奥様は魔王   作:みけさんわーきゃっと

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奥様は魔王 第三話

「ただいまー」

 

「ん?旦那様、まだ昼すぎだぞ?体調でも悪いのか!?ゆ……勇者を勇者を呼んで回復魔法を!ああ、あの根無し草に連絡を取る方法がない!」

 

「いやー違います違います。今日のお昼の事ですが……」

 

「うむ?」

 

 

 

 

 

昼のオフィス。

上司の机の上の電話がなるとオフィスに緊張が走る。

この上司の机の電話が鳴る場合、大抵は緊急の案件だからだ。

 

「あー、はい、はい、いつもお世話になっております。はい、なるほど。わかりました、何とかなると思います」

 

出たよ安請け合い。

その瞬間オフィス内のSEたちの心が一つになった。

電話を終えた上司が告げる。

 

「S社からシステムトラブルで緊急要請だ、ええと、手の空いてそうなものは……」

 

その瞬間皆忙しそうに仕事を進めるふりをする。

なにせ明日は休日だ、最悪休日返上の厄介な案件を振られるかもしれない。

 

上司は獲物を見定めると、その机に向かって歩み始めた。

ターゲットはそう、旦那である。

 

「あー。君。すまないが急ぎの案件が入ったので残業、もしかしたら休日出勤してくれないか?」

 

旦那はそれなりに腕もよく、物腰も柔らかで、こういう急な案件を押し付……たのむにはちょうどいいのである。

 

 

「お断りします」

 

しかし、帰ってきたのは明確な拒絶の言葉であった。

いつにない強い拒絶に上司のほうが一瞬ひるんでしまう。

しかし、仕事を押し付けるために上司は理由を訪うた。

 

「君が断るなんて珍しいね、でも急ぎの仕事なんだよ。君ぐらいにしか任せられないんだ。どうしても断る理由があるのかい?」

 

「奥さんとセックスするので」

 

「は?」

 

「ですから本日は奥さんとセックスする日なのでお断りします」

 

旦那が強い言葉で言いきると、オフィスはPCのファンの音が聞こえる位の静寂に包まれた。

 

「い、いや君が新婚なのはわかるけど、その……セックスとかで仕事を断るとか…‥いつでもできるだろう?」

 

「できないから言ってるんですよ!いいですか、この仕事は急な残業やデスマーチなんかもよくあることです、いちどセックスしているときにうっかりと力尽きたときがあるんですよ!それ以来翌日が休みの時しかさせてもらいないんです!」

 

旦那、大噴火。

なお、現在地は昼前のオフィスである。

女性社員も同僚も周囲にいる、オフィスである。

 

「いや、だからと言って……じゃあちょっとだけ残業ぐらいで――」

 

「無理です。大体僕はやるとなったら3,4回はするんですよ。いや、むしろうちの奥さんが素晴らしいからそれだけできるんですけども!だから残業なんてしている暇はないんですよ!2,3時間ぐらいぶっ続けですからね!」

 

重ねて言うがここはオフィスである。

なお、旦那の発言を聞いて同僚たちは「こいつ、おとなしそうな顔してすげえな」という目で見ており、女性陣は軽蔑――おや、数名は旦那の股間を凝視していますね。

 

「いや、でも仕事も大事だから――」

 

「俺が行きます!」「俺も少しなら!」「僕も手伝いぐらいなら!」

 

熱い男の友情なのか、これ以上聞きたくなかったのかは不明だが、旦那の同僚たちが名乗りを上げた。

 

「それに、こいつ有休も代休もたまってますし、今日はもう帰してもいいんじゃないんですか?」

 

と上司にかけあうものまで現れる始末。

皆優しいなあと旦那は思っていたが。同僚たちは「こいつ働かせすぎでちょっとやばいことになってるんじゃないか?」という思いで一つになっていた。

 

「ま、まあ彼の仕事は工数に余裕もあるし、君たちが残業してくれるというなら私は構わないが」

 

上司も皆が必死な理由に思い当たったのだろう。

それに旦那が倒れてしまってはいざというときに押し付ける先もなくなる。

そういう打算もあり、旦那は昼で返されたのであった。

 

 

 

 

「と、いうわけで、みんなが奥さんとセックスするための時間を作ってくれたんだ。持つべきものは良い仲間だよね」

 

「あ――」

 

「あ?」

 

「アホかあああああっ!!!旦那様よ、私はこれからどんな顔で旦那様の会社の人間と顔を合わせたらいいのだ!?」

 

「おくさんならすっぴんでも十分きれいですよ」

 

「そういう意味ではなぁぁぁぁぁぁい!!」

 

奥さんはしばらくご機嫌ななめだった。

 

 

 

 

 

 

なお、このあと無茶苦茶セックスした。




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