アルカから得られた情報を佐藤さん達に共有すると、情報の精査に入ると言われた。どうやら向こうでも情報の行き違いがあったらしい。
そうこうしている内に日が昇り終え、気温は上がっていく。すぐに限界を迎え、スーツに身を通し、部屋を出た。
しばらく廊下を歩くと、長蛇の列が出来ていた。一体何事だ?と思っていると、その中を縫うようにして巻尾さんが現れた。
「あっ、やっぱいたっス!こっちっス!種田さん!」
「巻尾さん?一体どうしたんですか?それにこの人だかりは一体……」
「それはとりあえずあとで話すっス!ひとまず先輩と合流するっスよ」
そう言うと巻尾さんは、離れないように強く握った。一瞬躊躇したが、この人だかりでは逸れても後々大変なので、握られたままにした。
異性とこうして手を繋ぐのはいつぶりだろうか……巻尾さんの手はとても温かく、いろんな違いを感じる。
そんなことを考えていると、黒山の人だかりは捌けて周りには誰もいなくなった。
「あっ、手繋いじゃったままだったっスね!今、離すっス!」
巻尾さんはそう言うと、握っていた手を離した。残ったのは、握られていたという事実のみ。
「この辺りに先輩いるはずなんスけど……どこだろう?」
「連絡取ってみます?」
「そうっスね」
巻尾さんはポケットから端末を取り出し、佐藤さんに連絡をとる。その間、こちらは手持ち無沙汰になってしまうので、今朝のアルカの証言をメモに起こした。
しばらくすると、目の前にショッキングピンクの扉が現れ、開いた。佐藤さんが会釈をすると、巻尾さんが扉に潜っていく。それを追うような形で着いて行った。
扉の先は、閻魔様の執務室だった。来客用の机の上には、何やら大きな紙が広げられている。
「やぁ、来たかい」
「おはようございます、閻魔様」
「うん、おはよう。それじゃあ、これから少し話し合いをしようか。佐藤、準備は出来てるかい?」
「はい、閻魔様」
そう言うと佐藤さんは、机の上に広げれた紙の上に小瓶に入った液体を垂らした。すると、その液体はあっという間に拡がり、地図のようなものになる。
「これが犯行現場である託児所。その先、少し離れた場所にあるのが種田さんが最初に見たと言っていたバーがある地区。そして、そこから距離を置いた廃墟街が、種田さんがコウモリから教えてもらったという場所になります」
「こうみるとかなり距離ありますよね」
「そうですね。徒歩で行ったら確実に3日はかかります」
「そうなると、あの男達が何かしらの扉を使ったと言うのが正しい、になるんですかね?」
「ほぼ100%そうなりますね」
「うーん……なるほどねー」
「なにか引っかかるところがありましたか?」
「それなんだけどさ……たしか扉を使う時って認証式の鍵が必要になったよね。その場合どうなるの?」
「それなのですが、おそらく偽造しているものかと」
「……ふーん、なるほどねー」
閻魔様はどこか遠くを見ているようだった。以前にもあったから、何かしら考えているのかもしれない。
「とりあえず、現状解決できていないことをリスト化しようか」
「そうですね。まずは、犯人たちの動機。これに関しては身代金を強請るためにやっていふもので間違い無ないかと思います。その次に、扉の認証の問題。これに関しては、技術開発部の責任者に問いただそうかと思っています。そして、種田さんの情報なのですが、一つのソースとして見ています」
「つまり、確定情報ではない、と言うことですか?」
「そうなります」
「よし、現状やらなきゃいけないことは各自わかってるね?それじゃあひとまず解散!」
閻魔さまはそう言うと、そそくさと自分の執務机に戻って行った。
「と、言うことですのでこの続きは執務室でお話ししましょうか。鍵は借りていますので、扉を開けます」
佐藤さんはそう言うと、ショッキングピンクの扉を出して、執務室へと続く道を作った。
色々考えることは多々あるが、現状をどうにかしない限り、話は進まない。そう考えてしまった自分がいた。