佐藤さんが言ったある場所とは一体どこだろう?後ろをついてしばらく歩くと床が木製に変わっていく。疑問が答えに変わっているころには目的地に着いたらしい。
「ここです」
「これは……エレベーターですか?」
「はい、下の階層へはこれで行きます。種田さん、そこの機械に私のあとに手をかざしてください」
「わかりました」
言われた通り、佐藤さんが手をかざした後に手をかざす。すると認証をしたのか機械音がなると共にエレベーターの扉が開いた。
「乗ってください」
そう言われ、急足で乗り込むと佐藤さんも一緒に乗り込んだ。二人乗り終えると、外側の扉が閉まり次に内側の扉も閉まった。
「随分厳重ですね」
「そうですね。昔はここから脱走しようとした亡者もいましたからね。そこからセキュリティーに関してはかなり頑丈になりました」
「そうだったんですか……そう言えば下の階層と言ってたんですけど具体的には何地獄に行くんですか?」
「そうですね。今いるのが等活地獄。地獄で言うと一番上の階層です。今から行くのが一つ下の黒縄地獄になります」
「黒縄地獄ですか」
「はい、黒縄地獄の説明も今のうちにしておきますね。種田さんはどこまで覚えていますか?」
「えっと……確か黒縄地獄は殺生と盗みの罪で堕ちる地獄だったはずです」
「その通りです。そして一つだけ決定的に他の地獄と違うところがあります」
「……それは?」
「現世に残っている伝文や絵巻物では主に3つほどしか刑場が示されていないと言うことです。この意味がわかりますか?」
「何かしら違うと言っていたのでもしかして変わっていってる?」
「ほぼ正解です。黒縄地獄の刑罰に関してはかなり高頻度で入れ替わります。地上の時間でいうとそうですね……一週間ぐらいでしょうか」
「一週間で刑罰が変わるんですか?」
「黒縄地獄をまとめる者がそう言った思考を持っていますからね。上がそうなら結果的に下にいる者もそうなります」
「な、なるほど……と、言うことはさっき佐藤さんが連絡していたのはその上の者、で合ってますか?」
「はい、合っています。あちらもなんだかんだ忙しいようでおおまかに事情を話したら承諾してくれました」
「あ、ありがたいですね」
「ええ、まったく」
佐藤さんが備え付けられたボタンを押すとガタンと言う衝撃と共に下へ降りていく浮遊感が身体を襲う。どうやら、下へ降りていっているようだ。
「佐藤さん、これ下までどれくらいあるんですかね?」
「そうですね……約2分と言ったところでしょうか」
「2分ですか」
「ちなみにエレベーターを使わずに徒歩でも行けますが今回は時間がかかりすぎるので辞めました」
「時間がかかる……そんなにですか?」
「はい、地獄は階層で出来ていると言いましたがその間の空間もまた広いんです。距離で言うと訳八キロ……8000メートルあることになります」
「8000メートル……それを徒歩で?」
「はい、階段がありますのでずっと下っていくしかないですね」
それはかなりきつそうだ。8000メートルと言うと地上にあった最高峰の山と変わらないくらいだろうか?その距離を階段で降りて行こうとは思わないし思えなかった。
しばらくじっとしていると機械音と共に内扉が開いた後に外扉も開いた。開くと同時にわかるのがムワッとした熱波と鉄の匂い。これはもしかして血の匂いか?
「行きますよ、種田さん」
「わかりました」
「まずはここの管理をしている上長に顔を出します。その後に、刑場へ行きます」
上長、一体どんな人がやっているんだろうか?そもそも人じゃないのかもしれないが。