九尾と蝙蝠のヒーローアカデミア   作:潰れないネジ穴

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個性把握テストと自己満足

個性把握テスト

 

第1種目:50m走

 

飯田が3秒04。

かく言う私は3秒91。

スピード特化の飯田には追い付けないが、『野生解放』で走力を上げればこの程度か。

 

「凄いよ凄いよ!バビューンって!」

「ありがと。芦戸も5秒台、やるじゃん。」

「えへへ。」

 

気になるのはヒーちゃんだが...

 

バフゥ!

 

「ゲホッ、ゲホッ、ヒーちゃん加減知らないもんなぁ...」

「何あれ!羽!?」

 

突然舞った砂嵐にみんな動揺している。

 

「そうそう、ヒーちゃん飛べるんだよ。」

 

ガバァっと走り終わったヒーちゃんが背中に抱きついてくる。背中には蝙蝠のような横幅2mはあろうかという翼が生えている。

 

「記録、3秒47でした!キュウちゃんに勝ちましたよ!」

「ハイハイ、でももう少し加減覚えようか。砂が目に入る。」

 

 

「あのサドっぽい目付きに蝙蝠の翼...イイよな...」

「おう、あとなんか九重と渡我って距離近いよな...そういうの、イイよな...」

 

お前ら...聞こえないと思っているだろうが、私の耳には届いてるぞ。

アイツらとは少し距離置こうかな...

 

▽△▽△▽

 

第2種目:握力

 

「すげぇ!540kgって!あんたゴリラ!?あ、タコかぁ!」

「タコってエロいよね...?」

「おい、お前ら、女子が居る前で下ネタは良くないんじゃね?」

「良くなーい!」

「わ、悪ぃ九重。俺は瀬呂。あ、あと下ネタ言ってたのは俺じゃなくてこいつな。」

 

私と隣でむくれる芦戸、それからいつも通り――いや、いつもより睨んでいるヒーちゃんに、瀬呂はキョドりまくっていた。

 

「まあ、良いけど。あたしの番ってことで貸してよ、握力計。」

「ん。」

 

無口な腕多め大男が握力計を差し出す。

こりゃ1発良いとこ見せてやるか。

 

「とりゃっ!」

 

強化するのは勿論握力。

 

「はぁ!?724kg!?バケモンかよ!?」

「やるな。流石実技1位。強化系の個性か?」

「まあ、そんなとこ。他にも出来ること沢山あるけどね。君、名前は?」

「障子 目蔵。見ての通り、腕が沢山ある。」

「私、九重 彩狐。宜しくね。」

「彩狐ちゃん凄い!強い!」

「ですです!キュウちゃんは強くて可愛いのです!」

 

 

「なんであいつのほうがモテてんだ?」

 

聞こえてるぞ。

 

 

▽△▽△▽

 

第3種目:立ち幅跳び

 

じゃあちょっと軽めに...

 

「ほっ」

 

「「56m!?」」

 

「すごいね!ひとっ飛びだ!」

「いやいや立ち幅跳びなんだから普通1回で跳ぶんだよ...。爆破ヤンキー男とかヒーちゃんとかが特殊なだけ。」

「それもそだね!私、麗日 お茶子って言うんだ!宜しくね、九重ちゃん!個性は無重力(ゼログラビティ)。浮かしたり浮いたりできるよ!」

「宜しくね、麗日。浮けるのか...。麗日も結構いい記録出るんじゃない?」

「それが、浮くだけだから前に進むには犬掻きくらいしかなくて...」

「じゃあボール投げとか凄いんじゃ?」

「確かに!」

 

 

△▽△▽△

 

第4種目:反復横跳び

 

これは力を入れすぎて横にぶっ飛んでも嫌なので普通にやる。

80回...。普通より多いくらいだな。

 

バインバインバインバインバインバインバインバイン

 

「うぅうぇぇぇぇえい」

 

個性ではどうしようもない部分が多く、みんなが普通に跳ぶなか、紫エロ男が無双していた。

 

