プロメア セカンドシーズン(妄想書き殴り) 作:からすまそういち
長い、夢を見た。多くの仲間たちが捕まった。手足を氷漬けにされ、何処かへ連れ去られていった。俺の中にあったのは激しい怒りだった。
「そうだな。お前は怒っている。この世全てを、何もかも」
長い夢を見た。新しい自分の居場所。今度は絶対に守ってみせると誓った。いつも燃えていたあの時よりも暖かい場所があることを知った。
「でも、それも終わる」
――終わる?
長い夢を見た。俺が居たいと思った場所が、守ると誓った場所が、業火に燃やされていた。その中心にいたのは――
「お前だ。リオ・フォーティア。お前は結局、変われなどしない。お前の中にある怒りは消え
などしない。お前の心は蝕まれ、そして、全てを燃やすのだ」
――全て、燃やす。
「……ここはどこだ?」
目を覚ます。俺は真っ白な空間に浮遊していた。どこまでも白く、果てしない空室。
「ここはお前の心の中だ」
「ここが、俺の心? ――なにもない」
「ああ、そうだ。お前の中には何もない。全て燃やしてしまった。感情も、何もかも」
「お前は、あの時の……」
「久しぶりだな、いや、もううんざりする程顔を合わせた後なんだが」
「さて、そろそろ時間だ。目覚めよう。そんでもって何もかも燃やしてやろうじゃねえか。何
かを燃やしている時は自分もハイになれる。そうだろ?」
「……ああ。そうだな。――だが」
「?」
「俺には帰る場所がある。そこに戻らないと。仲間を待たせてるんだ」
「待て待て待てよオイ。もうここには何もない。お前の戻る場所も、仲間も、もう全てお前が
燃やしちまったじゃねえか」
「そうかもしれない。でも、ここにきちんと、俺がいる」
「はあ?」
「例え俺の中の記憶や思い出が燃えてしまったのだとしても、今の俺がもう思い出せなくても、
分かるんだ。俺を待っている人がいる。それを知っている俺がここにいる。だから――大丈夫
だ」
「――ああ、誰かが俺を呼んでいる。誰かは分からないが、よく聞いた声だ。俺はあいつのと
ころに行かないと。約束があるんだ。何を約束してたのか、それも覚えていないけれど、俺は
あいつの声に、答えたいんだ」
「待てよ! お前の中の怒りはどうした! 何もかも燃やしてやるんじゃねえのか! お前は
燃えたいんじゃねえのかよ!」
「……何を言っているんだ。俺は既に燃えているさ。
――心の奥底から」
「ところでここは俺の心の中、なんだったな。何故お前がいる。許可した覚えはない。俺の中
に無断で立ち入っていいのはあいつらだけだ。消えろ」
「なっ、何故だ! あれほど! あれほど怒り狂っていたというのに――ッ!!」
「誇りのないお前に一つ教えてやろう。
燃やしていいのは――心だけだ」
ガロ
「リオォォォォォォォォ!!!」
リオ
「……まったく、うるさいやつだ。
そこまで大声で叫ばなくても、お前の声は俺の中によく響く」
ガロ
「リオ!」
クレイ
「――ほう」
バッド・
プロメア
「馬鹿な! お前の記憶は全て燃やして――」
リオ
「所詮夢だ。ただの悪夢に俺の炎が消せると思うな。
というか、ここは何処だ」
ガロ
「プロメアの星だ! 俺達はこいつに乗って来たんだ!」
リオ
「それはガロデリオン……? いや、違う。なんだそれは」
ガロ
「ガログレイオンだ!」
リオ
「ガロ……グレイ? 待て、じゃあその中にいるのは――」
クレイ
「ガロ、私は一度地球に戻る」
ガロ
「なんだ突然!」
クレイ
「言っただろう。これは三人乗りではない。そこの小僧を乗せるといい」
ガロ
「ダンナ一人でどうやって戻るつもりだ⁉」
クレイ
「私をダンナと……もういい。
人間一人分の裂け目なら私単体でも作れる。先に戻るぞ」
ガログレイオンから出るクレイ。
リオ
「やはり、お前は――クレイ・フォーサイト!」
クレイ
「リオ・フォーティア。重大な任務をお前に与える。
このマシンに乗り、そこのバッドプロメアを斃せ。わかったな」
リオ
「お前に言われなくてもそうする」
クレイ
「――そうか。ならいい」
クレイが裂け目に消え、リオはガログレイオンに乗り込んだ。
ガロ
「そういえば、リオもバーニッシュに戻っちまったのか?」
リオ
「……『も』?
