地獄の沙汰も君次第   作:Marks_Lee

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「んっ……もしかして気を失ってたのか?」

 

「おい、大丈夫か」

 

「なんとか……それより今一瞬だけ記憶がないんだがもしかして気絶していた……のか?」

 

「たぶんな。こっちも同じような現象になった」

 

「この廃ビルに何があるって言うんだ……」

 

「さぁな。見当もつかない」

 

 辺りを見渡してもそれらしきものは見当たらない。同行していた巻尾が見当たらないのも気にかかる。

 

 二人して周囲を警戒しながら立ち上がると、奥の部屋でゴソゴソという物音が聞こえてきた。

 

 警戒をさらに鋭くし、突入する。

 

 そこには、同行していた巻尾がいた。江藤と目を合わせ、様子を確認することにする。

 

「おい、大丈夫、か?」

 

「……はっ、すこしボーッとしてたっス!あれ、二人ともどうしたんスか?」

 

「……どうやら同じ現象がそっちでも起きたらしいな」

 

「……どういうことっスか?」

 

 巻尾に詳しく説明をすると、何かを考えるようにして周囲を見渡した。どうやら、このあたり一体にいた俺たちは同じタイミングで気を失ったらしい。

 

「どう思いますか?」

 

「そうっスね……まだ調べていない上の階に何かありそうっスね」

 

「同意見だ」

 

 三人して警戒を怠らず、階段を登っていく。建物はとうの昔に廃棄されたものらしく、カビの匂いが鼻に刺す。

 

 上の階に上がると瘴気のようなものが渦巻いていて、思わず鼻と口を塞いだ。

 

「どうやらここにさっきの原因のものがあるみたいっスね」

 

「警戒しながら探すぞ」

 

 江藤がそう言うと、全員で周りを探し回る。いくつかめぼしいものは見つかったが、これと言って確定できるものではなかった。

 

「この辺りは全部探したっスよね……あとはどこにあるんだろう」

 

「どこって……」

 

 全員が天を向くと、天井いっぱいに夥しいほどの顔、顔、顔。どれも苦しそうな顔をして呪いのような言葉を吐いていた。

 

「何スかこれ」

 

「わからんがさっきの気絶した原因である可能性は高いな」

 

「この中のどれかがこの化け物の核となる奴がいるはずだ。どうにかして調べるぞ」

 

「調べるったって……あいつ、こっちずっと見てるぞ」

 

「とりあえずどうにかするしかないっスね」

 

 三人でボトボトと落ちてくるそれを一つ一つ潰していく。潰すと、灰のようになって消えていく。

 

 潰し終えたと思い、上を見上げると新たな顔が形成されていく。正直キリがなかった。

 

「どうするんだよこれ……ジリ貧だぞ」

 

「そうだな……巻尾さん、この建物って所有者不明でしたよね?」

 

「そうっスね。だいぶ前に引き取り手も現れずに野晒しのまんまっス」

 

「その答えが聞きたかった!一度外に出るぞ!」

 

「外に出るって……あいつこの部屋から出さないつもりだぞ?」

 

「どうにかして出るんだよっと」

 

 そう言うと全員がバラバラになり、出口に向かう。それを防ぐようにして顔たちは、怨みがましく襲いかかってきた。

 

 どうにかそれを振り払い、外に出ると江藤はそこらの壁に手をつけ、何かを残していた。

 

 一体なんだろうと思いながらも見ていると、手のひらを合わせ、何かを口ずさんだ。

 

 すると、廃ビルの周りが赤く格子状に囲われ、入り口から湧いていた顔たちは、その枠から出られなくなっていた。

 

「とりあえずこれでなんとかなるか……」

 

「なんだこれ……」

 

「まぁ、ちょっとした封印術みたいなもんだ。一週間ぐらいは何とかなると思う」

 

「でもこの力の術だと色々マズいんじゃ……」

 

 巻尾がそう言たとたんに江藤が膝をガクッと落とした。片膝を地面に突いて、顔色も芳しくない。

 

「おい!大丈夫か!」

 

「大丈夫だ……それよりも報告をしないと」

 

「それは私がするっス!とりあえず江藤さんを安静にさせないと!」

 

「わ、わかった!」

 

 ◇◇◇

 

「……と言うことがあったっス」

 

「なるほどね……」

 

 巻尾さんが閻魔様に報告をしている横で、別の要件で来ていた佐藤さんと一緒になってその報告を聞いていた。

 

 どうやら、巻尾さんたちは報告があってきたらしいが聞いていて色々と謎が残る報告だった。

 

「こっちでも色々と探りを入れておくよ。巻尾、ありがとう」

 

「失礼するっス」

 

 そう言うと巻尾さんは、扉を開け外に走っていった。

 

「どう思う、佐藤」

 

「そうですね……先日の一件以来境目が滲んでいるのかと思われます」

 

「そうだよねぇ……こっちでも一応どうにかしてみるよ」

 

 二人の話を聞いているとどうやら先日のはなの件が関わっているのは間違いなさそうだった。

 

 あの選択を取ったのは本当に正しかったんだろうか。

 心に、何かが刺さったような気がした。

 

 

 

 

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