教会の地下で寝泊まりしていたのはもう過去の話。引っ越したこの新居は空調装置完備で、個室も十分広く庭だってついている。でも、新しくなったものといえば、比べてしまうのはやはりここ
……カポーン
「ほっ」
お風呂だ。なんだかんだ念願だった、ホーム備え付きの自由に使える浴室だ。
暖かい湯気、暖かい床板。温かいということがとてつもなくありがたい。前のホームではシャワーだけで、古い給湯機だったからお湯が出るのに時間がかかったし、何よりぬるかった。
でも、今僕がいるここはどうだ。新しく仲間になったあの人のおかげで、ここはとっても良いもので、なんせ
「だって、このお風呂は命」
『……ぁ、きもちいぃ』
「……さんが」
作ってくれた、極東風の檜のお風呂。広々といた浴場は開放的で、自由に手足を伸ばして湯に浸かるのはさぞ気持ちのいいこと。今僕の目のまえにいるこの人のように、艶いった声で独り言つるぐらいには、そうなのだ。
湯気に混じる安らぎの香、風情漂うお風呂を堪能するには、隣に寄り添う極東美人の存在が欠かせない、と前向きに考えればいいのだろうか。
「……えっと」
しかし、自分にはそんな破滅的な楽観さは無いし。見るべきは、この状況への分析だ。
スムーズに後ろを向いて、呼吸を整え状況を確認。男湯の暖簾をくぐって、男湯で見慣れた脱衣所を通って、今浴室に来たのだ。なら、ここは
……命さん、どうして男湯に
出会って、そして寝床を共にするようになって、まだ日は浅い方だ。人の趣味は人それぞれ、深く言及して良いことはない。
「……ぼ、ぼくは……何も見ていない、です。お風呂は、またあとで」
「!」
棒読みなセリフを吐いて、出来る限り早くこの場を去ろうとする。そんな僕を
「ま、待ってください!!」
「ヘっ?」
声の大きさに思わず振り向いてしまった。すると、そこに在るのは二つの大きな果実
そしてすぐ暗転。湯で温められたそれは、しっとりと顔を包み込んでなんともいえない
……ガツンッ!!
「アガッ」
そう、なんとも言えない、というよりは痛みに悶絶して声も出せないような心地で、というか、うん
「べ、ベル殿! どうか気を確かに!ベル殿!!」
⚪
「痛ッ」
「動かないでください、少し切っています。失礼」
……じわ
「うぅ」
傷口に染みる消毒液。今ここは僕の部屋で、ベッドに腰掛けた僕に命さんは治療を施してくれている。
床に頭を打ち気絶しかけなぼくを部屋まで運んで、気づけば僕は今こうして治療を受けて、うん
治療を受けて、それで……それで
……ぼけってしてる。同じことばっかり、考えて
「……失礼」
「!」
「動かないで、ください……今、薬を」
「……み、命さん……うぅ、染みる、染みるけど……あぅ」
「申し訳ございません。誠に、その……すみません」
消え入りそうな声、先ほどから何度も繰り返す謝罪。けど、ソレをする前に目の前のこれを
たぶん、惚けているのは頭を打ったからだけじゃなくて、この目の前の感触も
「……ん、ひほほ、はん」
「うっ……治療、ですから……その、少しでも罪滅ぼしも含めて、殿方の、嬉しいことを」
「…………ッ」
まるで、天然で暴走する春姫さんのように、命さんは僕の顔にわざと胸を押し当てて
けど、今命さんの服装は浴衣で、紐が緩いから、というかほとんど肌の
「……本当に、ごめんなさい」
「ぇ……いつッ」
止まらない。なんだか少し暴走気味というか、妙に切羽詰まっている気がする。
……さっきから、ずっと謝ってばっかり
極東の人は謝罪の文言を会話に多用する文化と聞くが、ここには本当に意味での謝罪がこもっている。
先ほどからずっと繰り返す謝罪。なんだか、今日は変だ。というか、そもそも
この休日の昼間、僕にお風呂を勧めた上で……何故か、男湯で一糸まとわぬ姿で先んじて待っていた。そのことの説明が、まだ終わっていない。
「あの……そんなに、んっ」
「いえ、本当に申し訳ございません。この命、ベル殿にはご迷惑ばかりかけて」
「……ッ」
迷惑ばかりかけて、そう繰り返す命さんの手はもう動いていない。薬を塗って、タオルを巻いて治療を終えたのに、まだ僕の顔は命さんのものに包まれたまま
