【世界観が】ジョーカーアンデッドに転生しました【迷子】 作:ウェットルver.2
ジョーカーアンデッドで話書いているの、うちだけなの? マジで?
圧倒的カリス人気よ。 なんでやジョーカーだって始さんだろ!?
粉塵が舞う。
前世の記憶をひきずりだして、なんとなく水墨画での霧のかかった森林地帯や山岳の絵とかに似たような光景だなあ、と連想しながら、山のように見える瓦礫を見あげる。
ジョーカーアンデッド、そう自認する異世界からの来訪者は。
いくら“掲示板”で頼まれたこと、とはいえ。
そこまでやりすぎる連中だったのね、と。
自分が密入国をした紛争地帯の「大人たち」について、その認識を改めた。
よほどの阿呆でもない限り。
NGO活動などという、あきらかに資金も資源も豊富であろう状態にありながら、ごていねいにヴァイオリンを弾くキリギリスの夫妻へ食いつかない働きアリなどいない。
そして、そういう「よほどの阿呆」ほど、働きアリたちよりも良心的なのだ。
彼らにとっての冬とは、この紛争地帯のすべてだ。
どこでも殺しあいが始まり、どこにでも女が転がり、どこにでも戦士に育てることのできる子供が路頭を迷い、農民が安心して農作をできない環境下にさせておきながら、商人が商売できない状況にさせておきながら。
飯が足りない、カネが足りない、水が足りないと飢え続ける。
支え合うことを忘れた、欲望の奴隷たち。
極端な貧困、簒奪による富の偏りは、問答無用で相互理解の道を絶やす。
………これは政治的思想の問題ではない。単純な欲望の問題なのだ。飢えるものほど視野が狭くなり、「富めるものから奪う」ことしか考えなくなってしまう。
富裕層。
それを自分たちが苦しむ原因で、「悪」なのだと信じ込んでしまうのだ。
実際のところ、どうなのか? そんなものはケース・バイ・ケースだろうに。
だから、子供たちの英雄は現れる。
そんな空想上の「悪」よりも、もっと具体的な悪事をした「悪党」のもとへ。
ただし、この子供たちの英雄は。
ピーター・パンが海賊団の船長を問答無用で殺しにかかるように。
悪事を為した「大人たち」へ、まったく慈悲がない。
「―――“しあわせは あるいてこない”
“だから あるいて ゆくんだね”―――」*1
あざ笑うかのように。
彼らが踏みにじった音楽を嗜みながら、その首を狩り取っていく死神。
「―――“いちにち いっぽ みっかで さんぽ”
“さんぽ すすんで にほ さがる”―――」
わざわざ日本語で。
当然ながら、だれにも理解はされない。
異国の言葉で奏でられる音楽など、総じて悪魔の呪文に聴こえるだろう。
聞いたこともない大昔の、昭和43年の
だから、彼らは発狂する。
緑色の道化師が。怪物が。
じわじわと、にじり寄りながら。
行進曲を口ずさみ、異国の言葉で呪文のように唱えるのだから。
しかし。
守られ庇われる側からすると、どう見えるだろうか?
もはや期待できない、自国の軍隊。
異国の軍隊がやってきて、助けてくれるとも信じられない戦況。
やってきたのは音楽を奏でてばかりの、よくわからなかった者たち。その音楽が自分たちを癒してくれると理解した時、彼らの笑顔は蘇ったのだろう。
同じように、黒い死神がやってくる。
ひとり、またひとりと、自分たちの仲間を奪った敵を殺していく。
いや、自分たちの敵ばかりを殺して、自分たちのことを守っていく。
言葉はわからないが。
陽気な歌を口ずさみ、道化師の靴が軍靴の音を鳴り響かせながら。
どこまでも敵を殲滅するべく、死の行進を終わらせることがない―――――!
「やっちゃえ! ぶっころせー!」
子供の声援が、そういうものになる時点で。
彼の所業が問題というより、彼がそんな所業をするしかないほどに、この地に住まう争う者の心が荒みきっている現状が問題だろう。
温和な解決法など飢える者がある限り、そう簡単には意味を成してはくれない。
わかっている。なんの解決にもなっていない。
脳裏に浮かぶ文字列からは、そんなことはないと告げられはするが。
資源の問題から生じる貧困のみを解決してしまうほど大量の人間を殺し続けても、生産者と流通者が生まれない限りは、決着をつけるための一手にすらならない。
そもそも、どんな小国とて、それなりに土地は広大だ。
結局のところ、無数の地域から物資を供給できない状況になってしまうほど人口を減らせば、やはり意味など生まれない。意味を与えてくれる人間が足りない。
だから。わかってしまうから。
道化師である自覚をもって、ジョーカーアンデッドは歌うのである。
「―――“あせかき べそかき あるこうよ”
“あなたのつけた あしあとにゃ きれいなはなが さくでしょう”―――」
誰かが、自分の物語に。
本当の意味を与えてくれますように。
【世界観が】ジョーカーアンデッドに転生しました【迷子】2スレ目
1:ジョーカーアンデッド?(>>1)
ダメだったよ。無理だった。
2:名無しの装者
………そっか。お疲れ様、ジョーカーニキ。
3:ジョーカーアンデッド?(>>1)
助けられるだけ、助けた。
庇えるだけ庇った。いつもどおりに。
それがマズかったのかもしれない。
もっと頑張るべきだったのかもしれない。
親御さんまでは無理だった、間に合ってなかった。
あいつら、NGO活動している連中からも搾取する方針に切り替えたらしい。国連からガチで連中ぼっこぼこにされるかもしれないけど、それをする価値がないくらい、この国に特別どうこうって資源があるわけじゃない。詰んでいたんだ。ちくしょう。
4:名無しのアンデッド
クリスが助かったんならセーフじゃね?
