今日も今日とて占い師はがんばります   作:風梨

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約2,000字
本編難産のため間話


間話:ジン=フリークス

 

 

 

「──よぉ。来るもの拒まず、なんだろ? オレも混ぜろよ」

 

 

 カキン国。

 貧困層に覆われた一区画。

 その外れにある周囲から浮いた豪華な屋敷が立ち並ぶ一角にて、ジン=フリークスは両手をポケットに突っ込んだまま、眼前のソファーに横暴に腰掛けて左右の両手に美女を侍らせる、世界最高峰のハンターの面影を感じる男と向かい合っていた。

 

 横暴な男が、大きく表情を変える。

 本人は『ニヤリ』と笑ったつもりなのだろうが、大味な性格なせいで『ニカリ』と破顔していた。

 心の底から、この予想外の来訪すらも、本当に楽しげに待ち受けていた。

 

「はっは、待ってたぜ。──だが、それはまだ予定ってだけなんだが、まるで()て来たように話すんだな? ええ、ジンよ」

 

「わりーが、それは言えねーな。で、どうなんだよ。ビヨンド」

 

「その前に、お前に一つ聞きたい。お前は、これまで一人でやるつもりだったんだろ? 気持ちはわかる、邪魔されたくねぇ、新大陸はオレだけのもんだ。そういう考え方は大いに共感する。まぁ賢くはねぇが。そんなお前が、考え方を変えてまで、オレのところに来やがったのは英断だが……、俄然! 腑に落ちねぇ!」

 

 ビヨンドは言葉を切った。

 次の発言に対する間だった。

 

「──邪魔すんなら潰すぞ?」

 

 ジンはその言葉に対して、口角を粗野に傾けて強気に笑った。

 

「やってみろよ」

 

 途端に空気が割れる。

 

 世界最高峰。

 そう表現して過言ではない、両者が発するオーラが『ビリビリ』と空間を揺らす。

 そそくさと、ビヨンドの近くにいた者たちが離れた。

 

 ジンとビヨンド。

 その間を邪魔する者も、止める者もいない。

 

 戦闘勃発か、と思われたその時にビヨンドが呆れたようにオーラを留めた。

 もう先ほどの緊張感は霧散して影すら残っていない。

 応じてジンもオーラを収めるが、怪訝そうに片側の眉をへの字にさせた。

 

 ビヨンドが続ける。

 

「やめだ。試すにしては言い過ぎたな、お前とやり合うのはゴメンだぜ」

 

 そんなビヨンドのなぁなぁで済ませようとする態度に、冗談半分本気半分で、子供っぽい表情のジンが応えた。

 

「え、嘘だろ。一回やり合わねーの? そっちの方が話が早いって。ボコってからが交渉の本番って言うだろ?」

 

「言わねえよ!?──オレは親父やお前と違ってな、一対一の戦いには興味がねぇ! そんなお前とやり合ってられるか! 面倒くせぇ!」

 

「──冗談よせよ。お前のオーラはそう言ってねーぞ」

 

「ふん! まぁオレが『やる気』出せば、お互いめんどうな事になる。それは間違いねぇ。お前も本気出す気はなかっただろ。パフォーマンスのつもりか?」

 

 ビヨンドの予想ではジンが頷くだけだったが、実際には首を捻って顎に手を当てながら何事か考えた。

 

 何故なら別にそんな意図はなかった。 

 とゆーか、ただの行き当たりばったりだった。

 

「ん〜〜、まぁそういう意図があったのは否定しねーけど。ビヨンドって男に興味があってな、それを確かめたいって気持ちの方が強いか。……うん。まぁ成り行きだな」

 

「……はー、オレも大概だが、お前も大概だな」

 

 馬鹿かお前、と言わんばかりの呆れ顔を見せるビヨンドに、口元を恥ずかしげに『イーッ』と歪めてジンがそっぽ向いた。

 

「うるせー。で、どうなんだ。入れんのか、拒否んのか。ハッキリしろよ。もう答えは出てんだろーが」

 

「ああ、参加? かまわねぇよ。(パリストン)の話だと、お前は誘っても拒否るか、邪魔するって話だったからな。試しただけだ。──初めっから喧嘩腰のやつが、中から崩すなんてめんどくせーことはしねーだろ」

 

「あー、そういう基準か。まぁ邪魔するつもりはねーよ。これが最速ってのはオレも理解してるし、あんたに共感もしてる。楽しみにしてた渡航に邪魔が入ったような気分だったんだが、話を遡ればあんたの方が先に計画してたんだし、そこら辺はオレの問題だな」

