地獄の沙汰も君次第   作:Marks_Lee

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終わりの始まり

店を出たあと、一度解散することになった。どうやら全員が一度情報を整理したいらしい。それに同意し、帰宅すると自室の扉の前に見知らぬ荷物が置いてあった。送り先は不明で、怪しかったが最悪な予感が頭をよぎってしまったので、勢いよく開封した。

 

中身は小さな小箱と写真が一枚。写真の方を見てみると、驚きのあまり顔が青ざめた。

 

そこには、犯人と思わしき男の片方の胸に抱かれたはなの姿だった。衣服等は託児所に預けた状態のままだったが、この様子ではちゃんと食事を与えられているのかすら不安に思えてしまう。

 

一体どうしたものかと思っていると、いつのまにか隣にいた日下部さんと佐藤さんに背中を支えてもらっている状況になっていた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あっ、はい。その、なんとか……」

 

「顔色かなり悪いですよ」

 

「そりゃこんな写真送られてきたらこうなりますよ……」

 

「これが犯人たちの肖像ですか。これ、少しお借りしても?」

 

「あっ、はい。いいですよ」

 

「それで……そのもう一つの小箱は一体なんですかね?」

 

「あっ、それは確かに。じゃ、じゃあ開けてみますね」

 

小箱を開けると、そこにはUSBメモリーが一本入っていた。大学のレポート提出の際に使った記憶があるが、ここ数年はご無沙汰なものだったので妙に懐かしい気持ちになった。

 

「これ、メモリーですよね?」

 

「中見てみますか?」

 

「再生機器を持っていないのでどうしようかと思ってまして……」

 

「それだったら私の部屋の使ってないものを使っていいですよ」

 

「本当ですか!お借りしてもいいですか?」

 

「どうぞ」

 

日下部さんに礼を言い、部屋に通してもらって使ってないノートPCにメモリーを刺した。入っていたのは、動画ファイルが一つのみ。

 

それをクリックして開くと、妙に凝ったOP映像が流れ始め、困惑した。

 

「えっと、これなんですかね?」

 

「……わかりません。種田さん、これスキップできないんですか?」

 

「スキップの表示が出てないので強制的に見せられるみたいですね」

 

「シークバーで調整してみたらどうですか?」

 

「ちょっとやってみます」

 

動画のシークバーを移動させると、動画本編が始まった。映像には、顔を隠した男が3人映っている。両端の男は、先ほどの写真に写っていた犯人の男たちだろう。つまり、この真ん中の男はそれより上の指示役かと思った。

 

『よう、これを見ているということは無事再生しているってことだな。赤ん坊は預かった。返してほしければ現金3000万と交換だ。期限は3日後。場所は、こちらが指示するから追って待つように。どこかに垂れ込むとかはやめといた方がいいぞ?子供のためにもならないからな』

 

声は変換されていて地声がわからないようになっていたが、言っている言葉の意味は伝わった。つまり、金を用意しなければ、はなの命はないに等しくなるということだろう。

 

追って連絡を待つと言っていたが、どこに連絡をすればいいんだ。そう思っていると、動画の最後の方に、URLのリンクが貼られていた。もしや、ここに送るのだろうか?

 

「とりあえず映像を見た限りでは金銭が目的のようでしたが他に目的があるんですかね?」

 

「どうでしょうか……ひとまず、連絡を取ってみることが大事になると思いますので種田さんは連絡を取ってみてください。私は、この写真から彼らの本拠地を炙り出して見せます」

 

そう言って佐藤さんは頼もしかったが、怖くも見えた。それは、日下部さんも一緒で、笑顔を繕っていたが、内心は読めなかった。

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