デメテルさまに甘やかされるベル君が書きたくて、衝動で執筆
地に足がつかない。前に進んでいるのか、それとも落ちているのか、感覚はずっと荒波で揺れる小船のように不安定だ
慣れない蒸留酒の甘み、親切に話しかけてきた名も知らない冒険者達、賑やかな酒宴
気分良く飲んでいたのは最初だけ、考える間もなくお酒を飲んで、飲まされて、そして、今は何処かもわからない場所を歩いている
壁にもたれて、転んで、そのまま座ってしまった。地面に手を付いた時、ヌルッとした感触は雨でぬれた土、雨が降っていた中歩いていたことにすら僕は気づいていなかった
気づかなかったこと、気持ち悪くて揺れる視界が嫌で目をつぶる。そうすると、嫌でも自分が受けた行為が悪意のあるものだとわかってしまう
……不注意だった、本当に情けない
一人街を歩いてた。皆用事があって、夕餉は外で済ますとなった日だから、それで普段から通っている豊穣の女主人へ行けばいいものを
偶然話しかけられた先輩冒険者に乗せられて、こういう付き合いも大事かなと自分に言い聞かせて誘いにのったことはなんと愚かなことか
リトルルーキーに酒を奢る。新しい英雄に酒を渡せ、皆陽気に楽しむ空気に僕は流されて、義務感でジョッキを持って、慣れない蒸留酒の味を流し込んだ
水で割ってと頼んだけど、きっとそれも最初だけだ。周りは僕と同じようにお酒を飲んでいて、皆飲んでいるのに自分だけ飲まないことへの罪悪感をかんじてしまった。感じる必要のない過ちだと気付くのは、あまりにも遅すぎた
その日であった冒険者同士、出会った縁を祝って酒を酌み交わす、そんな趣深い冒険者の営み、書物や演劇で見知った趣深い情景がそこにあると知って、とくに疑うことも無く僕は誘いを受けてしまった。
英雄譚好きな僕の趣味が悪く働いてしまったのだろう。今となっては、本当に軽率な判断だったと猛省している
結論だけ言うなら、僕は悪い酒で嫌がらせをされた。飲むだけ飲ませて、そして酔いつぶして放置して去る。そんな陰湿ないじめを受けてしまったのだ
皆で酒を酌み交わす様に見せかけて、実際あの場で飲んでいたのは僕だけだったのだ。平気な顔で飲んでいたみなみなのジョッキには僕と同じ程度の濃さのお酒なんて入ってなかったのだろう
見知らぬ他人の悪意、何度も何度も言い聞かされて、注意していたつもりだったけど。結局僕は理解しきれていなかった。
リリに申し訳が立たない。エイナさんもきっと怒るはずだ。神さまは戦争遊戯だなんて騒ぎ出すかもしれない
悪いのは相手だとみんな言う。だけど、僕はそんな危険に気づけもしなかった青い自分が恥ずかしくて、それが一番いやだ
強がりかもしれないけど、しっかりしている自分を大事にしたい。面目を保つという行いをしたいのだ。だから、せめて
「……ほぉ、む……かえ、ら……い、と」
濡れる体、ぐらつく頭。どうにか力を込めて、壁に手を付いて立ち上がる。
ひどい足取り。それでも足を動かさないと
「ん、ぐ……けほ、うっぷ」
目が覚めるほどの気持ち悪さが喉奥を突き刺す。あれだけ飲んだお酒は、僕の体に入ることなく拒絶されていた
手を付いた壁に向かって、僕は何度も嗚咽をまき散らす。
辛くて、涙を流して、恥ずかしくて
……お水、のみたい
……さむい、べっどにはいりたい
……かえりたい、ほーむに
「あら、あらあらあら……あなた」
「?」
耳に触れた綺麗な音、反応して顔を向けるけど何も見えない
暗い夜、雨に打たれて、涙に暮れて。まともに目が機能していない。そんな中
意識は消える。何かにつかまって、体重を預けて、そしてまた気持ち悪いものを吐き散らした。吐いたせいか、少し意識が冴えるも今度は寒気で体が動かなかくなった
おぼつかない意識で、嫌悪を感じる体の感覚だけは機能してしまう。苦しむ中、苦しみで無理やりに覚まされる意識の中で、僕は
「大丈夫よ、もうすぐだから……楽にしてあげるから、それまで頑張って」
優しくて綺麗な声を、苦しみから逃れる薬の様に縋った
吐いた液で歯がきしむ心地が気持ち悪い。息をするたびに自分の汚さを戻すようで気持ち悪い
雨に濡れて冷えた体が気持ち悪い。酒の毒でずっと揺れ動く頭の中が気持ち悪い
気持ち悪い。心の底から気持ち悪いのに、なのに
「……大丈夫、大丈夫だから。ね、安心して……汚くなんてないもの。ひどい飲まされ方だったのね、ならあなたが悪いわけじゃない。服なんて洗えばいいもの……だから泣かないで、汚くなんてないから、ね、大丈夫よ。安心して、女神さまに頼っちゃいなさい」
女神は、あなたを見捨てないから
「……ぁ、ぅぁ」
語り掛ける言葉は、僕を暖めて包む。体はとても気持ちが悪いけど、心はとても気持ちが良い
