最近の僕の日々は少し、いや大きく変わった。というのも、僕にパーティーメンバーが、リリが正式に仲間になったからだ。
ソーマファミリアの件はどこか腑に落ちないけど、でも今は安心してリリと僕は一緒にいられる。これから先、ずっと頼れる仲間として共に冒険を
……冒険を、するはず、なんだけど
「ベル様、ベル様!」
「……へ」
「へっ、ではありません。ほら、いつまでここにいるんですか。さ、冒険に行きますよ」
朝から元気よく返事をするリリ、場所は噴水公園前でいつもの待ち合わせ、ダンジョンに行く前の出来事。
僕よりも背の小さいリリを見下ろし、その姿を伺う。リリと横並び、歩幅を合わせて一緒に歩く。一緒に、出来るだけ真横に
真横から確認して、やはり自分の違和感が正しかったと、再認識する。
「……」
……大きい
視線は一点、僕は今とても失礼なことをしている。だって、凝視しているのは女性の胸だ。
けど、どうか弁護をさせて欲しい。だって、前まではそんなこと無くて、でも今日からいきなり
「ベル様?」
「……」
「もう、ベル様……」
「!」
立ち止まり、そして飛びつくようにリリが僕へと迫る。肩を掴まれ、上体を前に傾かされて耳元がリリの方へ
引き寄せ、ちゃんと耳元近くで、リリはこう喋った
……そんなに見られると恥ずかしいです。リリのおっぱいに興味がおありなのですか、ベル様?
「ーーーーッ」
あぁ、本当にいったいどうして
僕は飲み込みきれていない。リリのバストサイズが明らかに倍近く膨れ上がっていることを
わからない、もしかして僕が知らないだけで、実は女性のそれは日毎に突然大きくなったり…………いや、さすがにそれはない。僕でもそれはわかる
「ベル様、さあ行きますよ」
「……」
× × ×
その後、僕はダンジョンで
「ふっ……はっ!」
『――――ッ』
「キャーベル様かっこいい!」
飛び跳ねるリリ、だからそのぶぶんも
……ぶるん、ぶるるんッ
「!?」
あぁ、僕は駄目な男だ。だって
「よっと、魔石を拾うのも一苦労です……ん、っしょ」
……ぐにゅ、むにゅにゅ
「!……ああもう」
気になる、見てしまう。しゃがむと今度は足の間に膨らみが推し潰れて、リリの抱える大きな果実がいかに豊満なのか、もう動きの一挙手一投足から僕はバストの実像を浮かべてしまう。
想像に浮かぶ、裸の姿、体のライン、艶めかしく映るリリの起伏を、僕は今鮮明に
「……ベル様」
「ひゃははぁああぁ!!?!?!」
「ベル様?」
急に後ろからつつかれて、思わず変な声が出てしまった。
「り、リリ! いや、なんでもないよ、びっくりしただけ……だから、うん」
「……」
いぶかし気に見てくる。腕を組む態勢
だから、また
「!」
「……ぁ」
気づいたような顔、リリの表情が実に面白そうに僕を見てくる。
「……ベル様、もしかして」
「み、見てない!見てないから!」
「……はぁ、これは仕方ないですね。すみません」
すたっと、飛ぶように僕へと近づき、寸前で停止。壁際に追い込まれ、そして僕は片あって動けなくなる。
下手に動けない、だって、今
「あ、あの、リリさん……これは」
「生理現象、起きてますか?」
「起きてない、起きてないからッ」
わからない。でも今は緊張でそれどころじゃないし、でも極録見ないようにしよう。
「リリの胸、お気になりますか」
「いや」
「構いませんよ、なんでしたら直接触っても」
「!!」
「では、今脱ぎますから…………少々お待ちを」
……するり
「!?」
布が擦れる、服を脱ぐ音がする。咄嗟に目を閉じて見まいとするけど、でもそれでいっそうに妄想は働いてしまう。
大胆なリリの振る舞い。本当にこんなことをどうして、いったい何が目的で
「……手を」
そう言い、リリは引っ込む僕の手を引っ張り出し、その手のひらに
「…………ぷふ、くふふッ」
「?」
笑っている。まるで我慢しきれずに失笑したみたいに
「リリ…………はっ!」
見開いて、そして見た
手につかんでいる、それは布でできた、しいて言えば下着に近い形。だけど、この膨らみは
「ふふ、ははは…………ベル様、それは詰め物です」
「へ?」
「パットです。変装用に、体型を誤魔化すために身に付けていたんです。」
「!!」
変装、身に付けていた、それはつまり
「……ソーマファミリアの人達に、バレない為?」
今、リリの姿は小人ではなくあくまで獣人、小動物的な耳と尻尾で飾られている。それもこれも、リリを騙したあの人達に知られないため
変装の理由はわかる。だけど
「じゃ、じゃあ…………さっきまでの、その、胸は」
「ベル様、申し訳ございません。リリはその、少し楽しんでいました」
いじらしくも愛らしい、片眼を閉じてにっと舌を出す。
「り、リリ~ッ!!」
⚪
ダンジョンから帰還、僕たちは家路につく帰りの道を同じにする。