「あれ、あり?」

「止めないってことはアリなんじゃないかな...?」

 

麗日も苦笑いするレベルである。

 

「あれがありならもっと色々出来ますわね!コホンっ!失礼。私、八百万 百と申しますわ。」

「うん、宜しくね。私、見てたけど握力で万力出したりしてる時点でもうなんでもあり通り越してない?あれ以上何やんの?」

「も、黙秘ですわ!」

「うっす。」

 

 

△▽△▽△

 

第5種目:ボール投げ

 

さっきより記録が伸びて678m。

ちなみに麗日は∞mである。

 

「すっげえぇぇぇ!」

「無限ってまじかよ!」

 

「おつかれー。やっぱ投げたあと浮かせたらそのまま飛んでいくのか。ほんとに宇宙空間みたいだ。」

「ありがとう!使いすぎると酔っちゃうんだけどね...。」

 

そのままテストは進み、緑谷の番。

 

 

「あれ?なんか怒られてね?」

「何があったんだろ。」

 

 

 

「個性を消した。つくづくあの入試は合理性に欠くよ。お前のようなやつも入学出来てしまう。」

「個性を消した...!?あのゴーグル!そうか!見ただけで人の個性を抹消する個性...抹消ヒーロー!イレイザーヘッド!!!!」

 

「イレイザーヘッド?俺知らない。」

「聞いたことあるわ。」

 

喧喧囂囂。

他の人にはもう先生の声は聞こえないだろう。

でも、私には聞こえる。

 

「見たところ、個性が制御出来ないんだろ?また行動不能になって、誰かに助けてもらうつもりだったか?」

「そんなつもりじゃぁっ!」

 

グイッと先生の首元の布が緑谷を絞める。

 

「どういうつもりでも、周りはそうせざるを得なくなるって話だ。昔、暑苦しいヒーローが大災害から1人で1000人以上救い出すという伝説を作った。同じ蛮勇でも、お前は1人を助けて木偶の坊になるだけ。緑谷 出久、お前の力じゃヒーローにはなれないよ。」

 

スルスルと布が元に戻り、緑谷の拘束を解く。

個性が制御不能。

見に覚えがありすぎて笑えてくる。

 

「ボール投げは残り2回、ちゃっちゃと済ませな。」

 

 

 

「SMAAAAAAAAASH!!!!!!!!!!」

 

 

記録、705.3m。

 

「先生、まだ!動けます!」

 

「「すっげええぇぇ!!」」

 

みんなが突然の緑谷の覚醒に盛り上がっている。

見たところ、あれは増強型の個性か。

さしずめ強力な反面、バックファイヤーが強いのだろう。現に人差し指が赤紫に腫れ上がっている。

いやそれでも違うな。自分の個性の加減くらい自分で分かるはずだ。

でも、見た事あるなぁ。その折れ方。

 

後で話聞いてみようかな。

 

 

その後は緑谷が目付き悪ヤンキー男に絡まれたり、先生のドライアイがバレたりした。

 

 

△▽△▽△

 

第6種目:上体起こし

 

ペアはヒーちゃんと組むことにした。

結果は27回。ヒーちゃんは26回。勝った!

 

「勝てると思ったのに。」

「身長では抜かされても筋力は抜かされたくない。」

 

これも個性を使いづらい種目だったのでみんな普通に計測。

紫葡萄エロ男が背中にバインバインする丸いヤツ付けて計測したら、背中が着いてない為今のを0回として再計測って言われてた。

 

 

ざまぁ。

 

 

 

△▽△▽△

 

第7種目:長座体前屈

 

「足伸ばして座るのも辛いのにそこから体前に倒すとか無理!」

「キュウちゃん体硬いもんねぇ。」

「え~!意外!」

「私もちょっと苦手かも。」

「芦戸は良いよな。体柔らかくて。アレ?梅雨ちゃんってどうやってたっけ。」

「ケロッ?私は舌を伸ばして押したわよ。べぇーって。」

 

ふぅん。なら。

 

光凝結(ライトニング)