「…………ッ」
苦しみでもがくひと時が終わっていく。
意識が消えていく。苦しさで無理やり覚まされ続けていた意識が消える。楽になる
怖くはない。不安も無い
女神の声に、僕の心は清められていく
〇
~翌朝~
「……」
煮える窯の音が聞こえる。布団が暖かくて、けど体は一ミリも動かない
起きているのか、眠っているのか。頭は冴えているのに、指先すら動かない。そして
……気持ちが悪い
「……ぁ、う……はぁ、ぁ……うぅ、ぅ」
ジンジンと痛む頭の中、乾いた口の中の気持ち悪さ。動けないのに、嫌な感覚だけはずっと鮮明に機能してしまう。
辛い。助けて欲しい、お水が飲みたい
「……ぁ、ひぅ……ぁ、あぁ」
「はいはい、お水ね」
「…………ぇ」
なぜか、僕の部屋で知らない声が聞こえた。
いや、知っているとおもう。けどわからない、思い出せるほど頭が動かない
「いいわ、まだ起きれないでしょ……大丈夫、こっちでしてあげるから」
「……」
会話がはじまっていた。けど、声を出したつもりはないし、できたとも思えない
目を閉じて、開けられなくて。だから、触覚と聴覚だけで、相手に接する。女の人だ、それもとてもきれいな人、だと思う
背中、抱きかかえられるようにして、体が起き上がる。
背骨に力が入らない。首も座らない、だけど上半身は安定していた
柔らかくて、良い匂いがした。吸い付くような感触は、女性の胸であると理解できた。理解したうえで、大きさに驚いた
……これ、すごい、こんなのって
「あらあら、変な気を起こしても駄目よ……わたし、そこまでは責任持てないもの。ヘスティアにも悪いし……ほら、お水」
「……あ、ぁぁ……ん、んッく……く」
「あせらないの、ゆっくりでいいから、ゆっくり……少しずつ飲みなさい」
「…………ん……ん、む」
「そう、上手よ……いい子ね、いい子いい子」
水の味、目が覚めるほどに美味しくて、気分が良くなる。
遅くなったけど、これが夢でないと僕は気づくことができた。冷たい水が、動かない頭の中をかき回して活発にする。
体は動かないけど、ここがホームの自室でないことは理解できた
……そうか、この人……いや、この神さまは
抱きかかえられて、顔の横半分を柔らかくて暖かいもので包まれて、身を預けて楽になっている相手
まるで乳飲み子のように水を施されて、甘い言葉をかけられて、そんな施され過ぎる体験を僕に与えている女神さまは、僕の知っている相手だった
そういえば、以前にもこんな風じゃないけどお胸に顔をうずめた体験をした。あの時は、僕を追いかける鬼の役だったけど
今は、まさしく豊穣の女神。豊かな優しさで、僕を包んで溶かしにかかる
女神デメテル、デメテルさまのいるここはきっとこのお方の自室か
どうして、僕は
…………理由、なんだろう
わからない、そこまでの頭は回らない
気分がすぐれない。もう少し寝たい
楽になりたい。だから、この柔らかさに、少し、頼りたい
「ぁ、あらあら……あらら」
「……すぅ」
柔らかい、良い匂いもして暖かくて気分が良い
気持ちよく二度寝ができそうだ。そうしたら、ホームに帰って、それで、そうして、から
「あなた、わざとなの?」
「…………すぴぃ」
「わかりやすい寝方ね……もう、これじゃあ動けないわ」
「……すぅ……ぅ…………ふぅ、んぅ」
「うふ、くすぐったい。けど、可愛い寝顔ね……これじゃあ怒れないじゃない」
……もぞもぞ、ぽふん
「おっぱいに甘えて、もしかして習慣なのかしら?……やん、イケない子なのねあなた。でも、すごくかわいい」
…………もぞ、ずず
「……ん、ふぅ……あらら、もう…………ん、ふふ……いいわ、今はいっぱい甘えなさいな。女神の胸はそのためにあるものね」
…………くぅ、すぅすぅ
「大きいおっぱい、好きなのね……かわいい子」
「駄目ね、ヘスティアの大事な子供なのに、良くないわ……ええ、良くない……あん、でも仕方ないわね。だって、こんなに甘え上手で、ん、迫られているもの。おっぱいぐらい、許しちゃうわ……服を着てるなら、別に、ね……あはは、わたしったら悪い神さまだわ」
「………………本当に気を付けないと。友神の大事な子、食べちゃったりしたら流石に取り返しがつかないわね、なんて、よくないわほんと。よくない、よくない……気を付けないと怖いわ。こんなにかわいい子、女神のお胸が疼いちゃう」
「駄目よデメテル。本当に駄目よ、駄目……ふふ、くすす」
健全な物語なので、さすがに一線は越えません。悪しからず
酔いつぶされた若い男の子が年上の綺麗なお姉さんに介抱される。そんな展開がダンまちにあったっていいよね、ね
デメテル様癒し