5:名無しのアンデッド
>>4
おまえ長文読めないタイプ?
「いつもどおりに、だれも特別扱いしないで助ける」?
おまえにできる? おれにもできねーよ???
6:名無しのアンデッド
ジョーカーニキ。
頑張ればって、なんか別のことやってたの?
7:ジョーカーアンデッド?(>>1)
>>6
いいや、なにも。
自転車で全力疾走とか、さすがにアンデッドでも無理だから、なるべくペースを崩さないように、ついた頃にも戦えるようにサソリとか食ってた。
8:名無しの装者
ひえっ
9:名無しのアンデッド
さすがだぞ!
怪人の弱点であるエネルギー補給の問題もばっちりわかっているんだな!
いやそれでもサソリはないわ………で、味は?
10:ジョーカーアンデッド?(>>1)
>>9
アンデッドの顎に任せて強引にかみ砕いたから、味っていうか、外骨格の触感とかしかわかんなかった。そこだけ言うなら、噛み応えはよかったかも。
11:名無しのアンデッド
12:名無しのアンデッド
なにいってんだ?
クリスのマッマを死なせただけでもアウトだろ!?
13:名無しのアンデッド
>>12
は? マジで言ってんの、アンタ?
14:名無しのアンデッド
どこに長距離自転車走行でサソリをブレイクスルーしながら現地での戦闘を念頭に置いたエネルギー配分をしつつ、しっかりクリスちゃん誘拐の当日(※日時不明)に間に合わせる化け物()がいるんですかねぇ………??
15:名無しのアンデッド
(※このコメントは削除されました)
16:名無しのアンデッド
あら、BAN*4? ざまぁないわね!
17:名無しのアンデッド
>>15
めずらしいな、たまにあるよなコレ。
18:ジョーカーアンデッド?(>>1)
>>15
え、なにこれ、そんなのあったの?
19:名無しのアンデッド
あるぞー、少なくとも月単位でコメント投稿できないんだって。
利用規約のページ読んだか? けっこうていねいに書いてあるぜ?
20:名無しのアンデッド
ええと、
“本掲示板のスレッド内において、特定個人への過剰な要求、および誹謗中傷は投稿者の感情を察知し「実行」を意識した段階で対処されます。最低でも一か月の投稿禁止、程度により特定スレッドへの閲覧の禁止、最大で本掲示板の利用を一生涯利用禁止とさせていただきます。”
………だったわよね?
脳内とかでやるから、コピペできなくて大変よね、こういうのって。
21:名無しのアンデッド
もうちょい具体的で細かいよな。
なんつーか、「二度目の転生とかなら掲示板の利用OK」なあたり、けっこう利用する側に気をつかったシステムだよなコレ。
どうやって感情読んで「実行」を認識できるのかが怖いけど。
22:名無しのアンデッド
一歩間違えたら圧制じゃねーか!
俺も利用規約読んでくるわ! 圧制認定外れてくれよ……?!
23:名無しの装者
ところで、ジョーカーニキ。
クリスの様子はどう? 音楽いけそう?
24:ジョーカーアンデッド?(>>1)
へ? どゆこと?
25:名無しの装者
あの子、「こういうの」がトラウマで音楽がきらいになるんだよ。
ざっくりだけど。どう? マジでどう???
26:ジョーカーアンデッド?(>>1)
………えっと、その。
なんか普通に歌っているよ?
27:名無しの装者
よし、ジョーカーニキ、なにやった?
こういうとき、だいたいの転生者は無自覚にやらかすんだ。
俺は詳しい。俺は正しい。俺を信じろ、おら白状しろ(真顔)
28:ジョーカーアンデッド?(>>1)
どこの
雪音クリスが見たものは、地獄だった。
歓声。殺意を宿す、被害者たちの怨嗟の声。
両親だったものが一身に受けていた喜びの声とは異なる、悪意に満ち溢れた人間の声。
悲しみから歪み、澱みきった憎悪の音楽が、少女の心を焼き尽くしにかかる。
それでも、彼女の胸のうちにまでは燃え広がらない。
父親の言葉を思い出した。
母親が父親へと語りかけるときの、父親の故郷の言葉が聞こえた。
「―――“しあわせは あるいてこない”
“だから あるいて ゆくんだね”―――」
リズムは明るく。音色は寂しく。
ひとりぼっちの道化師が、どこまでも前を向いて戦い続ける。
「―――“いちにち いっぽ みっかで さんぽ”
“さんぽ すすんで にほ さがる”―――」
みんなのために。
そうやって取り戻しに来た「幸せ」を、なぜか救われる側が忘れていく。
消滅した兵士たちの遺品から銃器を奪い応戦する者が、道化師の前を歩き、さらなる犠牲者を生みだしていく。赤い霧に包まれた怪物を、赤い雨で濡らす人間たち。
犠牲者
おとなも、こどもも。ともだちだったものさえも。
「―――“あせかき べそかき あるこうよ”!
“あなたのつけた あしあとにゃ きれいなはなが さくでしょう”―――!」
それでも。
歌うことを止めない。自分の感情を観客に、絶対に悟られないように。
ちいさく喉元を痙攣させ、歌声が乱れていようとも。
素知らぬ素振りで鎌を振りあげ、死神としての務めを放り出さない。
地獄の舞台。
その壇上を歩きながら、「道化であること」を放り出さない役者がいた。
雪音クリスは歌う。
自分だけでも。
せめて
同じ言葉で歌い、同じ願いを込めて。
「人間」の戦いを憎みながらも、立ちあがる。
なんか斜線タグが働かない。 だれか対処法教えてください………!!!