 

作るのは細くて長い棒。

 

「「すごっ!!!」」

「端まで届いてるよ!」

「何?何?それも個性?」

「まあね、私の個性は光を固められるんだ。だから固めて、棒作って押してみた。」

「流石、実技1位だなぁ...」

「周りが暗くなっちゃうから長い時間は使えないんだけどね。」

 

記録は測定不能。

特別仕様の測定棒超えちゃったしね。

みんなが取れてないところで頭抜けたのは大きいな。

 

 

「なんかあっちの女子楽しそうだよな。」

「なんかこっちには華がないよな。」

 

 

 

聞こえてるぞ。

 

 

△▽△▽△

 

第8種目:持久走

 

飯田と私でワンツーフィニッシュ。

続く八百万。

 

「八百万、なんでもありとは言ってたけど、流石にバイクは反則じゃない?」

「それを言うならバイクを軽々脚で抜き去ってくあなたがたの方が反則ですわ!」

 

△▽△▽△

 

「じゃーパパっと結果発表。」

 

相澤先生、結果発表の時ぐらい声張ってもいいんじゃない?ケッカハッピョォォォーーー!!!!とか流行ってたんだしさ。

 

「トータルは単純に、各計測の素点を合計した数だ。口頭で説明するのは時間の無駄なので、一括開示する。」

 

最下位は除籍...。いざそう言われると緊張するな。

 

1位...九重 彩狐

2位...八百万 百

3位...爆豪 勝己

最下位...緑谷 出久

 

 

oh......。

あの怪我で残り3種目は無理があったか。

聞きたいことあったんだけどな...。

ま、1位取れて何より、か。

後ろの爆発チクチクヤンキー男...爆豪には舌打ち&睨まれたけど。

 

「因みに除籍は嘘な。」

 

ん????????

 

「君らの個性を最大限引き出す合理的虚偽。」

「「「はァァァァァァァァァァァァ!?!?」」」

 

おう、1発殴らせろーい

 

「あんなの嘘に決まってるじゃない。ちょっと考えれば分かりますわ。」

「八百万、そういうのは早く言うべき。」

「ちょっとヒヤッとしたな...。」

「俺は何時でも受けて立つぜ!」

 

「これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類があるから戻ったら目通しとけ。」

「やっぱり、私無理かもです。」

「同感。」

 

今回ほどヒーちゃんのある種血の気の多い思考に同意することは無いだろう。

いつもはブレーキになる私だが、今は完全にその機能を失っている。むしろアクセルだ。

 

「おい緑谷、保健室で婆さんに治してもらえ。明日からもっと過酷な試験の目白押しだ。覚悟しておけ。」

 

先生が緑谷に髪を手渡す。

これはチャンスかな?

 

「先生ー、緑谷保健室に連れて行ってきまーす。」

「勝手にしろ。」

「じゃ、行こうか緑谷。」

「ふぇ!?」

 

顔を真っ赤にして狼狽える緑谷を引っ張って保健室へ。

いつもは五月蝿いヒーちゃんも今回は見逃してくれそうだ。

 

 

「なんか...ズルくね?」

 

 

聞こえてるんだって。

 

 

△▽△▽△

 

「だだっだだだっ大丈夫だよ!?九重さん!指1本怪我しただけだし!」

「いいからいいから。そんなことより聞いておきたいことがあるんだけど。」

 

急に真剣モードになった私にますます狼狽える緑谷。それ以上狼狽えると言語が聞き取れなくなるから普通に話してくれ。

 

「ななっな何!?なんでも聞いて!」

「あわあわしすぎ。それで君の個性の事なんだけどさ。」

「あー...やっぱり気になっちゃうよね...。」

「うん。私、耳良いからさ。先生との話、全部聞こえてたんだよね。個性が制御出来なくて行動不能。まるで個性が発現したての赤ん坊みたい。」

「ははは...。」

 

ポリポリと頭を掻く緑谷。指そんなんなっててよく頭掻けるな。

イテッ

やっぱそうなるか。おっと、話戻さなきゃ。

 

「いや、私が言ったのはそのまんまの意味だよ。」

「え?」

「個性が発現したてみたいだって。」

「あだっど、どっどうして?」

 

明らかに様子がおかしい。

いや、様子がおかしいのはさっきからずっとそうだが、さっきまでは顔を真っ赤にしてキョドっていたのに、今や顔面蒼白である。

いきなりビンゴ引いたかな?

