地獄の沙汰も君次第   作:Marks_Lee

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少女A

その後、佐藤さんに扉を出してもらい、はなを迎えにいった。今回は佐藤さんが巻尾さんに頼んでもらったおかげでこの時間まで仕事に集中できた。

 

多分、これを一人でやっていたらここまで回すことはできなかっただろう。

 

改めて、二人には礼を言わなくてはいけないな……

 

ピンク色の扉を潜ると、そこは休憩室だった。見渡すと、はなが寝かしつけられている。その隣には、うとうととしている巻尾さんもいた。

 

「お疲れ様です」

 

「ふぁぁぁぁ……おっと、あくびしちゃったっス。おはようございますっス。はなちゃん、よく寝てるっスよ」

 

「ありがとうございます。本当に助かります」

 

「なーに、助けられる時は助けたほうがいいんスよ。お互い様っス」

 

「今度お礼しますね」

 

「気持ちだけで充分っスよ。よっと、はなちゃんを起こさないようにソーッと失礼するっス」

 

巻尾さんが寝ているはなを抱き抱えて、こちらに渡してきたので起こさないように受け取る。

 

「今日は本当にありがとうございました」

 

「いいっスよー。じゃあ、私も自宅に帰るっス」

 

巻尾さんに再度礼を言い、佐藤さんの元へと足を進めた。

 

「佐藤さんもありがとうございます。巻尾さんに連絡してなかったらまだ託児所に預けられたままになっていたと思いますし」

 

「そうですね。あの場合、このやり方が一番いいと思ったのでそうしました」

 

「じゃあ、帰りましょうか。家の前の廊下まで扉をお願いします」

 

「わかりました」

 

◇◇◇

 

佐藤さんに家の前の廊下まで扉を開けてもらい、部屋に直行した。流石に今日は疲れたな……シャワーは起きてから浴びることにしよう。

 

スーツをシワにならないようにハンガーに掛け、部屋着に着替えて床についた。

 

泥のように眠るとはよく言ったもので、ベッドに横になるとすぐに眠気に襲われ、就寝した。

 

翌朝、起きると身体の節々が痛い。どうやら、昨日の疲労が抜けきっていないようだ。

 

とりあえず、目覚めるためにシャワーを浴びる。熱めのシャワーは、浴びるだけで身体が覚醒するのを感覚で感じることができる。

 

「そういや洗濯物溜まっていたな……はなの着替えも含めて全部洗っておくか」

 

確か洗濯機はあったはず……付喪神の依代になっていた洗濯機の扉を開き、洗濯物と洗剤を入れると扉が勝手に閉まり、洗濯を始めた。

 

なるほど、言葉は発しないが行動はできるのか。洗濯物を任せ、はなが起きる時間帯なので、ミルクを準備した。

 

流水で冷ましていると、玄関の呼び鈴がチリンとなった。一体誰だろう?こんな時間に?荷物の宅配とか?

 

玄関の扉を少しだけ開けるが、そこには誰もいなかった。

気のせいだろう、と引き返すともう一度チリンとなる。

一体誰だろう?まさかタチの悪いイタズラか?

 

若干腹を立てながらも、扉を開け外を確認すると扉を開けた反対側に少女がうずくまっていた。

 

え?どういうことだ?

 

頭がパニックになりながらも、意識があるか確認をする。

 

一応、意識はあるようだ。ただ、身にまとっている服がその、目に余る。

 

まるで、ボロ切れを纏っているようにしていたので佐藤さんに連絡を入れた。

 

「すいません、朝早くから」

 

『はい、どうしましたか?』

 

「なんか、その……うちの前で行き倒れている女の子がいたんですが、その……服がですね」

 

『なるほど……わかりました。すぐに準備します』

 

「ありがとうございます。では後ほど」

 

通話を切り、まずはこの子をどうにかしないとな。この場に置いておくのもアレだし……そう思い、抱き抱えて自室に招き入れた。

 

寝かせておく場所もなかったから、とりあえずの手段としてベッドに横にさせた。

 

よし、これで冷たい床で眠るよりはいくらかマシだろう。

 

冷やしていたミルクは、人肌ぐらいにぬるくなっていた。準備を終えると同時に、はながぐずり始めたので、オムツを変えてミルクを与える。

 

ミルクを与え終えて、また寝かせつける頃には洗濯物が洗い終えたであろうアラームが鳴り響いた。

 

洗濯物をベランダに干し終えると、呼び鈴がなった。

扉を開けると、そこには佐藤さんがいた。手元には、紙袋に着替え等が入っているようだ。

 

「おはようございます、種田さん」

 

「おはようございます。あっ、入ってください」

 

「失礼します」

 

ベッドに寝ている少女を見た佐藤さんは、一瞬顔をギョッとさせたように見えたが、それもまた一瞬でいつもの顔に戻っていた。

 

「顔見知りか何かですか?」

 

「ええ、まぁ……」

 

「とりあえず目を覚ますまで待ちましょうか。コーヒーでも淹れますね」

 

「そうですね……」

 

どこか上の空といった感覚を覚え、珍しいな。佐藤さんがあんな行動を取るなんて……と思いつつ、口には出さなかった。

 

コーヒーの甘い香りが部屋中に回る頃、少女が目覚めた。どうやら、まだ意識の覚醒hs仕切っていないようだ。

 

「おはようございます」

 

「……ここは?」

 

「私の家です」

 

「あなたの家?つまり……」

 

少女は来ていたボロ布をばさりと翻し、身体をくまなくチェックし初めた。それを直視するのもアレだったので、視線を合わせないように、横を向いた。

 

「あなた、狼なの?」

 

「違います。断じて」

 

「ふーん、そう……そうなのね。なるほど、じゃあ責任を取りなさい」

 

「なぜそうなるんですか!?」

 

「女としては男の住む部屋に連れ込まれてる時点である程度察するものよ、だから責任を……」

 

そうこうしていると佐藤さんが間に割って入った。

 

「いい加減にしてください、姉さん」

 

佐藤さん、今姉さんと言った?聞き間違いかもう一度確認しようとすると、少女は一瞬驚いた顔をしたがニコリと微笑んだ。

 

「あら、久しぶりね。元気にしてた?」

 

「色々と聞きたいことはありますが、なぜあなたがここに?」

 

「それは……いるところがなくなったからよ。しょうがないじゃない?」

 

「えっ?えっ?どういうことですか?」

 

「……紹介します、こちら私の姉です」

 

「紹介に預かるわ。一応、元……と今の所はいったほうがいいかしら。座敷童子やってました、ぼたんよ」

 

座敷童子?姉?姉妹?一体どういうことだ。頭が現実の処理に追いつかない。

 

「とりあえず、服を着替えましょう。種田さん、少し表に出てもらっていてもよろしいでしょうか?」

 

「あっ、はい。わかりました」

 

佐藤さんにそう言われ、表に出る。一体、どういうことなんだ?理解が追いつかない。

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