成程、概ね分かった。
――いや、俺はバーニッシュになっていない。
だが、バーニッシュのふりをすることはできる。こうしてな」
バッド・プロメア
「な、なんだこれは……吸い上げられて――」
リオ
「お前が俺に干渉できたなら、俺もまたお前たちに干渉できるはずだ。
人の中に勝手に土足で踏み込んだツケはでかいぞ。
今度は俺がお前たちの中に――入る」
リオの胸に火が灯った。
リオ
「ああああああああああああ!!!」
それに合わせ、ガログレイオンの胸にも火が点いた。その火は全身を覆うように広がり、つ
いに外郭を全て埋め尽くした。そのバーニッシュフレアはアーマーとなり、新たな形態へと移行する。
ガロ
「これが俺達の新たなマシン――」
リオ
「ガロデリオンXだ!」
バッド・プロメア
「……どこまでも、どこまでも私達の邪魔をするというのか!
もう利用価値などどうでもよい! 今ここで! 灰と化そう!」
リオ
「無駄だ。誰にも俺達の炎を消すことはできない。
この――火消し魂は‼」
ガロ
「よし! アレやるぞ!」
リオ
「え? ……本当にやるのか?」
ガロ
「今やらなきゃいつやるんだよ! ほらいくぜ!」
リオ
「え、えーーっと……」
ガロ
「炎がどこで燃えようと!」
リオ
「――俺達は必ず駆け付ける」
ガロ
「この火消し魂に誓って!」
リオ
「どんな灯火も残さない」
「「燃える魂の男二人、今ここにさぁ~↑んじょう!
さあ! その雄姿をとくとごぉ~↑覧アレェ~ッ!!!」」
ガロ
「キマったな!」
リオ
「……死ぬほど恥ずかしい」
ガロ
「なんだよ、ちゃんと練習してんじゃねえか、なあ?」
リオ
「……うるさい。もう二度とやるか」
ガロ
「えぇ~! なんでだよ!」
リオ
「次は俺が口上を用意する。次からはそれだ」
ガロ
「リオが考えるのか……わかった!
ちゃんと格好いいのにしてくれよ!」
リオ
「少なくともお前のよりかはマシだ」
ガロ
「さて! 決め台詞もぶちまけたところで!」
リオ
「――やるか」
バッド・プロメア
「やられるのは――お前たちだァァァアァ!!!」
熱戦を吐くバッドプロメア。その閃光は真っ直ぐガロデリオンXに向かってきている。
リオ
「おい、このままだと直撃するが何か策が――あるわけないな。
押し返すぞ!」
ガロ
「おう!」
敵の熱線に応じるようにガロデリオンXもまた閃光を放った。二つの炎が激突する。お互いに一歩も譲らないパワー勝負になった。
拮抗した爆炎の押し付け合いは、いつまでも続くかのように思えた。しかし、次第にガロデリオンXの放つ灼熱の勢いが落ちていく。
リオ
「くっ……所詮借り物の力か。
ただのパワー勝負だと本体には劣る。このままだとまずいぞ」
だんだんとガロデリオンXの炎が押されていく。
リオ
「ぐぐぐ……なんとかしないと。だが、今の俺に何ができる――」
「どうせこんなことだと思ったぞ」
ガロデリオンXの炎に加勢するかのように、氷の光線がバッドプロメアの炎に衝突した。
クレイ
「絶対零度宇宙熱死砲・改。
本来はクソに向けて垂れ流すためのものではないが、
バッドプロメア用に調整した対プロメア用決戦兵器だ」
ガロ
「それは――クレイザーX!」
クレイ
「私のマシンに妙な名前を付けるな。こいつの名は――
クレイザーX・改だッ!!!」
ガロ
「ダンナァ!」
クレイ
「私をダンナと、呼ぶなァァァァァァァァァァ!!!」
リオ
「何故戻ってきた! クレイ・フォーサイト!」
クレイ
「お前たちだけでは話にならないからだ。現に押されている」
リオ
「くっ……」
クレイ
「思い出せ、リオ・フォーティア。
私を退けたあの時、お前が何をしたのかを。
そうやって借り物の力を吐き出すことだけがお前にできることなのか?」
リオ
「! そうだ、俺はあの時聞いたんだ。
プロメアの声を。そして――」
ガロデリオンXの吐く炎に変化が見られた。色がどんどん澄んでゆき、そして、
ガロ
「これは、あの時の――」
クレイ
「純度の高い正方向のバーニッシュフレア。
それは燃やすための炎ではなく、燃えるための炎。
己自身と繋がった全てのものを守りながら燃焼する、
プロメア本来の炎だ」
リオ
「だがパワーが足りない! 物理的に押されている!」
ガロ
「リオ、任せろ! お前の炎は、俺があいつに直接ぶつける!」
リオ
「ガロ、お前まさか――」
ガロ
「突っ込むぞ!」
クレイ
「無謀だ。敵の炎の中を突っ切るというのか」
ガロ
