目の前の問題が色々と浮かんできたが、それはそれとして考えることにする。
一週間ほど経ち、少し変わっているが慣れてしまった日常を繰り返すと、人という生き物は慣れてしまうのだと言うことを嫌でも解らせらせる。と言うのもぼたんさんが毎日のように会いにきて、手製の弁当を用意するようになったのである。
最初は遠慮していたが、食べずに捨てると言うのも忍びないので、お昼に食べることにしている。
食べてわかったのが、どうも姉妹揃って味の傾向は似通っているなと思ったくらいだ。弁当に入っている卵焼きは塩味が効いたしょっぱい卵焼きで、個人的に好みの味付けだし、彩り用に入っている葉物はほんのりからし味で気分転換にもなる。
何より思ったのが、ぼたんさんが直接何かしてくるのではなく、胃袋から掴みにきていると言う事実だった。
今日もぼたんさんが作ってくれた弁当を食べ終え、風呂敷に包んでいると、急須を片手に持った佐藤さんが執務室に入ってきた。
「食べ終えましたか?」
「はい、ごちそうさまでした」
「いえいえ、それは姉さんに言ってください。それより、食後のお茶でもいかがですか?」
「いただきます」
そう、佐藤さんがタイミングを見計らったかのように現れる。これもぼたんさんの弁当が始まった頃からの習慣化していることだ。
佐藤さんが淹れる茶は、食後にちょうどいい淹れ方で渋みがあるがほんの少し甘い不思議な味のする茶だった。
これは一体どこで売っているのだろうか?佐藤さんのことだからどこかから取り寄せしているのかもしれない。
「佐藤さんがいつも淹れてくれるこのお茶、美味しいですよね。どこの茶葉なんですか?」
「これは確か天竺産だったかと。気に入りましたか?」
「はい、とても好きな味です」
「それはよかったです」
佐藤さんと二人してお茶を飲んでいる時は、あまり会話がない。と言うより、会話をしなくてもいいのでは?と言う空気が醸し出されている。
しばらくその空気を味わっていると、どこからかバタバタと言う足音のようなものが聞こえてきた。その音は、扉の前で止まり、勢いよく扉が開かれる。
「種田さん、大変っス!!!」
「どうしたんですか、巻尾さん?」
「いや、実は……託児所がどこかの知らない奴らに占拠されちゃったっス!!!」
その言葉を聞いて、一瞬理解が追いつかなかった。えっ、一体どういうことだろう?固まっていると、佐藤さんが気付けをするように何かをした。それのおかげで意識はこちらに戻ってくることができたらしい。
「えっ、えっ……どういうことですか?」
「詳細を言いなさい、巻尾」
「わかったっス。実は……」
巻尾さんはそう言うと、ことの詳細を明らかにし始めた。どうやら所属不明の二人組が、託児所に乗り込んで占拠しているらしい。それで、その所属不明の二人が、いるのがはながいる幼児を預かる施設らしい。
「つまり、その所属不明の二人をどうにかしないとマズイってことですよね?」
「そうっス」
「……それで自分たちは何をすればいいんですか?」
「何言ってるっスか!!!仮にも親だったら子供の心配を一番に考えるっス!!!」
「た、確かにそれはそうですけど……鎮圧用に誰か行ってるんじゃないですか?」
「一応、牛頭衆と馬頭衆から何人か配置されるらしいっスけど……現状、どうなのかわかんないっス。とりあえず、種田さんも現場に行くっス!」
「わかりました」
「巻尾、私もついていって大丈夫ですか?」
「それは大丈夫だと思うっス。とりあえず急ぐっスよ!」