道中、あまり会話がはかどらない。僕はまだ、自分の赤面を取り払えないでいる。
「うぅ……」
「ベル様、まだお怒りですか?」
「……怒っては、無いよ」
ことがこと故にベルもどこか腑に落ちない心境だが、しかし向きにはなれない。興味を持って目を離せなかったのは、恥ずかしい自分の落ち度だからだ
「……見たのは、僕だから」
「いえ、それはリリのせいでもあるんです。本当に、りりのおふざけが過ぎました。ベル様、申し訳ございません。」
「い、いいよ……そんなにかしこまらないで。」
「……わかりました。でも、これだとベル様だけ損ではないでしょうか」
「……」
「ベル様、お許しください」
「!」
手を引かれ、帰りの道を急ターン、連れていく先は横道の狭い通り、薄暗く建物に光が遮られているからもう夜のように暗い。
「り、リリ」
「……よし、ここならいいでしょう」
ついた先、そこは住宅街の中に作られた小さな公園。でも人気は無い、早くも付いた街灯が薄暗い空間を微かに照らしている。
街道の喧騒が遠く、人の気もなく二人きり。僕の傍にリリがいる、リリと二人だけになっている、二人の存在が強調されていく。
「……なにを、するの」
不安な声色、リリはそんな僕にふっと、柔らかい笑みで答える。
「いえ、何も手荒なことをするつもりはないです。ただ、お伺いしたいのだけです」
「!」
「言いましたよね、リリを見ても構わないですと」
はらりと落ちるローブ、タイトな白と赤のシャツ、その裾を握り一気にたくし上げる。ベルの目に映るのはライトグリーンのシンプルなブラ。膨らみは体の大きさ相応で、谷間も肉感も十分に備わっている。
なにより、今この二人だけの場で、異性の艶姿が相手によってさらされている。そんな異質な状況に思考がまとまらず、ベルは発言が喉の奥から出てこない。
「見てください、小ぶりですが……これがリリのバストです。ベル様は、さっきのお胸とこの胸、どちらが好みですか?」
「……ッ」
「ベル様は、欲が無さ過ぎます。リリをお救い下さったベル様には返しきれない恩があって、リリ自身ベル様をお慕いしてもいるのです。だから、これぐらいは」
「り、リリ……か、隠して、まずは、おねがい!」
「……はい。でも、ふふ……お可愛い反応です」
服を降ろし、リリはベルから半歩下がる。静かに丁寧に、こちらを気遣う姿勢を崩さないままに、リリは僕の心にその手を伸ばしてくる。誘惑、色香を使うという手段で
「……ベル様は、もう少し得をしてもいいのです」
「得?」
「ええ、リリは女ですし、その気になれば魔法で姿を変えられます。ベル様の望むことなら、リリはなんだって、それこそ……女にしかできないことでも」
「そ、そんなの……駄目だよ、リリが傷つく」
「つきません、むしろベル様の傷なら……それはリリの喜びです。ですが、もし手を出すことをためらうなら」
……かくん
「!」
ベルの体重が崩れた。急に足のつっかえが外れたように、そのまま崩れ落ちそうになるところを、リリが抱き留める。
血に膝をついて、目線がリリより下に。僕の顔はちょうど、リリの胸の位置に
「……リリは、今幸せです。ベル様といられる幸せ、ベル様にお仕えする幸せ。でも、リリはこれでもお姉さんなんです。知っていますか、リリの年はベル様より上ですよ」
「!!」
知らなかった事実に驚愕、でもリリは止まらずさらに畳みかける
「ベル様が望むなら、リリはベル様好みの体になります。年上の異性に甘える快感も、リリなら与えられるんです」
「……年上、甘える?」
「ええ、お好きでございますよね……理解、していますから」
艶のある落ち着いた声、さっきからリリが妙に色っぽい。
気づけば僕の顔をリリは触れていて、耳の裏を指先がかいてきて、もう一方の手も髪を優しく撫でてくる。
「……ッ、リリは、お姉さん、なの」
柔和な笑み、そうですよとリリは無言で応える。
甘く優しい質問を繰り返すリリに、気づけばベルは開いた口が塞がらず溶けかかっている。酩酊感に似た心地、けどこのままでは
「……リリ、それは……でも僕は」
「遠慮ですか……ベル様、リリは」
「違うよ、ごめんね……袖に振りたい訳じゃないんだ」
かぶりを振り、ベルは意識をはっきりさせる。足腰に力を入れ、まずはリリの手から離れる。
「……ベル様」
「嫌じゃないよ、リリがお姉さんで、僕に優しくしてくれるなら……多分、逆らえないし、拒みたくない。うん、ごめん……たまにぐらいはその、頭を撫でて、欲しいかな」
「ベル様……いいんですけど、すごく揺れてますね」
「うぅ……言い返せない、けど……でも、これだけは言わせてほしい」
しゃきっと、ベルは一度自分で量のほほを叩く。
バチン、顔に赤い紅葉が張り付き、ようやっと意思が定まる。
