地獄の沙汰も君次第   作:Marks_Lee

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明日は晴れになる模様

約3時間ごとにはなが目を覚ますのでミルクを与え、用を足していたらおむつを変え、寝かしつける。

 

その立場になって初めてわかることがあると人は言うが、生後数ヶ月の赤ん坊を育てると言うのはここまで大変だったのかと骨が折れそうになる事がある。

 

最初はできるだろうと簡単に思っていたが、これを一人でやれていたかと言われたら首を横に振ることしかできない。

 

佐藤さんや巻尾さん、託児所の宮田さん等々色々な人に助けられてはなを育てられていると言う事実に変わりはない。

 

何かお礼がしたいな、と思ってしまった。だが、菓子折りなどを渡すのも仰々しいし受け取ってもらえない可能性もあり得る。

 

まぁ、追々考えればいいかと思って部屋の掃除をしていると、呼び鈴が鳴った。夕方ぐらいに佐藤さんが来ると言っていたから佐藤さんかな?と思ったので、扉を開ける。

 

そこには、風呂敷包みを持った佐藤さんと巻尾さんがいた。

 

「こんにちわ、種田さん。体調はいかがですか?」

 

「薬を飲んで休んだのでだいぶマシになりました」

 

「それはよかったです。これ持ってきたので食べてください」

 

「これは?」

 

「風邪の症状が出ていると言っていたので食堂のスタッフに頼んで作ってもらった薬膳粥です。それと巻尾」

 

「はいっス。これもよかったら」

 

「これは?」

 

「肉味噌っス。先輩が種田さんのところへ行くと言っていたっスからこれを渡してもらえればと頼んだっスけど自分で持っていきなさいと言われたんで一緒に来た次第っス」

 

「ありがとうございます」

 

「食べるんだったら2、3日で食べ切るといいっス。食べきれない時は、スプーンでひと掬いしてラップに包んで冷凍するといい感じになるっス」

 

「へぇー、冷凍できるんですね。わかりました。余ったらそうしますね」

 

「話は変わりますが、風邪の症状と言っていましたが薬屋の見解はどうでしたか?」

 

「先日の禁書エリアに行った時に埃を取り込みすぎたのが原因だろうとは言われました」

 

「あそこはだいぶ埃が多かったですからね。今後、清掃や虫干し等やらなければいけませんね」

 

そうか、本って定期的にそういうことをしなければいけないんだな。知らなかった。

 

「では私たちはこれで」

 

「お疲れ様です」

 

「はい、さよならっスよー」

 

「巻尾」

 

「あっ、はい」

 

「挨拶はちゃんとしなさい」

 

「あっ、はい。お疲れ様でした」

 

「よろしい。では、失礼します」

 

佐藤さんと巻尾さんが帰っていくと、しんと静まり返った部屋にはなんの音もしない。もらった薬膳粥をレンジで温めると、機械音だけが部屋に響く。

 

その間にはなの様子を見てみると、いつもと変わりなくすやすやと眠りについていた。佐藤さん達が訪問している間に起きなかったのは、寝付きの良さが関係しているのだろうか。そんなことを考えている間に、温め終えたのかレンジのチンという音が響いた。

 

湯気が立っている粥を盆に乗せ、テーブルに置く。その横には、巻尾さんが作った肉味噌を添えた。

 

薬膳粥は初めて食べたが、薄味に香草等が入っていて身体に染み渡る。どうやら身体は色々と足りていなかったようで、もう一口、もう一口と手が動き、あっという間に完食した。

 

身体が温まると、眠気に襲われたが食器を流し台に戻し、流水で汚れを軽く落とす。粥の効果だろうか、先ほどから汗が出ているので、軽くシャワーを浴びた。

 

いつもははなを入浴させた後にバタバタと入っていたが今日は少しだけゆっくりと浴びる事ができた。

 

バスタオルで身体と頭の水気を拭き取り、部屋着に着替え終えるとはなが起きるタイミングだったようで、目を開け、ニコニコと微笑んでいた。

 

そんなはなを見ていると、どうも庇護欲というものが湧いて出たようで、鼻の先を軽く触るとキャッキャと笑った。その様子があまりにも可愛かったので、写真と動画に残した。疲れている時にでも見返してみようと思う。

 

「どうしたーはな。ミルクの時間かー?」

 

はなは何も言わずただニコニコと笑っていた。時計をみると、日が暮れるぐらいの時間。ミルクの時間かなと思い、ミルクを準備する。

 

「ごめんなー。ちょっと遅くなったから今から作るなー」

 

粉ミルクやおむつ等は佐藤さんや巻尾さんが準備してくれたものだ。佐藤さんが言うには、地獄産の粉ミルクより現世のミルクの方が出来はいいらしい。それは紙おむつも一緒で、現世から地獄へ輸入している業者もいるらしい。

 

粉ミルクをお湯で割って、流水で冷ます。人肌くらいの温度になったら、哺乳瓶を持ってはなのところへ持っていく。

 

抱き抱えて飲ませると、いつもより早い速度でミルクが減っていく。お腹空いていたのかな……と思いながら、あっという間に哺乳瓶は空になった。

 

げっぷを促すように、抱き抱えて背中をさすると小さな音が鳴る。よし、なんとかなったな。

 

抱き抱えているとわかるが、少しづつだが確実に体重は増えていっている。なんとも喜ばしい事だ。

 

そういえば、健康診断とかどうするのだろうか?

 

明日、佐藤さんあたりに聞いてみることにする。

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