地獄の沙汰も君次第   作:Marks_Lee

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シャカリキコロンブス

目が覚めた。よく眠れた気がする。外を見てみると、まだ太陽は登っていなかった。洗面所へ行き、冷水で顔を洗って身支度をする。

 

はなの様子を見てみると、まだすやすやと眠っているようだった。そういえばここ数日、色々あったからはなの様子をちゃんと確認できていなかった気がする。

 

昨日の夜ははなの泣き声で起きることはなかったな……もしかすると体調が悪い可能性もあるのか?そう考え、額に手を当ててみるとほんの少しだけだがいつもより体温が上がっている気がする。

 

これは気のせいにしておくと大変なことになりそうだ。

 

そう考え、はなが起きるまで様子を見守っていると目が覚めたのか泣き始めた。はなが起きる前に用意していたミルクを与えると、いつもより飲む速度が緩やかだった。

 

どうしたものか、と思い考えたが佐藤さんに連絡を入れることにした。通話ボタンをタップすると、しばらくかかったが、出てくれた。

 

「おはようございます。お聞きしたい事があるのですが」

 

『はい、どうされましたか?』

 

「はなの体調があまり良くないみたいなのですが小児科ってありますかね?」

 

『小児科ですか……あるにはありますが人間の子供を見てくれるところとなるとわかりませんね。申し訳ありません』

 

「そうですか……」

 

『託児所の宮田さんだったら何か知っているかもしれません。お話を聞きに行きますか?』

 

「託児所ですか。今から行って空いていますかね?」

 

『行ってみないことにはわかりませんね。では、私が迎えにいくので種田さんはそこで待機していてください』

 

「わかりました。失礼します」

 

通話を切り、はなを懐に抱いて待っていると目の前にショッキングピンクの扉が現れた。扉が開くと、佐藤さんがいつものパンツスーツ姿で現れる。

 

「おはようございます。では行きましょうか」

 

「はい、お願いします」

 

◇◇◇

 

託児所がある場所まで扉を開けてもらい、少し歩くと掃き掃除をしている宮田さんが見えた。こちらを見た宮田さんは、ニコリと微笑むと掃き掃除の手を止め、こちらに歩いてきた。

 

「おはようございます。今朝はどうされましたか?」

 

「おはようございます。どうもはなの体調が芳しくないようで病院に連れて行きたいのですがどこかいい病院知りませんか?」

 

「病院ですか?ちょっと見せてくださいねーっと……ふんふん、これは……」

 

「見ただけでわかるんですか?」

 

「ある程度の症状等を考えて答えは出せますよ。今回のはなちゃんの場合、どうやら地獄風邪のようですね」

 

「地獄風邪?」

 

「ええ、通年流行っている風邪なのですが……ここ数日、風邪の症状等が出てはいませんでしたか?」

 

「あっ、昨日風邪のような症状が出てたので仕事を休みました。もしかしてそれですか?」

 

「それもあると思いますが……まぁ、詳しくは医者に見せた方がいいですね。紹介するので、そちらに行ってください」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

「お大事に」

 

宮田さんが教えてくれた医者の場所は今いる託児所から歩いて数分のところだった。慣れてきているとはいえ、地獄の刑場の暑さは身に応える。それは身体の小さなはなの場合、それ以上に感じるみたいだ。

 

しばらく歩いていくと、紹介された医者がいると思われる掘立て小屋が見えた。本当にここだろうか?と疑問に思ってしまったが、はながこれ以上悪くなるのは見ていられなかったので、戸を叩いた。

 

何度か叩くと、中から太い男の声が聞こえた。

 

「入っていいぞ」

 

そう言われたので、戸を開き中に入る。掘立て小屋の中は、何やら植物が天井からぶら下がっており、不思議な光景を見出していた。

 

「今日はどうされましたかな」

 

植物を分けるようにして現れたのは、骨格がかなり大きな男性だった。髭は伸ばしっぱなしで、額には角が見える。

 

「あっ、その……この子がどうも熱が出ているようで。宮田さんという託児所の人が言うには地獄風邪だろうと言われたんですが一応医者に見てもらった方がいいと思い、来ました」

 

「ふむ、なるほど……そこに寝かしてください」

 

そう言うと医者は、はなを触診すると共にいろんなところを確認していた。医者の判断としてはどうなるんだろうと不安に思っていたが、しばらくすると、診終えたのか手元にあった紙に何かを書いていた。

 

「なるほど、これは地獄風邪ですな。ただ、薬の材料が今切れていますのでしばらく待つことになる」

 

「すいません。もしその地獄風邪を治さなかったらどうなりますか?」

 

「それは……生命が危ぶまれる可能性が高いでしょうな」

 

生命が危ぶまれる。そう言われた時頭が真っ白になり手に力が入らなかった。どうしようどうしようどうしよう。

 

「まぁ、薬の材料さえあれば作れるといえば作れる」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「ああ、ただし私は他に患者が来るかもしれないから外に出ることができない」

 

「じゃ、じゃあ俺が集めてきます」

 

「そうですか。では、必要な材料とある場所を書きますので集めてきてください」

 

「わ、わかりました」

 

「できれば今日中に集めるほうが得策だと思います」

 

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