休日、奥さんと旦那は海に来た。
観光地でもなく地元のものがくるような知る人ぞ知る微妙な砂浜だが、一応海水浴場の体はなしており、海の家等の施設もある。
そんな砂浜で砂の城を作ってる奥さんを眺めている旦那。
なお、奥さんの水着は赤のビキニである。
最初は「紐か!」というレベルの水着であったのだが、旦那が拝み倒してやめてもらった。
他人には見せたくないのである。
「うむ!魔王城がそろそろ完成するぞ!」
魔法でも使っているのか実に緻密でしかも猛スピードで作られていく砂の城。
「おお……」
思わず声を上げる旦那。
意外なことに割と荘厳なたたずまいで、おどろおどろしい雰囲気はない。
「よし!完成だ」
そして出来上がった魔王城は実にリアルだった。
「この魔王城は奥さんの?」
「一番豪華というわけではないが一番長く住んでいたのでな、作りやすかったのだ」
「そうなんですか?どのぐらい?」
「ざっと……1000年以上は住んでいた気がするな」
奥さんは非常に長命である。
「僕には想像もつかない時間ですね……」
「うむ、だが私はこっちでは旦那様と一緒だからな、何なら順当に老けてもよい」
にっこり笑う奥さん。
「僕は奥さんならどんな姿でも愛せると思うので奥さんの好きなように」
「そうか」
嬉しそうにする奥さん。
その奥さんの笑顔に吸い寄せられるように旦那が動き――
おっぱいを揉んだ。
「おふっ!?旦那様よ……この手は何だ?」
奥さん、微妙に怒っている。
さらに今回は他人の目もある、毎度のことながら旦那は割とどうみられるかには無頓着なのだ。
「すいませんつい、いけるかなって」
謝る旦那。だが手はおっぱいに触れたままである。
というか微妙に揉んでいる。
「旦那様はこれさえなければな……」
やや死んだ目になって呆れる奥さん。「いや止めろよ」と数名の目撃者は心の中で突っ込んだ。
そこに――
「勇者ぱーんち」
「痛っ!?勇者!?なぜここに!?」
軽い口調だが一般人が喰らったら即死するレベルの「ずどん」という音を響かせてパンチを奥さんのおっぱいに叩き込みつつ勇者が現れた。
「私とて海に来る」
と勇者が胸を張る。
ちなみに勇者の水着は水色に白の水玉ワンピースだ。
どことは言わないがつつましい(ツクヨミよりはある)
「貴様、自分になく妬ましいからと言って人の乳を叩くな!」
「そうですよ勇者さん!このおっぱいは僕のなんですからね!」
「いや、何度も言うが私の胸は私のものなんだが……」
相変わらずの発言にやや死んだ目になる奥さん。
まあいつものことである。
「おっぱいならここにもあるよ?揉んでみる?」
ちなみに勇者は割とエロいことに抵抗はない。
そう勇者が旦那に水を向けると青筋を立てて奥さんが威嚇する。
「無いものは揉めんよなぁ?とっととその薄い胸を嘆きつつ家路につくがいい!」
「年増のおっぱいより若くて張りのあるおっぱいのほうが価値はある」
なお勇者は地球換算で19歳なので一応合法である。旦那の紹介で定職にもついている立派な社会人なのだ。
ただし住処はまだない、そこまで貧乏でもないのだがキャンプしたりネカフェに泊まったりと、いまだに冒険者の癖が抜けていない感じなだけである。
発育が悪いせいで中学生に見えるので時々補導されたりするのが難点だがツクヨミが身分証を作ってくれたのでそのあたりも解決してはいる。
さておき、現代社会になじみつつあるといってもそこは魔王と勇者、互いににらみ合うと謎の衝撃波や地揺れが発生して大変に危険である。
「あのー、奥さん。なるべく穏便にお願いします」
「旦那様はどっちの味方だ?」
いくら旦那が好きと言っても、さすがの奥さんも腹に据えかねることだってある。
「勇者さんも穏便に」
「私はしょせん捨てられる女というわけか……」
「僕にどうしろと……」
珍しく追い込まれる旦那。
そうしてどう返答すべきか……と悩んでいる間に「海の上を疾走しながらバトル」が始まっているのを見て。
旦那はそっとツクヨミに連絡を取った。