ついには、傷の部分を避けて、その手が僕の頭を撫でる。おそるおそる、よしよしとぼそぼそ声でつぶやきながら
「あの、なんで……み、命さん」
「……聞き、ましたから」
「へ?」
「……ナァーザ、殿から。その、ベル殿は、甘えたいのだと」
「!」
「ですから、その……罪滅ぼしは、これで……うぅ」
「み、命さん!」
抱きしめる腕に手を入れ、僕は命さんの体を離す。
肩を掴んで、腕の長さだけ距離を開けた。視線が合えば、命さんは羞恥で顔を背ける。
「も、申し訳ございません。命のような若輩が、ベル殿に母性など……うぅ」
「……命、さん」
「本来は、ベル殿のお背中を流すつもりで……あぁ、待てど来る気配がないのをいいことに、誘惑に負けた命は、つい入浴を」
「はぁ……なんで、背中を……というか、どうして女湯を使おうとしなかったんですか?」
「今日は、普段は手を出さない高い入浴剤を……我慢できなくて、くっ」
「……えぇ」
呆れの声が無意識に、しかしただ理解できないで流すのもまたできない。温泉好きが末期な命さんらしいと言えばそれまで、けどわざわざ僕にこんな、行き過ぎたまでの奉仕を行おうとするなんて
……やっぱり、おかしい
「……何か、あったんですか?」
「い、いえ……何も、ベル殿は気になさらず」
「じゃあ、なんで背中を流そうだなんて……おかしいですよ、命さん」
「……実は、私は痴女の趣味嗜好が」
「バレバレな嘘を付かないでください!しかも顔を真っ赤に、やっぱり恥ずかしがっているじゃないですか! 胸元、隠してください!」
「!?」
ほどけかけた帯、ついぞほどけて胸元過ぎてお腹まで
全身を真っ赤に染めるほどに羞恥に爆ぜた。命さんは後ろを向いて、体を隠して蹲る。
「……き、気になさらないで」
まだ、しらを切ろうとする。つい、そんな振る舞いに感情が荒立つ。
「気になります! だって、仲間だし……こんな命さん放っておけません」
「!」
放っておけない。出口を塞ぐように、僕は回り込んで立ちふさがる。
さっきから見せるこの罪悪感にまみれた振る舞い。確かに命さんは罪滅ぼしと言った。なら、それは
「まだ……あの時のことを」
× × ×
中層での悲劇、パスパレードの件は確かに罪滅ぼしをしたいと宣うものだ。無理もない
リヴィラでは、ヴェルフは桜花さんを殴りかかろうとしたし、リリだって容易には許そうとはしなった。けど、そうした事件も、今となっては過去だ。
……命さん、あなたはそれでも
償いは受け取った。ゴライアスとの決戦、戦争遊戯の助力、そして春姫さんの事件を機に僕たちはもうわかり合って、対等な仲間に至っていたはずなのだ。
けど、それでも
「……命さん、どうしてもダメ、ですか?」
自分を許すことは、出来ないのかと
「……ベル殿は、お優しすぎます」
「そんなこと……」
「いえ、あるんです。あなたは、善人で……ずっと、清い。だから、皆に愛されて、異性に可愛がられて甘やかされて……ハーレム?」
「――――ッ」
「あ、申し訳ございません! ベル殿、お顔が、火に炙られたがごとく真っ赤に」
……ジュッ
「……は!?」
氷嚢が頬に触れている。命さんが、僕の顔を冷やしている。
「……ありがとう、ございます」
「い、いえ……気になさらず」
赤面、命さんは顔を背けている。
距離が近い。ベッドの上で、二人きりなのに、こうも間近に顔を見て
……すごく、綺麗な肌
「……ぁ、ごめんなさい……もう、大丈夫です」
つい、見続けてしまった。罪悪感いっぱいで接する相手に、なんとも弱みに付け込んでいるみたいで、良くない。
「……」
「ぁ…………その、えっと……使い、ますか?」
視線が合っただけで、何も言わず足を差し出す。
女座りで、そのスリットからはみ出す柔肌の生足に、頭を預けてもいいと
「……命さん」
「甘えても、構いません。社にいた頃は幼子の面倒も見ていましたから、あの子たち曰く……程よい肉付きがたまらないと」
「あの、その子供たち大丈夫じゃ……あぁ、いえ……遠慮しま…………せん」
少し闇が見えた気がするけど、今はスルー。差し出された膝枕にはノーを示した。
示したけど
「……ベル殿」
「……」
辛そうに、僕の名をぽつりとつぶやく。命さんは憐憫だ
チガウのかもしれない、そう思えた。