「よし、ねえリリ……リリは、僕に感謝して、報いたいって思っていて、それとその、好意をもってその、接してるんだよね」
好きだと思っている、そう直接の表現はできない。やはり異性と向き合うのは恥ずかしいけど、でも
「これだけは、伝えるよ。僕にとってリリは、姿を変えなくても十分に、ありのままのリリが僕には、その…………異性として魅力的で、ドキドキするんだ」
「!」
「……あぁ、もう」
言ってしまった。ベルは羞恥でその場に蹲り顔を隠す。だから見ていない、リリの顔が驚くほどに赤面していることを
「……べ、ベル様」
「だ、だから、そういうことだから……その、今はそれで、お手柔らかに、してくれないかな?」
「…………」
「ね、ねえリリ……その」
「……帰ります」
「へ?」
踵を返し、表情を見せないままにリリは早歩きで進む。後を追うようにベルも一歩
「え、えっと……ま、また明日……ダンジョンで!」
だけど、一歩目でベルは止まった。
自分の返答が思った以上にリリを赤面させてしまったこと、どこかばつが悪くなったような心境でベルは立ち止まる。
改めて、リリの突然のアタックの数々、でも騒動が終わったあと出し、リリは僕の知らない過去がいっぱいあるから、だからそれゆえの想いなら僕は軽率に扱えない。
自分なりに、本音を出してリリに答えた。でも、そのおかげで自分の心にも飛び火はしてしまった。
「……明日から、ちゃんと向き合えるかな」
明日一番にリリにかける言葉を何にするべきか、ベルはしばらく考えることにした。
〇
……ありのままのリリが、魅力的で、ドキドキ
「……ふふ」
貸家のベッドで、一人気味悪く笑みを漏らしている。わかってはいるが、今は仕方ない
あれだけ重ねた行動と言葉、でも自分は相手の一言だけで、こうもやられてしまった。自分は、リリルカ・アーデという女は、もうどうしようもないくらいあの年下の恩人に夢中なんだと
「ベル様……もう、ありのままですか」
ベルから見たありのまま。だが、その姿とは
「……ッ」
思い立って、リリは上着をその場に脱ぎ捨てる。ブラも外し、布一枚無い肌色の姿を外気に晒す。
明かりの無い部屋、月明かりが背中を艶やかに照らし、影がシルエットのように体の前面を映す。
「ありのまま、には……少し遠いですね。ベル様、ごめんなさい……リリはまだ少し、嘘を付いています」
少しの嘘、それはなんでもない、思ってみれば納得のいく嘘だ。
リリは手を伸ばす。伸ばした先には先ほど脱いだブラ、の隣にあるもう一つ
胸に被せ、紐を背中でひっかける。ぶかぶかと隙間の浮く下着、だがそれがリリにとって本来の適正であった。
「……響く、十二時のお告げ」
口にした、それは己の変身魔法を説く詠唱。
変装のために施した犬人の特徴たる耳と尻尾が消える。そして、消えると同時に起きるもう一つの変化
「ん……ぁ」
声が出る。デリケートな部分故に、感度が刺激されてしまった。
「……ぁ、もどった、リリの、本当のおっぱい…………ふふ」
収まりがつかないブラに、みるみると膨らんだ柔肉が綺麗に納まっていく。小さな体躯には不釣り合いなたわわな果実。カップ数だけなら、それはGカップか、だが体の比率からすればもう一段階上がってもおかしくない。
ともすれば爆という一字があてがわれてもおかしくない、それほどのモノなのだ。
……でも、こんなもの人前ではぶら下げられない。
ソーマファミリアの時代、成長期にかけてどうしてか見事に成長を遂げた乳房、だが下手に悪意ある眼に晒されても困るために、リリはこうして体に見合ったバストを装っていた。
今回の目論み、元をたどれば理由はそれにあった。が
振り反って、今回の致した行為は本当の姿をさらすためにベルを試したいという動機あってのこと。ベル好みの、たわわに実った魅力を用いて、より今の関係を進めたい、そう思って挑んだ結果があれだった。
結果は、すでに十分ということだった。胸の魅力を開放せずとも、自分は彼に魅惑ある人物として映っていたのだ。
嬉しくて仕方ない。そして何より、これから先が楽しみで仕方ない
……今はまだ、このままの関係で構いません……でも、この先は
「……絶対、リリに振り向かせます。その時に、本当のリリを全部、ベル様に捧げる…………あぁ、楽しみだな。照れるよね、ベル…………ぁ」
吐息は艶やかに、恋慕を抱き指先は濡れる。
暗い夜、水滴が滴る音と嬌声は静寂によく映える。己の音色に心は乱れ、シーツの染みはより大きく
リリルカ・アーデ、背の低い愛らしい少女の姿はどこにもない。震える唇、汗滴る肢体、その姿はまさしく成熟した女の艶姿であった。
消されるかな、消されないかな?
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