【世界観が】ジョーカーアンデッドに転生しました【迷子】   作:ウェットルver.2

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 やっと前半の後半部分です。
 本当は前回、次回の話とあわせての、特撮恒例「2話構成」だったのですが、残念ながら現在、自分にそこまでの実力は伴っていなかったようです。精進したいですね。


うたずきんと四人の”なにか”

「よっ。ひさしぶりだな、――――“モモタロス”。」

「“ディケイド”ぉ!?」

 

 ぎょっとした表情で門矢士を見る、赤鬼モモタロス

 

「知り合い、なの?」

「まあな」

 

 士がわたしを持ちあげ、カウンター席へと座らせる。

 

「腐れ縁だ、馬鹿野郎!

 また何かやらかす気か、え゛ぇ゛!?」

「そんなところだ。ほら、受け取れ」

 

 すっ、と、モモタロスのプリンケーキを、わたしの傍に寄せた。

 

「あ゛ーっ!?

 ディケイド、おまえ、俺のプリン!」

「………ひどい」

 

 そういうこと、していいの?

 このひと……ひと? の、誕生日ケーキじゃなかったの?

 

「たまには奢ってやれ。

 お客さんだ、においで気づかないか?」

 

 におい?

 

「………なるほどな、契約者*1かよ」

 

 わたしのほうを見て、ほんのすこし鼻を鳴らす。

 え、本当に嗅いでいるのだろうか。ちょっと気持ち悪い。

 

「ったく、こんなガキの記憶を利用しやがって………!」*2*3

 

 ぽん、と。

 わたしの頭を叩き、プリンケーキをわたしのほうに寄せてきた。

 

 ………ひょっとして、すごくいいひと……ひと? なの?

 

 見た目が鬼というか、悪魔というか、怖い感じの怪物だけど。

 悪い“なにか”ではない、のだろうか。

 ジョーカーみたいな。

 

「子供? おや、お嬢さんかい?」

「亀公、おまえが釣る相手じゃねぇよ。わかるだろ」

 

 遠くから、こちらを見つめる、青い細身の男

 「ああ、なるほどね」と呟くと、そっと近寄り、手に持っていた薔薇をプリンケーキの横に置き、そのまま背中を向ける。

 

「………リュウタ、遊び相手増えたよ?」

「え、遊び相手? 友達? やったー!」

 

 飛び跳ねながら、黒いドラゴンのような青年が近寄ってくる。

 

「ぼく、リュウタロスって言うんだー! きみ、名前は?」

「え、えと、雪音クリス………」

 

 青年……というより、同い年の子供みたいだ。

 身振り手振りに愛嬌を感じる。声色も甘く、幼さを感じる

 

「クリスちゃんだね。

 今から楽しいことするけど、いいよね?」

 

 

「……え? まって、遊んでる場合じゃあ、」

 

 

「答えは聞いてなーい!

 ねえ、お絵描きするー? 歌とか歌っちゃうー!?

 ―――“ぼっくらは、みんなー、いっきている~”♪」*4

 

 

 

「………歌。」

 

 

 

 

 

 

 

「あるのかな。

 歌、歌ってる暇なんて………」

 

 

 

 

 

 

 

 しん、と、静まり返る車両の中。

 困ったように“亀公”と呼ばれた男に振り返るリュウタロス

 顎に手を当て、なにかを思案し続ける“亀公”と呼ばれた男

 ほんのすこしだけ、寝息を止める、黄色い大男

 カメラの様子を確認し始める、士。

 

 うぐ、ぐ、と。

 喉奥を鳴らしながら、頭を掻き、そして、

 

「~~~っ、だあああ湿っぽくて背中がジメジメするっ!」

 

 突然、怒り出して。

 飛びあがるように席から立つ、モモタロス。

 

「気持ち悪いったらありゃしねぇ! おい、栗女!」

「くり? ………モンブラン?」

「おまえの記憶の時間につくまで、俺たちもヒマなんだ。

 面倒は見てやる。だがな、その調子じゃあ俺たちの旅も湿っぽくなっちまう」

「でも、」

 

