二人の心の内に秘められた強い意志の力が業火と烈風を第二段階へとシフトさせたんだよ。この調子だと最終段階までたどり着くのも時間の問題だと思うよ」

 

「ノワールとベールもかなり追い上げてきてるよね~! 私も負けないように頑張らないと! 主人公としては四女神の中で一番でいたいからね!」

 

ネプテューヌの紫電もセレナとの模擬戦を経て第二段階へとシフトしている。

最終段階になれば肉眼では捉えることができない程の速度を出すことができる。

それは戦いに慣れた強者であっても瞬間移動にしか見えない程の速度。

ちなみに紫電も舞がプレイしたゲームに登場するモンスターの能力の一端。

 

舞とのハード・リンクを発現させていたセレナが教えたのが

彼女が過去にプレイしたあるゲームに登場するモンスターが持っている

特殊な能力を魔法で再現して自分達の戦術に組み込むという方法である。

 

ちなみにこれらの魔法は上級レベルに相当する。情報があってもそれを己が身で

実現するというのは簡単にできることではないのだが、ネプテューヌ達は

強き意志を原動力としてそれを見事に自分の物とすることに成功しているのだ。

 

そして第二回戦の業火と烈風の舞もまた終幕を迎えようとしていた。

二人はお互いに息を切らした状態。徐々に勢いを増していく雨と

上昇した気温は確実に二人の体力を奪い取っていたのである。

 

「雨の勢いが増してきたわね。あまり調子に乗って当たり続けると風邪を引いてしまいそうだわ。この辺りで決着を着けましょう? 正直言って慣れない力を常時行使し続けるのは体力をかなり使うわ。初めて女神化を行使した時のようにね」

 

守護女神は基本的にシェアが低下しない限りは不調をきたすことは無いが

根本的な部分は身体能力が高いことを除いて普通の女の子と何ら変わりない。

故に風邪を引いて熱を出したりなどの病気にかかる可能性も十分にある。

 

例えば女神化をしている時に調子に乗って無茶な戦い方をしたと仮定しよう。

それによって生じる疲労は最終的に自分の体に返ってくるのだ。

守護女神だからと言って、絶対に病気にかからないということはない。

 

「私も自分の魔法の維持とあなたの発する炎に体力を奪われてきましたわ…。ネプテューヌとセレナさんのように私達も互いのエクセドライブで決着をつけませんか?」

 

「そうね。最後はお互いに綺麗に締めてブランとシエルに繋ぐわよ!」

 

ノワールとベールは大剣と槍に力を込めてお互いに持てる最高の一打を放つ。

 

「ラステイションの女神が剣技、見せてあげるわ」

 

「リーンボックスの女神が槍技、お見せいたしますわ」

 

その言葉を合図に駆け出すと、

 

「インフィニットスラッシュ!」

 

「スパイラルブレイク!」

 

先に動いたノワールの高速の剣舞がベールに襲い掛かる。

業炎を纏い威力がさらに強化された剣舞をベールは捌き切ろうとするが

流石に全てを見切ることはできなかったが、やられるだけでは終わらない。

 

お返しと言わぬばかりに今度は鋭く正確な槍の連撃をノワールにお見舞いする。

大剣の防御の隙間を見切り、高速の突きを連続で繰り出してから空中に飛ぶ。

そしてとどめに烈風を纏わせた槍をノワールに投げつけた。

 

直撃を取ることはできなかったが、烈風の力により範囲が強化された槍は

地面に突き刺さると強烈な旋風を巻き起こし、ノワールを巻き込んだ。

 

「全て見切ることができればよかったのですが、ノワールの剣舞を見切るには私もまだまだ力不足と言ったところですわね。もっとレベルアップを重ねて強さと美しさに磨きをかけなくてはいけませんわ」

 

「ベールの槍の連撃も見事だったわ。正確かつ速くて鋭い…。特に最後の一撃は完全に回避できたと思ったのに巻き込まれた。慢心してしまうのは私の欠点ね。次は完全に見切らせてもらうから!」

 

「それはこちらの台詞ですわ。この魔法の制御も含めてまだまだ改善の余地があります。彼女を助け出したら共にさらなる高みを目指すとしましょうか。久しぶりにあなたと本気で戦えて嬉しかったですわ。ありがとう、ノワール」

 

「こちらこそありがとう。絶対にあの子を助け出しましょう。みんなで力を合わせればきっと大丈夫よ。セレナやシエルの言う通りお互いを知るいい機会だったわ」

 

お互いに女神化を解除すると握手を交わす。

観客席からは盛大な拍手とエールが送られた。

 

「第二回戦もこれにて終幕! 観客の皆さんの惜しげもない大歓声! この戦いの素晴らしさを物語っていると言ってもいいでしょう! ノワール様、ベール様、本当にありがとうございました! 後程お二人にも解説席の方にお越しいただいてお話を伺いたいと思います! それでは熱が冷めきらない内に次の戦いに進みましょう! 最後に控える第三回戦を戦っていただくのはブラン様とシエル様です!」

 

女神化したブランと特殊女神化状態のシエルが姿を現した。

ブランのプロセッサユニットも新たな姿を獲得しており、

その体には強力な冷気を纏っていて、氷の女王と言った雰囲気である。

 

ネプテューヌの紫電、ノワールの業火、ベールの烈風。

先に登場した三人に続くブランの新たな能力の名は絶氷である。

それがどのような力なのかはこれから始まる戦いで明らかになるだろう。

 

対するシエルは女神化するとドラゴンになってしまうので特殊女神化状態。

今までと違い変化しているのは瞳だけではない。背には蒼き翼が顕現していた。

 

翼の大きさは女神龍の時と比較すると小さいが、特殊女神化状態で

飛行ができるようになるので女神龍にならなくても空中戦などの

あらゆる局面に対応することができるようになったのである。

 

業火と烈風の舞の第二回戦に続くのは絶氷と蒼龍の舞。

新たな力と姿を獲得した二人は互いの武器を構えて対面する。

二人の武器は戦斧。シエルは元から持っていた物を今回使う形となった。

扱える武器の数は適応能力が高いシエルの方がアリアを上回っているのだ。

 

「シエルと戦うのは初めてだが、自分と同じ武器を持った相手と戦うのも初めてだな。何て言うか、不思議な気分だぜ」

 

「私は人と競う時は必ず相手と同じ武器を使うようにしてるんだ。最近は大剣と太刀ばかりで戦斧を握るのも久しぶりだから、ブランに分があるとは思う。だからといって簡単にはやられないから、覚悟してね?」

 

「上等だ! さあ、私達も全力でぶつかり合おうぜ!」

 

「ふふっ。女神化すると好戦的になるね? 望むところだよ!」

 

公開模擬戦の最後を飾る第三回戦が開始される。

その様子を上空から見ている人物がいた。

 

「この短期間の間に随分と強力な力を身に着けているみたいだね。それにこの模擬戦でシェアは確実に上昇する…。邪魔するつもりは無いけど、見てるだけというのも面白くないから終わったら軽く介入させてもらおうかな?」

 

舞の姿をしたファントムハートは呟く。何と声まで舞と同じになっていた。

周囲の景色に溶け込む効果を持つ魔法を使い、第二回戦から見ていたのである。

彼女が戦場に降り立つ時は近い。その先に何が起こるのかは誰も知らない。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。