九尾と蝙蝠のヒーローアカデミア   作:潰れないネジ穴

2 / 5
うなれチクチク赤髪男!

『雄英高等学校入試試験会場』

白い木製ボードが大きな門の横に立てかけられている。

 

「でっかいねぇ...」

「あれ?ヒーちゃん緊張してる?」

「してないもん。」

そう言って隣を歩く親友は頬を膨らます。

「嘘。だってペットボトル、もう半分も減ってるもん。試験の時の為にちゃんと取っとかないと。」

ペットボトルの中身は勿論私の血だ。朝採ったばかりだから、ほぼ生き血である。

ヒーちゃんの個性(あと性癖)の都合上、本当は直接吸わせた方が良いらしいのだが、実技試験がどういう形式か分からないのでペットボトルに詰めたという訳。

「はーい...」

「ほら、早く機嫌直してよ。帰ったら沢山吸わせてあげるからさ。」

コートのポケットに片手を突っ込み、もう一方でヒーちゃんの手を引きながら私は試験会場へ急いだ。

 

 

 

▽△▽△▽

 

「受験生のみんなァ!今日は俺のライブに来てくれてありがとゥ!!!Everybody say Hey!!!!!!!!!!」

その瞬間、私とヒーちゃんは壇上に上がっているヒーロー、プレゼントマイクの話を聞くことを諦めた。

この人のラジオは面白いんだけどなぁ...いざ目の前にするとちょっと面倒くさい。

 

入試要項を見る限りの試験の概要だが、

・試験会場はA~Gまでの7つ。受験票(最早、票と言うよりチケットくらいのサイズだが)にでかでかと書かれているアルファベットと対応しているようだ。

ちなみに私はD、ヒーちゃんはG。やはり血をペットボトルに詰めてきておいて良かった。

 

・持ち込みアイテムは自由。

 

・会場にはヴィランに見立てたロボットが4種類居る。

1ポイントの雑魚、2ポイントの中堅、3ポイントの大将、0ポイントのおじゃま虫。

0ポイントのおじゃま虫がステージに1つしか居ないということを考えると、こいつがいちばん厄介なのだろう。

星の〇ービィのゴ〇ドーみたいな感じなのだろうか。

まあ見てから考えよう。

 

 

そんなこんなで雄英高等学校ヒーロー科入学試験会場D。バスで連れてこられた会場は想像以上に広かった。

「すげえ...」

「こんな広い施設が何個も敷地に入ってんのか...流石雄英だな。」

そんな声があちこちから聞こえる。私の狐耳は普通の人間より多くの音を拾ってしまうため、こういう集中しなきゃ行けない時はかなり邪魔になる。

耳栓持ってくれば良かったかな...

そんなことを考えていた時だった。

 

「START!!!!!!!!!!」

 

は???

見上げると既に扉は開き、柱の上でプレゼントマイクが叫んでいる。

 

「おいおいどうしたァ??実践にカウントなんざねぇんだよ!走れ走れ!賽は投げられてんぞォ?」

落ち着いて...1...2...3...

あ、やっべ。出遅れた。

 

 

 

なぁんちゃって。

「さらに向こうへ。」

ギュッと足に力を込めて、今まで加減していた力を解放する。私の白い尻尾の先端に付いたひし形の宝石が白色に光る。

 

「野生解放。」

 

その瞬間足下のコンクリートはひび割れ、私の身体は勢い良く宙に飛び上がる。私の高度はビルがミニチュアに見えるくらいは高くなっていた。私は高所恐怖症なのだ。恐怖を押し殺して再び全身に力を込める。

1...2...3...

その間に耳と目でロボットの正確な位置を把握する。

まだ高度は十分。尻尾の宝石は黄色く光った。

 

光凝結(ライトニング)

 

手始めは...槍だな。

見つけた11体のロボットに向けて私の周りの光を固めて槍の形にする。こういう見た目で武器ガンガン飛ばしてくる魔王とか居そうだなとか呑気なことを考えつつ。

「はい、発射。」

その瞬間、隕石のように降り注ぐ槍はロボット共を脳天からぶち抜いた。

全部1点でも11点、3点も2点も居るとしたら平均とって22点位と考えて置いた方がいいだろう。如何せん距離が遠いので位置は分かれど、何点のロボットかまでは分からない。これ1点のロボが多めとかだったらやだな。

高度が低くなってきた為着陸準備をする。

1...2...3...