罪滅ぼしはしなくていい。忘れてもいい、そう言えるのは、僕が気軽な立場だから。
……無責任、だったのかも
「……何か、言われたのですか?」
「……ぇ」
「なんとなくですけど、そうじゃないかと」
「……ベル殿、それは……はい」
命さんは口を開いた。
聞いてしまえば、なんとも単純な話。どうやら、他所の冒険者に心無い言葉を言われたのだ。
ダンジョンでモンスターに囲まれた他所のパーティを助けて、でもその相手はベテランだけど未だにレベルが1の、言ってしまえばろくでもない人達らしく
その時は桜花さんやタケミカズチファミリアのメンバーとの行軍で、きっと見比べて感じたのは卑下する感情。助けた相手なのに、その冒険者は心無い言葉を吐いてしまった。
運悪く、その言った相手はゴシップを知っていた。今となっては誰も気にはしない、ダンジョンという場所ではその行為は特段珍しくない。
だけど、命さんには、未だ突き刺さり続ける、毒の言葉だった
「パスパレードを仕掛ける、卑怯な悪女……そんなことを言われました」
「……それは、でも」
「気にしない方がいい、それはわかっています。ええ、こんなに取り乱して、空回りも良いことなのは、自分が一番理解しています。ですが」
そっと、自分の胸に触れた。谷間の付近、だけどそれはきっと、心の場所という意味
「ここは、どうにもならないのです。頭では、整理できないことがあるのです。駄目な女と笑ってください、命は、結局の所自分勝手で、思慮が浅い」
「……」
「命は、ベル殿にお返しがしたい。ですが、なんとも身勝手な理屈です。こんなのでは、ベル殿が望む母性は到底」
「…………」
「……あの、ベル殿」
命さんの手が伸びる、大丈夫かと差し伸べた手
なんだろう、こんなことをしようとする僕は、我ながら変だ
「……命さん」
「へ?」
命さんに不遜なことを言った人、その人の言葉にむかついた、それで感情的な行動をとりたくなった、というのもある。
だけど、今はただ
……命さんの、聞きたくない
「へ、えぇええ!?」
「……ッ」
少し強引にでも、僕は命さんの言葉を変えたい。
命さんの口から、命さんを貶める言葉を聞きたくない。その為なら
「へ、ベル殿……ベル殿!」
「……うッ」
頭を乗せた。横向きに寝転がって、だから
……ほっぺた、暖かい。ふともも、気持ち良い
「へ、あの……何故急に」
「……ッ」
強引にでも、命さんの気を好転させるためなら、恥をかくぐらい何だっていい
「おねがい、します」
「……」
「その、お願いします……えっと、痛いから、さすって欲しくて…………ぅ」
自分で言ってて恥ずかしくなった。なんというか、普段からしている行動が、こんなにも恥ずかしいことだと思わなくて
「……うぅ、いたた」
「ベル殿、痛いのなら」
「いえ、気になさらずに。その、僕が命さんに頼って、それで気持ちが済むなら……安い、ものです」
「……」
× × ×
あの時のことは、今も忘れられない。
桜花の判断を飲んだ自分は、間違いなく切り捨てた側の人間だ。それに、もしあの場に桜花がいなかったとしても、追いつめられた自分はパスパレードをしなかった、そう言いきれる自信はない。
仲間を助けるために、それが正しいと飲み込んだ。毒を含んだのは自分から、どこまでも自業自得で、救いはない。
時間が経っても、この毒は消えない。頭をぶつけでもしない限り、この毒は消えない。なのに、自分は消そうと躍起になって、そして空回りを続けた。
同じく、朴念仁を想い人に持つ者同士、ナァーザ殿は良きアドバイスをくれたが、こんな心境のままではうまくいく方法も台無しになる。
何でもできる、器量の良い女、そう褒められてはいるのがなんとも間抜け。
だから、この方は、いや
……この子は、ただ一つの明快な答えを、私に示してくれた
「……年下なのに、悔しいなぁ」
「?」
きょとんとした顔でこちらを向く。あどけない顔で、見れば見る程胸がほだされる。小動物を見るようで、この髪の毛も触れれば
「……柔らかい、くせっ毛……ふふ、ベル殿」
「ぁ……へっ」
ベルの頭に触れた。さっきまでのおっかなよそよそしく触れる手つきとは変わって
……やさしい、さっきよりも落ち着いてる?