「リオの炎が守ってくれる! クレイのダンナも手を貸してくれ!」
クレイ
「……やれやれ。
ここまで命知らずというのに今までよく生きてこられたものだ。
私にできるのはせいぜいこの
絶対零度宇宙熱死砲・改を当て続けるくらいだぞ。いいな」
ガロ
「ああ!」
ガロ
「リオ、」
リオ
「分かってる。エネルギーを放出から推進力に変換。
いいか、今から俺達はあの炎に呑まれる。
その中を突っ切って相手本体にぶちかます」
ガロ
「おう!」
リオ
「俺がお前を守ってやる。だから――お前は俺を守ってくれ!」
ガロ
「任せろ!」
リオ
「行くぞ!」
炎に呑まれるガロデリオンX。しかし、澄んだ炎が表面に纏い、消し炭になることはなかっ
た。
黒の熱線の中、光る粒が高速で移動していた。ただ真っ直ぐに。諦めることなく、その光は
熱線を放つ元へと進んでゆく。
「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉおおおおおおお!!!」」
「「「行けェェェェェェェェェェェェエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」」」
バッド・プロメア
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁあぁああぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
ガロデリオンXはバッドプロメアを貫いた。
装甲の所々が溶け、剥がれ落ちていたが、コクピットは無事だった。
クレイ
「……ふん、悪運だけはいい奴め。今回も、生き延びたか」
ガロ
「おう! リオの炎が守ってくれたからな!」
リオ
「まったく……いつもお前は無茶ばかりする」
クレイ
「親玉を斃したことでこいつらも少しは大人しくなるだろう。
このまま蹴散らしたいところだがこちらの被害が大きい。
地球に戻って一旦守りを固めた方がいいだろう」
リオ
「そうだな。ゲーラ達も気になる。向こうも相当まずいんだろ?」
ガロ
「ああ、ゲーラならやってくれてるとは思うけど……」
ガロデリオンXとクレイザーX・改が合流する。
クレイ
「まだ力は使えるか?」
リオ
「なんとか。どうすればいい?」
クレイ
「炎を圧縮して高濃度にし、
レーザーのように空間を切断すれば裂け目ができる。
閉じるのが早いから裂け目ができたらすぐに入るんだ」
リオ
「わかった」
バッド・プロメア
「あが、ががが……バァ――!!」
バッドプロメアは散り際に閃光を吐いた。その一線は三人の方へ向かってくる。
リオ
「あいつ、まだ生きて――」
クレイ
「くっ……がぁ―――っ!!!」
ガロデリオンXの前にクレイザーX・改が立ち、熱戦を受け止めた。
ガロ
「クレイ! なんで庇った!?」
クレイ
「勘違いするな……デウスXマキナは人類の最期の希望だ。
これ以上破壊させるわけにはいかない。それだけだ。
それよりも、リオ・フォーティア。
貴様、咄嗟に炎で私を守ったな?」
リオ
「……お前は、許されないことをした。それは裁かれなければならない」
リオ
「だが、お前を裁くのは俺でも奴らでもない。
司法だ。お前は司法によって裁きを受けろ。
そして、人生をかけて償っていくんだ。俺達と同じように」
クレイ
「……そういえば貴様らマッドバーニッシュは
現在執行猶予期間中だったな」
ガロ
「でも大丈夫だ。もうリオ達は道を間違えねえ。
間違ったら直せばいいんだ。ダンナもきっと、やり直せるぜ」
クレイ
「本当に幸せな脳みそを持つやつだ。
――やり直せる、か。ふん、そもそも私は間違っていない」
ガロ
「またそんなこと言うー。ダンナも強情なやつだなー」
リオ
「話は後だ。敵が集まる前に戻るぞ」
ガロ
「ああ! わかった!」
ガロデリオンXは次元を切り裂き、裂け目を作った。ガロデリオンXは損壊したクレイザー
X・改を抱えながら裂け目の中を入っていった。
裂け目の先は丘だった。開けた場所に二機は着地する。
リオ
「夕日が……」
ガロ
「けっこう時間かかってたんだな」
リオ
「……」
ガロ
「……」
「「――あのさ」」」
リオ
「わ、わるい。先に言ってくれ」
ガロ
「い、いや俺はいいからリオが……」
「「……」」
リオ
「……今更お前とこんなやり取りをするなんてな。
ガロ。今から俺はお前に変なことを訊くぞ。
――俺は、一体なんだ?