 

「……おかしいな。話に聞いてたほど無茶苦茶じゃなくねーか? もっと破天荒っつーか、猪みてーなやつかと思ってたんだが、意外に話せる、な?」

 

「まぁ小さな無茶をコツコツ積み重ねて出来たイメージだからな、ってうるせーよ」

 

「参加するのは構わねーが、お前は何ができる? 参加人数無制限をぶち上げる予定ではあるが、それは各国に対して色々うやむやにするためだ。予定してるから混ぜろってんなら、『今』参加させる価値はねーぞ?」

 

 そこでジンは、指を二つ立てた。

 その後に、指を一つにした。

 

「──オレが提供すんのは二つ。求めてんのは一つ」

 

 一息を吸って、ジンは信じがたい発言をした。

 

「あんたの枷を、取っ払ってやる。もう一つは資金の提供だな。求めてんのはここのNo2だ。んで──」

 

 資金の提供。

 No2の地位。

 

 そんなものはどうでもいい。

 ビヨンドは立ち上がった。

 その前の発言が、あまりにも聞き捨てならない。

 

 先ほどは『やる気』ではなかった。

 抑えていた。

 だが今は、そのオーラを『全力』に近いほど噴き出しながら、今までとは明確に異なる、一切の緩みのない、静かな表情で言葉を繋げた。

 

「──オレの枷だと? 理解した上で言ってんだろーな? 冗談じゃ済まされねぇぞ、おい」

 

 ビヨンドの枷。

 ネテロの言は『息子は再挑戦を望んだが、ワシが死ぬ迄は許可せぬ枷を与えた』である。

 そう。

 死ぬ迄。

 つまり、アイザック=ネテロが生きている間のみの枷、である。

 

 その枷を外すと言うならば、意味はたった一つ。

 

『アイザック=ネテロに対する殺害予告』に他ならない。

 

 殺せるものなら、殺したい。

 それが出来ないからこそ、座して待っているのだ。

 より確実な道を、待つ事をビヨンドは選んだのだ。

 

 謀殺する機会を虎視眈々と狙いながら。

 

 オレが出来ねーと判断した事を、お前が覆せるのか? 

 

 ビヨンドは言葉にせず、行動とオーラで語る。

 

 が。

 

「──そう逸るなよ。まだ全部言ってねーだろうが」

 

 ジンは、尋常ではないその威圧を呆れ顔で受け流した。

 正確な予想に基づく行動。

 念能力などの特殊な能力ではなく、ただの思考力として、ジンは訪れる未来をある程度把握していた。

 さらには、ネオンが今後どう動くのかも加味した上で。

 

「ジジイは、ネテロは遠からず会長から引き摺り下ろされる。お前もそれを見越してんだろ。だから、待ってる。違うか」

 

 眉を吊り上げるのはビヨンドだった。

 最悪寿命を待つつもりだが、出来るならその前に仕留めたい。

 

 そのためにパリストンを副会長として動かし、協専のメンバーに支えさせている。

 親父を会長から引き摺り下ろす。

 計画の第一段階だ。

 その後はどうとでもなる。

 

 パリストンとの計画にまで勘付かれている事に、ビヨンドは眉を顰めた。

 

「結果は変わらねーよ、お前の計画……、あー、パリスの計画になるか。そっちでも構わねーし、何ならオレの提案に意味はないかもしれない」

 

「はぁ? なら、何でてめーはここにいて、オレに提案してんだ?」

 

 ネオンが語った結果との差異はほとんどないだろう。

 いや、少なくとも過程は大きく変化するが誤差でしかない。

 

 ジンが狙うのは過去。

 未来ではなく、過去を狙う。

 

 

 ──ネテロが『死ぬ』のは変わらない。

 結果を変えたくて動いているのではない。

 今回に関しても、それは一貫していた。

 

 この男の行動指針はただ一つである。

 

「オメーもおかしなこと聞くな? ──狙った通りに獲物が動けば、ハンター冥利だろ?」

 

 ──道中楽しみたい。それだけさ。

 どこか透き通った笑みすら浮かべながら、『捻くれ者』のジンは鮮やかにそう言ってのけた。

 

 

 

 

 

 






冨樫先生を真似して進捗あげております。
気が向きましたらよろしくお願いします。
TwitterIDです。

@shumi_dayon


追記
ちなみに破天荒はわざとっす。
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