地獄の沙汰も君次第   作:Marks_Lee

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上長

佐藤さんが上長と言っていた人物に会いに行くことになった。一体どんな人なんだろうか?板張りの廊下をしばらく歩いていくと、青い門扉が見えてきた。

 

佐藤さんはそこを叩くと、中から誰かの声で何かを言っていたがうまく聞き取れなかった。佐藤さんは一度頷いて、室内に入ったのでそれについていく形で一緒に入った。

 

「失礼します。先ほど連絡した佐藤です」

 

「同伴の種田と言います」

 

「どうぞ、おかけになってください」

 

そう言われ佐藤さんは、革張りのソファーに座った。どうしようかと思っていると、佐藤さんは目配せをして着席するように促した。それに倣って佐藤さんの隣に着席する。

 

「少しお待ちを……」

 

声の主を探そうとしたが見当たらなかった。あれ?と思っていたが、ジロジロと見るのは失礼だと思ったので視線を前に固定する。

 

ガタリと何かが動く音がした。小動物だろうか?何かが駆けている。音のした方を見ると、手のひら大ほどのネズミだった。

 

「失礼しました。なにぶん仕事が立て込んでおりましてな。おや、どうされましたか?目が点になってますが」

 

「いや、なんでもありません」

 

「まぁ、私がこんな姿だと知って驚いたといったところでしょうな。私、訳あってこの黒縄地獄を任せてもらっていますネズミの繁二郎と言います。以後、お見知り置きを」

 

「は、はい」

 

「さて、本日はどのようなご用件で来られたのですかな?」

 

「種田さん、説明を」

 

「わかりました。実は……」

 

繁二郎と名乗ったネズミにこの度、黒縄にきた理由を説明した。ネズミは幾話を聞きながら何度か頷いていた。辿々しい説明を終えると、ネズミはしばらく沈黙した後、口を開いた。

 

「なるほど、そう言う事情でしたか。いいでしょう。ただし、取りすぎるのはよくありませんので考えながら行動してください」

 

「ありがとうございます」

 

「血の繋がっていない子のために一生懸命になるというのは人の美しいところだと私は思っています。少しお待ちください」

 

ネズミはそう言うと、何かの書類に手形を押す。それを器用に丸め、紐を結びこちらに持ってくる。

 

「これを持っていってください。これを見せればまずは何も言われないと思いますから」

 

「何から何までありがとうございます」

 

「曼珠沙華を採りに行くのでしたら少し遠いので足が必要になるでしょう。必要あれば言ってください」

 

「わかりました」

 

ネズミにもらった書類を懐に納め、部屋を出る準備をしていると、佐藤さんが立ち上がった。

 

「では失礼します」

 

佐藤さんが頭を下げたので、連なって頭を下げる。その後、部屋を出ていくと、緊張していたのか喉がやけに乾いていた。

 

「なんかすごい緊張しました」

 

「あのネズミはあれでなかなか頭がいいですからね。何を考えているのかほぼ読まれていると思いますが」

 

「え!?」

 

「種田さんの場合、表情から読み取れることがかなりありますのでその辺りを気をつけるようにしてください」

 

顔に出ていたのか。佐藤さんに言われた通り、表面上に出さないようにしないといけないんだろう。そういう訓練も今後していかないといけないと思った。

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