「ベル殿、随分と膝枕に慣れているのですね」
「うっ……」
「こういうの、神の言うセクハラだと知りませんか?」
「せ、せく……うぅ」
真っ赤になる顔。顔色がポンポン変わって、しかし撫でられて膝枕されたままでは逃げられない。
こちらが余裕をもって振舞えば、こうも簡単に上を取れてしまう。いや、簡単に取られてしまうのだろう
「……くす」
「?」
韋駄天のごとき功績。純粋に夢を抱いて、そして真っ直ぐに駆け抜けるこの清々しさ
けれど、ふたを開けてみれば
……あなたは、年下の男の子なんですね
「……お可愛い、かもです」
「命さん……ぁ」
ベルの視界が回る。仰向けに寝かされると、少し後頭部の感触が変わる。
「少し、態勢を変えてみました。こちらのほうが、こぶに当たらなくて楽でしょう」
「……はい」
命の取った態勢、ベルの頭を仰向けに寝かせるため、正座を崩した態勢に。
浴衣の布がずれて、太ももの表面が剥き出しなのはかなり扇情的。だが、今ベルの目は命の顔にだけ向けられている。
太ももで挟むように、少し力を入れると内腿の肉でベルの頬を歪ませられる。
「ん、ひほほはん」
「ベル殿、お顔が面白くなっています」
「らって……うぅ」
「ふふ……すみません、ですがお許しを。言った通り、甘やかしているのですから」
「……ッ」
ベルの前髪を払ってやる。無抵抗で身をゆだねて、なんとも童のように無抵抗な姿だと
……あどけない、この方は本当に
「み、命さん……その、もう大丈夫なのですか?」
「……さあ、それはどうですかね」
「えぇ」
「濁しているわけではないです。ただ、忘れるために下を向くのは……違うと気づきました」
あぁ、そうだ。
いつまでも気にして、下を向いても毒は出てこない。今を見て、上を向かないと、この過去とは向き合えない。
……過去は変わらないけど、過去の向き合い方は、もう少しうまく変えられる。
「今は、そう思います」
「?……ぁ」
「ベル殿、御髪を直してあげます……動かないで、ください」
「……はぃ」
髪に触れて、指先が肌をつつく。
顔を動かせないから、視線だけはちらほらと、時折触れる視線は胸や顔
正直に言えば、少しぐらいサービスを施してもいい。そんな、気の迷いが置きそうになる。そう、命は心で独りつぶやき
「……ふふ、ベル殿……まるで赤子です。はは」
笑っていた。
「……ッ」
命の素直な笑みを拝み、ベルもまた表情を崩す。
和やかな空気、今日という日で何かが劇的に変わるわけではないが
ほんの少し、少しだけ
ベル・クラネルとヤマト・命の距離が、何歩かほど近づいたのだ。
〇
……命さん、たまに、ちょっとだけ
……はい
……駄目になっても、良いですか?