俺はもうバーニッシュではない。
かといってまだバーニングレスキューでもない。
今の俺はなんだ? 俺は何者なんだ」
ガロ
「へ? リオはリオだろ。何言ってんだ?」
リオ
「――そうだな。そうだった。
俺はリオ・フォーティアだ。
バーニッシュでもバーニングレスキューでもない、
ただのリオ・フォーティアだ」
ガロ
「俺はガロ・ティモスだぞ?」
リオ
「知ってるよ。――ああ、俺はお前を知っている。知っているんだ」
リオ
「……ガロ、俺はバーニングレスキューになる。
まだ全然お前や先輩たち、
ゲーラやメイスにも及んでいないがいずれ追いつく。
いつかお前の隣に立ってみせる」
ガロ
「……? 今隣にいるじゃねえか」
リオ
「――そうか。じゃあお前を追い越そう」
ガロ
「なっ⁉ それは駄目だ! 先輩としての威厳がよぉ!」
リオ
「お前がそんなことを気にする質(たち)か?
俺がお前を追い抜いたら、今度はお前が俺を追い越してみせろ。
そうしたらまた俺がお前を越えてやるさ。
――だから、その時まで待っててくれ」
ガロ
「おう! 任せろ!」
リオ
「で、そっちの話は?」
ガロ
「あ、その、そうだな……」
リオ
「どうした急に」
ガロ
「リオ……その、あれだ――すまねえ!」
リオ
「は?」
ガロ
「今朝、俺はリオを励まそうとしてたんだが、
癇に障る言い方をしちまった。
リオを怒らせるつもりはなかったんだ。でもよ――」
リオ
「分かっているさ。だから、頭を上げてくれ」
リオ
「そんなことは分かっている。
ただあの時は気分がよくなかったんだ。
だからお前にあんなことを――。
俺の方こそ謝らせてくれ。
ガロ。悪かった。
お前の言いたいことは分かっているつもりだったのに。
俺の心が弱かったせいだ」
ガロ
「……俺は! リオの気持ちが! わからねえ!」」
リオ
「お、おう。そうだな。逆に分かられても怖いな」
ガロ
「だから!
リオが困ってる時や悩んでいる時は遠慮なく言ってくれ!
俺に何ができるかわからねえが――力になりてぇんだ!」
リオ
「――わかった。次からはそうする」
ガロ
「約束だ!」
リオ
「ああ、約束だ。お前も忘れるなよ?
追い抜かれてから忘れてましたじゃ話にならないぞ」
ガロ
「大丈夫だ、任せてくれ!」
ガロ
「……」
リオ
「ガロ? どうした?」
ガロ
「……なあ、クレイ」
クレイ
「なんだ」
ガロ
「アンタの裁判が始まったらさ、俺を証言台に立たせてくれよ」
クレイ
「何故だ」
ガロ
「全部、話そうと思うんだ。
アンタがあの時何をしようとしていたのか。
今回俺達と何をしたのか、全て」
クレイ
「……ふん、私を庇うつもりか?」
ガロ
「いいや、違う。真実を話すだけだ。皆が知らない、真実を」
ガロ
「きっと皆分かってくれるさ。
クレイのダンナは人類を諦めなかったんだって」
クレイ
「誰もがお前みたいなバカではないがな……。
お前みたいなのがまだいてたまるか」
ガロの腰から甲高い音が響いた。
ガロ
「あれ、アイナからだ」ピッ
アイナ
「ガロ! やっと繋がった! 今までどこにいたの⁉」
ガロ
「やべえ! 忘れてた!」
アイナ
「もう!
こっちはゲーラ君達が元バーニッシュの人達を
連れてきてくれたんだけど、まだ人手が足りないの!
早くこっちに来て! 位置はもう送ったから!」
ガロ
「了解! すぐに行く!」
リオ
「これは帰ったら隊長に折檻だな」
ガロ
「まずいまずい! 早く行かねえと――その前に、クレイ」
クレイ
「……まだ何かあるのか?」
ガロ
「アンタも来てくれ。
聞いてただろ? 人手が足りねえらしいんだ。
バーニッシュの力を使えるやつは一人でも多い方がいい」
クレイ
「やめておけ。混乱を招くだけだ。
下手をしたら元バーニッシュ達と衝突することになる」
ガロ
「大丈夫だ。俺もリオもゲーラもいる。
そんなことにはならねえ。
……頼む! 俺達に力を貸してくれ!」
クレイ
「……」
ガロ
「バッドプロメアってやつらもまた攻めてくるかもしれないんだろ?
その時にダンナがいてくれた方が助かる。
まだ人類の戦いは終わっちゃいねえ。
困っている人達を助けるんだ。だから――」
クレイ
「私に命令するな。……ふん、『困っている人達を助ける』、か。
――私は最初から、そのつもりだ」
あとがき
クレイがサブ主人公になってて草。