 

「グズグズ()()ヒマがあるなら、思い切って旅を楽しめ。

 ………悪いヤツらに泣かされたままで、おまえ、本当にいいのかよ?」

 

 

 そんなことを言われても。

 楽しめるわけがない。ジョーカーがああなったのは、わたしのせいなのだから。

 

 今にして思えば、あの怪物たちが持ちかけた契約は、よくおとなたちに聞かされる「悪魔の契約」と何も変わらない。ジョーカーの心を壊すための、わたしへの悪意のある提案だった。

 

 百発百中の弾丸を与える代わり、一発の弾丸だけは悪魔が()()。代償は魂。

 パパとママに会わせる代わり、どうやって会うのかは怪物が()()。代償は心。

 あんな御伽噺を聞かされて「ばかだなぁ。」と思っていたことを、わたしがやってしまうとは思わなかった。どこまでいっても、御伽噺は他人事だった。

 そして、「どうして悪魔に願ってしまうのか」も、わかってしまった。

 馬鹿だからとか、愚かだからとか、欲深いからとかじゃない。

 

 どうしても求めてしまう、大切なものがあるから。

 失いたくない、失いたくなかったんだと叫ぶように、心の切なさから。

 

 契約して、しまうのだ。

 

 

 

 

 だから、ジョーカーのは消えた。わたしのせいで。

 不思議なトランプのカード、「SPIRIT HUMAN」と一緒に。

 

 なのに、原因のわたしが「楽しむ」なんて。

 

 

 

 

「さすがに、発進させるのは()()だけどな……」*5

「んごっ。なく………()()?」

 

 座席の奥で、大男がつぶやく。

 

「熊公が起きたか、だったらやることは決まりだな。

 ……ディケイド! ちょっとあやしてろ!」

「なにをする気だ?」

 

「ライブだよ、ライブ!

 お前らも憶えてるだろ。()()()()であった、俺たちの歌!」*6

 

「………ああ、()()()()のか」

「へえ、センパイにしてはいいアイデアじゃない?」

 

 なにに合点がいったのだろう。

 士も“亀公”と呼ばれる男も、相槌を打つように返事をする。

 

「うた? ぼくも歌うー!

 ぼくたちも歌好きなんだー! ねー!」

「おう!

 オレらの歌で、おまえが泣くほど笑わしたるわ!」

 

 起きた“熊公”と呼ばれた大男も、腹を叩きながら豪快に笑う。

 

「キンちゃん、ちょっと楽器取ってきてくれる?

 ボクは照明を持ってくるからさ」

「逆のが楽なんとちゃうんか?」

 

 さっきから、みんな、あんまり相手の名前で呼ばないな。ニックネームばかりだ。

 

 そのくらい仲がいいのだろうか。

 ええと、モモタロスが“センパイ”で、“亀公”さんが………ほかにないのかなぁ、“熊公”さんが“キンちゃん”、リュウタロスはリュウタロスでいいのかな?

 

 で、士さんが“ディケイド”。

 

 うん、なんとなく憶えられた、気がする。

 

「相変わらずだな、おまえたちは」

「おいおい、まさか忘れたのかよ、ディケイド!」

 

 士さんの肩を叩き、親指で自分自身を示すモモタロス・

 

「俺たちに前振りなんてねぇ。

 最初から最後までクライマックスなんだよ!」

「女の子を泣かせる男なんて、鯛を釣るエビにもならないからねぇ」

 

 最高潮(Climax)? は、ともかく、鯛を釣るエビ?