再び『野生解放』を使い、足に全ての力を込める。

ジーンという鈍い痛みと舞った土埃が着陸をお知らせした。

「ゲホッ、ちょっと吸っちゃったかも。こんな派手なことしてたら悪目立ちするかな。」

呑気にそんなことを考え、また1歩踏み込んだ。

 

▽△▽△▽

 

「残り5分を切ったぜぇ~!」

 

残り5分で約50ポイント位だろうか。そろそろロボットも居なくなってきた。最初は遠距離攻撃を使って敵を蹴散らしていた私だが、連発出来ず、ロボット1体倒すのにはオーバーパワー、何より疲れるので途中からは大人しくぶん殴る事にした。

さて、場所を変えようかな。

そう思ってビルを飛び越えた時だった。

真下からやばい音が聞こえた気がした。

 

バリバリバリバリ

 

あ、これヤバいやつかも。

反射的に体を捻り、前に進もうとする勢いを止める。鼻先を鉄の塊が掠める。

「デカっ!しかも他のより硬そうだし、避けて進まなきゃいけないってこいつのことか...」

お邪魔ロボットのすぐ側に着地した後、急いで距離をとる。

「でも尻尾巻いて逃げるのも癪だし、1発打っとくか。」

適当に光の槍を1本固めて投げつける。

 

パキッ

 

折れた。

「やっぱ効かないよね...」

その時、

 

「――ゥォォオオオオオオオオオ!!ここで逃げたら!漢じゃねぇぇぇええ!!!」

 

赤い何かが通り過ぎた。

「ちょっと!危ないって!」

制止も聞かずに突っ込むチクチク赤髪男に向かって無慈悲にお邪魔ロボットは拳を振り下ろして、チクチク赤髪男が潰され......てない!

コンクリートにめり込んではいるが、確かに彼は耐えて見せた。

やるじゃん!チクチク赤髪男!

しかし、このままではあいつが危ない。首根っこを引っ掴み、安全そうな距離まで避難した。

 

「よっしチクチク赤髪ギザ歯男、君の個性、いいじゃん。」

「お、おう!ありがとな!」

先程までの脳内で勝手に付けていた失礼な渾名が口から零れた気がしたが、褒められて少し照れ臭そうにしているコイツには聞こえていないのだろう。良かった。

「さて、君はさっきここで逃げたら漢じゃねえ!って言って突っ込んで行った訳だが、感想は?」

「痛ってぇ。」

「だろうね。君の個性は硬くなる的な感じだと思うけど、私の槍も通用しなかったデカブツに殴って勝てるとは思えない。つまりはあれだ、君だけでは耐えることは出来ても倒せない。」

「悔しいけどその通り。俺の個性は『硬化』。硬くなるだけだ。でも!」

「そこで私の出番だよ。君と私が力を合わせたらあいつを倒せるって言ったらどうする?」

「...マジで!?やろう!」

ニヤッと彼に笑いかける。

「それで?作戦はぁぁぁぁあああああああああああ!?

私はロボットの顔面に向けて彼をぶん投げた。

「作戦無しかよぉぉぉぉおおおおおお!!!」

 

バギィ!!!!!!!!!!

 

ロボットの顔面にはひと1人分の風穴が空き、関節から火花が散る。

足に力を入れ、後ろに倒れ込むロボットの影から叫ぶ彼を回収して着地。

 

「人使い荒いなぁ!?おい!?」

「どう?あのデカいの倒してみた感想は?」

「最ッ高!」

「おう、かっこよかったぞ。私は九重 彩狐(ここのえ あやこ)。ナイスガッツ。」

「俺は切島 鋭児郎。さっきはサンキュ。でももうちょっと優しく出来なかった!?」

 

 

 

 

 

「試験!しゅーりょぉー!!!!!」

 

ウウウゥゥゥゥーーーー

 

 

ちょうど試験終了のお知らせのサイレンが鳴った。

...このサイレン、甲子園かなんか?





九重 彩狐
個性:九尾

狐の異形型能力と8つの起動型能力の総称だ!起動型能力の切り替えには3秒かかり、同時に使用することは出来ない!(同時に使うと約1分で暴走するぜ!)

・個性:狐
狐の耳と腕が付いている異形型の個性!通常の何倍もの聴力と嗅覚を持っているぞ!
肉球は移動時の音も軽減する!

・個性:野生解放(やせいかいほう)
10秒だけ1つの格闘能力を上げることができるぞ!
連続使用の際は同じ能力は上げられない!
(走力を上げた後に、すぐ走力は上げられないって言うことだ!)

・個性:光凝結(ライトニング)
周りの光を固めることが出来る!
固めたものは形を維持するのにも周りの光を使うため、使えば使う程、維持すれば維持する程周りが暗くなっていく!
体力の消費も激しいぞ!

etc...
(cv:プレゼントマイク)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。