……ええ、かまいません
……撫でてくれませんか
……ええ、もちろん
「…………ッ」
「よしよし、ベル殿は幼子ですね……しっかりしませんと、格好いい男子にはなれませんよ」
そう言いながら、撫でる手つき、髪を漉いてやる指先は甘やかす母親のそれ。やることと言っていることは反しているが、それも無理はない。
命は今日、初めてベルとの接し方で年上の異性として振舞っている。時折覗いたヘスティアやリリの行うそれを見て、こうした行為があるとは知ってはいた。しかし、実践してみれば
……存外、悪くない、ですね。ベル殿も、甘え上手というか、うぅ
心に浮かぶ想い人、というより想い神の姿。天秤で揺れる足場でうろたえるイメージが脳内に浮かぶ。
「信仰が、いえ……女として、試されている気が」
「?」
「あ、いえ……気になさらず。さ、今は甘えなさってください」
「……はい」
「何か、して欲しいことはありませんか」
「えっと」
う~んとうなるベル。口元がつぐんでむにゃむにゃと、唇に指を伸ばしてそっとなぞってやりたくなるが、命は寸での所で手を戻す。
……いけない、いけない
「えっと、じゃあ……美味しいご飯が、食べたいです」
「あ、はい……精一杯作らせていただきます」
「あの、前に作った照り焼き……極東のチキン料理、また食べたいです」
「ええ、ではお肉料理で献立を作りましょうか。では、他に」
「……じゃあ、その」
恥じらい、もじもじとしている。
言いよどむ言葉、しかし意を決してベルは告げた
「じゃあ、その……野菜の、苦い料理……じゃないのを」
「……」
「ぁ……今のは、ちが」
命の表情が固まる。和やかな笑みを浮かべたまま、じりじりと足の力が強まる。
筋肉が硬直して、ベルの頭をロック。逃がさない、そんな雰囲気が場を漂う
「だめ、ですか?」
「はい」
「その、別に食べたくないわけじゃ……でも、命さんがご飯をつくるようになってから、サラダとか、あえ物とか、野菜の味が強く感じる料理が増えて……前に比べて健康的なのはわかっているんですが、苦いのは苦手で…………炒め物とか、それか濃い味付けで」
「ベル殿…………いえ、ベル」
……むぎゅるうぅぅ
「!!」
生足がベルの顔を圧迫。柔肌を感じる暇も、頭頂部に在るショーツが丸見えなのも気にすることはできない。ぐりぐりと太ももの万力がベルを仕置きしている。
命の顔も、和やかな顔から怒り顔に
「あ、いつ……命さん、頭潰れちゃう!」
「いけない子です。好き嫌いも、偏った食事も……まったく、許しがたい発言ですね。」
「で、でも……神さまだって、この前お鍋を食べてた時、僕の皿に春菊を」
「ええ、そうですか。それは知りませんでした。では、神ヘスティアも後でお説教です」
「……うぅ」
……ごめんなさい、神さま。意図せず情報漏洩をしてしまいました
「あ、甘やかしてくれるって」
「ええ、それは違えません。ですが、母性とは優しさだけではありません」
「……そ、それ……ふぎゅ」
拘束は緩む。だが、頬は太ももでつぶされた。不格好な顔を見て、命は楽しげにまた笑う
「甘やかすのも母親。ですが、厳しく管理するのも、また母の仕事。 ベル殿の求める母を、命は勤めてみせます。しかし、やり方は私の流派ですので……ご覚悟を」
「ひゃ……ん、ひぅ」
指先がベルの唇に触れた。そのまま口内に滑り込み、歯をなぞり舌をかき回す。
口内の粘膜をくすぐられる。敏感な神経がしびれて、どこか快感のような刺激が背筋を駆け抜けた。
「ひゃ……ひ、ひほおはん……あぅ」
「油っこく、濃い味付けに慣れた舌。ベル殿の為に、この命が治してさしあげます。」
「――――ッ」
「覚悟してください。あなたが甘えたいお母さんは……一筋縄ではいきませんよ」
次回に続く
命の甘やかし展開でした。ご満足いただけたかちょっと心配
しっかりものな彼女にはS的な要素で甘やかしを考えてみましたが、命推しとって許容範囲かどうか、そこが気がかり。感想頂ければ参考にします。