いや、引いてしまったの方が正しいな。

私はこの話をしたくない。

ただでさえ個性の話なんて言うのはデリケートな話になりやすい。

なのに私はその先に踏み入ろうとしてる。

しかし、私には義務がある。本当はここに居るべき8人の為に。

 

「詳しいことまでは聞かないよ。君にも秘密の1つや2つ、あるだろうさ。でも、これだけは教えて欲しい。」

 

いつの間にか保健室へ行く足は止まり、肉球には爪が食いこんで血が出ている。

呼吸を整え、喉まで引っかかっている言葉を捻り出す。

なんて言えばいいか。突然頭が回らなくなる。

 

 

さっきまでのくじ引きゲーム位の心づもりはハズレを引いた瞬間にどこかへ行った。

この数秒の間に私の心の余裕は抜け落ちた。

 

 

深く思考を重ねるうちに、私が引っかかっていた物の本体が顔を出す。

誰かから貰った個性なのか。

最初に私が聞きたかった事は思考を重ねるうちにどうでも良い事になっていた。

本当に私が聞きたいのは...

 

 

奴は置いていった。私とヒーちゃん...九重 彩狐と渡我 被身子の体に。

まるで都市伝説のサンタクロースのように。望んでもいないプレゼントを。頼んでもいない力を。

何人分もの命を。怨みを。

なんで私がと何回も思った。

こんな個性(ゴミ)をと罵る度に元の持ち主が私を呪う。

今私は背負っている。私の両親の命を。この個性の元の持ち主の命を。奴に殺された全ての人の命を。

 

だから彼に聞かなきゃいけない。

 

 

「その個性(プレゼント)は...君が望んだもの?」

 

永い沈黙。

本当は数秒なのだろうが、この静寂が無限に思える。

きっと私は今酷い顔をしている。

幸いにも緑谷より私の身長は低いので、俯いていれば正面からは私の顔は見られないだろう。横は白くて長い髪が隠してくれる。

 

「えっと...」

「答えろ!」

 

言い淀む緑谷に詰め寄る。

 

「う、上手くは言えないけど...。僕の個性は...。人から授かった物なんだ。誰からは...言えない。」

 

唇を噛む。血の味。

 

「まだ全然扱いきれてなくて、まだ借り物で。でも、その人は言ってくれたんだ!この個性は君が勝ち取ったんだって。だから...。この個性はプレゼントじゃない。僕が望んだトロフィーだ。」

 

 

「わかった。それだけ聞けたら十分。じゃ、私先保健室行ってるから。」

 

 

「ちょっとまって!」

 

引き止めようとする緑谷の声に聞こえないふりをする。

保健室行き緑谷に同伴するって言っておいて、今は緑谷を置いて保健室までダッシュしている。

フラッシュバックする記憶に頑張って蓋を被せる。

 

偉そうに上から目線で連れ出しておいて、お節介焼いてやるよみたいなつもりで。

結局1番気にしてたのは私じゃないか。

馬鹿馬鹿しい。

自業自得?多分違う。馬鹿なんだ。

勝手に話聞いて、1人で泣き出して。

緑谷からしたらさぞ気味が悪いことだろう。

ごめんな。緑谷。

私の身勝手に付き合わせて。

 

ガラガラ

 

「どうしたんだい?」

「リカバリーガール...隣の個室、空いてる?」

 

「ふっ、いいよ。いっぱい吐き出していきな。」







最後振られたみたいになってしまいましたね。違うんだけどね。
気にしないでください。そういうお年頃なんです。
そして私もそういうの書きたいお年頃なんです。
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