 えと、それ、「海老で鯛を釣る」だよね??*7

 どういう意味だろう。もしかして、なんか格好ついていないけど。

 

 “亀公”さんは、気障なことを言ったつもり、なんだろうか。

 

「泣ける話に手ェ貸さんのは、あかんからなぁ!」

「悲しいより、楽しい方がいいもんねー!」

 

「…………ああ、そうだな。そうだった」

 

 わいわい騒ぐ彼らに、士さんは何を思っているのだろう。

 感慨深そうにうなずくと、カウンターキッチンに入り、コーヒーを淹れる。

 

「ブラック、カフェオレ、ミルク、どれがいい?」

「…………じゃあ、ミルク」

「ホット? それともアイス?」

「ホット。」

 

 どこか残念そうに首を振りながらも、マグカップを取り出し、お湯を沸かす。

 どうやらレンジで温めるのではなく、マグカップやミルクを「お湯の桶で温める」ところから始めるつもりらしい。なんか、思ったより本格派だ。

 

 

 

 車両に身体を揺らされること、ほんのすこし。

 

 

 

 きゅう、と、お腹が鳴って。

 ふと気になって、カウンター席のうえを見つめる。

 

「あの変な怪物たち、なにをしたの?」

「あいつらの話がわからなかったのか?」

 

 さすがに、モモタロスのお誕生日ケーキ、いや、プリンケーキを、まるごとひとつ食べる気にはなれない。だって、なんか可哀そうだし。

 多くても半分、少なくても四分の一。そのくらいにしたい。

 だから、もうちょっと視線をずらす。奥の方へ。

 

 フルーツの詰め合わせへ。

 

 オレンジ、バナナ、ブドウ、レモン、サクランボ、みかん、結構いろいろ乗っかっている。ご自由にお持ちください、ということなのだろうか。切り分けられたメロンやスイカもリンゴだって、バケットの隣に置かれている。ピーチはないのかな。

 

 ……よし、みかんもらっちゃえ。

 一方、バケットに乗ったフルーツに指を迷わせる士さん。

 ホットミルクができるまで間があるとはいえ、さすがに小腹が空いたのだろうか。

 

「簡単に言えば、『過去を書き換える』ってことだ。

 この世界のジョーカーアンデッド。

 あいつが人間でいられるのは、おまえのおかげらしいぞ?」

 

「………え?」

 

 今、この男は、なんて言った?

 人間? あの怪物が、道化師が、ジョーカーが。

 

「にん、げん?」

「正確には、ひとの心を持った『怪人』って呼ぶべきなんだがな。

 こっちで『怪人』って言ったら、オペラ座の怪人とか、そのあたりだろ?」

 

 バナナを取り出し、皮をむいて食べ始める士さん。

 

「ややこしいから、とりあえず人間、怪物って呼ばせてもらう。

 あそこでライブの準備をしている“いい怪物”も、おまえをダマしたほうの“悪い怪物”たちも、おまえたちの知っているジョーカーと()()()()が同じ。元は『ただの人間』だ。

 

 自分たちのいた時代、【未来の世界】を失って、記憶も姿もなくなった化け物。『怪』物に()()した『人』間、そんなところだ―――それが怪人『イマジン』だ。」

 

 食べかけのバナナで、モモタロスたちを示す。

 

「あいつらがひとの心を失わないのも。

 お前たちと同じ、『ひととの絆』のおかげってわけだ。

 悪い方の怪人………いや、悪い方の怪物は、お前との絆を断ち切って、ジョーカーアンデッドの心を破綻させて、自分たちに都合のいい“ただの怪物”にしたい。そんなところらしい。

 

 『お前との記憶』をなかったことにすることで、な」

 

 

 

 

 

「記憶がすべての時間、ですからねぇ……」

 

 にゅっ、と。

 わたしの後ろから、おじさんが顔を出した。

 

「ひゃっ、わぁっ!?」

「なんだ車掌か、ガキを驚かすなよ」

 

「これは失礼。

 わたくし、このデンライナーの『オーナー』を、務めさせていただいております」

 

 過去へと向かう列車、デンライナー。

 そのオーナーを名乗る、鉄道会社でよくありそうな制服を着こなす、壮年のおじさん。

 オーナーさんが使っていた杖をテーブルの端にかけ、椅子に座る。

 こうばしい香りがわたしの鼻をくすぐる。どうやら、いつの間にか、士さんがテーブルのうえにチャーハンを置いておいたらしい。………え、そんな器用なこともできるの?

