各自頼んだものを取り終え、手を合わせて食べ始めた。
「みんなのやつ、少しずつ分けてちょうだい」
「わかった」
取り分け用の小さい器に、ぜんざいとお汁粉を分け、小皿に赤飯を分けた。注文する前から分かっていたが、小豆しかない。
「ぼたんさんは小豆が好きなんですか?」
「うーん、好きと言うかなんと言うか……なんと言えばいいのかしらね」
「座敷童子はこの世に生を受けてから小豆好きですから」
「そうそう、そう言うものなのよ」
「じゃあ、逆に嫌いなものは?」
「特にはないけど……強いて言うならクセの強い野菜とかかしら?」
「クセの強い野菜ですか?例えばセロリとか?」
「あー、あれね。自分で進んでは食べないわ」
「私は嫌いじゃないんですけどね。得意かと言われたらそうでもありませんが」
佐藤さんの好き嫌いなんて知らなかったから驚いた。確かに各自それぞれ苦手なものだってあるだろうし、逆に好きなものだってあるだろう。
「そう言うあなたは何が嫌いなの?」
「えっ……そうですね。基本、なんでも食べれますよ。好き嫌い等はあまりありません」
「らしいわよ。よかったわね」
ぼたんさんはそう言うと、佐藤さんの方を見てニヤリと笑っていた。一体どう言う意味なのだろうか?疑問に思っていると、ぼたんさんが食べ終えたのか手を合わせていた。
「ふぅ、ごちそうさま。美味しかったわ」
「それが良かった。ところで姉さん。今後、住む場所を決めているの?」
「それなのよね。こっちにきてまた家なしで生活するのはきつそうだし……」
「だったらうちに……」
「よしっ、決めたわ。えーと、種田と言ったわね。あなたの家に住むことに決めたわ」
突然言われた言葉に何と言って反応したらいいのかわからなかった。おかげで食後に飲んでいたお茶を吹き出してしまい、スーツを濡らしてしまった。
「大丈夫ですか?」
「あっ、はい。なんとか……ぼたんさん。冗談でもそう言ったことは言っちゃダメですよ」
「あら、私は本気よ?」
「姉さん、本気だとしても物事には順序というものがあると思うの」
「だって、私が住みついたらそれだけで幸福が訪れるのよ?いいでしょ?」
確かにそれは少しだけいいなと思ってしまった。だが、見た目完全に未成年にしか見えない女性と同棲すると言うのはいかがなものだろうか?
「だとしても姉さんが一緒に住む理由にはならないわ」
「そうね……そう言われればそうとも言えるわ。よし、だったら……」
ぼたんさんはそう言って、顎に手をつけて何かを考えているようだった。その癖は妹の佐藤さんと似ていて、姉妹なのだなと思ってしまった。
「それじゃあ……こう言うのはどう?あなたを私の婿にしてあげる?どうかしら?」
一瞬、脳内の思考が固まった。一体どう言うことなのだろうか?理解が追いつかない。固まっていた思考が動き出したのは、隣に座っていた佐藤さんから出ている圧に気づいたからだった。
「……どういう理由なのかしら。その思考に至った経緯が知りたいわ」
やばい。佐藤さんの機嫌が良くない。場の空気がピリピリと肌に刺さる感覚になる。一体、どうすればいいんだ?