全員で急いで託児所に向かう。道中、急ぐため佐藤さんに扉を出してもらい、急いで現地に行くと見下ろすような場所に繋がった。
そこには、獄卒の職員が大量に詰めており、ことの重大さが嫌でもわかった。佐藤さんが近くにいた獄卒に話を聞きに行くと獄卒は最初は現場から離そうとしていたが佐藤さんの顔をるとハッとして、ビシッと敬礼をした。
「お疲れ様です!」
「はい、お疲れ様です。現状を知りたいのですが教えてもらえますか?」
「は、はいっ!現在、男二人が託児所を襲い乳児保育の棟から出てきてません!男二人の身元は現在調査中です!」
「わかりました。ありがとうございます」
獄卒は佐藤さんに再度敬礼し、持ち場に戻っていった。見ていると、割と上の立場の獄卒のようだった。
「と言うことらしいです。種田さん、この現状をどう見ますか?」
「どう、ですか……」
「はい、率直な意見をお聞かせください」
「そうですね……まず、その所属、身元も不明の男が一応地獄の刑上であるここに入れたのが不思議に感じます。それと、誰か対処できなかったのかも気になるところです」
「はい、そうですね。巻尾、調べることはできますか?」
「任せてくださいっス!」
巻尾さんはそう言うと、現場周辺に固まっていた獄卒に話を聞きに行った。その脚の速さは、とても速く目で追いつけないほどだった。
「ひとまず、巻尾に情報を集めさせてみましょう。種田さん、タイミングが間違っているとは思いますが大丈夫ですか?」
「あ、ああ。大丈夫です。我ながら落ち着いているな、と不思議に思っているところです」
「そうでしたか……ですが手、気をつけてください」
「え?」
そう言われ、自分の手を見てみると思い切り握りしめていたのか爪が手のひらに食い込み、血を流していた。気づけば、痛みが走る。
「とりあえず治療しましょうか。万が一感染症等引き起こしたら目も当てられないですし」
「……すいません」
佐藤さんがどこからか救急箱を持ってきて、消毒をするために消毒液をかける。消毒液は傷口に染みて、鋭い痛みを覚えた。
一応ということで、手のひらに厚めに包帯を巻かれ、怪我人の体を示していた。ここまでしなくてもいいのでは?と疑問に思ったが、感染症予防の観点から見るとそれはそれで正しいのかもしれない。
しばらくじっとしていると、巻尾さんが戻ってきた。どうやら、情報を仕入れ終えたようだ。
「どうでしたか?」
「なんとか各所に聞いて回ったっスが状況が芳しくなさそうっスね……」
「芳しくないですか?」
「乳児棟に侵入した男は二人いて顔にマスクをつけて身元がわからないようにしてたらしいっス。それと、武装等は拳銃が2本所持。それと、腰の部分に何か長い獲物。おそらく良くて警棒、最悪短刀等持ってると見られるっス」
「なるほど……引き続き情報を集めてもらえますか?」
「わかったっス!」
「と言うことらしいですが種田さん。大丈夫ですか?」
佐藤さんにそう聞かれたが、拳銃や短刀と言うワードが出てきてから、あまりいい心地はしなかった。むしろ、気分は最悪の部類で周りに当たり散らしそうになった。
「とりあえず現状は今お話した状態です。さて、どうしたものか……」
佐藤さんは顎に手を当て、何かを考えているようだった。落ち着き払ったその姿勢は、驚くほど冷静に見えた。