 

 ホットミルクを作りながら? 何者なんだろう、このひと。

 実はカフェのオーナーだったり、料理長(チーフ)だったりするの?

 

「本来、『この国に本線が走る』ということは、ありえないので、す、がぁ。*8

 今回は特例と言うことで、士君と彼女の乗車を許可致しましょう」

 

 できたてのチャーハンを前にして、前掛けをつけ始めるオーナーさん。

 どこか威圧感のある、威厳のある声色で、スプーンを取り出した。

 

「悪いな。

 この国の“時の列車”ってやつが、どうにも使い物にならなかった。*9

 本当の役割は“そっち”にあったはずなんだが、走れないんじゃ、な」

 

 チャーハンを、ひとすくいずつ口にするオーナーさん。

 形を崩していくチャーハンの山に、ちいさな空間ができていく。

 

「廃線になりかねないほど、この国の記憶は穴だらけになっていますからねぇ。

 走行できなくなるのも、致し方ないこと。残念な話ですが。

 あれだけの死者が出れば、『忘れたくなる気持ち』も出てくることでしょう。

 

 その気持ちをとやかく言う権利など、こちらにはありません。

 バル・ベルデの時間を生きる、ひとびとの自由ですから。

 

 

 もっとも?

 

 

 私たちが気がかりな、の、はぁ。

 ………もっと別のこと、なのですがねぇ」

 

「世界の融合か?」

 

 士さんがカメラを構え、チャーハンを食べ続けるオーナーさんを撮影する。

 するとオーナーさんは、ちょっとだけ表情を変えながら。

 チャーハンをスプーンですくう仕草、食べる姿勢、それを写真の映えを意識するように、どこか大げさなものに、それでいて気品を損なわないものに変えていく。

 まるで動く絵画のようだ。

 

「そのとおり。

 廃線になって然るべき路線が、なぜ、ひとつの路線に集まるのか。

 あなたが旅をする平行世界とは異なる、イマジンが生じてしまう未来を、どうして【こちらの世界】では決定的なものにさせているのか?」

 

 音もなく、丁寧に。

 旗の周りのチャーハンを、崩していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その答えは………………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぱたん、と旗が倒れた。

 

「っ?!」

 

 両手の甲を頬に合わせて驚く、オーナーさん。

 やがて、がっかりとした表情に変わったオーナーさんは、スプーンを置いてから口元を拭う。すごく上品なひとだ。かっこいいかも。

 

 なんか、ちょっと変だけど。

 

「当然だ、俺をだれだと思っている。

 【おまえたちの世界】も融合するなら、それはイマジンが発生する時間軸を成立させる『なにか』がやらかした、そういうことだ。

 本来、あんな時間軸を認識できる世界は普通じゃないからな」

 

 何枚か写真を撮ると、ふと、なにかを思案するかのように。

 

「………いや、この場合は()()か?」

「決して、そのすべてが間違っているわけではないのですがねぇ」

 

 顎に指をあて始める士さん。

 それに対してオーナーさんは、部屋の奥にいるイマジンたちに目を向ける。

 

「問題は、それぞれの時間を。

 『失われたもの』だと認識してしまっていることです。

 選ばれなかった路線にある()は、それを記憶する者によってのみ………」

 

 なにがあったのか、軽い小競り合いをするイマジンたち。

 モモタロスの手のひらに叩かれた”亀公”さんが肘で応戦し、その様子を楽しむリュウタロスが「いいぞー、もっとやれー!」とけしかける。

 呆れた”キンちゃん”さんは機材を抱えたまま、黙々と準備を進めていく。

 

「………存在できる、だろ?」

「ええ。」

 

 ふたりとも、ちいさく微笑んだ。

 

「………………さっきから、なんの話をしているの?」

 

 ようやくできたのだろう。

 とてもあたたかなホットミルクを、士さんがわたしに差し出す。

 

 

 

 

 

