ぴんぽーん
休日の午後、チャイムが鳴る。
「はーい」
リビングにいた旦那が客を出迎えたようだ。
ドアを開け(旦那は覗くなどという面倒なことはしない)るとそこには……
「邪魔をする」
「あ、勇者さん、奥さんに用事ですか?どうぞ上がってください」
シャギーのかかったショートヘアのボーイッシュな小柄な女性……魔王の宿敵である勇者がいた。
それを無警戒に家に上げる旦那の神経やいかに……
「客人か旦那様?……って何をしに来た勇者イニッツィオ!」
「そう、警戒しなくてもいい。フィーネ」
「今の私は
「ならば私のこともはじめと呼んでほしいものだが」
「……旦那様が他の女につけた名前を呼ぶのは癪だ」
そういってプイと横を向く奥さん。
「私は別にお前の旦那に横恋慕するつもりはないが……まあ恩には着ているので体で払うのはやぶさかではない」
「エロ勇者め!だから油断がならんのだ!」
吠える奥さん。
なお奥さんの名前も旦那がつけた。余談だがイニッツィオもフィーネもイタリア語である。
「まあ、いい。本題だ」
「ふん、言ってみろ」
下らんことを言ったらぶん殴るというような剣呑な雰囲気の奥さん。
「これを見ろ」
そういって勇者は一枚のカードを奥さんに見せる。
なんだ……?といぶかしんでカードを見る奥さんの顔が驚愕に染まる。
「ま、まさかこれは……!?」
「ああ」
「ど、どうやって手に入れた!?」
「知れたことを……実力でだ」
「このようなものを見せて我に何を望む……!」
「言わなくてもわかるだろう?」
「一人では手に余る……というわけか」
「ああ、さすがの私も多すぎて手に負えない……」
「そうか……旦那様よ」
シリアスな空気に固唾をのんで見守っていた旦那に奥さんが声をかける
「行かねばならぬところができた」
「えっ!?いったい何が!?」
「すまない、奥方を借りるぞ、私一人では屈してしまう」
「魔王と勇者の共闘って何が始まるんですか!?それに危険だって言うならいくら勇者さんの頼みでも聞けませんよ!僕は弱っちいですけど夫として奥さんを守る義務があるのです!」
「だが、旦那様よ、これは行かねばならんのだ……」
と悲しそうな奥さん。
「じゃ、じゃあ僕も行きます!何の役に立つかはわかりませんが!」
「すまない、私が連れて行けるのは一人だけなのだ」
「そんな!」
絶望に染まる旦那。
「安心してくれ旦那様よ、ちゃんと夕食の支度に間に合うように帰ってくるのでな」
「私も明日速いからそう遅くはならないように気を付ける」
「え?え?」
混乱する旦那をよそに勇者が宣言した。
「よし、いざゆかんコストコに!」
「シェアするものを相談しながら行くぞ!」
あとには
何とも言えない顔の旦那が残されたという