「おー、息災かニニギの子よ」
休日、2坪半ほどの小さい庭に置いたチェアーの上でビニールプール(子供の入るアレ、水生系の奥さんの元部下が来た時に使う)に浮かべた謎のゴムのアヒル(なぜか勝手に動く、あと鳴く)を眺めながらのんびりとしていた旦那に話しかける人物がいた。
「あ、はい。僕はおかげ様元気ですよアマテラス様」
「うむ!元気は良い事なのじゃ、元気があればなんでもできる!」
猪木?と思いつつ声をかけてきた人物――天照大神をみやる。
少女服を着た片っぽお下げの、どこにでもいる元気な小学生にしか見えない姿だが、三貴子の一人であり、日本国の最高神格である。
更にのじゃロリだったりして狙いすぎている感もあるが、まごうことなき太陽神である。
――一度奥さんに論破されて半泣きで押し入れに閉じこもったところ「日本から光が消えた」のでそれは間違いない事実である。……そんな風に実感したくはなかったが。
そのごツクヨミが隠蔽で死にかかったのはいつものことなのだろうが……
なお押し入れだったので簡単に反対側からあけられたことはアマテラスの名誉のために黙っておくべきだと思う。
「それでこんなところまで来てどうしたんですか?アマテラス様」
「ふふん、でーとじゃよでーと」
この最高神、近所の小学生の子と異常に仲が良い。
どのくらい仲が良いかというと「早く子種が出るようになればよいのお」とか言うぐらい過剰である。
……犯罪行為はしてないと信じたい旦那であった。
「ソラ君の性癖を歪めないであげてくださいね……」
ソラ君は近所の小学生男子である。
良く日焼けをしたツンツンヘアーのサッカー少年というどこのテンプレだというような少年だ。
口調こそはざっくばらんなものの礼儀をちゃんと知っているので周囲の好感度が高い。
勇者が「むう、勇者の資質を感じる」とか言っていたのが不安なところではあるが。
異世界召喚とかされたらいろいろとやばいことになるのは目に見えている。
「そうは言うがなかなかの男子であるぞ?わらわが変なのに絡まれてるとき身を挺してかばってくれたのじゃぞ?これはもう孕むしかあるまい」
なおこの最高神、口が悪いため結構な頻度で絡まれる。
というか「偉い人の口調と態度」なのだ。実際偉いのだが普通はそうと気づかない。
「ソラ君はまだ子供ですからね?わかってますね、アマテラス様?子供に子供作らせたら駄目ですよ?」
「そも子供なんぞ体を洗ってもできるのじゃから、そう深く考えることもあるまいに」
「神様みたいな増え方しませんからね!?人間は!」
倒置法で全力で突っ込む程度には「ダメだこの神様」と思っている旦那。
正直三貴子でまともなのはツクヨミだけというこの現状に旦那は日本の未来が心配になってくる。
「わかっておる、だから子種が出るようになってから胎で孕んでやるといっておるのじゃ」
「わかってるようでわかってない!?」
児童と子供を作るなと旦那は言いたいのだがどうも神からすれば「子だねが出る時点で大人」という認識らしくいつも聞いてくれないのである。
「それに何か問題が起きたら何とかするじゃろ……ツクヨミが」
ツクヨミはキレていい。
「あまりツクヨミさんに心労かけないであげてくださいね、ところでソラ君待っているのでは?」
「おお、そうじゃった!今日は一緒に海に行くのじゃ、くくく、わらわの魅惑のぼでぃでその気にしてくれるのじゃ、それではな!ニニギの子よ!」
なお、普通にツルペタである。というかツクヨミも含めてスサノオに全部取られた感がある、それぐらいスサノオがすごいのだ。
「熱中症に気を付けてくださいねー」
太陽神が太陽にやられるとかあってはならないことだが一応注意しておく。意外に海に入っていても熱中症になるのである。
「海かー、次の休みにでも奥さんと行こうかな?」
なお、そのせいでトラブルに巻き込まれるのはまた別のお話。