「なにかが存在することに、実在する、実在しないは関係ないって話だ。

 目の前にいる、いないなんて、いつだって些細なことなんだよ」

 

 

 

 

 

 ……それは。

 わたしの、パパやママのことを言っているのだろうか。

 

 

 

 あるいは、ひょっとしたら。

 ――――ジョーカーの、心のことも。

 

 

 

 揺らぐ蒸気は、わたしの呼吸に乱されている。

 恐る恐る、マグカップの持ち手を掴んでみる。

 まったく熱くない。湿り気もない。口をつけても違和感がない。

 

 あったかい。

 

「記憶とは、そういうものですからねぇ」

 

 席を立ち、別の車両へと向かおうとするオーナーさん。

 なにかを思い出したのか、モモタロスたちに振り返る。

 

「あまり喧嘩ばかりをしていると、ライブの時間がなくなってしまいますよぉ?」

 

「あ、いっけねぇ! 亀公と喧嘩している場合じゃねぇんだった!」

「まったくもう、煽りに釣られるのが本当に簡単なんだから。

 センパイ、そっち持って? いっせーの、で。はい、いっせーの!」

「おらぁっ! お、おい、ちょっとこっちに重さ寄せてないか?」

「まさかぁ。ほら、急ぎましょうよ、センパイ?」

 

 うわぁ。ひどいことしてる、“亀公”さん。

 わざと器材の端を変な風に持って、モモタロスに重さのほとんどがのしかかるようにしている。毎回あの調子なんだろうか。大変そうだなぁ、モモタロス。

 

「では、私はこれで。

 時間の旅、楽しんでいってくださいねぇ?」

「あ、はいっ」

 

 優しそうな笑みを浮かべながら、オーナーさんが別の車両へと去っていく。

 ようやく準備が終わったのだろう、モモタロスがエレキベースを、“亀公”さんがエレキギターを、“キンちゃん”さんがドラムを、リュウタロスがシンセサイザーを受け持っている。

 リュウタロスが軽くレコードをスクラッチさせて、拍子をとり、少しずつみんながリズムをあわせていく。すべてが溶け合うように、ひとつになるように。そんなにわたしを楽しませたいのだろうか。

 

「それじゃあ、いくぜ栗女!」

「曲名は?」

「―――【Climax Jump】!*10 いち、にー、」

「さん! 泣けるでぇ!」

 

 そうして。

 の音楽が、声色が。

 

「…………え?」

 

 

 

 

 

 ない。

 知らない。

 こんな音楽、わたしは知らない。

 

 こぼれ落ちる涙を拭うように、わたしの悲しい気持ちを鎮めていく。

 おだやかさとはかけ離れた、ちょっと上品とは言いがたい曲調。

 パーティーソングのような賑やかさで、抒情詩(リリック)のような切なさと暖かさで、ロックと呼ぶより「ジャパニーズ・ポップ」が正しい、さまざまな曲風を折衷した、やっぱり“めちゃくちゃ”な、どことなく騒々しい(ノイジーな)歌。

 

 でも、めちゃくちゃ、なのに。どうして。

 

 

 

 

 

 砂漠のなかを突き進む、時の列車。

 その車両ひとつが、どこまでも、晴れやかに。

 

「“いーじゃん”!」「“いーじゃん”!」

 

「………“すげーじゃん”っ」

 

「“いーじゃん”!」「“いーじゃん”?」

「“すげーじゃん”っ!」

 

 戦わざるを得ない、約束の場所へ。

 向かっているはずなのに、どこまでも楽しいままに。

 

 

「―――“昨日までの記憶すべて、必要とわかる日がくるはず”!」

「―――“誇れるように さらなる”?」

 

「―――“Climax、Jump(じゃーんぷっ)”!」

 

 ぴょん、と。

 四人の動きに合わせて、気がつけば。

 

 たのしくて、はねそうになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――罪悪感が、ないわけではないけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぱしゃり、と。

 どこからか聞こえるシャッター音が、演奏の音に紛れて消えた。

 

「………なるほど、な。

 ジョーカーアンデッドが焦るわけだ。”掲示板”のヤツらの心配もわかる」

 

 写真に浮かぶ笑顔は、()()()()泣き顔へと戻りつつある歪な笑み。

 その隣に写るはずもない虚像が、雪音クリスの涙を気にしてばかりで、下を向いている。

 

 とてもではないが、「いい笑顔を浮かべる写真だ」とは言いがたいだろう。

 あれだけモモタロスたちが頑張っても、彼女の笑顔を守ることはできていない。

 

 

「ま、それだけ性根がいいってことなんだろうが。

 この調子なら、こいつらは『自分の笑顔(幸せ)()守れないな……さて、俺はどうしたものか………」

*1
特撮【仮面ライダー電王】に登場する怪人「イマジン」は、その実体を持たず、人間と契約することで肉体を得て、契約者の願いを叶える。契約終了後の支払いとして、契約者の記憶どおりの過去に飛ぶ力を得る。

*2
契約者の記憶、後悔や未練こそが「契約者の願い」の本質であるため、契約終了後のイマジンは契約者の「過去を変えたい」と強く願うほどの過去に飛べる。

*3
ただし、契約者の記憶を強く思い出させないと過去に飛べないため、わざと契約者の心を傷つける、傷心から過去を強く思い出させるほどの()()()叶え方をする場合があり、雪音クリスに対する契約の曲解、契約終了も同様の叶え方である。

*4
【手のひらを太陽に】より。

*5
怪人「イマジン」を倒すこと()()を優先するのであれば、契約者の記憶から「ライダーチケット」を生成し、具体的な停車駅となる日時を記録、そのうえでデンライナーの運転席「マシンデンバード」に読み込んでデンライナーを運転し、停車駅へと向かう。

*6
映画【仮面ライダー平成ジェネレーションズForever】より。仮面ライダーが実在しない世界での物語。つまり、その場所とは―――

*7
ちいさな元手や労力から、よりおおきな利益や成果を得ること。

*8
デンライナーは、あくまでも日本国内を走行する「時の列車」のひとつである。

*9
ひとびとの記憶になんらかの影響が出ている場合、特に”特異点”と呼ばれる人間の記憶への影響が出ている場合、時の列車の「本来の線路」が途絶えたり、走行不可能な歪曲を起こしたり、まったく別の線路が生じたりする。もちろん、時の列車が故障していれば、それらとは関係なく走れない。

*10
正確には、「CLIMAX JUMP DEN-LINER FORM」。




 次回、さすがに毎日投稿&執筆はおやすみするかもしれません。
 その場合、代わりに感想への変身を…ではなく、返信をさせていただきます。

 自分で自分の幸せ、好きなものを否定していたら、きりがありませんよね。
 言い訳みたいな「でも」「だって」「だけど」。
 SURPRISE DRIVEもいいですね。


 特撮【仮面ライダー電王】タグをつけたかったのですが、残念ながら文字数制限にひっかかりました。【仮面ライダーシリーズ】タグは(作中の諸事情により)ディケイド的にもOUTだと思うので、そちらはつけません。

 映画【仮面ライダー平成ジェネレーションズForever】を取り扱ったためです。
 ひょっとしたら、アニメ【戦姫絶唱シンフォギア】だけのファンでも、自然とぶつかってしまう問題かもしれないので。必修ではありませんが、お勧めします。

 がんばれよ、アタル。




 前回の小説「【世界観が】ジョーカーアンデッドに転生しました【迷子】」は、

 「藤丸ぐだ男」さま
 「白金」さま
 「澪問」さま
 「村人BLACKRX」さま

 の、誤字報告の提供でお送りいたします。



 ほかの方の誤字報告の提供につきましては、現在「誤字として扱っていいのか」を再考したのちに検討させていただきます。こちらの操作ミスによる誤字報告の削除につきましては、申し訳ありませんが、後書きによる「曖昧な記憶」からの紹介は控えさせていただきます。
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